IoTは日本企業への警告である―――24時間「機械に監視される時代」のビジネスの条件

  • ダイヤモンド社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478067451

作品紹介・あらすじ

500億の「機械」がつながる近未来!サイバー攻撃の激増で日本はどうなる?増殖を続けるIoTに「安心・安全」は実現できるのか?新しい技術によるビジネスの光と影を明かす!

感想・レビュー・書評

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  • 一般向けの良い本だ。
    セキュリティの十戒
    1) Confidentiality, 2) Integrity, 3) Availability, 4) Authentication, 5) Authorization, 6) Accountability, 7) Non Repudiation, 8) Privacy, 9) Diversity, 10) Resilience

  • 私は最近、日経新聞も読んでいない。WBSもだ。ヤバい。最新のビジネストレンドに乗れない。せっかくテレビ東京・ビジネス・オン・デマンドに加入しているのに、勿体ないし遺憾だ。

    というわけで、今回は少し最先端のテクノロジーの書籍を書評する。題名が「IoTは日本企業への警告である」副題が「24時間「機械に監視される時代」のビジネス条件」

    かくいう私の生活も24/7で監視されているらしく(どうもメガネの中にICチップが入っているらしい)完全な公人状態である。


    ところで「IoT」とは「Internet of Things」の略で「モノのインターネット化」と訳される。すなわち、われわれの周りにあるものがすべてネットと接続されるということだ。

    アメリカのコダック社は世界で初めてカラーフィルムを発売した、世界最大のフィルムメーカーだった。ところが、デジカメの台頭によって、2012年に倒産した。

    しかし皮肉なことに1975年、そのデジタルカメラを世界で初めて発明したのはコダックだった。

    大学を卒業したばかりの研究者、スティーブン・サッソンが作ったのは、解像度が一万ピクセルの「おもちゃ」のようなデジカメだった。

    当時コダックの経営陣は「こんなものは誰も買わない」と相手にしなかった。
    しかし、サッソンは「ムーアの法則」を挙げて反論した。デジカメの性能が200万画素を超えると、人間の目はフィルムの写真とさほど変わらず感じるようになる。200万ピクセルになるまで、あまり時間がかからない。かならずデジカメの時代が来る、と。

    しかし結果は上記のようです。経営破たんの一端となったのは確実である。
    IoTの具体例を挙げよう。

    航空機のエンジンに様々なセンサーが取り付けられているが、一時間のフライトで一基のエンジンが生成するデータは20テラバイトを超える。

    イギリスのエンジンメーカーである、ロールスロイスはエンジンの出力と使用時間に応じて利用料を課金するビジネスを始めた。エンジンを「モノ」として売るのではなく、エンジンを使用した時間や回転数を商品としたのだ。

    これまでは、たとえば飛行距離一万マイルなら一万マイルと決めて、そのタイミングで定期点検を行うといった方法でした。でも一万マイルなどという目安の距離は人間が勝手に決めているだけの事で、予期せぬタイミングで不具合が生じてしまうこともある。それがIoT化によってフライト中の性格で膨大なデータを集めるようになったことで、故障する前に手が打て、エンジンのトラブルは圧倒的に減ったという。

    著者が想像する二十年後について少し書く。

    「さあ、今日はあこがれの女性とデートです。表参道にショッピングに出かけることになり、カーシェアリングで事前に予約した自動運転のスポーツカーをモバイルで呼び出します。途中でピックアップした彼女を助手席に乗せて表参道に到着すると、フェラーリは勝手にガレージに帰っていきました。

    思う存分ショッピングを楽しんだ後は、高級食料品店に回ってフレッシュなチーズと野菜を手に入れました。もう両手に持ち切れないほどの荷物です。そこで自動運転のミニバンを呼び出して、彼女の部屋まで行って、美味しい手料理を楽しむことにしました。」

    夢物語と笑う人がいるかもしれませんが、自動車を所有せずとも快適に移動するためのシステムは「ウーバー」などのタクシーやハイヤーの配車サービスや、スマートフォンで認証して自動車のロックを解除するカーシェアリングのサービスとしてすでに普及しつつある。

    すでに一般に実用化されている例も紹介する。生活に密着した分野では、「自動車」の他に「医療、介護、ヘルスケア」「住宅、住宅機器」「家電」のカテゴリーが、IoT化の激戦区となっている。

    この三つのカテゴリーにまたがるのが、象印が提供している「みまもりほっとライン」というサービスだ。無線通信機を内蔵した電気ポットをお年寄りが使うと、その情報がインターネットを通じて、家族などにメールで送られてくる仕組みになっている。

    いつもは朝六時には起きてお茶を入れるのに、今日は昼過ぎまで一回も使われていない。そんな場合は、電話をかけたり、家をたずねるなどして安否を確認することができる。お年寄りは普通のポットと同じように使うだけだし、家族にとっては離れた場所からでも、仕事中でも、携帯電話やパソコンで確認できる手軽さが好評のようだ。

    このようにIoTは無限の可能性を秘めているといってよい。プライバシーを取るか、セキリュティを取るか、二者択一なのである。大野はもちろん後者である。おまけに利便性が向上する。

  • 日本のものづくりはIoTでという掴みは月並みですが、サイバー攻撃など著者の専門であるセキュリティについて、IoTはIoST(Internet of Secure Things)であるべきとして、そのリスクを事例などを紹介するとともにその対策をIoTに必要な「セキュリティの十戒」として説明するところが本書の特徴。また、ものづくりはパーツ屋になるなとして、更にはスマホやPCはプロダクトだがこれらはIoTでパーツになると説き、ソフトウェア、プラットフォーム指向、オープンイノベーション、共創チームの重要性を訴えビジネスモデルの変容を即す。経営・管理者向けのIoTビジネスの啓蒙書です。

  • タイトルにある通り筆者から日本がIoTに乗り遅れないようセキュリティを中心に日本の文化や体制などについて警笛を鳴らし続けていくという内容の本。概要的な話ばかりで具体的な話は殆どない。

  • 今の日本の IT 活用のスピード/セキュリティマインドではダメだ!的な本。
    個人的にも大きな転換期にあると思いますので、今後はよりスピード感をもっていかないとダメなんだろうなと思います。

  • 所在:展示架
    請求番号:007.3/Sa25
    資料ID:115014974
    モノとインターネットを繋ぐ動き、いわゆるIoTは近年いたるところで耳にするようになりました。これからの時代はこのIoTなしに語れないでしょう。私たち人間はこのIoTの時代の中でどうすれば良いのか、是非一読を。
    選書担当:木村

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著者プロフィール

1971年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部を卒業。10代で商用ソフトウェアのプログラミングを始め、大学在学中にI/Oソフトウェアを設立。指紋認証など生体認証暗号システムの開発に成功。1998年「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」(アーンスト・アンド・ヤング、ナスダックおよびUSAトゥデイ主宰)を受賞。2004年会社をマイクロソフト社に売却、日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカー設立。2012年、日経ビジネス「次代を創る100人」に選ばれる。また同年、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(NAIIC)では、ITなどのインフラ設備構築で手腕を発揮。国家戦略会議フロンティア分科会「繁栄のフロンティア」委員を務める。現在、内閣府参与(科学技術・IT戦略担当)。
ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)とは、2011年ヤンググローバルリーダーに選ばれてからの関わり。WEF内のグローバルシェイパーズ・コミュニティの立ち上げに尽力し、同コミュニティのボードメンバーに選ばれている。

「2017年 『世界一の会議 ダボス会議の秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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