金融に未来はあるか―――ウォール街、シティが認めたくなかった意外な真実

制作 : 薮井 真澄 
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478068403

感想・レビュー・書評

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  • リーマンショックとそれを引き起こした金融業界の欺瞞、怠慢に対してスチュアードシップ(受託者責任)に基づいた機関投資家のあるべき姿を規定した一冊。著者自身も指摘している通り、若干「時計の針を戻す」あるいは「古き良き時代の金融を取り戻す」類の施策にも思えるが、現在の金融(特に米国金融)が少なからず異常な進化を遂げてしまったのも事実であり、破壊的な変革が必要な時期なのかもしれない。

  • 東2法経図・6F開架 338A/Ka98k//K

  • 金融業界に属する身としては耳が痛く、襟を正すべき本。金融に夢を抱く人は読まないほうが良いでしょう。著者の示す金融の未来像(ナローバンクと専門金融機関?)は、まさに日本の過去の姿であり、なんとも言えない気持ちになります。

  • 投資銀行は、なんの富も生産していないということを、ずっと説明してくれるが、直観としてわかるが、具体的には、よくわからない。金融工学は用語からして、騙され感があって、ストンと来ない。長さのわりに、積み上がる理解ということがなかったのが残念です。

  • 先進国の巨大金融機関は、何の事業を営んでいるのか。個人の本源的資金を預金として集め、企業へ貸し出す。そんな伝統的な教科書にあるような姿ではもはやない。
    身内でお互いを出しぬくために優秀な人材と最先端の技術を惜しみなくつぎ込み、法外な利益と報酬を得ているのが真の姿なのだ。世の中への貢献度合いが収益につながらない、それを是とする不思議な業界。
    金融危機から早10年。巨大化した金融機関はさらに巨大になり、その事業の複雑さには何の変化もない。
    危機後の金融業界をテーマにしていた本は多いが、改めて視野が広がり、頭の整理ができた。

  • 「金融に未来はあるか」は実体経済に対して以上に発達しすぎ、投資銀行同士でお金を回すことで彼らが不当に利益を得ており、投資対象への目利きは劣化し、投資家や企業がないがしろであることを指摘する本です。

  • 原題は、『他人の金』w

    金融機関が、今、なぜこうなっているのか?についての考察が書かれていたが、面白かったのは、冒頭にある「雄牛の寓話」。

    雄牛の品評会の体重当てコンテストから、推計値平均が実際の体重に近い事を発見、後年、秤が壊れた主催者は、平均を答えにしようと考える、ズルがないようにプロセスが厳格化され、雄牛の生育についての情報公開、アナリストが出てきて、更に頭が切れる連中が、雄牛の状態を把握することには意味が無くてコンテスト参加者がどう推量するかを正確に見定める事だと言い、老農夫バフェットが不満をいうが、田舎もんと馬鹿にされる。バフェットの牛は丸々と肥えて良い牛なのに。 そして、雄牛の体重評価をめぐる規則を決めるための国際基準が作られ… 雄牛の体重を当てる人数がいなかったり少ないケースにもシカゴ大学の数学者たちが計算モデルを開発、他の推計値から計算が出来るようになり、畜産学についての知識は無用、強力なコンピュータさえあれば事足りる様に…
    更に、体重当てのプロや推計の精度を上げられるようにアドバイスする顧問など一大産業が出来上がっていた。秤を直した方が安上がりなんて言える雰囲気はもう無く、これほど大勢の賢い人々の知恵を結集し恩恵にあずかれるのに?と。そして、雄牛は死んだ。誰もが餌やりのことをすっかり忘れてたから。


    内容的には、金融の世界にいる人ならすっと入ってくる内容なのかもしれないが、門外漢からするとちと歯ごたえありだった。雄牛の寓話を詳細に追いかけて行く流れ。

    そして、以下の一文。
    「今日の預金、投資チャネルはどちらも、よほど腕に覚えがあって財布の紐の固い貯蓄者ではない限り、満足のいく実質リターンを得られない仕組みになっている。」


  • 金融危機からはや10年。第Ⅰ部は金融業界の異常性をゼロベースで再検証する意義はあろうが散々使い古されたテーマだけに陳腐さは否めない(原著は2015年刊行)。こうした書籍のような自己反芻をしても、金融マンとその仲間たち(象牙の住人も含む)は再びバブルを引き起こし活況のなか世界経済を崩壊させる過ちを繰り返すのだろう。そうした観点で捉えると、本書は金融経済誌で幾つかA book of yearを獲得しているものの金融業界の免罪符的スタンスに思える。

    第Ⅱ部・第Ⅲ部の金融の役割と提言は興味深い。結局は世界経済を崩壊の危機に追い込んだ投資銀行は、本質的な必要性はなく我々は決済機能のみ望んでいることを浮き彫りにしている。ジョン・ケイ氏の語るところを見るとトレーディング業務で自己肥大化していった金融機関はToo BigではなくToo Complexであることがよくわかる。

    本書自体は金融危機を起こした金融の非常識や不毛な複雑性を真摯に解きほぐして分析している良著ながら、当方が平行して読んでいるタレブ氏の『反脆弱性』のほうが分析に切れ味があり面白い。(タレブ氏自身も本書を絶賛)

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