マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478069431

作品紹介・あらすじ

世界一のコンサルティング・ファームの近未来予測。マッキンゼーの経営と世界経済の研究所が発表する刺激的グローバルトレンド。ロンドン、シリコンバレー、上海在住のマッキンゼーのベテラン・コンサルタントが「もし、これまでの人生であなたが積み上げてきた直観のほとんどが間違っていたとしたら?」と問いかける。

感想・レビュー・書評

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  • マッキンゼーだからという贔屓目なしに、現在の社会の諸問題と資本が向き合うべき点について、多量のデータに基づき解説されています。
    新興国あたりのデータなどはまだまだ浅い本が多いのでかなり参考になりました。

  • 大書 やっと1回目の読書がおわった。抽出したキーワードは、巨大都市圏から、公共サービスまで43に及んだ。
    コンサルファームらしく、事実、数字によって語られている。エピローグ「戦略的思索の果てに」が設けられており、過去のトレンドが破壊され急激な変化がもたらされること。その変化にいち早く気づいて、機会として捉えることが示唆されている。

  • 全体として、長く読みにくい。
    それぞれの切り口に対して、数多くの事例に触れるのはいいが、あまりに表面的すぎるため、読んでいて頭に入って来なかった。
    そのため、最後は流し読みになってしまった。

    切り口もそれほど新しいものでもなく、期待はずれ。

  • 本書で予測される未来での事象のうち、特に注目したのは以下でした。

    I.STEM (科学、技術、工学、数学)分野を専攻する学生の比率は、2008年時点での世界平均23%に対して、シンガポールの54%を筆頭に、中国42%、台湾35%、韓国35%と続いています。ちなみに日本は21%。今週のエコノミスト誌には、数学とコンピューター分野で最も評価された論文トップ1%の数で、トップ15大学のうち、9が中国(香港含む)及びシンガポールの大学との記事が掲載されたました。

    II.2025年までにFortune500社中、230社が中国を筆頭とする新興国の企業となる、とのことです。ちなみに、先日、同誌はタイのチャロン・ポカパン(CP)グループ会長の子息により買収されると発表されました。

    III.平均寿命が長くなると同時に、投資収益率が低下することにより、高齢者がより長く働かざるを得ない可能性があります。これにより、世界で労働力人口に占める高齢労働者(55歳以上)の比率が、2014年の14%から2030年の22%へ上昇することが予想されています。

    上記3つを勘案すると、超文系である私が高齢期を生き延びるには、STEM分野を学びなおし、新興国企業(中国やインドの)で、体力・健康を温存して長く働くよう精進することが必要になる、ということでしょうか。

  • 経営視点の話。

    インドやアフリカ諸国、ブラジルから、旺盛な需要を背景に革新的なグローバル企業が生まれ、強力な競合相手となる。

    競合が脅威となる理由は企業の身軽さであり、企業が身軽でいられるのは「他の誰かが地道に整備した成果を低コストで利用できる」からなのだが、そのコストを誰が負担するのか、という観点はあまり出てこない。

    後半、政府の方針策定についていくつか事例が紹介されており、規制の有効性や財政拡大についても触れてあるため、邪悪なレントシーカー的発想とは違うような印象を受け、少しだけほっとした。

    労働力の需給ギャップ(理系の不足と失業者の増大)について、無責任な移民政策ではなく、労働者一人一人の適性に合わせた再教育と雇用プログラムの例があげられていた。この部分は読む価値はあったと思う。

  • ビジネスの世界に、「とんでもない破壊」という危機感を煽る本。

    四つの破壊的な力
    ・異次元の都市化のパワー
    ・さらに加速する技術進化
    ・地球規模の高齢化
    ・高速に強く結びつく世界

    破壊力を持つ12の技術の紹介では、「今後10年の間に巨大な破壊力を示す可能性が高い」として、次世代ゲノム、新素材、エネルギーの貯蔵、石油とガスの採掘、再生可能エネルギー、ロボット工学、自律自動車、3Dプリンティング、携帯機器インターネット、IoT、クラウド技術、知識作業のオートメーション化が挙げられている。


    どういう目つきで、未来を考えるべきかは以下のポイントを示している。

    ・あらたな消費者層
    ・資源
    ・資本コスト
    ・労働市場
    ・新たな競合の出現と競争のルールの変化
    ・社会と政府にとっての戦略的思考


    著者は、マッキンゼー・グローバル・インスティチュートというマッキンゼーの経済研究部門のリチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル。MGIは、マッキンゼーのパートナーからの費用で運営されているらしく、データ収集と分析でご飯食べてるだけに、この本のデータの信頼性は高いと思って良いんじゃなかろうか。

    想定読者は、経営層ないし、新しくビジネスを立ち上げる人、それらの人とビジネスをする人といったところだろう。

    世界のビジネスで何が起きているかを直視して、自身に迫る危機をしみじみと考えてみるのも一興な本。

  •  データはちょっと古くなってきているかなと思います。
    2024/01/26現在

     しかし、この本の真面目(しんめんもく)は、自分たちがえいえいと養ってきた直感があたらない、ということを率直に認め、それを認識せよ、とこちらにも訴えかけるところにありましょう。

     今現前に起こっている事実をどう認識するか、自分の目に積み重なっている百枚以上のうろこをどう落としていくか。難しい問題です。

     「感性」の更新する努力をつづけなくてはならない。
    「感性」が更新されている世代と接触を持ち続ける
    こういった方策が提案されていました。

  • マッキンゼー・アンド・カンパニーのシンクタンク部門であるマッキンゼー・グローバル・インスティテュートのコンサルタントがまとめた、これからのビジネス環境を生き残るために認識しておかなければならない環境変化を論じた本。

    まず、近未来のビジネス環境を支配するのは、異次元の都市化、加速する技術進化、地球規模の高齢化社会、そしてグローバルに展開する人・物・情報のネットワークであると述べている。

    いずれも人類史的なスパンで続いてきた傾向ではあるが、その規模やスピードが一段階、というよりも一桁規模が大きくなるような変化が生じるという理解をしておかなければならないと感じた。

    このような環境においてビジネスを展開するにあたっては、今までの経験値から得られる直感をリセットしなくてはならない。


    そして、本書の後半では、我々がリセットするべき直観の具体的な例が挙げられている。

    ・これから新たに世界で30億人が中間層に加わり、市場が沸騰する。しかし、それらの市場で成果を上げるためには、それぞれの現地に密着した戦略を立てそれを実現するためにグローバルに行動しなければならない。

    ・需要の大幅な増加に伴って引き起こされる資源価格変動は、企業の活動にとって大きなリスクと機会を生じさせる。これはコスト面でのインパクトだけではなく、省エネやリサイクル等新たな技術、サービスに事業機会を与えてくれる。

    ・需要の沸騰はまた、世界的にインフラの大幅な増強が求める。一方で、現在のインフラ投資のトレンドはこの需要増に十分には対応できていない。投資の必要性の増大は資本コストの上昇をもたらす。企業は、資本に対する生産性を向上させる取組みとともに、インフラなどへの投資による事業機会を追求するといった、複数の戦略が必要とされるようになる。

    ・製造業中心の産業とは異なる労働市場環境が生まれつつあり、スキルのミスマッチが生じている。単に優秀な人材を確保するために競争をするのではなく、自らの事業に必要とされるスキルを細かく明確に定義することによって、よりピンポイントに必要な人材を獲得できる機会が生まれる。また、技術により労働生産性を上げるだけでなく、労働者のスキルを拡張したり教育をすることも考えて行く必要がある。

    ・スタートアップから世界のリーディングカンパニーになるまでに要する時間は、格段に短くなっている。これは、新たな競合がいつどこから現れるかわからない世界を意味する。企業は、従来の業界の枠組みや顧客像に捉われるのではなく、柔軟な発想で情報を集め、市場の変化にいち早く気が付く力をつける必要がある。また、新たに登場したライバルとの間に、技術提携やエコシステムに取り込んでいくといった柔軟な戦略で対応することも重要である。

    ・企業だけではなく公共部門も、重要な役割を果たすことになる。従来のように公共投資で景気を下支えするといった役割よりも、新しい時代に適応した規制や労働者の移行の支援などの政策が求められるようになる。これまでの直感や枠組みに捉われることなく、変化を加速するための政策を構築する力が必要となる。


    原著が2015年に発行されてから8年以上が経っているが、これらの指摘は現時点でも有効なものであると思う。本書は、単に未来を予測するのではなく、現在起こっている環境変化を明確に捉え、そこから未来を考えていくための手がかりを示唆してくれる本になっている。

    そのため、より応用の範囲が広く、古びることが少ない内容であるように感じた。

  • 本書が出版されたのは5年前。しかしながら、内容は色褪せていない。高齢化社会やグローバル化の急加速、技術革新と雇用問題、格差、巨額の債務を抱える先進国など、2022年現在の社会的課題が的確に予測されている。
    かつ、それらを単に予測で完結させず、個々人がどのようなマインドセットを持ちながら対処していくべきかを指南してくれる。

  • 良いね!

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