ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478069783

感想・レビュー・書評

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  • もともと上司と部下の間の面談をやることを制度化している会社は多かったと思うが、それを高頻度とし、また「部下の成長のため」ということに目的を絞り込み、仕組みとして導入・定着させたのが、本書の著者の本間浩輔さん。今では、この1on1を制度として導入している企業は多い。

    「マネジャーの役割は、組織の目標を達成すると同時に組織内の人を成長させることである」という命題が仮に正しいものだとして、でも、それが企業の中で実現されることの間には、大きな隔たりがある。
    ■最近のマネジャーに対しては、組織目標、例えば、今期の売上目標を達成するべしとするプレッシャーが強く、目の前のことに集中せざるを得ないこと。
    ■従って、時間のかかる人財育成は後回しとなりがちであること。
    ■仮に、人財育成が大事であることを認識していたとしても、そのやり方を習得していないマネジャーが多くいること。
    例えば、こういったことが隔たりの原因だ。
    人事部門の努力の多くは、この隔たりを埋めることに費やされる。マネジャーの役割を再定義する、すなわち、人財育成がマネジャーの重要な役割の一つであることを、あらためて強調する。マネジャーに対して、マネジメントの考え方やスキルに関する研修を行う、等である。
    1on1は、さらに「仕組み」、すなわち、会社の中のオフィシャルな決まり事として実施することによって、人財育成を促すものとして設計・導入されたものである。

    もちろん、万能の仕組みではないし、実際にそれを行うマネジャー個々人の力量によって成果は大きく変わるが、オリジナリティに富んだ優れたアイデアだと思う。

  • 2012年の社長交代より始まった「1on1ミーティング」がいかにヤフーを活性化させたかという話。

    組織が与えた仕事をするのではなく、社員自らが仕事を選ぶ方が、会社にとっても人にとっても合理的であるという考え方がベース。また、対話を通して社員が才能と情熱を解き放てる方法を見つけ出すことを重視している。そのために、各々の社員の経験を掘り下げ、学びや気づきを得て概念化させるという作業を繰り返している。 1対1で話して、お互いの言葉の重ね合わせをするぐらいの丁寧さを経て始めて到達できる境地があるという。

  • 同僚から「1 on 1ミーティングお願いします!」と言われ、
    「は?それ何?」と思ったものの、聞くことはできず、
    ちょっと勉強してみました。

    ヤフーが確か有名だったと思い出し、まず手に取ってみた本。

    1 on 1というものの、1対1で話すMTGと何が違うの?と思ったのですが、
    そもそもの(ヤフーでの)目的が部下の経験学習にフォーカスされている点などが
    なるほどね…と思いながら、読ませて頂きました。
    (そういう意味では、自分がお願いされたのは厳密では1 on 1ではなかった。。
    どうでもいい話ですが。)

    中々興味深かったのが、部かと上司の信頼関係構築がとても重要なので、
    ①アクティブリスニング(傾聴)と②レコグニション(あなたのことを見ているよと態度で伝えること)を意識することが大切というのは、
    リーダーや教育担当者にとってはとても大切な示唆なような気がします。

    この領域をもう少し掘り下げたくなる気にさせてくれる本でした。

  • 読了しました。

    ■なぜ手に取ったのか
    1on1とは何か知りたいと人事の同僚に相談し紹介され手にした本です。

    ■何が語られていたのか
    ヤフーで行われている1on1の事例が掲載されています。
    著者は、ヤフーで人事を担当されており1on1の浸透を担った方であり、その経験や、学術的なことも合わせて学ばれている方です。
    教科書的な1on1に関する記載ではなく、部下の力を引き出すためにどうすればいいのか、どの様に実践すればいいのか具体的に記載されていました。
    要所要所で、1on1の事例をマンガで表現され、良い上司、ダメ上司の1on1事例が
    比較して掲載されて、何が要点であるか明確に記載されています。
    また、著者が関係した1on1をコンサルした企業の担当者との対談もあり、具体的に成果を得るための悩みポイントやそれを解決するための具体策が語られていました。


    ■何を学んだのか
    Yahooの1on1は、部下の「情熱と才能を解き放つ」ことを目標としてます。
    その目標を愚直に実現するため、評価、配置、採用に至る人事タスクをしっかり
    人事戦略として構築し、そのもとは経営戦略から導いてきたものです。
    経営戦略と人事戦略がしっかり結びついているということです。
    単なるコミュニケーションではない、特別な上司と部下の時間。
    やり方や、具体的に話し方やコーチングとは異なるアドバイスが書かれており、実際に1on1する際に活かすことができています。

    ■どう活かすのか
    どんな仕事や夢もそうかもしれませんが、目標が明確であることの大事さと、それを実現するための1on1の技法が大事であり、その実践がたゆまぬブラッシュアップが
    必要であるという、気持ちにさせてくれる本でした。

    ■どんな人にお勧めなのか
    人事部門、経営戦略立案者、マネジメント層、管理職、1on1をする側の人にお勧めの本です。

  • この春から新任マネージャーになるので、慌てて読了。
    この取組がうまく回ると、経験学習サイクルも働いて結果の質が向上すると思うし、関係の質も向上してとても良い取り組みに見える。

    とはいえ、かんたんなことではないとも思った。1on1は管理職向けのハウツーではないのですね。1on1を受ける部下側も目的意識を理解して向き合うように全社的な取り組みとする事が重要。

    そして、たとえ1on1が導入済みの会社でも、そのメッセージが十分に部下に理解してもらえてないと感じたときには、まず最初に管理職側から丁寧に説明し理解してもらうのが重要だと思う。

    さもなくば、単にテクニックとして1on1的な向き合い方をしたときに、部下側は圧迫感を感じてしまいそうだと思った。「え、いつもは円滑に導いてくれる上司が、1on1のときは沈黙したりオウム返ししたりしてくる。なんか気まずいな……?」というふうに。

    最初のマンガを読んで、違和感をおぼえるほどに、できすぎたやり取りが面白かった。でも目的意識を共有し、本当に部下が向き合ってくれていれば、実際にある会話の流れなんだとも思う。

    自分が部下のとき、1on1は月1回でもいらないな、忙しいな、、と思ってしまっていた。1on1を本当に部下のための時間にするためには、何ができるのか。常に忘れないようにしたいと思った。そのために、自分自信も1on1自体の経験学習を回し、この本の内容を検証してみたいと思えた。

    ヤフーの1on1というフレームワークを理解するのに学び多き本でした。

    • こまつなさん
      ステキです。頑張ってください。
      ステキです。頑張ってください。
      2022/04/18
  • ヤフー上級執行役員が書いた1on1の決定版!

    ヤフーが2012年より開始した1on1の導入方法、注意点、社内の位置付けについて記している本です。
    1on1を漫画、専門家との対話、FAQ形式わかりやすく説明しております。
    特に導入時に立ちはだかる壁について詳細に書かれております。

    1on1は「社員の経験学習を促進するため」ことを主な目的としております。
    (※7・2・1の法則の7の部分です。)
    他方、ヤフーの人材育成の基本方針は「社員の才能と情熱を解き放つ」であり、
    これが1on1とどのような補完関係があるのかも示されてます。

    本書で私がふせんを貼った箇所をいくつか紹介します。

    「今日は何を話そうか」という切り出しは、ヤフーの1on1の考え方を表す象徴的な一言です。

    また、同時に、自分が活躍するのではなく、「部下が活躍する舞台をつくるのが上司の仕事」でありそれができない社員は管理職から外れてもらうというメッセージを示しました。

    キャリアについて思考を深めてほしいときには「どんなキャリアを積みたいか」「やりたい仕事は何か」と聞くのではなく、「好きなこと・得意なこと・意義を感じること」を尋ねて、答えてもらいました。エドガー・シャインの3つの質問です。・・・マサチューセッツ工科大学の名誉教授である、エドガー・シャイン教授の3つの問いですね。

    2017年出版ですが今も色褪せておらず示唆に富む一冊です。

  • 部下の目線で読了。
    前半の会話の返し方などはとても参考になった。

    後半は1on1のメリットや利点、社内に浸透させる上での困難など、立場が上になるにつれて必要となる内容で、今の自分には響かなかった。

    ただ、カウンセリングや傾聴、コーチングなどをさらに深く学びたいと思ったので、読んで良かった。

  • ヤフーさんのやられている1on1のWHY-HOW-WHATがまんべんなく紹介されていた。さくっと読めるので全体像を理解するにはいい1冊だと思う。しかし、「1on1」というワードにだけ飛びついてマネしても恐らくうまくいかず、第四章の「1on1導入ガイド」に書いてあるようなどう広げていくか・適応させていくかというところが重要だと感じた。

  • 部下とのコミュニケーションを取りたいという点で1on1は実践はしてみたものの自分自身がやっていることは1on1になっていないことに気がついた。まず1on1は部下のために行うものなので部下がやってよかった。と思うことが一番大切でそれが目的であるという考えが足りていなかったという風に感じた。又、1on1の中では、コーチング、ティーチング、フィードバックが必要だと思うが、このうちティーチングをしすぎているとも思った。
    部下自身が自分自身の経験を振り返り、内省し、次に向けて自分でどうしていったら良いかを考えるようにすべきであるが、自分自身がこうした方が良いと伝えることが多く、内省を促すことができていないと感じた。
    これからはもう少し部下の意見に傾聴し、部下が自ら解決策を見出せるような成長の手助けをしなくてはいけないと感じたため、そのことを意識して1on1に取り組んでいこうと思った。

  • 頻度高くコミュニケーションを取る。テーマは毎回自由。今日は何を話そうか

    【感想】
     会社で数年1on1をしてきたので、そろそろ本を読んでみようかと思い、audiobook.jpで買ってみた次第。何冊かコーチングの本を読んできたが、コーチングとこの本で説明される1on1はほとんど同義であった。相手が考えを整理し、内省し、気づきを得て、成長するための場、というのが基本的な1on1。したがって、管理職側が、把握したいがための質問はNGである。当人がたくさん話をするための壁打ち相手に徹する、というのが大事。
     読みながら考えたのは、コーチングもティーチングも使い分けが大事だよなぁということ。何でもかんでも当人に考えてもらうために、質問をするよりは、すぐに答えを示した方がいい場面もある。
     1on1というワードで、「個人の成長のための面談」を概念化したのは、良いことだな、と思った。普段の仕事では、仕事の話をするための打ち合わせは、自分で開催するものの、「振り返り・コーチング」のための打ち合わせはなかなか日本語上にフィットする言葉がない気がする。ヤフーを初めとした企業が、1on1の概念を広めてくれたおかげで、仕事による成長や、コミュニケーションによる気づきを促す手法への理解が広まっていると思う。
     
    【本書を読みながら気になったコト】
    ・「1on1の目的は部下の状況を把握することではなく、部下の成長を支援すること」? 言いたいことは何となくわかるが、部下の成長、直面している課題解決を支援するためには、どのような状況下に置かれていることを把握するのは重要な責務では?
     →あくまで、状況の把握が、部下の問題解決のための手段であればいいのだろうか。把握のための質問はダメで、支援のための把握なら良い。仕事をしていて驚くことがあるが、結構この種の質問をする人が多い
    ・上司側にかなり高いスキル、マインドが求められる行為だなと改めて思った。器が小さい人が、部下に対して1on1を始めたら、すぐに武勇伝やお説教となってしまうだろう。1on1は、部下当人が感じている課題やモヤモヤを、はっきりさせ、解決するための支援を行う手法であるからだ。

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