京都大学の経営学講義IV 社会の問題解決こそ、企業価値創造の源である 京都大学経済学部・人気講義完全聞き取りノート

制作 : 川北 英隆:奥野 一成 
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478084700

感想・レビュー・書評

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  • 京都大学経済学部の講義を書籍化したシリーズ4作目。
    今回も興味深い経営者の方々の話が聞けました。
    今回の書籍では、どの経営者の講義もとても興味深く、私の中での甲乙つけがたい魅力的な内容でした。そんな中ですが、強いて心に響いた企業を上げるとすれば、アフリカでビジネス展開をしている日本食物燃料株式会社です。代表取締役の合田さんからのお話では、様々な企業の技術を借りつつ、アフリカのインフラを構築し、地域発展にも貢献するビジネスを展開していることがわかります。

    3Mジャパン㈱、㈱コルク、㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京エレクトロン㈱、浜松ホトニクス㈱等、素晴らしい企業経営者の話を聞けるとても魅力的な一冊になっています。

  • 2021年61冊目。満足度★★★★☆ 京都大学の経営学講義に招かれた企業経営者の講演を書籍化したシリーズもの。投資しているスリーエム、および東京エレクトロンに関する部分を特に興味深く読んだ。

  • 社会の問題解決こそ、企業価値創造の源である(京都大学経営学講義)

    ■企業の利益とは
    ・「原価50ドルの自社製品によって、顧客利益を1,000ドル拡大する提案ができた場合、製品価格をいくらに設定するか」
    →欧米経営者500~600ドル/日本100ドル
    →日本の経営者は欲深くないではなく、企業が第一に集中すべきことを考える必要がある。

    ■企業が集中すべきことは
    ・製品を安く提供することではない。
    ・「顧客にとっての利益」をより多く生み出す提案こそが大事。
    ・価値ある提案・製品サービスの提供が出来れば、その結果として自社の利益がついてくる。

    ■顧客にとっての価値とは
    ・顧客の問題や困りごとを解決する事
     例:ドイツ「ラショナル社」タッチパネルであらゆる加熱調理工程をこなす製品
       →1台100万円以上の製品が、世界中のシェフに支持され25%を超える営業利益

    ■利益を上げるという行為とは、
    ・「モノを安く作った」結果ではなく、顧客の問題を解決した結果である。
    ・顧客をより広くとらえると、「社会の問題を解決した」結果
    →これこそ経営戦略

    【スリーエムのイノベーション経営】(代表取締役 昆)

    【企業価値はどのようにして生み出され、そして評価されるのか】(株コルク 佐渡島)
    ・出版物の価格は中身(コンテンツ)できまらないのか?
    →正しい価値を価格に反映できない現状。ネット時代になった今だからできる方法で変える。
    →お金の移動は、心の変化と連動すべき
     この100年で最も世界の人の心が動いたドラゴンボール、作った鳥山明・集英社が見合う収入があるわけではない
     コンテンツの力は時代を超えて、後世の人の心も動かす。
    ・物語が社会を変えた
    →ドラゴン桜:トラックの運転手の握手
    →心を動かす力を現実を変える力に
    ・本質的な自分は現実の自分とは限らない

    【デジタル時代の金融サービス】(三菱UFJフィナンシャルグループ 取締役 平野)
    ・日本と世界が抱える問題を解決するドライバーはデジタル化である
    →発展途上国、過疎化地域、高齢化、医療、介護の問題にデジタル化は非常に重要
    ・新しいプレイヤーの登場
    →オンライン決済市場のシェア争奪激化、プラットフォーマーの進出
    →個人決算分野だけではなく、資産運用の分野にも広がってきている

    《データ利用による競争制限》
    ■EUの個人データ保護
    ・一番厳しい規制でGAFAへ対抗
    ・個人情報は基本的人権という考え。個人の尊厳にかかわるものは国家も企業もそれを侵してはいけない。

    ■企業の成長促進に力を置くアメリカ
    ・企業であれ、個人であれ、国家が民間に干渉することはよくない。民間がやることは民間三任せる。
    ・データ利用も民間なら何してもいい、という懸念。カリフォルニアではヨーロッパ的な厳しい規制が出来た。

    ■中国では個人情報は国家のモノ
    ・個人データを国家が把握するのは当然。

    ■日本ではDFFTを推進
    ・DFFT:信頼ある自由なデータ流通
    ・国際的なデータの流通を一定ルールを守る国の間でやる。
    ・個人情報を保護しつつデータの利用活用を進めるため、一定のルールを守る国々のプレイヤーたちの間であれば、
    データ交換をしてもよい。
    ・日本はアメリカ・ヨーロッパ・中国を1つにまとめようとしている。

    《MUFGがデジタル時代にすべきこと》
    ■競争と共創
    ・フィンテックと切磋琢磨して競い合い、手を結ぶ
    ■破壊と創造
    ・既存のビジネスモデルを捨てる。
    今のまま何もしなければだめになるのがハッキリしているため、果敢な自己変革に挑戦
    ■オープンイノベーション
    ・内製化のカルチャーから脱却。
    ・外の人と一緒にやる。新しいアイディアをどんどん取り入れる。

  • 3Mの人のイノベーションの種類を考える(ビジネス面と技術面、ビジネス面はサポートで技術面はブレークスルー)
    コルクの人の自分の分人を作り出すために様々なことにトライする話
    東京エレクトロンの人のグローバルで戦わないといけないし、実際に結果を出している話
    奥野さんの自分で全て行える場所に行けという話や投機じゃなくて投資をしろ(お金だけでなく自分の時間を考える)という話

    奥野さんの話は特に参考になったし、1人の社会人として考えないといけないことを痛感する話であった。投資の際にも 周りとの競争性、世界の潮流、付加価値が高いこと(ディズニー) を考えるという話は実際に投資する時にはとても参考になる。

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000941173

  • 東2法経図・6F開架:336A/Ka94s//K

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著者プロフィール

京都大学名誉教授・同大学院経営管理研究部特任教授
京都大学経済学部卒業、博士(経済学)。日本生命保険相互会社(資金証券部長、取締役財務企画部長等)、中央大学国際会計研究科特任教授、同志社大学政策学部教授、京都大学大学院経営管理研究部教授を経て、現在に至る。著書として、『株式・債券市場の実証的分析』(中央経済社、2008)、『証券化―新たな使命とリスクの検証』(金融財政事情研究会、2012)ほか。

「2021年 『「市場」ではなく「企業」を買う株式投資【増補版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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