ブルー・オーシャン・シフト

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478100356

感想・レビュー・書評

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  • ブルーオーシャン戦略を読了し、続けて理解を深めるために読んだ。全書の要点を再度説明しつつ、ブルーオーシャンシフトの5つのステップの解説に重点を置いて述べられている。実際にBO戦略に着手する際に、本書の手法に沿って実践することで、スムーズにBO戦略を実行できるように思える。

    【メモ】
    ・ブルーオーシャンシフトとは、マイケルポーター「生産性フロンティア」を右上方向シフトさせ、差別化と低コストの両方を追求すること
    ・アイデアや変革努力がいかに創造的であっても、「人をどう動かすか」という問題に対処しない限り、ブルーオーシャンへの移行は果しえない
    ・BOSを成功へと導く3つの鍵
     1.BOの視点を取り入れて視野を広げ、事業機会の所在についての考え方を改める
     2.商業的にうまみのある新製品や新サービスを開発し新市場を開拓するための、実用的なツールと適切な指針を持つこと
     3.人間中心のプロセスを持つこと

    ・市場創造を破壊的創造や錯乱と同一視、イノベーションの問題とするのは間違っている面もある。ブルーオーシャンは新市場を創造する。
    ・サイバーセキュリティ、肥満、生涯教育、仮想現実、医療サービスの分野は非錯乱的創造の新しい機会に満ちている
    ・技術イノベーターは技術の卵を産むが、孵化させて商業的な成功へ導くかに重点を置くべき。技術イノベーションのバリュー・イノベーションへの転換
    ・グラミン銀行、スターバックス、イラク国立ユース管弦楽団は最先端技術をほとんど用いずに新規市場を創造した。買い手に愛される理由は技術ではなく、シンプルさ・使いやすさ・楽しさ・優れた効果である
    ・業界成長期は、既存顧客に重点を置くが、需要が停滞した際はそれが逆に足枷になる。業界外に新規需要を開拓する機会があってもそちらに目が向かなくなってしまう。

    ◆適切なツールと指針
     Step1:準備に取り掛かる
      ・PMSマップ(パイオニア、安住者、移行者)で実現可能性が高い分野に重点を置く
      ・BOSにふさわしいチーム(各事業ユニットの責任者含む)10~15人を築く
     Step2:現状を知る
      ・戦略キャンバス(テンプレートあり)で競争要因や重点対象、顧客価値、主力企業の戦略を図表に表す
      ・戦略転換の必要性を悟り、合意に至る
     Step3:目的地を思い描く
      ・買い手の効用マップ(テンプレあり)で顧客経験全体を通しての苦痛や不安をあぶりだす。
      ・非顧客層の3つのグループで開拓可能な需要全体を把握する
     Step4:目的地への道筋を見つける
      ・6つのパス(代替業界に学ぶ、業界内の他の戦略グループ、別の買い手グループ、補完財、機能志向と感性思考の切り替え、外部トレンドの形成に加わる)で市場の境界を引き直す
      ・4つのアクション(取り除く、減らす、創造する、増やす)でBO施策を考案する
     Step5:戦略を絞り込み実行に移す
      ・ブルーオーシャン見本市を開催し、どの施策を実行に移すかを決める
      ・自社と顧客の両方に恩恵をもたらすビジネスモデルを構築
      ・製品やサービスを市場に投入し、展開していく

    ・市場シェアは遅行指標。映し出すのは将来ではなく過去の実績。
    ・市場シェアと業界の魅力度に代えて、「価値」と「イノベーション」に着目する
    ・財務部門を味方につけるには、最初から財務スタッフをチームに加えておく
    ・相談相手にふさわしい人物は、社内情勢に詳しく、社内政治に熟達している。サポーター、妨害者、支援者の目星がついている、人望の厚い部内者。
    ・取り組みで明らかになった知見は幹部層への報告を徹底する。期待内容を明快にして、突拍子もない期待を持たれるのを防ぐ。
    ・現場調査のルール。現場に飛び込んで自ら購入者と同じ経験をする
    ・ブルーオーシャン戦略の実践者は「非顧客第一」がスローガン。非顧客層向けに新しい効用を引き出すこと
    ・自社製品に備わっていないが、業界では特に新しくない要素を「創造」対象にする罠に陥る例もある
    ・却下されるアイデアは、①アイデアは優れているのに込み入ったちぐはぐな説明で価値を判断できない②一見素晴らしいアイデアも差別化のための差別化を目指しており、顧客価値を高めるものではなく、利益提案に欠ける
    ・うまく説明するのに5分以上かかるような戦略は複雑すぎるか、平凡すぎて長所が無い
    ・人間中心の手法とするため、尊厳を重んじる肩書を用いる

  • ブルーオーシャン戦略の指南本。
    事業創造戦略とは。
    実際は電子書籍だが、検索結果でなかったのでこちらで登録

    メモ
    ・イノベーションで破壊が起きるのは、そこに代替の要素が存在する。高機能により代替されるものもあれば、必ずしも高機能とは限らず、破壊的イノベーションのような、ニーズを満たす低機能の製品の場合も同じ。撹乱的創造という言葉で表現。
    ・一方でセサミストリートのような既存市場を撹乱せずに行う非撹乱的創造も存在する。バイアグラも非撹乱的創造。グラミン銀行、ライフコーチ
    ・撹乱的創造のみならず、非撹乱的創造も存在する事を念頭におくべし。赤いものを探すと青いものは見えなくなる。
    ・ブルーオーシャンシフトの基本手法3つ
    1 業界の長年の懸案を打開する解決策を示す。
      カセットCD mp3 デジタル写真など
    2 業界の長年の懸案を再定義した上で解決する
    3 真新しい問題を見つけて解決するか、真新しい事業機会を掴み取る
     バイアグラ、グラミン銀行、着メロ
     サイバーセキュリティ、BOPなどが今後の機会
    ・技術イノベーターとバリューイノベーターは異なる。以下に孵化させて商業的な成功に導くか、普及につなげるか。
    ・買い手に愛される理由は技術ではなく、シンプルさ、使いやすさ、楽しさ、優れた効果にある。
    ・ブルーオーシャン戦略家は答えを求めて自省し、何が可能か、何から利益が上がるかを業界の現状にとらわれずに知ろうとする。競争優位の構築ではなく、競争を無意味にすることに邁進する。既存顧客を奪い合う代わりに非顧客層に着目して新たな需要の開拓を目指す。
    ・ブルーオーシャンシフトのプロセス
    1 準備にとりかかる pmsマップ
    2 現状を知る 戦略キャンバス
    3 目的地を思い描く 買い手の効用マップ 非顧客層の三つのグループ
    4 目的地をへの道筋を見つける 六つのパス
    5 戦略を絞り込み、実行に移す ブルーオーシャン見本市
    ・pmsマップ パイオニア バリューイノベーションを体現するサービス事業。利用者は顧客でなくファン。かつてない価値を提供する。
    安住者settler 顧客価値は二番煎じ。戦略は横並び。
    移行者migrator 競合他社より優れた価値を提供するが革新的ではない。
    ・対象選定基準
    安住者またはそれに近い移行者
    責任者がレッドオーシャンからの脱術をねがっていふこと。
    他に大きな施策が進行していない。手一杯でないこと。
    事業製品サービスが背水の陣を敷いている
    ・現状の全体像を明確にする。→戦略キャンバス
    自社の製品サービスが何にどれくらい力を入れているかを他社製品と比較しビジュアル化したもの。
    戦略の四要素1競争要因2各要因の提供度合い3自社と他社の戦略プロフィール4自社と他社のコスト構造を明快に示す。横軸は買い手の価値でなく主な競争要因。買い手の価値と競争時に重視する要因は異なることも表せる。
    ・ブルーオーシャンシフトで戦略プロフィールが次の3つの基準を満たす。1基本形状が業界の平均的な形状と見るからに異なっている2戦略プロフィールにメリハリがある。3訴求力のあるキャッチフレーズを用いて市場に語りかけ、製品やサービスがもたらすものを率直に伝えるべき。美辞麗句とは無縁の誠実な内容。差別化目的ではなく、実際に買い手にとっての価値の飛躍的向上につながっていることが最初の試金石。
    ・戦略キャンバス作成 5-12の競争要因を特定。
    製品サービスのほか、流通プラットフォームに関連する可能性。3つ全てについて考える。言葉は買い手の視点で。
    比較対象は業界リーダー。
    ・買い手の効用マップ
    苦痛をしいて需要を頭打ちさせている要因は何か、これを理解するきっかけを与えてくれるマップ。
    自業界を含むほぼ全ての業界が解決すべき大きな問題を抱えている気づきを引き出すもの。業界が放置している問題と解消すべき苦痛をあぶり出し、対処することで引き出される効用を示す。
    顧客経験のフローを横軸に、縦軸に効用を生み出すテコを表現するもの。テコは例えば、顧客の生産性、シンプルさ、利便性、リスク低減、楽しさや好ましいイメージ、環境への優しさ。
    顧客経験フローで効用を低減させている要素をあぶり出す。
    ・ブルーオーシャン戦略では非顧客が第一。既存顧客の取り合いではなく、新たな需要の掘り起こしによる業界の成長が狙いなので。
    非顧客層の3グループ
    1潜在的な非顧客層。仕方なくサービスを使っている、すぐにでも乗り換えうる顧客。
    2検討した上で利用しない判断をした非顧客層。条件を満たすのは容易で切り替え起きやすい。
    3これまで決して潜在顧客にならず、事業機会には別の領域が対応しているとみなされている非顧客層。可能性は大きいが決してその他全員ではない。恩恵を受ける可能性はあるが、現実的でない、魅力がない、想像できないなどの理由により本気で購入を考えだことがない人々。
    ・成長率が10%を超える非顧客層は遠からず重要な非顧客層となる可能性。
    ・6つのパス 他の人々の目には熾烈や競争が展開されるレッドオーシャンしか映っていない場合でも事業機会を見つけられるようにするもの。質問を工夫することで新規市場創造に関する洞察を得ようとするもの。
    1代替業界に学ぶ ✖️同業他社への注目 別の業界でサービスが選ばれる理由を掘り下げ、購入決めて要素をうまく組み合わせる方法を探し、新しい市場空間を開拓する。
    2業界の他の戦略グループから学ぶ 顧客が戦略グループ同士を比べて一つを選ぶ際の決め手をつかむ。規模の大きい順に二つの戦略グループをくらべてみる。
    3別の買い手グループに目を向ける 直接購入者のみならず、それに影響を与える人にも想いを馳せること。、
    4補完財や補完サービスを見渡す 製品サービス価値を増減させる補完材に着目する。観察から機会を見出す。業界の従来定義とはずれた要因も効用阻害要因としてみつけだす。
    5機能志向と感性志向を切り替える
    6外部トレンドの形成に加わる
    ・新たな価値コストフロンティアを開拓して競争から抜け出すには既存の要素を取り除き、新しい要素を創造することで未知の価値を買手に提供することが必要
    ・国内事例がわかりやすくて秀逸。
    ニューズピックス、jins、ソラコム、パーク24

  • ブルーオーシャンへの移行方法を詳細に記載された本。例えは分かりやすかったが、全体的には抽象的だった。前作の『ブルーオーシャン戦略』を読んでいなくても理解はできる。

  • レッド・オーシャンは大多数の企業が競争する業界、ブルー・オーシャンは新たに創造された業界。技術イノベーションではなくバリュー・イノベーション(appleとか)

  • 【生きる領域】
    ブルーオーシャンに出し続けることはむずかしいと思います。1個や2個は出すことができると思いますが、出し続けることは困難です。しかし、ブルーオーシャンの発想は重要ですし、そういう考え方をすると楽しいです。

    だれもいない海へ漕ぎ出す、こんなワクワクすることはありません。
    まだだれも踏み入れていない未開の地、いいですね。

    ただ現在では全く未知の世界はほとんどなく、少し見方を変えた未開の地はたくさんあるように思います。あるものに極端に特化したものなどはある意味ブルーオーシャンです。
    スマートフォンなどは新しい市場を切り開くほどのインパクトがありましたが、そこまでのインパクトは必要ありません。
    既存を少しひねったぐらいのもので十分です。今までにないものであればOKだと思います。ただ、「使いやすさ」この点は重要です。どんなにコンセプトがいいものでも快適に使用できないものは広がりません。

    考え出したものがヒットするかしないかは正直やってみないとわかりません。
    10回出して1回ヒットするかしないかというレベルですから、ほとんど失敗します。成功率を高める方法もありません。つまりヒット数を増やすには数を打つしかありません。ヒットの率は変わりません。

    【常に少数派】を自負するわたしとしてブルーオーシャンは魅力的な世界です。


     本の内容とは全く関係ありませんが、海外の著者は冗長過ぎます。ある程度の厚みがないと海外では本として成り立たないのかもしれませんが、例えを多数入れるので主語と述語が遠く離れてしまいます。
    言葉としての成り立ちは日本語より簡潔、明瞭だと思うのですが、簡潔にまとめられた文章は安っぽく見えるのかやたらと文章が長いです。。。

    その点、日本の著者の方が簡潔にまとめられていてすばらしいです。

  • 初読なら「ブルーオーシャン戦略」で内容カバーできる。新しい内容は含まない。
    ・前著の反響でできた誤解を解く
    (創造的破壊との違いなど)
    ・経営層へのメッセージ
    ・実践企業の成功例

  • わかったようなわからないような
    なんかとても恣意的な感じもするけど、実務の上ではそれでいいんだろうな
    この本の通りに進めてみると発見はありそう

  • 前作のいわば実践編。
    前作も衝撃を受けたが、こちらも非常に論理的で刺激的。4つのアクションと6つのパスにより、明確に対策を講じる事が出来る。
    今作のまとめとして、マレーシアと言う国家規模でのブルーオーシャンシフトが上げられており、ブルーオーシャン戦略が経営者だけではなく、万人に通用する、まさに新たな世界を切り開くための戦略だとわかる。
    付録として4社の事例があげられているが、緻密に自社の強みと弱みを分析し、見事に新しい市場を開拓している。
    実生活でも、同じ考え方でより良い生活に変える事が出来るはずだろう。

  • ブルーオーシャンへと挑む実例と考え方はとても勉強になった

  • 20200314
    『ブルーオーシャン戦略』から10年後に上掲された本作は、ケーススタディの更なる追加と、それに伴う戦略メソッドの確立、および、人間的なプロセスが重要であると説いている。
    自身の立ち位置を見極め、顧客目線や代替策からブルーオーシャンへ向かう思考を持つことが大事である。さらに本書の特徴であるチーム=人選の見極めと、人のモチベーションを高める視点がプロジェクトを推進させるキーとなる。

    //MEMO//
    前著『ブルーオーシャン戦略』の続編。
    新しい論点が追加されたわけではなさそうなので、最新のケース研究を追加して論拠を強めたといったところか。
    競争せずとも、差別化とバリュー創出を生み出すという戦略策定の上の次元の話であり、戦略を練る自分にとって参考にしたい議論である。

    シフトへの3つのキー
    ①ブルーオーシャンへの視点

    ②実践的ツールと行動指針
    ・準備に取り掛かる
    →PMSマップ(Pioneer Migrater Settler)

    ・現状を知る
    →戦略キャンバス、メリハリ、高い独自性、訴求力のあるキャッチフレーズ

    ・目的地を思い描く
    →買い手の効用マップ
    →3つの非顧客層をイメージ

    ・目的地への道筋を見つける
    →6つのパス
    ①代替業界に学ぶ
    ②業界内の他の戦略グループから学ぶ
    ③別の買い手グループに目を付ける
    ④補完材や補完サービスを見渡す
    ⑤機能志向と感性志向を使い分ける
    ⑥外部トレンドの形成に加わる

    →4つのアクション=ERRC(取り除く、減らす、増やす、創造する)

    ・戦略を絞り込み、実行に移す

    ③人間的なプロセス
    ・細分化
    ・実体験に基づく発見
    ・公正なプロセス

    破壊的創造+非破壊的創造
    ≠技術的創造
    =バリューチェーン創造

  • 2020.01.13読了

  • 新規事業に取り組むべきかの検討、新商品の企画の参考のために手に取った。通して読んだだけなので、意味をしっかり取れていない(身についていない)部分しかない。実際にフレームワークを使いつつ、企画に役立てていく。

  • 実例がもうすごい多いと良いんだけど。

  • 「ダイヤモンドオンライン」で話題!
    あらゆる企業・組織がブルー・オーシャンへ移行
    <シフト>するための実践的な1冊!

  • いつも思うが、この手順で事業を見直さないといけない。
    実践に移してなんぼなので今回は必ず取り組みたい。

  • 買い手の効用マップと6つのパスはフレームワークとして持っておきたい。
    日本語版の付録は蛇足

  • 以前読んだ「ブルー・オーシャン戦略」から大いに気付きを得たので、さらに学びたいと思い読んでみました。新しいケース・スタディというよりは、レッド・オーシャンでもがいている組織にブルー・オーシャン戦略をどう落とし込んでいくかがまとめられている本。組織の戦略を変えようとする時は反発や不安が生じるのは当然で、その中でどのようなステップを踏んで行けば良いのかを具体的に学ぶことができたのが良かったです。

  • 人をどう動かすか
    各自の考えを書き留めて発表。全員が主体的に

  •  「ブルーオーシャン戦略」の実行法をまとめたもの。


    ・ブルー・オーシャン・シフト実行の三つのき基本手法
     ・業界の長年の懸案を打開する解決策を示す
     ・業界の長年の懸案を再定義したうえで解決する
     ・真新しい問題を見つけて解決するか、真新しい事業機会を掴み取る

    ・市場創造を成功させるために重視すべきは、技術イノベーションそれ自体ではなく、買い手にとっての価値を飛躍的に増大させることなのだ。

    ・実のところ、優れた市場創造戦略は往々にして、技術的イノベーションには全く頼らない。

    ・ブルー・オーシャン戦略家は、買い手にとっての価値を飛躍的に高め、価値とコストのトレードオフを打ち破るために、何を増やしたり創造したりするかだけでなく、何を減らしたり取り除いたりするかも同様に重視する。

    ・ブルー・オーシャンの創造に乗り出すに当たっては、必ず「何から始めるか」が問題になる。「まずは対象を絞りこむことから」が答えである。つまり、どの事業または製品・サービスに挑むかを見極めるのだ。

    ・結局のところ、業界とは創り出すものである。心躍る何かやイノベーションを実践すれば、業界に活気が溢れる。

    ・PMSマップの三つのセグメント
     ・パイオニア(pioneer):バリュー・イノベーションを体現する事業や製品・サービスを指し、その購入者や利用者は顧客ではなく愛好者と呼ぶにふさわしい。かつてない素晴らしい価値を提供し、新たな価値コスト・フロンティアを開拓する、ポートフォリオ刷新のカギを握る存在である。戦略は競合他社と一線を画し、利益を伴う力強い成長が見込まれる。
     ・安住者(settler):パイオニアの対極をなし、顧客にもたらす価値は二番煎じによるものである。製品や価格を少しずつ変える競争手法を取り、戦略は同業他社と横並びである。業界自体が成長し利益を上げていない限り、大きな成長は見込めない。
     ・移行者(migrator):パイオニアと安住者の間に位置する。競合他社よりも優れた価値を提供し、業界内で最高水準かもしれないが、「革新的」と呼べるほどではない。

    ・ブルー・オーシャン・シフトの取り組みに参画して、新しい価値コスト・フロンティアの扉を開くアイデアの素晴らしさを目の当たりにしない限り、人々はそのアイデアをいとも簡単に的外れだと無視し、有効性を否定する。そして、業界のいわゆる「最良の慣行」に反するとして拒否してしまう。たとえ、そのベストプラクティスが時代遅れか、まったくとんでもないものであったとしてもである。

    ・競争要因としてのブランド
     しかし、ほとんどの場合、ブランドは戦略プロフィール―つまり購入者や利用者に何をもたらすか―によって左右される。…要するにブランドとは、事業活動の結果であり、独立要因ではない。
     ブランドを手がかりに競争要因を掘り下げるなら、ブランドが顧客にもたらす魅力的な要素は何かを探るとよい。…チームが「ブランドのもたらす価値」と見なすものの根源を探り当てるには、自社の製品やサービスを顧客が購入する理由の上位三つを、メンバーに考えてもらうとよい。

    ・顧客経験の六つのステージ
     購入、納品、仕様、併用(製品を使う際に必要となる他の製品やサービスとの併用)、保守管理、廃棄

    ・効用を生み出す六つのテコ
     顧客の生産性、シンプルさ、利便性、リスク低減、楽しさや好ましいイメージ、環境への優し

    ・現場調査のルール:購入者と同じ経験をする
     現場に赴く際には可能な限り、みずから顧客の立場になるか、既存顧客の家庭や職場での様子を観察するかして、顧客経験のサイクル全体を通してどのような苦痛や困難が生じるかを注意深く記録するよう、強く勧める。

    ・もし、ブルー・オーシャン・チームが引き出した知見を幹部層が軽視しているようなら、一般の顧客が経験している苦痛を懐疑派にその目で見てもらう機会を、忘れずに設けよう。

    ・非顧客層の3つのグループ
     潜在的な需要全体≠関数(業界の既存顧客)であり、むしろ
     潜在的な需要全体=関数(業界の既存顧客+非顧客層の第一グループ+同第二グループ+同第三グループ)
     第一グループ:潜在的な非顧客層
     第二グループ:断固たる非顧客層
     第三グループ:未開拓の非顧客層

    ・業界の非顧客層
    ①業界の縁にいて、仕方なく製品を使っているか、使用を最小限にとどめているのは、どのような人々だろう。
    ②この業界の製品やサービスを検討した結果、あえて背を向け、別の業界の製品やサービスによってニーズを満たすか、完全に諦めてしまったのは、どのような人々だろう。
    ③この業界が提供する効用から大きな恩恵を受けるが、現状の提供形態がふさわしくない、あるいは価格が高すぎるといった理由により、購入を考えたことすらないのは、どのような人々だろう。

    ・新たな価値コスト・フロンティアを開拓するための6つのパス
    パス1:代替業界に学ぶ
        同業他社に着目する→代替業界に学ぶ
    パス2:業界内のほかの戦略グループから学ぶ
        戦略グループ内における競争上のポジションに焦点を当てる→自分達の業界ないしターゲットとする業界の戦略グループを見渡す
    パス3:別の買い手グループに目を向ける
        業界の既存の買い手グループに焦点を当てる→複数の買い手グループを見渡して、業界の買い手グループを再定義する。
    パス4:補完財や補完サービスを見渡す
        業界が定義する製品やサービスの価値をもとに、その最大化に焦点を当てる→顧客が求めるトータル・ソリューションを見渡して、製品やサービスの価値を増減させる補完財や補完サービスについて理解する
    パス5:機能志向と感性志向を切り替える
        業界の機能志向ないし感性志向の枠内で費用対効果を高めることに焦点を当てる→自業界ないしターゲット業界の機能志向/感性志向を問い直す
    パス6:外部トレンドの形成に加わる
        外部トレンドへの適応に焦点を当てる→自業界やターゲット業界に間違いなく影響を及ぼす外部トレンドの形成に加わる

    ・ブルー・オーシャンの開拓機会 4つのアクション
     業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か
     業界標準と比べて大胆に減らすべき要素は何か
     業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
     業界でこれまで提供されていない、今後創造すべき要素は何か

    ・ブルー・オーシャン戦略案のプレゼンテーション
     時間制限は5分
     ・製品を説明する
     ・理想の戦略キャンバスを紹介する
     ・ERRCグリッドを説明する
     ・顧客にとっての効用を簡潔に紹介する
     ・自社にとっての経済的便益をおおまかに説明する

  • ・ 仮にコミックリリーフが差別化か低コスト、どちらかの戦略を追求していたなら、戦略はどのようになっていただろう。差別化戦略を選んでいたら、業界の既存手法に何か足すだけで、コストを下げる為に何かを取り除くか減らす可能性に突いてはほとんど注意を払わなかっただろうか。差別化戦略ではなく、低コスト戦略を選んだなら、従来の競争要因の一部を取り除く一方、何かを創造して差別化につなげる努力はしなかっただろうか
    ・ 生活を支える身の回りのものやサービスは皆、取り立てて賢いわけではない、自分たちと同じような人々によってつくられた
    ・ ブルーオーシャン戦略家は差別化と低コストを同時に追求する。価値とコストのどちらかを選ぶのではなく、二兎を追うのである。
    ・ 最大の知見をもたらすのは顧客層ではなく、非顧客層
    ・ 事業のマネジャーたちは、製品がなぜ技術て確信の成果であるかは説明できるが、それがどのようにしてなぜ買い手に飛躍的に大きな価値をもたらすのかを、簡潔な言葉で明快にかたることはできない
    ・ ブルーオーシャンチームが重視した点は、マーケティングチームが信じる常識に反していた、ブルーオーシャンシフトの取り組みに参画して、新しい価値コストフロンティアの扉を開くアイデアのすばらしさを目の当たりにしない限り、人々はそのアイデアをいとも簡単に的外れだと無視し、有効性を否定する。そして、業界のいわゆるベストプラクティスに反するとして拒否してしまう
    ・ 企業が競い合って提供するものは、得てして買い手の視点からは無価値であるばかりか、むしろ製品やサービスの価値を損なっている。テレビのリモコンにはたいてい多数のボタンがついていて、役に立つというよりむしろいらだちと混乱の種になっている
    ・ 戦略プロフィールのメリハリ。他社と同じ土俵でもっぱら量だけを競うのは望ましくない。むしろ、買い手への提供価値を飛躍的に高めることのできる、切り札となる要因を重視して、他の要因は取り除くか減らすべきである。これにより提供価値の増大と同時にコスト低減が可能になる
    ・ 買い手の効用を逓減させてきた、覆すべき前提を見つける
    ・ 効用を妨げている要因は、非顧客層がこの業界の顧客になろうとする意欲をくじいたり、怖じ気づかせたりしているだろうか
    ・ ①業界の縁にいて、仕方なく製品を使っているか、使用を最小限にとどめているのは、どのような人々だろう
    ・ ②この業界の製品やサービスを検討した結果、あえて背を向け、別の業界の製品やサービスによってニーズを満たすか、完全にあきらめてしまったのはどのような人々だろう
    ・ ③この業界が提供する効用から大きな恩恵を受けるが、現状の提供形態がふさわしくない、あるいはかかくがたかすぎるといった理由により、購入を考えたことすらないのはどんな人だろう
    ・ 利用者を訪問する際に重要なのは、製品やサービスを実際に使う様子を観察して、どういった手順を踏むか、口には出さないが当然視する前提は何かをあぶり出すのが重要なのである、顧客はどのような経緯や状況で製品やサービスを必要とするのか、あるいは利用したいと思うのかを注視するとよい
    ・ 業界を「機能志向」か「感性志向」かに分類し、切り替えたらどうなるかを探る
    ・ このトレンドがこのまま続いた場合、既存製品の特性のうち、意味をなさなくなるもの、あるいは買い手にとっての価値を損なうため、取り除いたり、減らしたりするものはどれか
    ・ 業界でこれまで提供されていない、今後創造すべき要素はなにか
    ・ シチズンMのチームは、旅慣れた人々が五つ星ホテルを選ぶ際の決定打が、立地の良さと贅沢な睡眠環境である状況を踏まえて、この二つの要素を人々の予想を超える水準まで増やすことが不可欠だと考えた。同時に三ツ星ホテルが選ばれるのは五つ星より安いからである為、高級ホテルよりも著しく低い水準まで宿泊料を減らす必要を感じた
    ・ この業界の慣行で最もばからしいものは何だろう
    ・ 理想の戦略キャンバスに関しては変更を認めてはならない。戦略キャンバスの中身を実現する為のビジネスモデルについては、変更の余地があっても構わない
    ・ 低コストを実現する為に掘り下げるべき問い「提携先の候補はどこか」「業務運営の合理化と確信はどうすればできるか」「人材の前向きな熱意と貢献をさらに引き出す方法は何か」
    ・ ビジネスモデルの仕上げに際して、人間中心の手法を活用する・尊厳を重んじる肩書きを用いている(アンバサダー、アソシエイト)
    ・ メガネはどういう目的でかけるのかを改めて考えることで、jinsの新たなメガネのラインナップが生まれた・「視力補正」「よりよく見せる=ファッション」「目を守る=機能性メガネ」→これまでメガネをかけなかった非顧客層の獲得
    ・ ソラコム:simカードを1枚からウェブで購入できるようにした。また管理画面(開発者向けサービス)を提供した。法人営業が取り込まなかった非顧客層を獲得した。開発者のトレーニングを提供したり、ユーザ同士がコミュニケーションをとれるようにすることで知識の交流を促している

  • 法経開架 336.1A/Ki31b//K

  • 新規事業を企画する際に、整理しやすいステップが紹介されている。

  • 前作ほどのワクワク感はないが、分析ツールが提供されており非常に実践的。すぐにでもシフトしたくなるw

  • 死屍累々のレッドオーシャンでもがくのではなく、ブルーオーシャンへと漕ぎ出すにはー。

    いまや当たり前に使われる「レッドオーシャン」「ブルーオーシャン」という用語が普及するきっかけになった書籍の続編である本書は、組織においてどうブルーオーシャンへとシフトしていくかのエッセンスが詰まっている。
    一言でいってしまうと「いかにまわりを巻き込めるか」に尽きる、という結論。
    結局は実際に動く一人一人に腹落ちさせなければというのは実感としてもしっくりくる。

    巻末の、日本国内事例も秀逸。知られている会社ばかりなので本文中の事例より感覚を掴みやすいのでは。

  • 続編、、というかメソッドの説明が大部分。

  • 「ブルーオーシャン」の著者が書かれた、その理論を実現するための行動に関する指南書です。どうすれば赤い海から青い海に移れるのか。そのための具体的な方法が細かく書かれています。この理論が有名になり、あらゆる場所で試行錯誤していくことに、著者が一緒になって取り組んで行かれた努力が生み出した内容になっていると思います。イノベーションを起こすために必要なことは何か。それに伴う最大の障害は何か。それに対するためになにをしなければならないか。
    読者が実践できる具体的な内容が書かれていますので、読んですぐ活用できるものになっています。
    色々なビジネス上のフレームワークに関して、今ままで流行になり、それに伴ってベストセラーになった著書をいくつか読ませていただいてきました。多くは、ビジネス上の世界のあり方について述べることで、それを知った人間に「知見を得た」という満足を与えるというものだという風に捉えていました。この「ブルーオーシャン」についても同様に感じていました。それを知ったところで使うことができないと。理論ではなく、できるだけ多くの実例を体感することで、総合として独自の理論を作ることからしか生き残ることができないと、半ば悲観的に考えていました。机上の空論に嫌気がさしていた。本書はそこから抜け出すための、机上の有意義な議論を行うための方法が書かれていると感じました。

  • 内容自体は面白い。理想を定めるプロセスは参考になる。
    ただ、やはりこの手のものは具体例が多めでちょっと長い。

    あとで書評かく。

  • 東2法経図・6F開架 336.1A/Ki31b//K

  • 「ブルーオーシャン」とみんな言うが、どれだけの人がその本を読んでいるのだろう?本書は、その『ブルーオーシャン
    戦略』の著者が、どのようにブルーオシャンを進めていくのかについて、実践的に指導。元々の『ブルーオーシャン戦略』を読んでから本書を読むのがオススメ。

  • レッドオーシャンと思われる市場を、どうやってブルーオーシャンへの"シフト"させるか。ゼロから考えるのではなく、現状分析をベースにシフトしていくか。

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著者プロフィール

W・チャン・キム(W. Chan Kim)
韓国出身。INSEADブルー・オーシャン戦略研究所(IBOSI)の共同ディレクター。主な著作に『ブルー・オーシャン戦略』、『ブルー・オーシャン・シフト』。
米ミシガン大教授などを経て現職。欧米、欧州連合(EU)諮問委員、世界経済フォーラムのフェローなどを務めており、“Thinkers 50”(世界で最も影響力のある経営思想家)の第2位に選ばれている。

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