- 本 ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478101575
感想・レビュー・書評
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元マッキンゼー社員が、ホワイトカラーにおける「生産性」を上げるにはどうしたらいいか、本質に迫った本。
日本企業の場合、製造現場における改善が注目されてきたため、ともすると生産性の方向性は「オペレーションの効率化によるコスト削減」ばかりに集中してしまうという。
確かに、昨今ニュースで取り上げられている「働き方改革」でも、残業抑制や価値を生まない時間の短縮、およびそれに伴うワークライフバランスなど、時間量のものさしで測っていることが多い。
著者の主張は、仕事が早く終わったという効率面・時間面の事象ではなく、仕事を早く終わらせることができるようになった質的な面、特に「成長」の部分に着目すべき、というものである。読んでいるうちに、生産性とは要は自分自身や組織の成長の結果だということがわかってくる。
中盤から人材育成や、コンサルの仕事の仕方のようなノウハウに脱線してしまうのだが、働き方改革という言葉になんとなく違和感を感じ、どう取り組んでいいのか悩んでいる人には有益な本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の多くの企業が生産性に対しての見方を誤っているという指摘に感心しました。
今の組織に必要な効率化がよく分かりました。 -
生産性向上について、資料を集めて考えをまとめる必要が出てきたので、
手に取って読んでみた本。
元マッキンゼーのコンサルタント(人事マネージャー)が書いただけあって、
非常にロジカルに話が進んでいきます。
「生産性」というテーマでは、これ1冊取っておけばそれで十分では?、
と思わされるくらいのクオリティーの高さです。
「働き方改革」が声高に言われる中、
これからますますホットになってくるで「生産性」という概念について、
俯瞰して重要な事項が学べるのが良いところです。
単なる「残業時間の削減」のような表面的な解決策になっておらず、
「(生産性向上について考えるとき、)本当に大事なことは何か?」ということを
考え抜いた構成になっていると思います。
「働き方改革」と聞いて、
「労働時間減っても、仕事量そのままですやん(営業目標はそのままですやん)」
「残業禁止になったあおりで、中間管理職にしわ寄せがきてるんよね…」
のようなことを感じた方は、読んでみると示唆が得られるような気がします。 -
例えが秀逸で分かりやすく、腹落ちし易い具体的な内容。読んだ方が良い一冊。量より質。リクルートで言えば、応募者数を誇るのではなく、高度な人材を確実に採用する事が大事で、そのために費やす膨大な面接を減らすために何をするか。
急いで雇った新人の生産性は既存社員ほど高くないばかりか、社内に溢れる生産性の低い作業を彼らに押し付けてしまうことで、それが生産性の低い仕事がいつまでも温存されてしまう。ならば拙速に採用せず、業務を棚卸ししつつ、優先順位をつけさせるチャンスとして捉える事もできるはず。
トップパフォーマーに対して部下の育成を任せると言う事は彼らの成長機会を奪うことでもある。トップパフォーマーは切磋琢磨できるライバルが多くないからだ。自分よりパフォーマンスの低い人にその視点を誘導すると彼らの目線をさらに下げてしまう。従い、自分と同じ世代で圧倒的に高いレベルの人を目にさせ、目指すべき地点を大幅に引き上げる事が重要。
他方、圧倒的多数の中間層をどうするか。大多数のプレイヤーのモチベーションを下げないことが大事。人事評価は、昇格と言う誰もがわかる査定により露骨にならざるを得ない。逆転なのか、別の道なのか、二番手を目指すのか、その説明から逃げず、フィードバックをすることが重要。
やや人事戦略が多いような気もするが、共感性の高い読書だった。
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生産性を高めるためのあくなき挑戦。
生産性=アウトプット➗リソース投入、として分母分子それぞれにどう影響を与えていくか。
著者のちきりん、、じゃなかった伊賀さんも強調しているように、生産性ばかり追求していると殺伐とする、というのは大きな誤解だ。無駄なことに多くの時間を費やすから殺伐とするのであって、生産性が高ければその分仕事以外に振り向けられる時間は増えるだろう。
「地方、産業、個人のどれであれ、必要なのは『生産性が低いまま存続できるよう支援すること』ではなく、『生産性を少しでも高められるよう支援すること』です。そしてそのために最も重要なのが、人を諦めない、人に投資し続けるということなのです」(p237)。
彼女のこの真摯な提言も、弱者を切り捨てるな!の合唱の前にかき消されてしまうのか、、、
とは言え現代に生きる我々が、主として金融資本の跋扈によってなにかのっぴきならない焦燥感を味合わされていることもまた事実に思える。
金融的な意味でのリターンもまた一つの生産性だとするならば、たとえば村上春樹のように、そこにどうしても人間にそぐわないなにかを感じる人がいるのは無理もないとも思える。
そう、生産性をめぐる挑戦には、蓄財の衝動と同様に上限がないのだ。
(有能な若手を育てる手段として著者が紙幅を割いている)トップパフォーマーにいかに楽をさせないか、なんて議論も、まあわかる、わかるのだが、私自身の年齢になると辛いと言えば辛い。
おっさんが有能な若手のチャレンジを邪魔するな、はそのとおりだが、その若者が疲弊してしまいそうなら休ませるべきだ。休ませるための見極めのノウハウ、これは本書には積極的には言及のなかったポイントのように思った。
ともあれ、生産性というドライな字面に、著者のいつもながらの厳しさと温かさが同居している素晴らしい本。 -
-月残業時間が150時間を超えそれでも仕事が終わっていない状況から脱却したく読了
-チーム全体の生産性の向上にはエースメンバー、窓際部長メンバーの特徴に合わせたアプローチが必要
-実際働いていて、チームメンバーへのノウハウの伝達、十分な引継ぎは重要
-コロナ禍で在宅勤務も進み、チーム全体での意識の低下が見られる
-自分の健康、チーム全体最適のためにもチームメンバーそれぞれの生産性の向上が必要 -
会社での生産性最大化を目指すための本。
会社軸に話が終始展開されているのでサラリーマンや工場の指令塔で働く人にはとても参考になる本だと思います。
ぼくは職種的に全然関係もなく経験もしたことない分野なので読み物としては楽しませてもらったが、「個」で戦うフリーランスや個人事業主にはいまいちピンとこない内容かもしれません。 -
めっちゃ読みやすい。トップパフォーマーという存在を初めて知った。この本に書いてある内容を極めて、マッキンゼーに求められる人材になろうと思った
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これまで生産性というものを、気になっていたけれども漠然としたイメージしか持っていなかった自分にとって、まさに目から鱗の著書だった。
働き始めて数年になるが、自分が今までいかに生産性の低いことをしていたかを認識した。そして、最近になっても生産性が低いことを多々やっていることを恥ずかしく感じた。
生産性とはよく聞くが、それを漠然と実行している段階では、ある意味思考停止になっている状況ではないだろうか。実際に、具体的に生産性を高めようと考え、行動をして初めて、生産性というものの重要性に気づく。
自分自身本書に記載のある通り、仕事中は常に時間を計測している。例えば文書作成の場合、目標時間を設定した上で資料作成を行い、時間がかかりすぎた場合はその原因を振り返ってメモしたりしている。ただ、本書ではそんなことと比べ物にならないほど生産性をあげるための多くのアイディアが載っている。
また、本書には「人を諦めない」という表現が何度も出てくることからわかるように、著者は人間に対して絶対的な期待を持っていることを感じた。ダメな社員は教育してもダメ、一時期自分はそう思っていたことがあったが、それは傲慢の極みであった。評価されていない社員、出世競争から落ちてしまった社員であっても、生産性を少しでも上げることによって会社の役に立つことができる。
著者の度量の大きさというか、器の大きさを感じた。
著者プロフィール
伊賀泰代の作品





