【ビジネス書大賞2020 特別賞受賞作】哲学と宗教全史

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 2119
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478101872

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で予約していたこの本を受け取ったとき
    「げっ。本屋で見つけたら、絶対手にとらないだろうなー」
    と思いました。
    興味を引かないタイトルに表紙、分厚い本。

    でも読んでみると、これがものすごく面白い!
    台風のせいでどこにも出かけられなかったから、
    意外に早く読み終えました。

    出口さんは学長しながら、よくこんな本を書き上げたなあと。
    また、本当にいろいろなことをご存知だなあと。
    そしてこういう内容を、私たちのような頭の良くない人たちに、図表を用いてとてもわかりやすく説明することに感心。
    それからいつものことだけど、歴史の内容って固有名詞とか解釈とか新しくなっていることが多々あって、そういうことを必ず入れているのもスゴイです。

    個人的には近現代の哲学者について、今までより少しだけ理解できたのが嬉しかったです。
    他にも読んでみたいな。

    「連合王国はいずれEUに復帰するのではないか」と出口さんは思っているそうです。
    その過程が目撃出来たらいいのですが。

  • 哲学を元に人は認識を深めてきたのだろうし、宗教はそんな認識を一つの世界観として固め、多くの人々を動かしてしまうほどの力を有する。

    ヒトが考えてきたことって、どう繋がって、今に至るんだろう、ってずっと見えずにいた。

    この本では宗教としてはゾロアスター教から、哲学としてはタレスから始まり、ソシュール、フッサール、ヴィトゲンシュタイン、サルトル、レヴィ=ストロースで幕を下ろす。
    とても分厚い本だけれど、それでも語り尽くせないんだな、というのが第一の感想だった。

    そんな中で、哲学から宗教へ、宗教から哲学へ、どの時期にどんな思想が生まれ、またその思想はどこへ継がれていったのか、というマップがすごく上手く配置されていると思う。
    随分、点から線にする手伝いをしてもらった。
    また、この本を起点に何を読めばいいかということも、すごく丁寧に書かれている。

    序盤に、「人間が定住生活をし始めたドメスティケーションのときに、人間の脳みそは最後の進化が終わり、それから今日まで進化していないといわれています」とあり。
    その言葉が、終盤にも現れる。

    人がよく学び、よく働き、良い社会を築いてゆくことが可能になるとか、時間軸と共に進歩していると思い(たい)といった道中で、でも、この言葉に戻ってくる。

    生きている限り、苦しみがあるのだとすれば、生きることを捨てる以外に、何らかの救いの道を必要とする人はきっと多い。
    昨今、苦しみから自死という形で命が奪われていくことがクローズアップされる中で、社会は道徳的な束縛を強めて、善い社会で在ろうとしているように思う。
    けれど、この本を読んで、もっと根本的な、考えるということや、想像すること、いわゆる宗教的なものを知ること、学ぶことにも意味があるのではと、ふと思った。

  • 本書を読むまでは、現代を生きる私の価値観のまま、過去に起こった出来事だけをただ追っていた。だが出口氏の言葉に開眼させられた。本書は出口氏に手を引かれて哲学と宗教を学びながら、彼の見解まで楽しめる至極の一冊である。内容はもちろんのこと、本のカバーを外した表紙まで渋い。よくある一冊ではなく、私は「全史」なのだという重みを感じる。

    以下、本書より抜粋。
    「モーゼの教えもイエスの教えもブッダの教えも、彼らが生きた時代背景の中で、人々によかれと思って説かれました。その教えを現代のモラルを尺度として、批判するだけでは無責任だと思います。彼らが考えた真意に、恒久的な人類愛につながるものがあったがゆえに世界宗教になったと認識すべきでしょう。」

  • 48歳にして、あまりにも知らないことが多すぎることを痛感。自分の頭の中の世界が広がった感じ。世界にはおもしろいことおもしろい人が際限なく存在するんやな。知りたいこと考えたいことが膨らんで楽しく得した気分になった。挙げられている参考文献にも取り組んでみたい。まずは、ダーウィンの種の起源から始めたい。

  • 知の巨人が、また恐るべき仕事を成し遂げた。

    ご本人もおっしゃている通り、情報の濃さとしては若干の物足りなさがあるが、

    このジャンルの入り口としては最良の一冊ではないか。

    宗教と哲学は密接な関係があるにも関わらず、関連付けて通史的に述べられている本は少なく、貴重。
    後半は個人的に「これから面白くなるのに〜!!!」というところで終わっており、もっと学びたくなる心を掻き立てる。

  • 古代から20世紀までの哲学と宗教について網羅されている。

    もちろん、限られた紙幅の中で書かれているため、広く浅くという印象は拭えない。

    しかし、押さえるべきところは押さえられており、何より文章が平易で読みやすい。厚い本ではあるが、一気に読み進めることができるだろう。

    自分が学部学生時代に受講した哲学の授業では主にカントを取り上げていたが、とにかく難しくてイマイチピンと来ないことも少なくなかった。しかし本書を読んで、当時ピンと来なかったところがクリアになった。

    本書を読んで興味を持った箇所があれば類書を読んでさらに掘り下げていけば良いし、哲学史・宗教史について概要を掴められれば良いというのであれば、本書を読めば十分だろう。ただし繰り返し読むことをお勧めする。

    「哲学はなんか固そうでとっつきにくそうだ」と思っている人こそ、本書を手に取るべきだろう。

  • 次から次に読みたい古典が見つかる困った本。大企業サラリーマン・起業家を経てAPU学長となった出口先生だからこその語り口が、バラバラになりがちな宗教と哲学の歴史を、一本の筋につなぎとめてくれる。

  • 宗教や哲学はちょうど夏季休暇を利用して知見を深めたかったテーマなので、一も二もなく購入し1日かけて読破。

    人類が生まれた時から問い続けられてきたテーマ「世界はどうしてできたのか」「人間はどこからきてどこへ行くのか」に対する回答を、ある時は理性的に、ある時は人類の外(神)に求めようとしてきた変遷が非常に興味をそそる。

    ビジネスへの実用的な思考術や捉え方は「武器になる哲学(山口周著)」に譲ることができるとしても、本書はその歴史的見地から詳説が加えられており、読み通すことで生涯の強いバックボーンを得られることは間違いない。

    特に私が興味をひかれたのは「荀子」の性悪説の解釈、および「カント」の格率論、すなわち「信念は学習を重ねていけば道徳法則と一致する」という結論である。

    400ページ以上ある大作なれど、おかげで初めて知った内容も多く、コストパーフォーマンスも高い。読み通すのはちょっと大変だが、学ぶことの楽しさを再確認させてくれた本でもあり、時間を見つけて読み下してほしい一冊。

  • 作者の本は数冊読んでいるが、文章が読みやすい。ご本人の人柄出ている感じがする。入門書的であり、ギリシャから近現代までの流れが書かれているので、関係性も含め流れを把握できるし、網羅的なので浅くならざるを得なくなっているが、本の紹介が章ごとにあるのが良いと思った。
    宗教と哲学は日本人がとても弱い所だと思うので、幅広い層にお勧め。特に海外の方とビジネスをする方は是非読んでおくべきと思う。
    特にイスラム、ユダヤ、キリスト教と繋がりとギリシャ哲学に始まる中世以降の哲学との関係性は最低限の知識だと思っていたので良い本だと思う。

  •  宗教お誕生から20世紀の思想家まで、世界の思想家、哲学者、宗教家の概要が理解できる一冊。本書は歴史の年代を追って書かれているので、思想が誕生した歴史上の背景や、どのような先人の思想に立脚しており、同時代のどのような思想家に影響を与えているのか付属している年表とともに体系的にかつ、フランクな語り口で解説されている。また、著者の圧倒的な読書量に裏付けされているので哲学書の読書案内としても良い(各思想家の翻訳された文献が出版社付きでしっかり記載されている)。途中に世界史の人物や名称が出てくると流れが追えなくなってしまったので、世界史の知識は多少あったほうが良かった。
     これだけ長い人類の歴史となると同じような核に基づいた思想が形を変えながら繰り返し登場しているのを見ると歴史は繰り返すというのがよくわかった。個人的にはやはり近代日づくに連れ理解しやすくて共感できる思想家が登場してると思ったが、たまに「こんな昔にこんなすごいこと考えてたの?」となるような思想家もいた。よみながら、近代以降に作られた文学作品や、映画などが思い浮かんだのでやはり名作は哲学や歴史のバックボーンがしっかりあるんだなと感じた。これを気に本書を読書案内として哲学書にも挑戦しようと思う。

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著者プロフィール

立命館アジア太平洋大学(APU)学長学校法人立命館副総長・理事ライフネット生命保険株式会社創業者1948年、三重県美杉村(現・津市)生まれ。1972年、京都大学法学部卒業後、日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年、ライフネット生命保険に社名を変更。12年上場。10年間社長、会長を務める。2018年1月より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『全世界史(上、下)』(新潮文庫)、『人類5000年史(I~III)』ちくま新書)、『0から学ぶ「日本史」講義(古代篇/中世篇)』(文藝春秋)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)など著書多数。

「2020年 『ここにしかない大学 APU学長日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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