哲学と宗教全史

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 2705
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478101872

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で予約していたこの本を受け取ったとき
    「げっ。本屋で見つけたら、絶対手にとらないだろうなー」
    と思いました。
    興味を引かないタイトルに表紙、分厚い本。

    でも読んでみると、これがものすごく面白い!
    台風のせいでどこにも出かけられなかったから、
    意外に早く読み終えました。

    出口さんは学長しながら、よくこんな本を書き上げたなあと。
    また、本当にいろいろなことをご存知だなあと。
    そしてこういう内容を、私たちのような頭の良くない人たちに、図表を用いてとてもわかりやすく説明することに感心。
    それからいつものことだけど、歴史の内容って固有名詞とか解釈とか新しくなっていることが多々あって、そういうことを必ず入れているのもスゴイです。

    個人的には近現代の哲学者について、今までより少しだけ理解できたのが嬉しかったです。
    他にも読んでみたいな。

    「連合王国はいずれEUに復帰するのではないか」と出口さんは思っているそうです。
    その過程が目撃出来たらいいのですが。

  • 哲学を元に人は認識を深めてきたのだろうし、宗教はそんな認識を一つの世界観として固め、多くの人々を動かしてしまうほどの力を有する。

    ヒトが考えてきたことって、どう繋がって、今に至るんだろう、ってずっと見えずにいた。

    この本では宗教としてはゾロアスター教から、哲学としてはタレスから始まり、ソシュール、フッサール、ヴィトゲンシュタイン、サルトル、レヴィ=ストロースで幕を下ろす。
    とても分厚い本だけれど、それでも語り尽くせないんだな、というのが第一の感想だった。

    そんな中で、哲学から宗教へ、宗教から哲学へ、どの時期にどんな思想が生まれ、またその思想はどこへ継がれていったのか、というマップがすごく上手く配置されていると思う。
    随分、点から線にする手伝いをしてもらった。
    また、この本を起点に何を読めばいいかということも、すごく丁寧に書かれている。

    序盤に、「人間が定住生活をし始めたドメスティケーションのときに、人間の脳みそは最後の進化が終わり、それから今日まで進化していないといわれています」とあり。
    その言葉が、終盤にも現れる。

    人がよく学び、よく働き、良い社会を築いてゆくことが可能になるとか、時間軸と共に進歩していると思い(たい)といった道中で、でも、この言葉に戻ってくる。

    生きている限り、苦しみがあるのだとすれば、生きることを捨てる以外に、何らかの救いの道を必要とする人はきっと多い。
    昨今、苦しみから自死という形で命が奪われていくことがクローズアップされる中で、社会は道徳的な束縛を強めて、善い社会で在ろうとしているように思う。
    けれど、この本を読んで、もっと根本的な、考えるということや、想像すること、いわゆる宗教的なものを知ること、学ぶことにも意味があるのではと、ふと思った。

  • 本書を読むまでは、現代を生きる私の価値観のまま、過去に起こった出来事だけをただ追っていた。だが出口氏の言葉に開眼させられた。本書は出口氏に手を引かれて哲学と宗教を学びながら、彼の見解まで楽しめる至極の一冊である。内容はもちろんのこと、本のカバーを外した表紙まで渋い。よくある一冊ではなく、私は「全史」なのだという重みを感じる。

    以下、本書より抜粋。
    「モーゼの教えもイエスの教えもブッダの教えも、彼らが生きた時代背景の中で、人々によかれと思って説かれました。その教えを現代のモラルを尺度として、批判するだけでは無責任だと思います。彼らが考えた真意に、恒久的な人類愛につながるものがあったがゆえに世界宗教になったと認識すべきでしょう。」

  • 著者によれば、本書は「世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと」紹介した本。元々学者でもない著書の博識ぶりにはただただ驚くばかり。著者は、大学時代にマルクスやヘーゲル、カント、プラトンなどの主要な哲学書を読み漁ったというが、当たり前の事を敢えて小難しくしてみたり、屁理屈や詭弁を弄したりしていて全く面白くない(と私は思っている)哲学書に夢中になれるなんて、それだけでも凄い。そう言えば、高校生のとき三木清の「人生論ノート」数ページであっという間に挫折したっけ。

    さて本書、ギリシャ哲学に始まり中国の諸子百家、世界三大宗教の成り立ちや発展、そしてルネッサンスから近現代の哲学の潮流まで、浅く広く、平易に解説されていてとても分かりやすかった。結構知らないことも多かったし。このくらいの内容は一般教養として身につけておいた方がいいんだろうなあ。

    特に面白いと思ったネタを幾つかピックアップすると、

    ・ヒンドゥー教で牛肉を禁止している理由は、バラモン達が儀式・祭典の度に大量の牛を生け贄として徴発して食べまくっていたことが民衆の反感を買い、仏教に信者を奪われてしまったことの反省・反動だった(何ともはや)。

    ・中国の一般民衆を取り仕切っているのが、表(=建前)は儒家だが裏(=実質)は法家、インテリ向けには道家(儒教が建前というのは頷ける)。

    ・ディアスポラはユダヤ人の自然な成り行きであり、民族散在(離散ではない)によるアイデンティティの危機がタナハ(旧約聖書)作りの原動力になった。

    ・欧米キリスト教徒が熱心に寄付を行うのは「ローマ教皇がローマ教会の財政を豊かにするために、お金を貸して利子を取っても協会に寄付をすれば許されると認め」たため(教会のなんとも賎しい動機が現代の高尚な寄付慣行に繋がっているとは)。

    ・宗教改革によってローマ教会の勢力は衰えたが(イエズス会が結成されるなど)逆に新しい世界へ拡大する契機となり世界宗教への飛躍につながった(まさに瓢箪から駒)。

    ・ニーチェによるキリスト教批判(キリスト教は貧困層のルサンチマンを巧みに利用し、天国を餌にして信者を集め、人々を受動的ニヒリズムに陥らせた!)、これは痛快!

    とにかく世界史への興味を掻き立てる本だった。

  • 作者の本は数冊読んでいるが、文章が読みやすい。ご本人の人柄出ている感じがする。入門書的であり、ギリシャから近現代までの流れが書かれているので、関係性も含め流れを把握できるし、網羅的なので浅くならざるを得なくなっているが、本の紹介が章ごとにあるのが良いと思った。
    宗教と哲学は日本人がとても弱い所だと思うので、幅広い層にお勧め。特に海外の方とビジネスをする方は是非読んでおくべきと思う。
    特にイスラム、ユダヤ、キリスト教と繋がりとギリシャ哲学に始まる中世以降の哲学との関係性は最低限の知識だと思っていたので良い本だと思う。

  • 48歳にして、あまりにも知らないことが多すぎることを痛感。自分の頭の中の世界が広がった感じ。世界にはおもしろいことおもしろい人が際限なく存在するんやな。知りたいこと考えたいことが膨らんで楽しく得した気分になった。挙げられている参考文献にも取り組んでみたい。まずは、ダーウィンの種の起源から始めたい。

  • 知の巨人が、また恐るべき仕事を成し遂げた。

    ご本人もおっしゃている通り、情報の濃さとしては若干の物足りなさがあるが、

    このジャンルの入り口としては最良の一冊ではないか。

    宗教と哲学は密接な関係があるにも関わらず、関連付けて通史的に述べられている本は少なく、貴重。
    後半は個人的に「これから面白くなるのに〜!!!」というところで終わっており、もっと学びたくなる心を掻き立てる。

  •  宗教お誕生から20世紀の思想家まで、世界の思想家、哲学者、宗教家の概要が理解できる一冊。本書は歴史の年代を追って書かれているので、思想が誕生した歴史上の背景や、どのような先人の思想に立脚しており、同時代のどのような思想家に影響を与えているのか付属している年表とともに体系的にかつ、フランクな語り口で解説されている。また、著者の圧倒的な読書量に裏付けされているので哲学書の読書案内としても良い(各思想家の翻訳された文献が出版社付きでしっかり記載されている)。途中に世界史の人物や名称が出てくると流れが追えなくなってしまったので、世界史の知識は多少あったほうが良かった。
     これだけ長い人類の歴史となると同じような核に基づいた思想が形を変えながら繰り返し登場しているのを見ると歴史は繰り返すというのがよくわかった。個人的にはやはり近代日づくに連れ理解しやすくて共感できる思想家が登場してると思ったが、たまに「こんな昔にこんなすごいこと考えてたの?」となるような思想家もいた。よみながら、近代以降に作られた文学作品や、映画などが思い浮かんだのでやはり名作は哲学や歴史のバックボーンがしっかりあるんだなと感じた。これを気に本書を読書案内として哲学書にも挑戦しようと思う。

  • 哲学について知りたくて、この本を手に取りました。帯に書かれているとおり、日本人が苦手とする哲学と宗教について、これほどわかりやすく書かれた本はないのではないでしょうか。
    人間が様々な葛藤や恐怖を乗り越えて、今日に至った歴史がよくわかり、本として純粋におもしろかったです。
    読み終えるのがこんなに惜しく感じたのは初めてかもしれません。

  • 古代から20世紀までの哲学と宗教について網羅されている。

    もちろん、限られた紙幅の中で書かれているため、広く浅くという印象は拭えない。

    しかし、押さえるべきところは押さえられており、何より文章が平易で読みやすい。厚い本ではあるが、一気に読み進めることができるだろう。

    自分が学部学生時代に受講した哲学の授業では主にカントを取り上げていたが、とにかく難しくてイマイチピンと来ないことも少なくなかった。しかし本書を読んで、当時ピンと来なかったところがクリアになった。

    本書を読んで興味を持った箇所があれば類書を読んでさらに掘り下げていけば良いし、哲学史・宗教史について概要を掴められれば良いというのであれば、本書を読めば十分だろう。ただし繰り返し読むことをお勧めする。

    「哲学はなんか固そうでとっつきにくそうだ」と思っている人こそ、本書を手に取るべきだろう。

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著者プロフィール

立命館アジア太平洋大学(APU)学長

「2021年 『人類5000年史Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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