「超」入門 空気の研究 日本人の思考と行動を支配する27の見えない圧力

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478102206

感想・レビュー・書評

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  • 日本人は海外に行くとその国に溶け込んでしまう。=状況に即応する。何かに染まりやすい=自ら進んで塗り替える。

    同調圧力とは、空気=前提に従わない者を弾圧すること。意図的な前提を押るけることで、現実を隠ぺいする可能性がある。集団による問題解決能力を破壊する。
    それ以外に道がない、という誘導が空気を作る。

    空気を読む、とは、前提を理解する、ということ。お墨付きがあると促進される。

    民はよらしむべし、知らしむべからず、は日本人をコントロールするのに都合がよい。
    努力は尊い、は危険な発想。
    会議室と飲み屋で意見が変わる。
    多数決は、マイナス面を無視していい、というサインではない。多数決で決めたことだからこそ、反対意見のマイナス面を考慮するべき。

    外から来た論理に従うときは、強さを発揮する。内からでた論理に盲目的に従うことは危険。

    まったくしがらみがない第三者から見たらどう考えるか、を考える。

    日本人には特定の宗教ではなく、日本教がある。日本人は神に支配されたくない、努力が好き、怠けもの、神任せはきらい。

  • 日本人をディスりすぎててあまり気分のいい本ではなかった

    日本が島国体質で争いをおこさないようにしてきた知恵でもあるとは思うんだけど
    確かに日本らしい空気はあると思うんだけど
    文中には空気を表す時に外国の事例が引用されている事もあるのに
    そんな中でなぜ日本ばかり?と思った

    その通りだと思うところもたくさんあって
    コロナの状況も空気というよりものすごい
    圧があったと思う
    それがマスコミだったり、一部の権力者の意のままになっているということは大いにあると感じる

    それが日本人がみんな悪いってことではなくて、力のない人間が空気を変えていくのは難しくて、それに対するハッキリとした答えは出なかったなぁという印象

    でも知ることからはじめるという意味では勉強になった

  • 【感想】
    ・「ダイジェスト」とのこと。著者の独自解釈も入っている。
    ・本書で出される例が沖縄戦とか戦艦大和そのままなので、とても2018年の本とは思えない。
    ・山本の『「空気」の研究』、『日本人と日本病』、その他の著作への批判は既になされているのだから、それらをこの本に織り込めていなければ、ページ数が増えたとしても、中身は縮小再生産にしかならない。
     元ネタの山本七平の本を100円で買う方が安上がりだ。


    【書誌情報】
    著者:鈴木博毅(1972-) コンサルタント。ビジネス書多数。
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:1650円(本体1500円+税10%)
    発行年月:2018年12月
    判型/造本:46並製
    頁数:296
    ISBN:978-4-478-10220-6

     なぜ日本の組織は息苦しいのか? 忖度、パワハラ、同調圧力、無責任主義……あらゆる集団に巣食う「日本病」の正体を暴いた名著をダイジェストで読む。
     会社、学校、家族、ネット、地域コミュニティ——今も昔も変わらず、日本人を縛る「何かの力」とは? 
    https://www.diamond.co.jp/book/9784478102206.html

    【目次】
    はじめに 今も昔も日本人を支配するもの
      なぜ日本の組織は息苦しいのか?/エスカレートする日本社会の生きづらさ/「空気」が日本を再び破滅させる/旧日本軍の失敗と今の社会問題に共通すること/なぜ穏和な日本人は集団になると攻撃的になるのか/一瞬で頭が切り替わり矛盾も気にしない/仮装の西洋化では変わらなかった日本人の根源的ルーツ/日本人を知るための、もう1つの「失敗の本質」/空気という妖怪の正体をつかむ「7つの視点」

    第1章 日本を支配する妖怪の正体 ── 日本人が逃れられない「見えない圧力」

    空気の正体01 見えない圧力で合理的な思考をゆがめる
      なぜ日本には言論の自由がないのか/抵抗すれば社会的に葬られるほどの強い圧力/この「前提」からはみ出すことを一切許さない/戦艦大和の出撃は「空気」で決められた/「空気から逃れられない」とは、どういう意味か

    空気の正体02 前提に従わない者を徹底的に叩く
      空気=前提に従わない異論者を攻撃する/日本を覆う「同調圧力」と「空気」の正体/前提に従わない者を徹底的に叩く/なぜ空気が日本の問題解決力を破壊するのか/悪意のある「人工的な前提」を見抜け

    空気の正体03 議論する前からすでに結論は決まっている
      理不尽な「二重基準」が頻発する理由/なぜ、沖縄戦で戦艦大和は特攻したのか?/日本の敗戦が「確実」になって出現した前提/作戦決行は成功率とは関係なかった/論破しても、空気をまったく打破できない理由/それ以外に道がないという「誘導」がゆがんだ空気をつくる

    空気の正体04 論理的な議論でも空気づくりを加速させる
      論理的な議論がいつの間にか空気に支配される謎/あれもダメ、これもダメから「前提」が固まり出す/自分に有利な前提以外はすべて「ダメ出し」する/1つの組織にも利害が異なる立場の人たちがいる/失敗や不祥事が空気から生まれる理由

    第2章 なぜ日本人は集団だと狂暴になるのか? ── 日本的ムラ社会を動かす狂気の情況倫理

    空気の正体05 ムラごとに「善悪の基準」が違う
      ムラ社会では、それぞれの善と悪がある/“父と子の隠し合い”で、ムラに不都合な現実を無視する/日本には「共通の正義」は存在しない/日本で忖度が生まれやすい理由/ムラ社会では生きるために空気を読む

    空気の正体06 すべてのいじめは「お墨付き」を得て始まる
      お笑い芸人は何を読んでいるのか?/いじめは必ずクラスの前提を読んでから始まる/空気に支配された狂気の倫理基準/なぜ日本ではネットの集団攻撃が生まれやすいのか?

    空気の正体07 集団の「物の見方」に感染し、倫理基準を乗っ取られる
      情況に左右されない西欧の固定倫理とは/情況に流された人間は、有罪か無罪か?/いじめの加害者がたった1本の献花を恐れる理由/では「空気」と「情況」はどう違うのか?/「自分の見方」はやがて乗っ取られる

    第3章 なぜ日本人は感染しやすいのか? ── 日本人を思考停止に追いやる3つの要因

    空気の正体08 空気は「感情」と結び付くと拘束力を増す
      ただの前提が、なぜ日本人を拘束する巨大な力となるのか/キーワード①「臨在感」 ── なぜ新聞記者はカドミウムを見てのけぞったのか/臨在感は「因果関係の推察」が生み出す/臨在感を笑った福澤諭吉の過ち/諭吉少年が間違えた、臨在感の本当の発生源とは/空気は臨在感と結び付いて、より強く人を拘束する

    空気の正体09 感情の刷り込みで「善悪」を自由に操れる
      臨在感は、気の迷いであることも、正しい推察の場合もある/病原虫のいる川のたたりは、単なる気の迷いではない/「イワシの頭」にさえ日本人は支配されてしまう/機敏さと盲動の二面性を持つ日本人の謎/なぜ日本の政治は、政策論争と関係ないことの応酬になるのか/臨在感の呪縛から逃れるには「歴史を学ぶこと」/最強の大衆扇動術は「臨在感」を操ること

    空気の正体10 日本人の親切は自分の正しさを押し付けること
      キーワード②「感情移入」 ── 自分の感情と現実の区別がつかない/思考と現実が、どこかでつながっているという感覚/日本人の親切とは「自分の想い」を押し付けること/日本軍にもあった「感情移入の絶対化」問題/なぜ日本人は「やりがい」を求めるのか?/「精神的」と「物理的」の2つの対策を行う/日本人がリスク管理で抱える致命的な欠点

    空気の正体11 「絶対化」がウソや矛盾を生み出す
      キーワード③「絶対化」 ── 例外や不都合な事実を隠す無謬性/相対的なものを絶対化すると必ずウソが生まれる/旧日本軍で行われた陰湿な初年兵いじめ/軽率な絶対化がウソや矛盾を生み出す/絶対化とは、資質や条件を問わせない圧力

    第4章 私たちはこうして思考を乗っ取られる ── 空気の拘束を生む3つの基本構造

    空気の正体12 言葉で「ラベル化」すると簡単にダマされる
      「空気による支配」3つの基本構造/支配構造①「文化的感情」の臨在感的把握による支配/支配構造②命題を絶対化する「言語」による支配/「言葉」で人の思考は拘束できる/言葉に「隠された前提」が空気をつくる/狂気の「大本営発表」で破綻した旧日本軍

    空気の正体13 メディアは空気を生み出す装置となる
      支配構造③「新しい偶像」による支配/自分がつくった彫像に恐れおののいた芸術家/知らぬ間に善悪を操る刷り込み法/「新しい偶像」は感情移入を誘発する新種のウィルス/マスメディアは偶像を生み出す装置である/西欧世界は数千年かけて空気を克服してきた

    空気の正体14 「ただの石」さえ、あなたを支配する神となる
      空気を生み出す4ステップ/西郷隆盛を「悪の権化」として偶像化した明治政府/ただの石が、あなたを支配する神になる/一夜にしてアメリカ人の大半が肥満になったカラクリ/結論より「前提」を大衆に押し付けるほうが気付かれない

    第5章 なぜ日本人は「常識」に縛られてしまうのか? ── 新たな拘束力となる水の思考法

    空気の正体15 水を差しても決して空気は消えない
      日本社会を動かす「見えない原理」/空気の対処法としての「水」とは?/空気の暴走を食い止める「水」と「雨」/空気と対比される「水」とは一体何なのか/水があるのに、どうして空気の猛威が消えないのか

    空気の正体16 水はやがて日本人を「常識」に縛り付ける
      水(雨)は、あなたを別の形で拘束している/空気と水、日本人を拘束する2つの構造/水はやがて日本人を「常識」に縛り付ける/水は「世の中そういうもの」という通常性をぶつけてくる/「竹槍ではB29を撃墜できない」と言った者への非難/「非国民」「努力の尊さ」という詐術のメカニズム

    空気の正体17 日本の「科学的」にはウソが含まれている
      疑似西欧的な論理が生み出す空気/“科学的研究”は、カドミウムが原因ではないと断言した/日本で使われる「科学的」に含まれるウソ/疑似西欧的な論理に水は無力である

    空気の正体18 外来文明を都合よく「骨抜き」に溶解する
      外来文明を消化する水の溶解作用/敗戦後、なぜ日本人は急に民主主義者になったのか?/日本の“仏教”は仏教ではない!?/外来思想を骨抜きにする日本独自の「翻訳文化」

    第6章 「日本劇場」を操る「何かの力」 ── 支配者にとって空気は世論をつくる最強の武器

    空気の正体19 「虚構」だけが人を動かす力である
      空気とは結局、支配のための装置/なぜ「虚構のみが人を動かす」のか?/日本という国に作用する不思議な「何かの力」/日本を滅ぼす圧力の正体/国民の権利はく奪も空気づくりから始まる/虚構に依存する者の末路

    空気の正体20 日本人は「劇場化」を好み、それにより破滅する
      虚構で大衆を操るための「劇場化」/今の日本も実際は「鎖国」で情報統制されている!?/劇場化の4つの最弱点とは?/虚構による外交が、破綻の呼び水である理由/劇場を信じ続けた者は、現実の戦場では生き残れなかった

    空気の正体21 日本的な会議は多数決原理をわざと誤用する
      なぜ会議室と飲み屋では意見が変わるのか/多数決原理をわざと誤用する、日本の会議システム/賛成で可決されても、問題のマイナス面は消えない/日本で多数決原理を健全に活用する2つの対策

    空気の正体22 「解放の力」がいずれ未来を拘束する
      日本には「2つの自由」がある/解放の力は、いずれ未来を拘束する存在となる/「日本スゴイ論」が破滅への道である理由/日本しか知らないことは、日本をまったく知らないことである/日本では「ムラの外」を知ることが優位性をもたらす

    第7章 どうすれば空気を破壊できるのか? ── 巨大な圧力に抵抗する4つの方法

    空気の正体23 空気を「4つの起点」で打破する
      山本氏が指摘する、4つの起点とは?/①空気の相対化/②閉鎖された劇場の破壊/③空気を断ち切る思考の自由/④流れに対抗する根本主義

    空気の正体24 日本人の根底にあるのは独自の「日本教」
      日本人の根源的な思想は、自然思慕の「日本教」である/「この世をつくったのはただの人」という日本人の根本思想/世界の宗教と日本教は「反転」している/思想を絶対視しないのに、情況に縛られる日本人

    空気の正体25 独自性を形づくる「原点」を明確にする
      日本の根本主義とは何か?/集団の理想を守ろうとする情熱が変革の原動力となる/根本の再確認は「集団の譲れぬ一点」を見出させる/アップル社員に原点を浸透させた「シンク・ディファレント」/原点の明確化が空気を打破する最強の力となる

    空気の正体26 ムラを解放する「独自の正義」が空気を変える
      明日から会議に出て下さらなくて結構です/あなたは集団に貢献する「独自の正義」を持っているか/ジョブズがアップルⅡ開発時に持っていた「独自の正義」/普遍性の高い正義は、世界に新しい自由と解放を生み出す/思考の盲点にひそむ非常識な本質/現代ビジネスの覇者は、前提外しの思考力に優れている

    空気の正体27 空気を打破することは知性を回復することである
      歴史が教える事実「空気の固定化は破滅への道」/分析的な追求には「前提の放棄」が必要である/空気に支配されると「同じムラ人詐欺」が始まる/空気と水では正しい未来は描けない/空気を打破することは、知性を回復すること

    おわりに ──  空気を超克する新たな時代の創造へ


    後注(出典元)

  • 恐ろしいのは権力と繋がった空気。空気は日本だけでなく、欧米にも存在する。宗教だってその一つ、虚構だし、でもこの虚構が文明を発展させてきた。日本の良くないのは、空気を読みすぎ、同調しすぎること。独自の社会正義は大事だね。

著者プロフィール

MPS Consulting代表
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、商社にて資源輸入業務に従事。その後、コンサルティング会社に勤務し、独立。現在は、コンサルティング業務のほか、戦略論に関する著作も執筆。

「2022年 『戦略は歴史から学べ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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