米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ
- ダイヤモンド社 (2017年11月3日発売)
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感想 : 20件
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784478103319
みんなの感想まとめ
歴史的な対立構造を深く掘り下げ、現代の米中関係に警鐘を鳴らす本書は、古代ギリシャの歴史家トゥキディデスの理論を基に、新興国と覇権国の衝突のメカニズムを解説します。著者は、過去500年の事例を通じて、戦...
感想・レビュー・書評
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「トゥキディデスの罠」徹底解説!
というのも、作者はこの言葉を造った張本人だからだ。トゥキディデスとは古代ギリシャの歴史家だが、ペロポネソス戦争がアテネの台頭と、それによってスパルタが抱いた不安が戦争を不可避にしたという、新興国と覇権国、新旧の対立軸が戦争を呼び起こしやすい事を構造的に示唆した。これを本著のグレアム・アリソンが造語にした。
米中に当て嵌めて、その罠に陥る可能性や回避策を検証したのが本書。アリソンは、歴史を分析し、覇権国と新興国の間の対立が12回戦争に至ったことを示す。しかし、回避した事例もあれば、新興国や覇権国として分類するには強引に思えるケースもある。こじ付けにも思えるが、この疑問は拭えぬまま。ちなみに、日本は、清やロシア、アメリカの戦争全てにおいて新興国側。これは確かに、そうかも知れないが。
ー ロシアは西欧列強の圧力を借りて、日本が日清戦争で手に入れた土地を取り上げ、そこに鉄道を建設した。この事は日本人の心理に大きな影響与え、もはや列強の無理強いには従うまいと決意させた。日本の危機感や不安、被害者意識、執念深さは、新興国シンドロームを理解する大きなヒントとなる。自らの力不足で不当な扱いに対抗できなかった悔しさが、ふさわしい地位を手に入れてやると言う決意に火をつけた。この心理パターンは昔から多くの振興国が抱いてきたものだ。
ー ドイツの台頭がイギリスを脅かしていたのと同じ頃、ドイツはロシアによって国益が脅かされていると感じていた。日露戦争での敗北はロシア政府に大打撃を与えた。その後ロシアは体制を立て直し、ドイツ国境のすぐ向こう側に現代的な軍事大国として台頭した。4年以内にドイツ軍の規模を30%上回ることを目標とする軍備増強の大計画を発表した。そこでドイツはまずフランスを破った後東部戦線でロシアを叩くと言う2正面作戦を考えた。
米中関係の未来に対する警鐘を鳴らしつつ、戦争を回避するための戦略を述べるなど、重要な洞察を提供する本。例えこじ付けだとしても、そこから回避策を学んだり、リスクを想定しておくのは悪い事ではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「トゥキディデスの罠」を米中首脳会談で習近平が言及していたのをきっかけに本書に辿り着きました。
約10年以上前の本ですが、名著です。
覇権国と新興国との衝突は歴史的にも繰り返されてきており、その根本には新興国の承認欲求と覇権国の焦りがあると言う「トゥキディデスの罠」ですが、とても本質的で目から鱗でした。
例えば、イギリスがアメリカに対してかつて戦争を回避するために世界のリーダーを譲り渡したのと同じ様に、アメリカも中国のナンバーワンを容認するのか等、興味深い問題定義が数多くあります。
諸行無常、アメリカがずっとトップに君臨することは不可能である中、日本がどういった立ち位置に着くべきか再考できる本でしたね。 -
著者は、ハーバード大学ケネディスクール初代院長で、レーガン〜オバマ政権の歴代国防長官の顧問を務めた国際政治のエキスパート。
古代ギリシャで、スパルタに挑んだアテネの脅威が、スパルタをペロポネソス戦争に踏み切らせた。
そのことから、著者は、新興国の台頭が覇権国を脅かして生じた構造的ストレスが、新旧大国の衝突に至る事象を、歴史家トゥキディデスの名に因んで「トゥキュディデスの罠」と呼ぶ。
ドイツ対イギリス(第一次大戦)や日本対アメリカ(第二次大戦)など、過去500年の新旧大国の衝突16ケースをひもときながら、現代における米中戦争の可能性と回避の方策を論じる。
トゥキディデスは、対立構図を戦争に発展させる大きな要因は三つ、「国益」「不安」「名誉」だと言う。
それにしても、本書内で論じられる、100年前のアメリカと今の中国の類似性には驚かされる。
セオドア・ルーズベルトなんて、世界史の教科書で名前を知っている程度の人物だったが、米西戦争、モンロー主義の徹底、パナマ運河、アラスカ国境問題などでの傍若無人ぶりは習近平顔負けだ。
16のケースには日本がらみのものも含まれているが、16のうち戦争突入を避けることができたのは4ケースしかないと言う。
読んでいて、戦争に至るか否かには、地理的な近さが重要ファクターなのでは、という気がした。
イギリスとドイツの対立が第一次世界大戦に至った例など、近接しているが故に、直接的な攻撃を受ける脅威を現実的に感じられたからこそなのではないだろうか。
著者は、小競り合いから全面戦争に至るリアリティあるシナリオを展開するなど、米中対決の可能性が低くないことを示しているが、米中が地理的に離れていることをどう考えるべきか。
米国が太平洋覇権の維持コストとリスクを考慮して少しずつ覇権を諦めていけば、最悪の核戦争は避けられるのではという気もする。
もちろん、そうなった時に一番困るのは日本なのだが… -
トゥキディデスの罠という単語を最近何度か目にしたので、その元になってる本書を読んでみました。アメリカ人から見たアジア(特に中国)の描写が面白かったです。ただ、戦争回避の提言のところはあまり響かなかった…
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米中戦争の発生メカニズムとその回避法を知るため、読みました。
戦争要因は、国益、不安、名誉です。台頭する新興国の夢とプライド、挑戦を受ける覇権国の恐怖と自信の揺らぎ、の間のパワーシフトがはらむ深刻なジレンマ「トゥキディデスの罠」が大きな要因になります。
以下の4つの中核概念を理解することで、米中戦争を回避できる可能性があります。
・重大な利益を明確にする
・中国の行動の意図を理解する
・戦略を練る
・国内の課題を中心に据える
中国がアメリカに並び、追い抜くのは遠くない未来に実現すると思われます。両国の指導者が、大きな衝突を回避することを強く望みます。 -
トゥキディデスの罠と言う考え方を軸に、歴史の事例を振り返りながら米中関係の危機を考える書。読みやすく、また歴史を整理するうえでとても勉強になった。特にTheodore Roosevelt大統領の時代を中心に、米国も新興Superpowerとして強引なことをしてきたのではないか、と言う視点は興味深かった。
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本書の主題は著者の造語の「トゥキディデスの罠」だが、米中戦争が不可避とまで断定しているわけではなく、原題の「Destined for War」は少し言い過ぎかもしれない。しかし中国の台頭と米中衝突の危険性に関し、非アジア専門家による分析は新鮮だ。
過去のケースの分析で、19世紀末以降の日本が、中露次いで米との戦争に一直線に向かっていったかのような記述には違和感がある。他方、著者は繰り返し、指導者が必ずしも望んでいなかったのに結果的に緊張が高まりまた戦争に至った事例を挙げている。「トゥキディデスの罠」とはすなわち「戦争をもたらした構造的要因」であり、日本もそれに嵌まったということだろう。
米中衝突があるとしても、限定的なものに留まらず大規模戦争に発展する可能性を専ら挙げていることや、尖閣諸島を巡る日本の「挑発」が火種となるシナリオを挙げていることには若干首をかしげる。しかし、非アジア専門家はありそうな最悪のケースとしてここまで考えているということだろう。
結論部で著者は、1)重大な利益を明確にする、2)中国の行動の意図を理解する、3)戦略を練る、4)国内の課題を中心に据える、の4点を戦争回避の努力として挙げている。うち1と4からは、アジアへの米の関与を減らすべきという主張が行間から透けて見えなくもない。 -
254p:コンロンブスは……島の福王の称号
→コロンブスは……島の副王の称号
277p:冷戦集結
→終結 -
東2法経図・6F開架 319.5A/A41b//K
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覇権を持つ国と新興国の間の緊張の高まりが戦争に至ってしまった事例と、戦争を回避した事例をあわせて提示。現在の米国と中国が、どうすれば衝突を回避しうるかを論じた本。一方で、衝突が起こりうるシナリオについても詳述。
アジア太平洋地域と欧州の地政学リスクを考えるためにとても参考になった。 -
新興国が覇権国を脅かすときに戦争へと繋がる「トゥキディデスの罠」を題材に米中関係を論じた本。引かれた歴史的事例では、まるで魔の手に落ちるように、誰も望まなかった戦争へと飲み込まれていく事例が多く語られる。
本書はこの他に、米国が新興国であった時代にどのように振る舞ったのか、中国は今のどのように行動しているのか、その類似を際立たせる。著者は米国防省の高官を務めた学者でありながら、米国に対しても中立的で厳しい視線を送っており、そのことも本書の信頼感を増しているように感じた。
日本から見ると、米中衝突なんて恐ろしくて考えたくもないが、衝突を避けるために米国が西太平洋から手を引くとなると、これもまた、恐怖を覚えるシナリオだ。 -
【足を踏み入れないように】既存の覇権国と新興国の間に構造的ストレスが生じることを表した「トゥキディデスの罠」について解説し,米中が同じ罠に陥らないようにするための提言をまとめた作品。過去の類例を振り返りながら,超大国関係の管理の方策を探っていきます。著者は,クリントン政権では国防次官補も務めたグレアム・アリソン。訳者は,学習院女子大学の非常勤講師を務める藤原朝子。原題は,『Destined for War』。
戦争に至る道筋を学ぶことで,結果として戦争に陥らないための道筋を選ぶことができるというアプローチが非常に新鮮。幅広さと奥深さを備える歴史的データに裏打ちされた情報が満載で,一冊で国際政治学と歴史学の刺激的なところを両方考えられる作品になっています。
〜中国とアメリカは,受動攻撃的な「あるべき外交」や高慢な地政学的理念を振りかざすよりも,悪びれずに国益を追求したほうがうまくいくだろう。多くのことが左右される二国間関係で最も重要なのは,友好ではなく予測可能性や安定性だ。アメリカは「ごっこ遊び」をやめるべきだ。〜
タイトルがやたら仰々しいですが☆5つ -
新興国の台頭に覇権国が脅かされて生じる国際的緊張状態は、著者によれば過去16回あり、その内12回は戦争に至ったという。
トゥキュディデスの罠というらしいが、野心満々の新興国の勢力拡大に軋轢が高まるのは当然だろう。
著者は戦争に至らなかった4つのケースから教訓を抽出しようとしているが、残念ながらどれも現状の米中関係には当てはまらない。
あり得るとすれば、AMD(assured mass destruction)だが、それでも数億人は生き残るといっている中国共産党にどれ程の効果があるのか。
「我々の子孫が中国に支配された世界に住むところは見たくない」と言ったヒラリー・クリントンに大いに同意するが、見通しは明るくない。 -
グレアム-アリソン教授; トゥキディデスの罠
紀元前5世紀
ペロポネソス戦争; アテネの台頭とスパルタ
ジョージ-ケナン; 対ソの封じ込め政策
ジョゼフ-ナイ-ハーバード大学教授; ソフト-パワー
サミュエル-ハンチントン; 文明の衝突
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新興国と覇権国との関係の中でトゥキュディデスの罠がもたらした戦争という過去の16のケースを基に米中関係を読む一冊。思考実験にはとても良い。
著者プロフィール
グレアム・アリソンの作品
