米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ

制作 : 船橋 洋一・序文  藤原 朝子 
  • ダイヤモンド社
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478103319

感想・レビュー・書評

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  •  本書の主題は著者の造語の「トゥキディデスの罠」だが、米中戦争が不可避とまで断定しているわけではなく、原題の「Destined for War」は少し言い過ぎかもしれない。しかし中国の台頭と米中衝突の危険性に関し、非アジア専門家による分析は新鮮だ。
     過去のケースの分析で、19世紀末以降の日本が、中露次いで米との戦争に一直線に向かっていったかのような記述には違和感がある。他方、著者は繰り返し、指導者が必ずしも望んでいなかったのに結果的に緊張が高まりまた戦争に至った事例を挙げている。「トゥキディデスの罠」とはすなわち「戦争をもたらした構造的要因」であり、日本もそれに嵌まったということだろう。
     米中衝突があるとしても、限定的なものに留まらず大規模戦争に発展する可能性を専ら挙げていることや、尖閣諸島を巡る日本の「挑発」が火種となるシナリオを挙げていることには若干首をかしげる。しかし、非アジア専門家はありそうな最悪のケースとしてここまで考えているということだろう。
     結論部で著者は、1)重大な利益を明確にする、2)中国の行動の意図を理解する、3)戦略を練る、4)国内の課題を中心に据える、の4点を戦争回避の努力として挙げている。うち1と4からは、アジアへの米の関与を減らすべきという主張が行間から透けて見えなくもない。

  • 254p:コンロンブスは……島の福王の称号
    →コロンブスは……島の副王の称号
    277p:冷戦集結
    →終結

  • 東2法経図・6F開架 319.5A/A41b//K

  • 覇権を持つ国と新興国の間の緊張の高まりが戦争に至ってしまった事例と、戦争を回避した事例をあわせて提示。現在の米国と中国が、どうすれば衝突を回避しうるかを論じた本。一方で、衝突が起こりうるシナリオについても詳述。

    アジア太平洋地域と欧州の地政学リスクを考えるためにとても参考になった。

  • 新興国が覇権国を脅かすときに戦争へと繋がる「トゥキディデスの罠」を題材に米中関係を論じた本。引かれた歴史的事例では、まるで魔の手に落ちるように、誰も望まなかった戦争へと飲み込まれていく事例が多く語られる。
    本書はこの他に、米国が新興国であった時代にどのように振る舞ったのか、中国は今のどのように行動しているのか、その類似を際立たせる。著者は米国防省の高官を務めた学者でありながら、米国に対しても中立的で厳しい視線を送っており、そのことも本書の信頼感を増しているように感じた。
    日本から見ると、米中衝突なんて恐ろしくて考えたくもないが、衝突を避けるために米国が西太平洋から手を引くとなると、これもまた、恐怖を覚えるシナリオだ。

  • 【足を踏み入れないように】既存の覇権国と新興国の間に構造的ストレスが生じることを表した「トゥキディデスの罠」について解説し,米中が同じ罠に陥らないようにするための提言をまとめた作品。過去の類例を振り返りながら,超大国関係の管理の方策を探っていきます。著者は,クリントン政権では国防次官補も務めたグレアム・アリソン。訳者は,学習院女子大学の非常勤講師を務める藤原朝子。原題は,『Destined for War』。

    戦争に至る道筋を学ぶことで,結果として戦争に陥らないための道筋を選ぶことができるというアプローチが非常に新鮮。幅広さと奥深さを備える歴史的データに裏打ちされた情報が満載で,一冊で国際政治学と歴史学の刺激的なところを両方考えられる作品になっています。

    〜中国とアメリカは,受動攻撃的な「あるべき外交」や高慢な地政学的理念を振りかざすよりも,悪びれずに国益を追求したほうがうまくいくだろう。多くのことが左右される二国間関係で最も重要なのは,友好ではなく予測可能性や安定性だ。アメリカは「ごっこ遊び」をやめるべきだ。〜

    タイトルがやたら仰々しいですが☆5つ

  • トゥキディデスの罠という単語を最近何度か目にしたので、その元になってる本書を読んでみました。アメリカ人から見たアジア(特に中国)の描写が面白かったです。ただ、戦争回避の提言のところはあまり響かなかった…

  • 新興国の台頭に覇権国が脅かされて生じる国際的緊張状態は、著者によれば過去16回あり、その内12回は戦争に至ったという。

    トゥキュディデスの罠というらしいが、野心満々の新興国の勢力拡大に軋轢が高まるのは当然だろう。

    著者は戦争に至らなかった4つのケースから教訓を抽出しようとしているが、残念ながらどれも現状の米中関係には当てはまらない。

    あり得るとすれば、AMD(assured mass destruction)だが、それでも数億人は生き残るといっている中国共産党にどれ程の効果があるのか。

    「我々の子孫が中国に支配された世界に住むところは見たくない」と言ったヒラリー・クリントンに大いに同意するが、見通しは明るくない。

  • グレアム-アリソン教授; トゥキディデスの罠
    紀元前5世紀
    ペロポネソス戦争; アテネの台頭とスパルタ
    ジョージ-ケナン; 対ソの封じ込め政策
    ジョゼフ-ナイ-ハーバード大学教授; ソフト-パワー
    サミュエル-ハンチントン; 文明の衝突

  • 【222冊目】ペロポネソス戦争が起こったときのように、新興国と覇権国は戦争に至る場合がある。これを「トゥキディデスの罠」と呼び、アメリカと中国もこの罠に陥って戦争になるおそれがあると指摘した本。

     新興国は、自らの成長の勢いに比べると自らの主張が覇権国や国際社会に受け入れられることが少ないことから、そうした上京を作出しているのは覇権国が既存の秩序に固執しすぎていると考える。覇権国は、新興国が自らの権威と現在の秩序に挑戦しようと考える。
     相互不信に陥った両国は、スパルタとアテネのように、小さなボタンの掛け違えから戦争にまで突き進んでいく、というもの。これを、罠にはまった第一次世界大戦や、逆に罠を回避したイギリスとアメリカの例を引きながら、現代の米中関係を理解しようとする本。

     「トゥキディデスの罠」の理論的解説は、過去の紛争事例をその観点から解き明かした記述が多いが、これが納得させられることが多い。読んでいて面白かった。
     他方、米中関係にこれが当てはまるかというと…うーん、イマイチ説得力に欠けるような気はしたかな?でも、「第8章 戦争に至る道程」は、米中のボタンの掛け違えが戦争にまで発展する5つのシナリオを簡潔に検討しており、これがまた実際にあり得そうなものだったので興味深かった。

    ・ 誤字が多い。2015年の特許出願件数の2位が日本だと言った数行後ろで、2位はアメリカだと書いてある。更に、そこについた注も間違ってる。中国の特許出願件数は、次点以下のアメリカ・中国・韓国を合算したよりも多いとかいてある。これ、本当に文章校正してる?

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著者プロフィール

一九四〇~。ハーバード大学ケネディ行政大学院教授。政治学者。専門は政策決定論、核戦略論。ハーバード大学卒業後、オックスフォード大学で修士号、ハーバード大学で博士号取得。一九七二年から現職。クリントン政権時代に国防総省スタッフとしてウクライナ、ベラルーシなどの核兵器廃棄政策に関与。一九七一年に刊行した『決定の本質』は政策決定論の必読文献。他に『核テロ』、『日・米・ロ新時代へのシナリオ』(共著)。

「2016年 『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析 第2版(2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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