ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論

著者 :
  • ダイヤモンド社
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レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478103746

感想・レビュー・書評

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  • 目からうろこのとてもわかりやすい会計学の基本が書かれています。難しい内容の会計学の本は巷に溢れていますが、個人的には本書が最もわかりやすかった。

    例えば、PLとBSのつながり(P57~58)、配当を行わないアマゾンの脅威的IR力(P82)、短期間でインディードを収益の柱としたリクルートのユニット経営力(P106)、売り上げ至上主義への呪縛(P154~)、時価評価洗い替えトリック(時価と取得原価の差額がPLに利益として計上されることを狙った短期的な利益づくり)(P189)、東芝の不正会計のカラクリ(期末の押し込み販売をよりスマートにしたマスキング価格の駆使)(P215)、倒産件数の増加は、構造的不況下でなければ、産業全体の新陳代謝として必然だというお話(P238)や日本のCEO平均年齢が61歳(世界平均は53歳)で高齢なのは経営者として活動できる期間が短い(海外には早期でのハッピーリタイアメントもあり一概には言えないと思うが・・)という指摘(P240)、トマピケティ(経済成長から得る利潤よりも投資からのリターンの方が大きいのが現代社会の特徴)の「21世紀の資本」のエッセンス(P252)、本田宗一郎の金言(「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」)(P260)など読みどころ満載です。

    巻末付録の「会計とファイナンスの基礎とポイント」もわかりやすく重宝します。

    久しぶりの全力お勧め本です。

  • ファイナンスの考え方を座学ではなく、実践を意識して解説。キャッシュフローの考え方が分かっていない金融マンも多いので、そういう人は腹落ちすると思う。
    ただ、自分はもう少し高いレベル、新しい発見を期待していたので、物足りなさ残るが、会社の若手にはオススメできる良書だ。

  • 本書の功績は、日本企業を蝕む戦略の誤謬を”PL脳”という言葉で表現し、そこに明確な定義を与えたことにあるのではないか。

    本書でPL脳の大義的概念として説明されるファイナンス思考とは、
    ・価値志向:企業価値の最大化を実現するためには、短期的なPLの毀損を厭わない。そのため、恒常的なR&Dや、黒字ではあるが今後の事業性が見込みにくい事業の売却等のアクションを取る
    ・長期志向:長期的な顧客の囲い込みや競合優位性を構築するために、巨額な投資を実施する
    等の特徴を持つものとされる。

    そうしたファイナンス思考の特徴とは、一般的なコーポレートファイナンスの定説(キャッシュフローの重視、資本コストとROICの概念、最適資本構成)に基づくものであり、それ自体に目新しさがあるものではないが、実際にファイナンス思考による経営再建や継続的な成長を実現してきたケーススタディ(Amazon、JT、日立製作所、コニカミノルタ等)を通じて、PL脳とファイナンス思考で何が異なるのか、という点を次第に理解できるようになっている。

    コーポレート・ファイナンスを一度学んだ人も、様々な概念がどのように企業の経営で用いられるべきなのかを再確認できるという点で非常に有用な一冊。久しぶりにファイナンスを再学習したい気にさせられた。

  • 長期目線で大きな決断をした人は、自分の決断に自信が増す一冊です。

    ファイナンス思考とは「長期的、未来志向的、戦略的な思考」です。
    対比されているのはPL思考であり、「短期的、過去追走的、管理的な思考」です。
    短期的にはリスクがあっても、ゴーイングコンサーンで長期的にデカい投資回収をしていくためのスタンスや、会社の事例が描かれています。
    会社だけでなく、個人の生き方にも転用できる考え方です。

  • ファイナンスの重要性につき、基礎知識と具体事例を交えて説かれており、読みやすかった。
    私は財務経理の人間として手に取ったが、資金調達、創出、配分、コミュニケーションそれぞれを、具体事例とともに理解することで、ファイナンスには財務戦略と事業戦略が関係することがわかった。

    また、PL脳との対比により、キャッシュフロー管理の重要性を認識できる。

  • 短期的な売上至上主義を代表するPL脳ではなく、
    予定(調和)ではなく(現実からの飛躍ある)計画で、
    ファイナンス知識と、長期的な価値ある戦略を
    組み合わせるべし。

    この内容を永遠と話してる批評本。まぁそうだよね。でとどまると思います。

    敢えてまとめるtakeaways 以下。

    - 利益は意見。現金は事実
    - 計画とは将来への意思。現実からの飛躍。
    現実的は予定に過ぎない。

  • 以前自分のいた会社が完全にPL思考の考え方になっていたのだなと感じた。日本の特に大企業の方にはとても共感できる内容だと思う。

  • 会計とファイナンスは異なるものであるということ。ファイナンス思考とはすなわち未来にフォーカスを当てた思考方法であり、過去や現時点での評価をあらわすPL/BSとは視点が異なる。しかし日本の多くの企業は短期的な視点に立つのみで実際にファイナンス思考を持って企業価値を高めることをしていないというのが浅倉さんの指摘。これは自分の会社にも当てはまることだ。

  • 「ファイナンスとは経営そのものである。」これが本書と通じて痛感したメッセージである。経営学を学ぶ者として、コンセプトや戦略の論理ばかりに偏重した学びをしていることは自分でも認識していたが、やはりファイナンス的思考を学んでこそ、リアルな経営を学ぶことができるのだと感じた。

    本書では、自然に経済が発展し、自社が収益をあげることのできた時代はもうすでに終わっており、PLを作ることにばかり苦心する経営は時代にそぐわないと主張する。長期的な視点に立って、自社が収益をあげるためにリソースを割くべき部分はどこなのかを特定し、時に赤字になろうともステークホルダーへの説明責任を果たしてこれを断行し、企業を成長させていくのがファイナンス思考の根幹であり、これをする必要があるというのが主な本書の主題であろう。

    当然、PLを重視してしまうのには構造的な問題(例:4半期で決算を出さなければならない → 売り上げを伸ばす、短期思考になってしまう)もあるが、これを変えるのではなく、直接経営を担うプレーヤーに対して問題意識を投げかけたことに著者のメッセージを感じた。

  • 会計の本を読むのは楽しいなと感じるこの頃。
    短期目線になりがちたが、長期目線を持ちながら価値が何かを考えていきたいと思った。

    以下メモ。

    ・ファイナンス思考とは、会社の企業価値を最大にするために、長期的な目線にたって財務や事業の戦略を総合的に組み立てる考え方
    ・財市場(顧客)、労働市場(従業員)、資本市場(投資家)
    ・価値思考、未来志向、長期思考なのがファイナンス思考
    ・ファイナンス思考は、会社がどの目的地に対してどのように進むべきかを構想する考え方

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