父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

制作 : 関 美和 
  • ダイヤモンド社
3.99
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本棚登録 : 1385
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478105511

感想・レビュー・書評

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  • ☆5の評価だが、結論として誰がこの本を読むかということで違ってくる。
    高校生や経済学部以外の大学生が経済の成り立ちを知るために読むのだったら、間違いなく良書。社会人がそれを復習するために読むにも良いだろう。

    ただし、この本を読んで「経済学を勉強しようかな」って思っている人にはあまりおすすめはできない。経済学の本としてはあまりに初歩的すぎる。

    自分も経済の専門家ではないが、本書で「経済学」を学ぼうと思ったら手応えがなさ過ぎると感じる。
    それなりの知識を持ったビジネスマンがこの本を手に取る理由としては、「経済の仕組みを素人に説明する時に参考にするため」という理由がベストだろう。

    例えば、ジャレド・ダイアモンドの名著『銃・病原菌・鉄』でも述べられている「人類の貧富の格差の発生原因」や、捕虜収容所内で捕虜達がタバコを通貨代わりに使っていたという状況を使っての「貨幣の流通や価値の変動の仕組み」の説明などは、誰が読んでも非常に分かりやすい。
     
    本書を読むに当たって一つだけ注意する点があるとすれば、この本を読む前には必ずキアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』を観ておくべきだ。この本の中で『マトリックス』のシーンが何度も引用されている。

    『マトリックス』は、「機械に支配された未来の人間社会」を描いたディストピア映画の古典的名作として既に認識されており、最近の欧米のビジネス書では非常に良く引用されている。
    『マトリックス』を観たことが無いという人は、このレビューを読み終わったらすぐにTSUTAYAに直行すべきた。この映画はアクション娯楽作品しても最高に楽しめるので絶対に観て損は無い。
    私は当時、映画館に合計4回も足を運んで『マトリックス』を観に行った。これは私の映画鑑賞歴の中で最多だ。
    ちなみに第二位はリバイバル上映を含め3回映画館に観に行ったハリソン・フォード主演の古典的名作『ブレードランナー』だ。

    『ブレードランナー』は、人間のために、いわゆる3K作業(きつい、汚い、危険)をさせられていたレプリカントと呼ばれる人造人間達が反乱を起こし、その作業から逃げ出したレプリカントが人間社会に逃げ込んでいるという未来社会が描かれている。
    そのレプリカントを探しだし、殺すことを任務としているのが「ブレードランナー」と呼ばれている刑事達だ。
    この『ブレードランナー』も本書内で何度か引用されているので、観たことが無い人は観てみるとなにか得られるものがあると思う。

    『マトリックス』、『ブレードランナー』とも未来の人間のあり方をテーマとしており、非常に深い内容だが、どちらも純粋にアクション映画として楽しめるので気楽に観て欲しい。

    という訳で、本のレビューなのか名作映画の紹介なのかよく分からなくなってしまったが、とりあえず本書は読み物として楽しいし、内容も読みやすく、分量も手頃で数時間で読み終えることができるので、気になった人はぜひ手に取ってみて欲しい。

  • 確かにわかりやすく書かれている。よく売れているらしい。複雑なことをわかりやすく広めると、世の中が少し賢くなる。だから必要だ。けれども、「わかりやすさが先行して、粗雑なわかりやすさになってはいけない」。害悪を拡げる本は批判されなければならない。私が★ひとつとするのはそのためである(どうでもいい本ではないから、振り幅が大きくなる。価値がないと言っているわけではない)。私は何の専門家でもなく、単なる読書おじさんだけど、それでも瑕疵がいくつも見つかった。

    でも前半は、ほぼなるほどなるほどと思って、読んでいった。こんなところだ。

    ・通貨には、「信頼できる権威の裏付け」(国家や宗教等々)が必要である。余剰ができたから、国家(軍隊や警察・官僚を持つ)や宗教が生まれた。←それはそうだ。たから、この順番は逆ではないと私は思っている。

    ・アボリジニやアフリカの人々は縄文時代のようなものだ。余剰は生み出さなかったから、ヨーロッパ人に侵略されたのであり、経済格差は人間としての優劣の差ではなかった。←それはそうだと思う。これは地理的な環境下で起きた格差の問題である。

    ・金持ちが「もっと豊かになるのは当然だし必要だ」と思い込むのは、君の生活に便利や快適があるのを当然だと思うのと同じだ。格差は、人のせいではなく、社会のせいだ。君は、賢く、戦略的に怒りを持ち続けて欲しい。そして、機が熟したときには、必要な行動を取ってほしい。

    ・では、国内での格差は何故起きたのか?

    ・昔、人間の欲求の中に「利益の追求」はなかった。これが歴史を動かすようになったのは、最近のことだ。「利益」と「借金」が結婚してからである。
    ←ここまではいい。しかし、この後著者は何度も「ゼロからお金が生み出される」仕組みについて説明する。もちろん、その仕組みはある。けれども、私は変なことに気がついた。

    ・どこからともなくお金を生み出す銀行とその上の中央銀行という国家、そのおかげでずっと自転車操業は続く。
    ←ホントに続くのか?国家の破綻はないのか?好景気不景気の循環で、銀行は国家をコントロールする。国家は銀行をコントロールする。では、その最終的な富の源泉はどこにあるのか?

    ここで、私ははたと考える。世界の労働者の労働力なのではないか?エネルギー不変の法則は存在する。ゼロからおカネは出てこない。著者は、この本でそのことを説明しただろうか?

    ・経済が社会の「エンジン」で、借金が「燃料」だとしたら、労働力はエンジンに点火するための「火花」で、おカネはエンジンを滑らかに動かし続けるための「潤滑油」だ。
    ←というまとめに私は納得いかない。燃料は労働力だろ?

    著者は、これらの解決策に突然「究極の民主主義」を提案する。まるで「振って湧く」かのように善良な市民が登場するかのごとくだ。そこに至る思考の道筋は、共感するところもあるが、マルクスならば『貧困の哲学』のプルードンを『哲学の貧困』で批判したように、これは「世界が逆さまになっている」というかもしれない。私はマルクスのような頭がないので、著者を論理的に批判出来ない。彼の頭の中には、ホントに生きている市民が、どのようにしたらそういう「究極の民主主義」に至るのか、青写真さえも浮かんでいないように思えるのである。金持ちのための欲望にまみれた経済学者よりも良心的な貴重なものだとはおもうので、誰か根本的な批判が出来ないものだろうか!
    2019年4月読了

  • おじいさんとお父さん、なかなかいいです(2019年4月1日)
    中村桂子のちょっと一言 | 語り合う | JT生命誌研究館
    http://www.brh.co.jp/communication/hitokoto/

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    十代の娘の「なぜ、世の中にはこんなに格差があるの?」というシンプルな質問をきっかけに、元ギリシャ財務大臣の父が経済の仕組みを語る。「宗教」や「文学」「SF映画」など多彩な切り口で、1万年以上の歴史を一気に見通し、「農業の発明」や「産業革命」から「仮想通貨」「AI革命」までその本質を鮮やかに説く。
    https://www.diamond.co.jp/book/9784478105511.html

  • "不足"が"余剰"を生み出したのが興味深い。
    まだ読んだ事が無いのだけど、サピエンス全史と繋がる部分がありそう。
    "余剰"は"余裕"とも言え、文化を生み出す根源となった大切なものだと思う。
    あとは、"余剰"を上手く分かち合う方法なんだろう。

    それと、仮想通貨は発行数が定められていて、誰かが通貨を刷ってバランスを取る方法がないから上手くいかないという話は気になる。仮想通貨もバージョンアップされていっているから解決されると良いのだけども。

  • 市場社会が生まれた経緯に始まり、それを維持する金融システムの内容、政府の存在、格差、AI&ロボット社会の功罪、環境問題、民主主義、幸福とは?...etc, かなり幅広い内容を、歴史上の出来事や、印象的な挿話を取り上げ、順序立てながら分かりやすく説明していく内容。

    p.250弱とそんなに長くなくスラスラと読めるも、かなりお腹いっぱいな読後感。それほど濃い本だった。

    ・市場社会の始まりは農作物などの余剰から生まれ、それを取引するための信用ツールとして通貨が生まれ、それを管理するために政府が生まれる。

    ・農作物をつくる土地をその時の支配者などに奪われた農奴達は生きるために別の起業をする。そしてそのためには金がいる、そこで銀行が生まれ、金を貸す事で借金が生まれる。この借金から、全ての富が生まれていく。

    ・労働力とマネー。産業革命以降、労働力は機械化。機械に働かせるか、人間を機械のように働かせる社会へ。またテクノロジーは今は一部の富裕者にのみが支配している。そのようなものが労働を全てAIやロボットに代替しても、しかし経済は破綻する。人間が働いて賃金を得る事で経済が回るが、現在のロボットはお金を使わないから。

    ・意志をもったAIが登場すると、世界はマトリックスのような悪夢の世界に?

    ・経験価値ではなく、全てが交換価値でカウントされるのが市場社会。昔は良い行い=GOODこそに価値があったが、交換価値が重視される社会では全てがGOODs=商品となってしまった。そこでは環境を破壊して得られるものが交換価値を生み出し、環境は破壊され続ける。

    ・そんな世の中で良いのか?そこを解決できる唯一の方法は、民主主義であること。

  • ギリシャ金融危機の際にギリシャの財務大臣を務めてた経済学者が書いた本。

    たしかに面白かった!

    『信用の新世紀』『日本が売られる』『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 』『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』なんかに書かれている事がこの本でギュッと結ばれた感じ。

    国の財務を預かっていた人が、「基本的に金持ちは税金を払わない仕組みを作り、貧乏人はカツカツのところから税金を出すだけなので、総論として国を維持するための税収は常に足りていない。だから足りない分を国債で賄い、債務超過はある程度不可逆的なもの」って言い切られると、ねぇ。

    人類史において市場ができた時代と、市場社会になった時代は全く異なっていて、交換可能価値にばかり重きを置かれるいわゆる資本主義社会というのは人類の歴史の中でも随分最近のもので経済活動においてさえ普遍的なルールではない事。封建制以前の宗教が支配の正当性を民衆に刷り込むためにその機能が果たされていた事と同じように、現代の経済学は資本主義支配の正当性を裏付けるための仕事しかしていない、とあっち側の人だった学者が言うんだもんなぁ。

    とにかく、「考えろ、疑え」だそうです。

    結論はテクノロジーを肯定的に利用し、人間の人間たる特性を最大限に使い、ベーシックインカム的な方法論で資源の民主化を進めるべきだ、という考え方の人でした。

  • 2019/06/17
    これまで経済学の本なんて手に取ったこともなかったが、この本は非常に読みやすかった。経済のことを専門家、大富豪、政界のトップなど一握りの人間に任せてはだめらしい。このままでは私達庶民は機械の、資本主義の奴隷として一生を終えることになる。利益の追求が地球を破壊する。最近よく取り上げられるプラゴミの問題もその最たる例だよな。日本がプラゴミを他国に処分させてたことも最近知った。自分達で出したごみをよそに押し付けてたなんて、恥ずかしすぎる。無知も悪。反省。交換価値に飲み込まれることなく経験価値を取り戻す。人類は公共の利益、というか地球の保全を第一にすべきだ。そう思うけど、私にはそんな財力も権力もありません。とりあえず私個人としてはお金に執着しすぎず、助け合いの精神を大切に、地球に優しい生き方を追求しよう。

  • 序盤はなぜ経済が生まれ格差が拡がっていったのかが大変にわかりやすく書かれていてタメなった。
    人々がより良い暮らしを追求し続ける限り、格差は無くならないんだろうなぁ。しかしそのことへ少しでも心を痛めたり、考えたりすることが大事なのだと教えてくれた気がする。

  • 現代の経済システムの根底にあるものを教えてくれる一冊でした。今の経済の矛盾がどう生まれたかについても、簡潔に教えてくれます。
    ただ、後半の方は少し退屈に感じられました。

    面白かった点
    1.西洋人が優秀なのではなく、作物が育ちやすい地域・環境が余剰を作り、余剰が経済を作り出した。

    2.宗教革命後、借金に対する考え方が変化した。そのため、特に産業革命後において「借金」が「富」を生み出す世界へ変わっていった。

    3.経営者の雇用に対する考え方は狩人のジレンマと同じであり、単純なものではない。

  • 「経験価値」と「交換価値」の例えが分かりやすい。
    世の中のお金の流れはよく理解できたが、債権と金利の話はあんまりわからなかった笑

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