父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

制作 : 関 美和 
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 1847
レビュー : 104
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478105511

感想・レビュー・書評

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  • 作者の娘の知的レベルに追いついていない私には、まだ難解でした。ふんだんに使われる例え話がそもそも分からないというのが致命的。

    経済を軸としつつ、政治の話、環境の話、そして哲学的思想と幅広く展開されています。

    私がもう少し賢くなった時、もう一度読み直すと、合点がいくのかもしれません。

  • 本の前半は、経済の発生についての歴史的解説が展開されており、とても興味深い内容でした。

    経済について語るとは、余剰によって社会に生まれる債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ること。
    農耕が保存可能な農作物の"余剰"を生み出し、この余剰が、それを記録するための"文字"や労働に対する未来の報酬を証明する"通貨"や通貨に保障を与える"国家"や国家に正当性を与える"宗教"など、現代の経済や社会に必要な仕組みや機能が発生した歴史的な流れから説明があり、経済の本をあまり読まない私には目から鱗でした。
    後半は筆者の結論に誘導的な記述が多い気がしたたため、星4つの評価です。

  • 2019/06/17
    これまで経済学の本なんて手に取ったこともなかったが、この本は非常に読みやすかった。経済のことを専門家、大富豪、政界のトップなど一握りの人間に任せてはだめらしい。このままでは私達庶民は機械の、資本主義の奴隷として一生を終えることになる。利益の追求が地球を破壊する。最近よく取り上げられるプラゴミの問題もその最たる例だよな。日本がプラゴミを他国に処分させてたことも最近知った。自分達で出したごみをよそに押し付けてたなんて、恥ずかしすぎる。無知も悪。反省。交換価値に飲み込まれることなく経験価値を取り戻す。人類は公共の利益、というか地球の保全を第一にすべきだ。そう思うけど、私にはそんな財力も権力もありません。とりあえず私個人としてはお金に執着しすぎず、助け合いの精神を大切に、地球に優しい生き方を追求しよう。

  • p138 いま、われわれはそんな大転換の最中にいる。〜しかし残念ながらこの変革は、解決と反対方向に社会を向かわせている。変革の目標が〜人間を機械に置き換えることになってしまっているのだ。
    p141 〜利益について、それ自体が目的になっていく〜
    p153 機械と違って人を雇えば、人はお金を循環させ〜
    p154 だから、仕事が単純化され機械化が進み、賃金が下がりすぎると、ある時点でものが売れなくなる。〜労働者が機械化に抵抗することは、雇用主も含めて市場全体の得になる。労働者の抵抗が自動化にブレーキをかけ、利益の破壊を防ぐからだ。
    #機械は人の営みを助けるものであるべき。社会は人のネットワークであって機械のネットワークではない。人が機械の道具となる日が来れば逆転する。
    p155 〜もし機械が人間の創造力や〜能力〜今後機械が発達し、そうした仕事ができるようになるだろうか。
    #アイデアが過去のアイデアから生まれるなら可能。その創造に機械自身が何らかの喜び(主体を動かすモチベーション)を得られるか、それが必要かはわからない。喜びを得るなら最早機械ではない。
    p159 どの部分を取り換えたら君が君でなくなるのか〜そのどこかを取り換えたら、君や私が人間でなくなるのは確かだ。
    #どこまでが人間であるかは本人ではなく他者によって決まる。周囲がどう接するか(どう扱うか)であり、扱われる側が決める事はできない。(扱われたい方向に努力することはできる)
    鬼(異邦人)が村人(コミュニティの一員)になれるかはその働きによる。
    p168 われわれ人間はテクノロジーの可能性を余すところなく利用する一方で、ひと握りの人たちの奴隷になることもない社会を実現すべきだ。〜機械が生み出す富をすべての人に分配したほうがいい。
    p202 〜私の父に話を聞いた。〜政治犯として〜収容されていた。その収容所でタバコが通貨として使われていたかを聞いてみた〜。父の答えは〜「私たちは受け取ったものをなんでも分け合っていたよ。〜」
    p232 〜ヘンリー・デイビッド・ソローは、「幸福になるには、それを求めないことだ」〜。幸福は美しい蝶のようなものだ。「追えば追うほど逃げていく。しかし別のことに気を取られていると、そっと肩に止まっている」
    p233 市場社会は見事な機械や莫大な富をつくりだすと同時に、信じられないほどの貧困と山ほどの借金を生み出す。
    p240 アルキメデスは、離れてみると、何事も不可能ではないと言った。〜人を支配するには、物語や迷信に人間を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。〜すっかり内側に入ってしまうと、アルキメデスの視点でものを見られなくなってしまう。
    p246 この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿〜
    #それって何?

  • 市場、金融、株式市場、そして貨幣。資本主義のベースとなるこれらのシステムについて、ギリシャの財務大臣を務めた著者が、特有の詩的表現も交えながら、”父から娘に語る”という叙述形式で、極めて平易に解説される。その点では本書の面白さを私も一定程度認める。ただし、こうした経済学の平易な解説を読みたいのであれば、後述するような彼の”イデオロギー”が強度に染み出さず、よりフラットで優れた書物は多数あるのではないか?

    私が納得できないのは結論についてである。著者は、現在の経済の問題を”行き過ぎた市場化”にあるとして、”一部の巨大企業や富裕層だけが参加するのではない民主的なプロセス”を対案として提示する。では、民主的に経済をコントロールするのかという点について、著者は何も語っていない。そうした態度は、財務大臣まで務めた政治家として著者を見たときに極めて不誠実ではないか。

    くどくど書いてしまった。結論を言えば、私は政治的に左派ポピュリストを嫌悪している。そして、EUにおいてその先鋒を務める著者についても嫌悪しているということである。

  • 面白かったけど、帯の文句にひかれて読んだのでちょっと期待が大きすぎたかもしれないです。

    銀行の「どこからともなく魔法のようにパッとお金を出す」という話はとても面白く、そうだよなーっと納得しました。

  • こんな経済ので本、他には無いと思います。
    神話からスタートレックやマトリックスまで、わかりやすい例で語られています。
    この本を読んで、経済の動きというものがなんとなくわかった気になります。
    経済学を学んだ人には、物足りないかもしれません。
    私にとっては、目から鱗が落ちる事が多かったです。
    入門の入門書としてお勧めできると思います。

  • 経済学よりお金2.0に近い感じ
    どっち先に読むかで感想は変わりそうだが、先出たのはこっちの様だ。
    私も30で発起し、ファイナンスの勉強を始め、最初にぶち当たった問題がこれ。
    正解があると学校で教えられて来たはずが、算数や理解の様な、経済と政治には正解がない事。
    世の人は常に全員同じ考えをすると思っていた、おめでたい星人だったのだ!
    今でも思い悩む事があるが、私の中ではかなり整理されてきている。

    歴史のバイアスから現在が出来るまでを網羅されており、とても説得力がある。
    ほぼ名著「銃病原菌鉄」そのままだw

    それでも筆者の言い分に異議がある。
    すべてがネガティブにはならないのだ。
    元気な人間が常にいる事。それが進化なんだと思う。
    でもただ元気なのはだめだ。
    歴史を知っている蟻だ。

    ドンドン進化してマトリックスにならない様にはしたいけどね。

  • 予想以上に面白かったし、ためになった。
    自分は資本主義の価値観にどっぷりハマっていて、それゆえに最近覚えていたひっかかりを本書が解き明かしてくれたような気がした。
    他人にとって価値あることは「値段が上がり」、他人に必要とされないものは「値段が下がり」淘汰される、、だから価値の少ない仕事はやめて価値の高い仕事をしよう、価値の高い人間になろう、その生き方は今の世の中正しいかもしれないけど、競争煽りまくった結果地球全体は果たして幸せな結果になるのか??考えさせられるし、資本主義の前提と違った価値観を大事にするのも必要かと思った。

  • 長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え2015年のギリシャ経済危機時には財務大臣を務め大幅な債務帳消しを主張し世界的に話題となった著者が、10代半ばの娘に向けて経済とは何かを専門用語を使わずに語った一冊。

    本書を手に取ったきっかけはズバリ「売れていたから」である。やはり売れる物には理由があり、特にそれが世界中でヒットしているというのはそれだけ、普通の人々(高度な知識を持つ人ではない)にも理解されるほど分かりやすいという裏付けになる。

    本書ほど分かりやすい例えを用いて、難解(だと思われている)な現象を説明している経済の本は他にないだろう。

    特に、収容所の中でのタバコの取引を引き合いに出したインフレとデフレの話は登場人物の顔や気持ちがありありと想像できた。

    また、エピローグで「経済学者は神学者や哲学者のようなものだ」としてそのような星占い師のような人間だけに経済を任せてはいけない。と語る姿は、父が娘にこの上なく愛に満ちた説教をしているようであった。

    最近読んだ本の中で印象的な本の中に、「苦しかった時の話をしようか。ビジネスマンの父が我が子のために書きためた働く事の本質」という本(以下A書)がある。A書では、ビジネスマンとして様々な苦境を乗り越えてきた著者が就活を控えた娘に働く事の本質を語っていた。

    この2冊に共通しているのは、多くの人に届けようと最大公約数的に書かれたものではなく、ただの1人に向けて書かれたものであるという事である。ある音楽プロデューサーも「売れる曲はただの1人に向けて作られている」と言っていたが本当にその通りなのだろうと改めて感じる。

    A書との関連している事として、資本主義社会において会社に勤めて働く人々と資本家の関係を思い出した。

    A書の中で「課長、部長、社長という肩書きは優秀な人間を気持ちよく働かせるためのシステムである」と語られていた企業人とは、本書の言葉を借りると「人を支配するには、物語や迷信に人を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。だが一歩か二歩下がって、外側からその世界を見てみると、どれほどそこが不完全でばかばかしいかがわかる」ということではないだろうか。

    もちろん全ての企業人がそうとは言わない。外側の世界を知った上で選択しているのであれば、余計なお世話であろう。ただし、知らないで苦役を売ってお金を手にしている人が多いのは残念ながら事実だと思う。

    この本から得られた事も糧として人生を切り開く一助としたい。

    最も印象に残った言葉は、
    「私たちは探検を止めることはない。そして全ての探検の終わりに出発した場所にたどり着く。そのときはじめてその場所を知る」

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著者プロフィール

1961年アテネ生まれ。経済学者。2015年1月に成立したギリシャの急進左派連合政権(チプラス政権)で財務大臣を務め、国際債権団(トロイカ)との債務再編交渉を担当した。政権入りするまで長年にわたり、英国、オーストラリア、米国の大学で教授職を務めた。大臣職を辞任した後は、民主主義の再生に向けて活動し、世界中の聴衆に語りかけている。2016年からは欧州の草の根政治運動、DiEM25(Democracy in Europe Movement)の顔役を務め、2018年11月には米国の上院議員バーニー・サンダース氏らとともに革新的左派の国際組織、プログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げた。著書は、Talking to My Daughter About the Economy: A Brief History of Capitalism (Bodley Head, 2017)〔関美和 訳『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』(ダイヤモンド社、2019)〕、And The Weak Suffer What They Must? (Bold Type Books, 2016) など多数。

「2019年 『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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