父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

  • ダイヤモンド社
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レビュー : 368
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478105511

感想・レビュー・書評

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  • ☆5の評価だが、結論として誰がこの本を読むかということで違ってくる。
    高校生や経済学部以外の大学生が経済の成り立ちを知るために読むのだったら、間違いなく良書。社会人がそれを復習するために読むにも良いだろう。

    ただし、この本を読んで「経済学を勉強しようかな」って思っている人にはあまりおすすめはできない。経済学の本としてはあまりに初歩的すぎる。

    自分も経済の専門家ではないが、本書で「経済学」を学ぼうと思ったら手応えがなさ過ぎると感じる。
    それなりの知識を持ったビジネスマンがこの本を手に取る理由としては、「経済の仕組みを素人に説明する時に参考にするため」という理由がベストだろう。

    例えば、ジャレド・ダイアモンドの名著『銃・病原菌・鉄』でも述べられている「人類の貧富の格差の発生原因」や、捕虜収容所内で捕虜達がタバコを通貨代わりに使っていたという状況を使っての「貨幣の流通や価値の変動の仕組み」の説明などは、誰が読んでも非常に分かりやすい。
     
    本書を読むに当たって一つだけ注意する点があるとすれば、この本を読む前には必ずキアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』を観ておくべきだ。この本の中で『マトリックス』のシーンが何度も引用されている。

    『マトリックス』は、「機械に支配された未来の人間社会」を描いたディストピア映画の古典的名作として既に認識されており、最近の欧米のビジネス書では非常に良く引用されている。
    『マトリックス』を観たことが無いという人は、このレビューを読み終わったらすぐにTSUTAYAに直行すべきた。この映画はアクション娯楽作品しても最高に楽しめるので絶対に観て損は無い。
    私は当時、映画館に合計4回も足を運んで『マトリックス』を観に行った。これは私の映画鑑賞歴の中で最多だ。
    ちなみに第二位はリバイバル上映を含め3回映画館に観に行ったハリソン・フォード主演の古典的名作『ブレードランナー』だ。

    『ブレードランナー』は、人間のために、いわゆる3K作業(きつい、汚い、危険)をさせられていたレプリカントと呼ばれる人造人間達が反乱を起こし、その作業から逃げ出したレプリカントが人間社会に逃げ込んでいるという未来社会が描かれている。
    そのレプリカントを探しだし、殺すことを任務としているのが「ブレードランナー」と呼ばれている刑事達だ。
    この『ブレードランナー』も本書内で何度か引用されているので、観たことが無い人は観てみるとなにか得られるものがあると思う。

    『マトリックス』、『ブレードランナー』とも未来の人間のあり方をテーマとしており、非常に深い内容だが、どちらも純粋にアクション映画として楽しめるので気楽に観て欲しい。

    という訳で、本のレビューなのか名作映画の紹介なのかよく分からなくなってしまったが、とりあえず本書は読み物として楽しいし、内容も読みやすく、分量も手頃で数時間で読み終えることができるので、気になった人はぜひ手に取ってみて欲しい。

  • 【感想】
    「経済の歴史」がテーマの、教科書チックな本。
    なぜ地域差で、また同じ地域でもこれほど貧富の格差が生まれるのかなど、人類史をまじえて非常に分かりやすく書かれていた。
    また寡頭制について、読んでいてピケティの資本論「r>g」を彷彿とさせた。
    あと、「金融の黒魔術」とは本当によく言ったものだなーと思った。
    ちょちょっとPCをイジるだけでお金が行ったり来たりするリスキーな世の中を揶揄するには、誠にうってつけの表現だ。

    世の中にこれだけ経済の学習をする人々が多く、またみんな頭ではしっかりと理解しているのに、何故全員が豊かにならないのだろう?
    答えは簡単だ。
    結局は、世の中のルールを1番に作った者勝ちなのだ。そしてそれは世界にひと握りの人間だ。
    もしくは、そのルールの網目を上手く(危険に?)すり抜けれた人の勝ちなのだ。
    その他大勢はルールに翻弄されるのみで、どれほど頭が良くたって真の豊かさとは程遠い人生を歩むしかないのだ・・・・

    勉強すればするだけ、リスキーなチャレンジしない事には格差を埋める事は出来ないと、読んでいて虚しくなってしまった。
    そんなに悲観的になっても意味がないと思うが、たまにヘコんでしまう。
    分相応レベルの幸せを目指して、今日も頑張ろう。。。


    【内容まとめ】
    1.言語」と「余剰」の二度の大きな飛躍
    うなり声の代わりに言葉を使い、作物を育てるために土地を耕すようになった。
    そして農作物の「余剰」が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。
    文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教などだ。

    2.寡頭制
    →権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏る。
    寡頭制が延々と続くのは、支配階級がさらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持ち、その力を使ってさらに大きな余剰を独り占めできるからだ。

    3.金融の黒魔術
    借金は市場社会に欠かせない。借金がなければ利益も生まれず、利益が生まれなければ余剰もない。
    しかし、数多くの企業が債務によって破綻すると、銀行は倒産したカウ者の数の「返済不能のローン」をますます抱え込む。
    銀行が苦しいという噂が広がり、預金者の中には預金を引き出す人が増え始める。が、銀行はすべての引き出しに応じるだけの預金はない。
    なぜなら銀行は、「魔法の杖」で何もないところから生み出したカネをまじえてローンを貸し付けていたからだ。

    4.国債について
    銀行が何より嫌うのは現金だ。金庫の中に眠っている利子を生まないカネを、銀行は何よりも嫌がる。
    しかし、預金者が預金引き出しをする際に現金がないと、脆くも崩壊することもわかっている。
    だから銀行は、すぐに現金に換えられる何かを手元に置いておく必要がある。国債はそれにぴったりなのだ。

    人々が政府を信じている限り、国際には必ず買い手がつく。これほど安全で換金しやすい債権は他にない。
    安全に利子を稼ぎ、商品としても使え、換金性がある。
    国債は金融システムの潤滑剤だ。


    【引用】
    p26
    ・「言語」と「余剰」の二度の大きな飛躍
    うなり声の代わりに言葉を使い、作物を育てるために土地を耕すようになった。
    そして農作物の「余剰」が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。
    文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教などだ。



    p36
    実はオーストラリアでもアメリカでも、先住民は侵略者に殺されるよりも、ウイルスに感染して死ぬことが多かった。
    農耕の発達していない地域の種族は、何世代もの間にゆっくり生成される抗体がなく、疫病への耐性がなかったからだ。


    p40
    ・地域内格差
    寡頭制
    →権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏る。
    寡頭制が延々と続くのは、支配階級がさらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持ち、その力を使ってさらに大きな余剰を独り占めできるからだ。


    p48
    商品とは、いくらかの金額で「売る」ものだ。市場価格とは、「交換価値」を反映したものだ。
    が、どのサービスにもお金がつくというものではない。


    p99
    ・金融の黒魔術
    借金は市場社会に欠かせない。借金がなければ利益も生まれず、利益が生まれなければ余剰もない。
    しかし、数多くの企業が債務によって破綻すると、銀行は倒産したカウ者の数の「返済不能のローン」をますます抱え込む。
    銀行が苦しいという噂が広がり、預金者の中には預金を引き出す人が増え始める。が、銀行はすべての引き出しに応じるだけの預金はない。
    なぜなら銀行は、「魔法の杖」で何もないところから生み出したカネをまじえてローンを貸し付けていたからだ。

    金融危機の後に来るのは不況だ。
    誰にも借金があり、誰もそれを返済できない。
    お金持ちも先行き不透明のため、支出を抑えるようになる。
    経済を前に進めていたプロセスが、今度は逆方向に回り始める。


    p116
    ・国債について
    銀行が何より嫌うのは現金だ。金庫の中に眠っている利子を生まないカネを、銀行は何よりも嫌がる。しかし、預金者が預金引き出しをする際に現金がないと、脆くも崩壊することもわかっている。
    だから銀行は、すぐに現金に換えられる何かを手元に置いておく必要がある。国債はそれにぴったりなのだ。

    人々が政府を信じている限り、国際には必ず買い手がつく。これほど安全で換金しやすい債権は他にない。
    安全に利子を稼ぎ、商品としても使え、換金性がある。
    国債は金融システムの潤滑剤だ。

  • 今年出た本の中で、もっとも読まれるべき本はどれかと聞かれたら、まだ半年残っているが、迷いなくこの本を推すだろう。それは、この本がわかりやすいからでも、面白いからでも、ためになるからでもない。経済こそは、われわれがいま考えるべき、もっともホットなトピックだからである。なぜなら、われわれ人類がこの先も地球上で生きていけるか、もっと具体的に言えば、私たちの子や孫がこれからもこの星に住み続けられるか、それが経済にかかっているからである。
    重要なポイントはいくつかあるが、ここではそのうちのひとつを取り上げるにとどめたい。資本主義(本書では「市場社会」という言い方をしている)は、借金によって成り立っている。たとえば、私がこれから事業を起こそうとしている。だが、それには元手がいる。そこで、銀行からお金を借りることにする。事業が無事成功すれば、その儲けで借りたお金を返すことができる。
    では、銀行はそのお金をどうやって用意したのだろう。それは、(著者はこれを現代の黒魔術だと書いているのだが)まさしく無から作り出したのである。事業が成功すればお金は出てくるのだから、それを先取りしてしまうのだ。別な言い方をすれば、未来からお金を借りてきている。
    資本主義の成り立ちは、(実際はもう少し複雑だが、そこは本書を読んでいただくとして)、簡単に言えばそういうことである。しかし、この仕組みには重大な欠陥がある。事業は失敗するかもしれないのだ。失敗すれば、私はお金を返せない。困ったことになる。
    要するに、資本主義というのは、経済がこの先も成長するという前提のもとに立っている。しかし、いくらなんでも、無限に成長し続けるわけがない。どこかで頭打ちになる。これは資本主義に内在的な欠陥であり、資本主義の限界でもある。
    本書はあくまでも資本主義の枠内で、現在の経済の仕組みをわかりやすく説明しているのだが、私はもう一歩先へ進めてもいいと考えている。つまり、資本主義や現在の貨幣システムだけが、経済のあり方ではない。たとえば、本書にも少しだけ触れられているが、利子を禁じたイスラム金融がある。これは資本主義の対抗潮流になりうる。
    はじめに、経済はわれわれの子孫の未来がかかっている問題だと書いた。その意味が少しおわかりいただけただろうか。この問題を考えるために、本書は重要な手引きとなる。題名にあるとおり、決して難しい本ではない。半日もあれば読める。だから、多くの人に手にとっていただき、考えてもらいたい。経済を為政者や経済学者に任せることは、宇宙船地球号を彼らの手に委ねることに他ならない。

  • 社会人として、自分が普段生活している世界の経済についてわかりやすく学びたくこの本を読みました。

    この本は、タイトルの通り小説やSF映画、身近な登場人物にたとえて、経済の仕組みをわかりやすく解説しています。

    格差の仕組みや、市場社会における需要と供給についてなど読みやすい本でした。

    格差や、今ある経済を当たり前の事と思わず、常に一歩引いて全体を見てみようと思いました。
    広い視野で、全体を見渡せるようになりたい。

     

  • 確かにわかりやすく書かれている。よく売れているらしい。複雑なことをわかりやすく広めると、世の中が少し賢くなる。だから必要だ。けれども、「わかりやすさが先行して、粗雑なわかりやすさになってはいけない」。害悪を拡げる本は批判されなければならない。私が★ひとつとするのはそのためである(どうでもいい本ではないから、振り幅が大きくなる。価値がないと言っているわけではない)。私は何の専門家でもなく、単なる読書おじさんだけど、それでも瑕疵がいくつも見つかった。

    でも前半は、ほぼなるほどなるほどと思って、読んでいった。こんなところだ。

    ・通貨には、「信頼できる権威の裏付け」(国家や宗教等々)が必要である。余剰ができたから、国家(軍隊や警察・官僚を持つ)や宗教が生まれた。←それはそうだ。たから、この順番は逆ではないと私は思っている。

    ・アボリジニやアフリカの人々は縄文時代のようなものだ。余剰は生み出さなかったから、ヨーロッパ人に侵略されたのであり、経済格差は人間としての優劣の差ではなかった。←それはそうだと思う。これは地理的な環境下で起きた格差の問題である。

    ・金持ちが「もっと豊かになるのは当然だし必要だ」と思い込むのは、君の生活に便利や快適があるのを当然だと思うのと同じだ。格差は、人のせいではなく、社会のせいだ。君は、賢く、戦略的に怒りを持ち続けて欲しい。そして、機が熟したときには、必要な行動を取ってほしい。

    ・では、国内での格差は何故起きたのか?

    ・昔、人間の欲求の中に「利益の追求」はなかった。これが歴史を動かすようになったのは、最近のことだ。「利益」と「借金」が結婚してからである。
    ←ここまではいい。しかし、この後著者は何度も「ゼロからお金が生み出される」仕組みについて説明する。もちろん、その仕組みはある。けれども、私は変なことに気がついた。

    ・どこからともなくお金を生み出す銀行とその上の中央銀行という国家、そのおかげでずっと自転車操業は続く。
    ←ホントに続くのか?国家の破綻はないのか?好景気不景気の循環で、銀行は国家をコントロールする。国家は銀行をコントロールする。では、その最終的な富の源泉はどこにあるのか?

    ここで、私ははたと考える。世界の労働者の労働力なのではないか?エネルギー不変の法則は存在する。ゼロからおカネは出てこない。著者は、この本でそのことを説明しただろうか?

    ・経済が社会の「エンジン」で、借金が「燃料」だとしたら、労働力はエンジンに点火するための「火花」で、おカネはエンジンを滑らかに動かし続けるための「潤滑油」だ。
    ←というまとめに私は納得いかない。燃料は労働力だろ?

    著者は、これらの解決策に突然「究極の民主主義」を提案する。まるで「振って湧く」かのように善良な市民が登場するかのごとくだ。そこに至る思考の道筋は、共感するところもあるが、マルクスならば『貧困の哲学』のプルードンを『哲学の貧困』で批判したように、これは「世界が逆さまになっている」というかもしれない。私はマルクスのような頭がないので、著者を論理的に批判出来ない。彼の頭の中には、ホントに生きている市民が、どのようにしたらそういう「究極の民主主義」に至るのか、青写真さえも浮かんでいないように思えるのである。金持ちのための欲望にまみれた経済学者よりも良心的な貴重なものだとはおもうので、誰か根本的な批判が出来ないものだろうか!
    2019年4月読了

  • 本屋さんで、ジャケ買いしました。
    今まで、何冊か、経済学入門というような本を読んだが、実際の自分の生活との関連性が掴めず、ピンとこなかった。
    この本は、今の経済が、どのような歴史の結果、出来上がったのかを、分かりやすく説明してくれているので、私は理解しやすく、これからのことについても、想いを巡らせやすかった。
    特に、政府が景気対策を打った時の事業者の反応を、ルソーの「狩人のジレンマ」と絡めて説明している章を読んで、「景気」という感じをあてている理由が分かった気がした。
    作者は、現在の格差社会を打破するために、テクノロジーを利用するだけでなく、その恩恵を等しく全員で分かち合うように、大幅な社会変革が必要であると述べている。
    今、まさに、社会が大きく転換しようとしている時だと思うので、たくさんの人に本書を読んで欲しいと感じた。

  • 『父が娘に語る経済の話。』
    ギリシヤ元財務大臣 ヤニス・バルファキス著

    1.はじめに
    「FACTFULNESS」は世界を捉える機会の良書とすると、
    こちらは経済活動を知る機会の良書だと考えます。
    二冊に共通していえるのは、複雑な構造、世界をときほぐすプロセスと表現が簡潔であることです。

    2.本を手に取る前に
    巻末の著者の後書きを読んでから購入の判断でもよろしいかと考えます。
    彼がなぜ高校生の娘さんに経済の話しをしようと考えたのか?
    それに共感できるならば、ぜひ世界に飛び込んでみて欲しいです。

    3.私と著書
    著者と同じく年頃の子供がいます。
    大学に進学してから経済について関心をもつはもちろんですが、日常生活の消費活動と経済をつなげて考えるも良い学びと考えます。
    私が読んでいたら「次に読ませて」という流れになりました。タイトルがそうしたのでしょう。

    4.最後に
    著者の意見は極少で、解説が中心です。
    そして、かれが伝えたいことは、子供に限らず、僕たち大人いえ一人ひとりの人間が考えるテーマともいえます。
    「利益中心の経済のシフト。この数百年のトレンドで地球環境も変化した。
    国、民間、銀行そして民がどのように関わりあえたら共生できうるのか?」
    交換経済を何と何で成立させる市場とするのか?
    学校の教科書。
    生きていく、考える機会が欲しいと著書を読了して思いました。

  • オーディブルで購入。「娘に語る」という口調で書かれているため、オーディブルだと講義を受けているようで非常に分かりやすかった。読んでも分かりやすいと思うけれど、個人的には深く理解するために何度も読みたいと思ったので、少々高くてもオーディブルで購入することをおすすめしたい。

  • 長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え2015年のギリシャ経済危機時には財務大臣を務め大幅な債務帳消しを主張し世界的に話題となった著者が、10代半ばの娘に向けて経済とは何かを専門用語を使わずに語った一冊。

    本書を手に取ったきっかけはズバリ「売れていたから」である。やはり売れる物には理由があり、特にそれが世界中でヒットしているというのはそれだけ、普通の人々(高度な知識を持つ人ではない)にも理解されるほど分かりやすいという裏付けになる。

    本書ほど分かりやすい例えを用いて、難解(だと思われている)な現象を説明している経済の本は他にないだろう。

    特に、収容所の中でのタバコの取引を引き合いに出したインフレとデフレの話は登場人物の顔や気持ちがありありと想像できた。

    また、エピローグで「経済学者は神学者や哲学者のようなものだ」としてそのような星占い師のような人間だけに経済を任せてはいけない。と語る姿は、父が娘にこの上なく愛に満ちた説教をしているようであった。

    最近読んだ本の中で印象的な本の中に、「苦しかった時の話をしようか。ビジネスマンの父が我が子のために書きためた働く事の本質」という本(以下A書)がある。A書では、ビジネスマンとして様々な苦境を乗り越えてきた著者が就活を控えた娘に働く事の本質を語っていた。

    この2冊に共通しているのは、多くの人に届けようと最大公約数的に書かれたものではなく、ただの1人に向けて書かれたものであるという事である。ある音楽プロデューサーも「売れる曲はただの1人に向けて作られている」と言っていたが本当にその通りなのだろうと改めて感じる。

    A書との関連している事として、資本主義社会において会社に勤めて働く人々と資本家の関係を思い出した。

    A書の中で「課長、部長、社長という肩書きは優秀な人間を気持ちよく働かせるためのシステムである」と語られていた企業人とは、本書の言葉を借りると「人を支配するには、物語や迷信に人を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。だが一歩か二歩下がって、外側からその世界を見てみると、どれほどそこが不完全でばかばかしいかがわかる」ということではないだろうか。

    もちろん全ての企業人がそうとは言わない。外側の世界を知った上で選択しているのであれば、余計なお世話であろう。ただし、知らないで苦役を売ってお金を手にしている人が多いのは残念ながら事実だと思う。

    この本から得られた事も糧として人生を切り開く一助としたい。

    最も印象に残った言葉は、
    「私たちは探検を止めることはない。そして全ての探検の終わりに出発した場所にたどり着く。そのときはじめてその場所を知る」

  • 恥ずかしながら経済のことを全然分からないまま生きてきて、なんとなく「このままじゃダメだ!」と思って手に取った本。正直に言うとよく理解出来ない部分もあったが(自分の不勉強のせいです……)、この本をきっかけにして「もっと経済を理解しなくては」という意識が生まれた。機械とどう付き合っていくか、環境とどう向き合っていくか、自分なりに考えなくてはならない。平易なものばかり選ぶと思うが、他の経済の本も読んで勉強しようと思う。

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著者プロフィール

1961年アテネ生まれ。経済学者。2015年1月に成立したギリシャの急進左派連合政権(チプラス政権)で財務大臣を務め、国際債権団(トロイカ)との債務再編交渉を担当した。政権入りするまで長年にわたり、英国、オーストラリア、米国の大学で教授職を務めた。大臣職を辞任した後は、民主主義の再生に向けて活動し、世界中の聴衆に語りかけている。2016年からは欧州の草の根政治運動、DiEM25(Democracy in Europe Movement)の顔役を務め、2018年11月には米国の上院議員バーニー・サンダース氏らとともに革新的左派の国際組織、プログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げた。著書は、Talking to My Daughter About the Economy: A Brief History of Capitalism (Bodley Head, 2017)〔関美和 訳『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』(ダイヤモンド社、2019)〕、And The Weak Suffer What They Must? (Bold Type Books, 2016) など多数。

「2019年 『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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