「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478106167

感想・レビュー・書評

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  • クリアカットな体験デザインの構造分析。

    直感のデザイン 仮説→試行→歓喜
    驚きのデザイン 誤解→試行→驚愕
    物語のデザイン 翻弄→成長→意志

    体験→感情→記憶

    驚きのデザインを駆動させる、10のタブーのモチーフが興味深い。

  • 研修でおススメされていたので購入してみた


    昔やったゲームが
    なんであんなに魅力的だったんだろ?なんであんなに夜遅くやってしまったんだろう?
    という点について理論や具体例を挟みながら提示しており、面白かった


    リズムは時間という矢印の上に等間隔で空いている穴という表現や
    次に、は接続詞として魅力的ではないことを理解した

  • この本の名前からは、どのようにデザイナーがユーザーに影響が与えられる方法論を考察した本と受け取られるかもしれない。

    しかし、この本に書かれている内容は、「ユーザーの気持ち」を考えることから全てをスタートさせることを提示し、方法論で終始しない。

    この本では、ユーザーの「脳と心の性質、共通の認識、前提への思い込み、日常への思い込み、疲れや飽き」をスタート地点として、ユーザーに寄り添うデザインの方法を提示してくれる。そして、方法については、心理学などの学問や科学に基づいて理由づけがなされており、納得しやすかった。

    何かをデザインする人・しようとする人は、この本のP96〜99までの部分は必読だと感じている。方法論で終わらないこの本の深さが分かると思う。

    この本を通して、ユーザーを知ることの重要さを再認識した。言葉にすると安っぽいが、方法論などに終始して、相手と向き合うことの価値を低く感じがちな自分には、響いた。

    また何度も読み返すと思う。

  • ずっとゲームのユーザ体験とデザインの絡みの話が続くと思いきや、プレゼンの話になり、子育ての話になった。
    デザインは見た目の良さだけでなく、ターゲットに無意思でどう考えさせるか、思いつかせるか、驚かせるかを語った本。
    この本自体にも仕掛けがありますが、それがねたばらしされた時に気持ちよくなれました。

  • ゲームデザインを題材に、
    人に「つい」やってしまわせるような
    取り組み・仕掛けをつくるための思考法を
    紹介してくれている本です。

    1人というよりは大多数の方に
    上手く行動してほしい、協力してほしい
    と思ったときに参考にしたい事例が多かったです。

    たかがマリオでもそれだけのことを考えて作ったんだ、
    逆にそれだけ考えたからこそあれだけ売れたんだな
    と目からウロコな事例が多かったです。

    【勉強になったこと】
    ・直感のデザインの成果は、プレイヤーが
     自身の力で直感的に理解するという体験そのもの。
     つまり、仮説通りにやってみることが出来て、
     その結果合ってた・間違ってたとフィードバックを
     得ることが出来ることこそ、プレイヤーに
     興味を持ってハマってもらう仕掛け。

     直感のデザイン:
      ①相手に「仮説」を立てさせる
      ②実際に「試行」させ、確かめさせる
      ③試行の結果、予想が当たったと
       喜ばせる(「歓喜」)

    ・アフォーダンス
     我々人の脳は、常に「〇〇するのかな?」という
     次の行動について仮説を作りたがっていること。

    ・体験をデザインするデザイナーは、
     ユーザーを起点にデザインする必要があり、
     そのためにはこれが正しいものだといった
     定説のような考えから入るのではなく、
     まずはユーザーに分かってもらうには?
     という視点から入るのが大切。

    ・疲れや飽きがきてしまうのを防ぐためには、
     驚きのデザインを利用する。
     これは、人々の思い込み(前提・日常)を
     うまく利用したもので、
      ①誤解
      ②試行
      ③驚愕
     と予想を覆すような体験をさせること。

    ・企画を立てるときには、
     まずは何をきっかけにやっていくかから考える。
     あれもこれも考えるのは詰め込みすぎで、
     結局何も行動しなくなってしまう可能性がある。
      ・分かりにくいのが問題か?
      ・飽きが来てしまっているのが問題か?
      ・やりがいがないことが問題か?

    ・チームが成長していくためには、
     ①タスクを固有名詞で想起出来るか?
     ②わざと間違ってみたり、間違いを体験させて
      みたりしているか?
     ③立場関係なく、一緒に未知の体験が
      出来ているか?
     の3つが大切。

  • この本の作り自体がつい読み進めてしまうよう秀逸にデザインされていて、面白くあっという間に読んでしまいました。

    ゲームというコンテンツが人にどのような体験を提供しているのものなのか。
    その体験の質を決める、様々な枠組みや仕掛けについてその全容をイメージできるフレームや知識を与えてくれる本です。

    全ては人の脳の機能、記憶や共感についての深い理解から、それらを活用してどのように強い体験を生み出しているのか。深く考えないと気づけないようなゲームの緻密な仕掛けがわかります。

    全てを踏襲できなくとも、直感のデザインのしかた、驚きのデザインのしかた、物語のデザインのしかたなどそれらのパーツは世の中のあらゆるモノやサービスにも活かせる内容。

    文学や小説(テキスト)、マンガ、アニメや映画等の動画など、たくさんのコンテンツが存在し、技術の進歩と共にその在り方も変わってきている中、ゲームは唯一、能動的に試行を求められる点で他のコンテンツとは一線を画しています。

    ゲーム内で表現できることが既存のコンテンツと同質化してきた今となっては、能動的である点で他のコンテンツでは味わえないような体験が得られることからも、進化したエンターテイメントであるということが本書の仕掛けを理解することでもわかります。

  • https://note.com/matchyy/n/n86cf2ec91669

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○ただ絵を見ていただけなのに、心は勝手に動いて、妙に鼻の穴の辺りが気になったりしませんでしたか?そんな心の動きこそが、体験というものの本質です。(P.7)
    ○大切なのは、クリボーが登場する前、プレイヤーがどんな気持ちだったのか・・・いわば心の文脈です。心の文脈こそが体験の意味を決めているんですね。(P.48)
    ○仮説→試行→歓喜という自発的な体験を通して理解した自転車の乗りかたは、もはや一生疑う必要のない心理として血肉となることでしょう。(P.54)
    ○直感的にわかるものは、もはやおもしろいのです。(P.58)
    ○おもしろそうだと思わせることすら捨て去って、プレイヤーが何をすればよいかを伝えることに集中する。これこそデザイナーに求められる最大の試練だといえます。(P.68)
    ○人の行動を変えているのは、シンプルで簡単であるかどうかです。目の前にあるものが、十分にシンプルで簡単であるなら、人は勝手に解いてしまいます。(P.78)
    ○学習心理学に置ける「初頭効果」。時間をかけて学んで行く時、体験のはじめ頃に集中力や学習効果が高まる、というものです。スーパーマリオは、しっかり学んでもらわなければならない4つのアイテムを、プレイヤーの集中力の高い最序盤に集中させることで、複雑さ・難解さを回避しています。(P.86)
    ○プレイヤー全員が持っている記憶さえ把握できれば、そこから体験をデザインできる(P.94)
    ○マリオとゼルダ、それぞれが直感を生み出す原動力をまとめます。
    ・マリオの例では、人々に共通する脳や心の性質を利用している
    ・ゼルダの例では、人々に共通する記憶を利用している(P.96)
    ○私たちの脳は、いつだってこの世界を理解したがっています。そんな脳がゲームを好むのは、ゲームが直感的な理解という体験をもたらしてくれるからであり、プレイヤーに寄り添った体験デザインの結果だといえるでしょう。(P.100)
    ○「ぱふぱふのようなくだらない話なんて出るはずない」と思わせたとき、はじめてぱふぱふは意味を持つ。(P.120)
    ○「その体験は、性格が出るか?」と問いながらデザインするとよいでしょう。(P.152)
    ●『ラストオブアスリマスタード』『風ノ旅ビト』(P.166)
    ○「笑いとは、緊張と緩和である」(P.188)
    ○私たちの心は、解決済みの問題に対してはあっさり緊張感を解いてしまう一方で、まだ解決しきれていない問題へは緊張感を保つ・・・そんな心の性質を指します。まだ難しいので、かんたんにまとめます。「問題が未解決のままであれば、緊張感を維持してもらえる。」(P.210)
    ○プレイヤーに「もっとうまくなりたい、成長したい」と本気で思わせるためには、失敗させたうえで自分事として後悔させるしかないからです。その代わり、ゲームは後悔の100倍はプレイヤーを褒め、お前はうまくやっているとも伝えています。あえて強く表現すれば、ゲームはいい塩梅でプレイヤーを褒めたり貶したりしているだけ、とすらいえます。(P.222)
    ○面倒な同行者は、主人公の冒険を邪魔し、悪態をつき、不可解な行動ばかりします。そんなとき、プレイヤーと主人公はこんな状態になります。
    プレイヤー「同行者、腹立つなぁ」と主観的に感じている
    主人公  「同行者、腹立つなぁ」と主観的に感じている
    気持ちの向きが見事にそろいましたね。(P.238)
    ○物語の終わりにプレイヤーをスタート地点に戻すというデザインです。
    英雄の旅の最終ステップが「家へ帰る」である理由も同様です。物語を通り抜け成長した者に、みずからの成長を気づかせたいからこそ、わざわざ家というスタート地点に戻し、物語を通り抜ける前の自分を思い出させ、ひいては体験を通り抜ける前後の自分を比べさせているのです。(P.260)
    ○1 わかりにくいことが問題なら、直感のデザインを応用する
    2 疲れや飽きが問題なら、驚きのデザインを応用する
    3 やりがいがないことが問題なら、物語のデザインを応用する(P.285)
    ○もしあなたが企画を考えなければならないとき、他人について考えることを止めて見ていただきたいのです。そのかわり、あなた個人のプライベートについて考えて見てください。プライベートが露わになればなるほど、あなた自身を驚かせ、興奮させることができるはずです。(P.286)
    ○懸命にプレゼンを聞こうとしている聞き手を助けると思って、以下のモチーフを話の端々に意識的に差し込んでみましょう。
    性/食/損得/承認
    けがれ/暴力/混乱/死
    射幸心と偶然/プライベート(P.299)

  • 前半の直感のデザインはよくできてる。驚きのデザインと物語のデザインはヒントにこそなれ少し根拠に乏しいというか知らないゲームの話じゃいまいちわからん。でもまあ良い本だと思います

  • 劇中劇といいましょうか。
    体験デザインに関する読書体験をデザインする、という二重構造。様式がわかりやすいので、勘がよければ初めの10ページ(実質半分なので5ページ)でこのギミックに気づくようになっている。
    デザイン通りの体験をさせられている事に仮に気づいても、それに乗っかりついつい読み進めてしまう作り。300ページあるように見えて、内容と行間つめたら50ページほどではなかろうか。。しかし、内容が薄かろうがなんだろうがページをテンポよくめくる快感はたまらない。キルケゴールを1日1ページ理解できなくて煩悶した体験とは雲泥。
    筆者の言葉にもあるように、この本は二度読むものではない。ネタバレが後書きに書いてある。推理小説みたいなものだ、それも上質な部類のもの。
    もっと素直にコンパクトに知識を披露してもらっても、構わなかったのだが。筆者の性分なんだろう。

  • つい、読み進めてしまう本

    体験デザインの体系を本全体でレクチャーしてくれる。直感、驚き、物語、それぞれのデザインをうまく使い分けて、人を動かせる力をつけたいな、とシミジミした

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著者プロフィール

玉樹真一郎(たまき しんいちろう)
1977年生まれ。わかる事務所代表。元・任天堂Wiiディレクター/プランナー、八戸学院大学地域経営学部特任教授、NPO法人プラットフォームあおもり理事。東京工業大学・北陸先端科学技術大学院大学卒業後、任天堂に入社。プログラマーからプランナーに転身し、「Wii」の企画担当として各種業務を幅広く統括。2010年任天堂を退社後は、青森県八戸市にUターンし独立・起業する。代表作に『コンセプトのつくりかた』。2019年8月8日、『「ついやってしまう」体験のつくりかた』を刊行。

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