組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす

  • ダイヤモンド社
3.98
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478106440

作品紹介・あらすじ

組織開発とはなにか。なにをきっかけに生まれ、いかなる変遷を経て発展してきたのか。本書では組織開発の思想的源流をデューイ、フッサール、フロイトに求め、そこから今に至る100年の発展の歴史を跡づける。さらに現在の組織開発のさまざまな手法を解説し、5社の企業事例を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 「組織開発の探求」というタイトルだけど、内容的には、「組織開発の歴史」という感じの内容が大部分だな。

    これが、でも実に目から鱗がポロポロと落ちまくる内容。

    なんとなく、こんなもんだろうと思っていたことが、どういう哲学、心理学的な背景をもちつつ、また世の中の状況とか、企業環境とか、経営学の流れともシンクロしながら、発展、変化してきたかがとてもクリアにわかる。

    それは、単に知的に「組織開発」の歴史が理解できてスッキリした以上のものがある。

    自分がこれまで、なんとなくそういうものだと思ってやってきた「作法」が、先達のどういう志や思想、知恵、努力の積み重ねの上に成立してきたものかが、わかって、感謝しかない。

    やっぱ、一つひとつのことをなぜそうするのかを深く「探求」したうえで、やっていこうという思いをもった。

    そういう意味では、まさに「探求」の本だな。

    そうしたオリジナルな知恵・ツールを尊重すると同時に、本に書いてあることをそのまま現場に持ち込むことの危険性も言及してある。わたしはどちらかというと、「あえて」本に書いてある通り、あまりアレンジせずに一度やってみて、どうなるかを見てみる、というやり方をやっている。つまり、日本とか、会社の状況を「忖度」しすぎると、もともとのツールのパワーが落ちてしまう気がしているから。。。

    でも、今後、もうちょっとこの辺の応用は柔軟にしないとな。。。。

    あと、組織開発は、人間的なソフトな側面にフォーカスするものではあるけど、経済的なハードな側面との関係にも意識を向ける必要も書いてあって、ここは全くそうだと思うな。

    全体と部分、ハードとソフト、定量と定性、まさにインテグラルに捉えて、どう進めていくかを考える必要があると思う。

    それにしても、この本の日本の状況に関する議論とか、ケースを読んで、アメリカの状況との差に暗い気持ちになり、さらに自分の状況とを比較して、最後は、暗澹たる気持ちに落ち込んでしまった。

    というのは、個人的な問題で、この本は、本当にすばらしい。

    組織開発に関心のある人、全ての必読書だな。

  • 組織開発において、実践者として手法やテクニックではなく、その背景や思想を理解したうえでマインドセットを持つことの大事さがヒシヒシとわかる本。
    人材開発と組織開発の第一人者同士の共著というのもあって、隣接する分野のつながりも理解しやすく書かれている。思想や理論を読んだ後に実践編の具体例を読むと、冒頭に書かれていた風呂敷のニュアンスがよくわかった。その組織に合う形に落ち着くまでコツコツ対話を重ねて、その流れを積み重ねるのが重要だと胸に刻みます。

  • 3.8

  • 組織開発には診断型組織開発と対話型組織開発の2パターンある。診断型は現実をデータなど客観的事実であると考える一方、対話型はその瞬間の対話の中には存在するため、現実は変化するor複数存在する。この診断型と対話型の両方を使いこなせると、組織開発としてチームにより良い影響を与えられるのではないかと思う。
    ただ、書籍の量が膨大なため、読了には根気が必要。

  • ・組織開発=漢方薬による体質改善
    ※体質がすぐに改善されるわけではない
    ・デューイの「経験と教育」、フッサールの「現象学」読む

  • シンプルかつ体型的に組織開発について外観をつかめた。
    当初は、知識をつけ、Howを振り翳しそうになったが、
    本書を読んで、本質的には、
    「やってみようとすること」が何よりも組織開発力を
    身につける最良であると学んだ。

  • 組織開発とはなにか、そしてこれまでどのような歴史を経て発展(あるいは衰退)してきたのか…背景となる哲学や心理学の系譜も踏まえながら、組織開発についてかなり欲張って一冊の本にまとめられているなという印象。分厚いが、厚みだけではない重厚さ、組織開発が扱う領域の広さと深さを感じられる本書。組織開発について学びたい、実践したいならまず読むべき本。

  • ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 )

  • 組織開発とは何なのか。
    どのような理論があり、どのような実践が可能なのか。
    組織開発100年の歴史を遡り、思想的源流から手法までを詳細に解説していきます。
    組織開発を知りたい人には、必読の一冊です。

    組織開発は、非常にパワフルな手法である一方で、用いられ方を間違ってしまうと、大きなリスクや危険を個人や組織にもたらしてしまいます。いったい組織開発のどこに危険が潜んでいるというのかというと、組織開発が「集団精神療法」の影響を受けて発展してきた、という、この歴史的事実にあります。組織開発をこれから企業で導入する場合には、ぜひ、組織開発をする側のファ シリテーターの経験、履歴などを前もってしっかりと調査していただければと思います。組織開発は「何をするか」も重要ですが、「誰とするか」も極めて重要です。 ー 262ページ

  • https://www.diamond.co.jp/book/9784478106440.html

    内容紹介
    組織開発とはなにか。なにをきっかけに生まれ、いかなる変遷を経て発展してきたのか。本書では組織開発の思想的源流をデューイ、フッサール、フロイトに求め、そこから今に至る100年の発展の歴史を跡づける。さらに現在の組織開発のさまざまな手法を解説し、5社の企業事例を紹介する。

    目次・著者紹介詳細を見る▼
    目次
    はじめに


    第1部:初級編 組織開発を感じる

    第1章 組織開発とは何か

    1. 組織開発の定義
    2. 組織開発は風呂敷である!?

    第2章 組織開発を“感じる”ための3つの手がかり

    1. 1つ目の手がかり:「組織開発とは組織をworkさせる意図的な働きかけ」である
    2. 2つ目の手がかり:「組織開発に注目が集まる背景」を理解する
    3. 3つ目の手がかり:「組織開発のステップ」
      コラム●対話と議論の違い
    4. 組織開発の5段階実践モデル
    5. 企業における組織開発の実際
    6. より開かれた議論へ:組織開発と党派制

    第2部:プロフェッショナル編(1) 組織開発の歴史学

    第3章 組織開発を支える哲学的な基盤

    1. 組織開発の3層モデル
    2. 哲学者ジョン・デューイ:経験と学習の理論
    3. フッサールの現象学:「今 ── ここ」の理論
    4. フロイトの精神分析学:無意識の中の抑圧を顕在化させる
    5. 組織開発を支える哲学的基盤のまとめ

    第4章 組織開発につながる2つの集団精神療法

    1. 集団精神療法とは何か
    2. モレノの心理劇
    3. パールズのゲシュタルト療法

    第5章 組織開発を支える経営学的基盤

    1. テイラーの科学的管理法
    2. メイヨーの人間関係論
    3. 行動科学の登場
    4. バーナード以降の近代派

    第6章 組織開発の黎明期

    1. Tグループの始まり クルト・レヴィンの社会実験
    2. Tグループとは何か
    3. クルト・レヴィンのさらなる発明
    4. クルト・レヴィンと組織開発
      コラム●ジョハリの窓
    5. ST(sensitivity training):感受性訓練の発達
    6. ロジャーズのエンカウンターグループ
    7. イギリスでの動き:グループ・アプローチから社会技術システム・アプローチへ

    第3部:プロフェッショナル編(2) 組織開発の発展

    第7章 組織開発の誕生

    1. アンブレラ・ワードとしての「組織開発」
    2. 1960年代の組織開発
    3. 組織開発の定義
      コラム●組織開発の定義における効果性と健全性について
    4. 組織開発の基本的な進め方
    5. 組織開発の青春時代

    第8章 組織開発の発展

    1. 組織開発をめぐる環境の変化:1970年代
      コラム●経営学の理論的系譜と組織開発の変化
    2. 診断型組織開発の確立
    3. 組織開発実践者のためのトレーニング
      コラム●ゲシュタルト組織開発について
    4. 組織開発の「風呂敷化」が進む:1980年代
    5. 組織開発は死んだ!?:1990年代

    第9章 日本における組織開発

    1. Tグループの日本への導入
      コラム●組織開発の実践者に求められること
    2. 日本のODブーム
    3. 組織開発から小集団活動などへの移行
    4. 大学におけるTグループと組織開発研究
    5. バブル崩壊による組織開発の衰退
    6. 組織開発ブーム再燃

    第10章 組織開発と「似て非なるもの」の暴走

    1. ファシリテーターの質
    2. 自己啓発セミナーの暴走

    第11章 組織開発の復活 組織開発の見直しと対話型組織開発の広がり

    1. 組織開発の見直し
    2. 強みに着目する組織開発:AI
      コラム●社会構成主義とは何か
    3. ホールシステム・アプローチの広がり
    4. 対話型組織開発というコンセプトの出現
      コラム●診断型組織開発と対話型組織開発は二分できるのか?

    第4部:実践編 組織開発ケーススタディ

    Case1:キヤノン

    社内コンサルタントが支援するCKI活動

    Case2:オージス総研

    現場を巻き込んで風土を改善する「アジャイル改善塾」の仕掛け

    Case3:豊田通商

    働き方改革と「いきワク活動」の取り組みについて

    Case4:ベーリンガーインゲルハイム

    人事ビジネスパートナーによる組織開発

    Case5:ヤフー

    組織課題に合わせて進化する組織開発

    第5部:対談 「組織開発の未来」

    組織開発は「経営に資するべきもの」か「人に資するべきもの」か

    ・経済的な価値と人間的な価値が二律背反するものであるとする議論自体を超える
    ・対話によって教条化した組織開発像を超える
    ・組織開発は、実践者の数だけある
    ・組織開発実践者の人材開発
    ・組織開発はマネジャーの武器になる
    ・労働人口が減少する中、日本の経営がなすべきこと

    おわりに


    索引


    組織開発の系譜

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著者プロフィール

立教大学経営学部教授

「2021年 『中小企業の人材開発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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