苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478107829

作品紹介・あらすじ

2019年7月2日、「丸亀製麺を復活させた、刀の意外な戦略」記事で話題になった一冊。

「何をしたいのかわからない」「今の会社にずっといていいのか」と悩むあなたに贈る必勝ノウハウ。
悩んだ分だけ、君はもっと高く飛べる!
USJ復活の立役者が教える「自分をマーケティングする方法」。
後半の怒涛の展開で激しい感動に巻き込む10年に1冊の傑作ビジネス書!

感想・レビュー・書評

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  • (2020/04/28-29 再読)

    「昨日と今日で全く差がない毎日を100年続けたって,問題は何も解決しないよね?どうしたら良いと思う?」

    この言葉は,本書の冒頭で4人の子供を持つ父である著者が,進路に悩む娘に向けてかけた言葉です.

    この言葉は,就活に望む学生だけでなく,多くのキャリアを考える人々には刺さるのではないでしょうか?

    本書はビジネスの最前線で生きてきた実務家としての視点を子供の成功を願う父親の執念で書き出したものです.キャリアを考えるすべての人,また新卒として入社して優秀な同期や先輩との能力差に愕然としている人にとっては参考になる部分が多いでしょう.

    例えば,就活活動を目の前にして,このような考え方を持つ人は少なからずいると思います.

    「やりたいことが見つからない.それは,世の中にどのような職業選択の可能性があるか良く分からないからだ.だから,様々な業種の話を多く聞いて企業分析する必要がある」

    一見まともな意見に見えます.自分もそう思っていました.しかし,著者はそれは本質ではないと以下のように語っています.

    「仮に,世界中に存在する全ての職業オプションを頭に入れて,興味を持った順番に何百種類かをピックアップし,理解するためのオリエンテーションを得る時間が許されたならば,君のやりたいことは見つかるだろうか?私はそうは思わないのだ.ますます迷って君の悩みはもっと深くなるだろう.」

    ,,,きっと間違いないでしょう.選択肢が増えれば増えるほど人は迷うものです.著者はこう続けています.

    「問題の本質は外ではなく,君の内側にあるのだ.やりたいことが見つからないのは,自分の中に「軸」がないからだ.(中略)君が真っ先に悩んで,そして最後まで集中して考え抜くべきなのは,君のキャリアにとって重視すべき「軸」なのだ.」

    著者が言うように,そして多くの人がそうであるように,人が迷うのは軸がないからだと思います.仮に軸があれば,悩むことはあっても迷うことは無いでしょうから.

    例えばAを取るかBを取るかという状況で,「どちらにしよう?」と考えるのは「迷い」ですが,「Aは軸に合っているか?」と考えるのは健全な「悩み」でしょう.

    著者は,私を含む迷える子羊達へ助言を述べています.

    「キャリア戦略とは,その人の目的達成のために,その人が持っている”特徴”を認識して,その特徴が強みに変わる文脈を探して泳いでいく,その勝ち筋を考えるということだ.

    「就職活動とは,まるでどこかに一つしかない正解を探して追い求めることで,それを見つけ損なったら人生が大失敗するような不安がつきまとってはいないだろうか?(中略)運命の出会いというものがあって,どこかにあるそのたった一つの正解を探さないといけないと思っていないかな?(中略)そういうことでは全く無い」

    不正解以外は全て正解であることを念頭に,決定的に向いてない環境を選択しないよう自己分析を継続します.

    また向いている職種について,どの職能においても重要なビジネスパーソンとしての基礎能力をT(Thinking),C(Communication),L(Leadership)のバランスを考えることが重要であると問いています.

    今回は自己分析も兼ねて対象は「僕自身」として実施します.みなさんも実施する際の参考にしてください.

    自分の全能力を10とするなら,T:C:Lは2:3:5くらいだと認識しています.つまりLの人です.本書で述べられている特徴と比較検証します.

    Lの人は以下のような特徴があるそうです.
    「達成感を味わうことが生きがいなので,趣味もその嗜好を反映したストイックなものが多い.」

    そうかも知れません.読書や筋トレは典型的なそれでしょう.納得です.

    「Lの人が向いている職能の代表的なものとしては,組織統括能力や意思決定能力を磨いていった先に,管理職,経営幹部,経営者などのマネジメント職がある.また,横方向でもチームを束ねて目的へ向かって推進していく仕事,プロジェクトマネージャー,プロデューサー,研究開発リーダーなどに向いている.」

    かなり自分の理想像に近い言葉が並んでいます.研究開発リーダーになるか経営者に向かうかが悩みどころです(もちろんまだまだ努力は必要).ただ,この路線で良さそうだと直感しています.従って,この分析は比較的有益であると考えました.

    加えて著者は各能力をどのようにして伸ばすかの示唆をも与えてくれています.

    「Lの人は,人に結果を出させる強みに長けている人が多い.Lの人が本領を発揮するのは ”組織” を預けられた時だ.自分が直轄する組織の統括はもちろん,関連する他部署やキーパーソンを巻き込んで,目指している目的に向かって集団としてのパフォーマンスを向上させる.そのためにはどの職能から始めたとしても早く管理職に上がっていくことを目指すべきだ.上に上がるほど力を発揮できる可能性が高い.」

    幸いにも博士後期課程に進学してから研究室の業務,特に学生の取りまとめを任されています.これは狙った結果ではありませんが,新卒で企業に入社していたら経験出来ていなかったでしょう.この環境に感謝しつつ,後輩の相談に乗ることで結果を出させるなど,Lの人としての能力を向上させます.

    最後に,著者が自身の子供を初めて抱えたときのシーン描写がリアルで大好きなので引用させてもらいます.

    「もう人でも熊でも何でも一撃で倒せるし,空も飛べるし,世界も征服できる!という ”全能感” が突然やってきた.根拠は何もない.しかし「なんでもできるぞ!」という ”確信” が突如として心のド真ん中にドーンと現れた!」

    それほどまでに大きな影響を及ぼすのでしょう.周りのパパやママにも聞いてみたくなりました.

  • 恐らく誰もが感じる社会人デビューして体験する地獄の日々。
    精神的に追い詰められながも必死に答えを探し進み続ける筆者は強いと感じた。

    さらに親になり子どもに生きる意味を見出す。
    誰かのために生きる大切さ、生きる目的、頑張る理由で人は強くなれる。

    この著書は親バカが娘に少しでも良い人生を送って欲しい思いが詰まっている。

    ただ、筆者の経歴は一般的でなくキャリア形成の成功者である。
    本の随所にピンチが訪れるが上手く切り抜ける実力がある場合のストーリーである事を忘れてはならない。

    あとマーケティングに興味がない人には蛇足がある。

  • 本書は著者の森岡さんが就職活動を前にして「やりたいことがわからない」という大学生の娘さんに向けて書いたものがベースだそう。
    同じく「やりたいことがわからない」私自身にとても響いた一冊だった。

    そもそも”キャリア”とは:神様のサイコロによる”ランダム”で”不平等”な”残酷な世界”と向き合って、自分はどうやって生きていくのか?という質問に対する答えなのだ、と森岡さんは述べている。
    そして「神様のサイコロで決まった”もって生まれたもの”を、どうやってよく知り、どうやって最大限に活かし、どうやってそれぞれの目的を達成するのか?」というのが、本書の内容だ。

    理系修士で少し就活をしてみるも、「これといって特にやりたいことがわからないし、とりあえず研究好きだし、あと3年かけてゆっくり考えよう」と博士課程に進学した私が読んで思ったことを添えつつ、まとめたい。

    まず1章では、「やりたいことがわからない」という問題の本質が「選択肢をまだよく理解していない」というような外側でなく、「自分自身に軸がない」という内側の問題であるという指摘が心に刺さった。確かにそうかもしれない。しかし私の「軸」とは?
    ここで森岡さんは「最終的には、今の君の精一杯の価値観で、君が「軸」を決めるしかない。」と言い、軸をもとにキャリア戦略を構築する重要性を強調する。

    2章では資本主義の本質が述べられる。これにはハッとすることがとても多い。資本主義社会とは、サラリーマン(自分の24時間を使って稼ぐ人)を働かせて、資本家(他人の24時間を使って稼ぐ人)が設ける構造である。そんな視点を得た上で敢えて情熱を傾けられる好きな道に進むべきであり、最大限追求すべきは自分自身の成功確率を最大化することだという。そのために、自分にとっての成功を定義づける目的を明確にすることが必要だという。私にとっての「自分の成功を定義づける目的」とは一体なんだろう?

    3章でようやく目的の立てかた、軸の見出しかたにヒントをくれる。と思いきや、やっぱり少し難しい。森岡さんも「自分の未来を考えてもぼんやりしているし、やりたいことはよくわからないのに選択肢ばかり多すぎて訳がわからないだろう」と同情してくれる。その上で、将来変わるとしてもベースとなる大きな目的を持つ方が良いと述べ、どんな状態であれば自分がハッピーかという理想”状態”から発想することを推奨する。しかし、それもそれで難しい。選択肢を広げるだけ広げてきた私の未来はあまりにぼんやりしすぎている。ここで、森岡さんの「”文脈”から”強み”を見つける最大の近道」を試してみると、確かに納得できる自分の強みが浮かびあがってきた。このエクササイズは自分の持っている凸凹がどんなものかに気付くためのもので、ざっくりとした自分自身の特徴と、それにあった職能の傾向を考えるものである。是非本書を読んでやってみて欲しい。しかしまだ、私の「軸」や「目的」が浮かびあがって来ず、焦る。

    4章では自分をいかにマーケティングするかということを具体的に述べている。例えばプレゼンや面接では、自分自身のブランドを確立しておくことによって「上手に話そうという気負い」がなくなり「自分が信じていることを精一杯同じように伝えるだけ、中身で勝負」というメンタルになれるという。ブランディングの概念や重要性はすんなりと伝わってくるものの、自分をブランディングすることは難しい。だって「軸」とか「目的」とかまだ明確じゃないし。そう感じる私に、森岡さんはめちゃくちゃ詳細にブランディングしてみる方法を教えてくれた。ここでは納得してもしなくても,ひとまず森岡さん方式で設計図を書いてみると良いと思う。ブランディングの設計図を書き終わったあたりで、森岡さんは、躍起になるべきは「ブランドを構築する一貫した行動と、結果を出すことにこだわること」だと言う。

    私はここでようやく「今、私自身がもっている軸を手探りで探そうとするのではなく、強固な軸をこれから作っていけば良いんだ」と気が付いた。幸い、それができるだけの経験や挑戦はある程度積んできたし、ヒントも十分与えてもらった。なんかできる気がする。という気持ちになった。
    ここで1章から本書を読みなおすと、最初に読んだときは「軸」とか「目的」とか、難しすぎる!と思っていたのが、色々と納得できて、すんなり自分に入ってきた。そもそも森岡さんは1,2章で、「目的は仮設でも良い」とか色々言ってくれていたけど、納得せずに飲込むのは難しい。
    飲み込んだ上で何をすべきか、自分が自分の人生を生きるための戦略としてどう活かすか、それは私次第だろう。

    5章は森岡さんの経験談から、人がどんなときに耐えがたく苦しくなるのかを述べ、6章はどう自分の不安や弱点と向き合って成長していくかを述べている。
    なんかもう、森岡さん、熱くてカッコ良い。

    2019年に出版された本書を、学生のうちに読むことができて、本当に幸運だったと思った。

  • ライフシフトに影響され、人生100年時代に合った働き方を模索する中、尊敬する森岡さんがキャリアの本を出されたので、つい。
    専門性のある職能を身に付けろという趣旨で、ローテの多い日系大企業での総合職&器用貧乏な自分には耳の痛い話も多いですが、ピシリと言われて良かったかなとも感じます。

    そして、森岡さんがこれまで大変な苦労や努力をされてきたことがよく分かりました。
    正直私には森岡さんのような猛烈な生き方・働き方は出来ませんが、my brandは参考にしたいなと思いますし、早い段階で自分のことをよく理解しておくべき、だというのが肝と感じます。

    他人と比較して優劣を決めるのではなく(何事も上には上がありますので)自分の中で得意なものを大切に磨きまくろうと思います。

    読み物としては最後のお仕事での実体験のパートが生々しく最も面白かったです。

  • これからのキャリアを選んでいく、娘に向けた父親のメッセージ。

    自分がどういう人間で、どんな強みがあって、というのを、著者の専門のマーケティングの視点から解説しています。
    何より大事なのは、人生の目的、と説いています。

    これから変化してもいい、更新されてもいい、今の自分が思う「どんな人生ならハッピーか」というのを決める。
    それを実現するためには、という逆算の考え方で、細かく落とし込んでいました。

    ご本人がどこまでも努力されていたからこそ、たくさんの壁を乗り越えてきたからこそのメッセージだと感じました。

    これからの自分の強み、人生の目的の大切さを学べる一冊です。

  • 私と同世代の著書が、就活を向かえる20代の娘のために書き溜めてきたメモを本にしたもの。

    前書きにもありましたが、そのメモを見た編集者が、これは全ての世代のビジネスパーソンに響く内容と感じてすごい本になる!と確信し、出版に至った本。

    たしかに、その通りの内容でした。

    自身のキャリアを改めて振り返ることや、自己の能力に対する認識や、自分が身を置く環境の理解なと、様々な視点を改めて理解させてくれます。

    何より、もともと娘へのメッセージですので、ものすごく愛があり、勇気を与える言葉が詰まっています。

    自分自身も、親であり、著者と同世代のビジネスパーソンであり、プロとして社会の役に立ちたいと思っている者です。

    私と同じように、既に社会人としてのキャリアが長いひとにとって、本書は「働くことの本質」を考え、深め、振り返られる、そんな一冊だと思います。

  • サブタイトルは「ビジネスマンの父が我が子の多面書きためた『働くことの本質』」。里緒ちゃんにも推薦したいタイトルですが、まずは自分で読んでみようというのが動機。いくつか心に残った言葉。強いて言えば、以下の4つ。

    ・君がコントロールできる変数は、 ① 己の特徴の理解と、 ② それを磨く努力と、 ③ 環境の選択、最初からこの3つしかない のである。

    ・具体的な〝こと〟から発想するのではなく、〝どんな状態〟であれば自分はハッピーだろうかという未来の理想〝状態〟から発想すること である。

    ・Tの人(Thinking)、Cの人(Communication)、Lの人(Leadership)の3分類

    ・大切なことは自分の強みで戦うしかないことと、自分の強みを知っておくことの2つ。

    多分、森岡さんという人を知り、ある程度聞く耳をもって読まないと、特に若い人は素直に受け入れられないかもしれない。でも、最後のP&G時代のアメリカ時代の話は良かった。マイノリティとして苦労して結果を出したからこそ語れる話かなと思った。もう少し森岡さんの本を読んでみたいと思いました。

  • どんな職能に就きたいとか、どの会社に入りたいかなんか具体的に見えなくて良い。
    理想の状態を考えて、それに向けてのスキルや経験が学べるかが重要。
    「理想状態からの発想法」

    転職をする上でとても参考になった本です。著者のハードな経験も踏まえて、中身の濃い、思いが伝わってくる本でした。こんな親父がいたら良いなあと思いつつ、自分の肉親だったら、そのありがたみが分からないだろうという気もします笑。

  • 仕事で数々の業績を為し得てきた著者が
    娘さんのために書いたものが原本ということで
    意識高い系の就活指南本よりも愛する者を
    思って書き連ねた言葉が親身で、スッと入ってくるよう。
    これから新卒で就活する人にとってよい本だと思うし、
    転職を考える人にも改めて自分を見つめなおしを
    させてくれる本だと思う。


  • 「この世界は残酷だ。しかし、それでも君は確かに、自分で選ぶことができる!」

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著者プロフィール

戦略家・マーケター。高等数学を用いた独自の戦略理論、革新的なアイデアを生み出す ノウハウ、マーケティング理論等、一連の暗黙知であったマーケティングノウハウを形式知化し「森岡メソッド」を開発。経営危機にあったUSJに導入し、わずか数年で劇的に経営再建した。現在は、マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を率い、マーケティングによる日本の活性化に邁進中。

「2018年 『マーケティングとは「組織革命」である。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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