若い読者に贈る美しい生物学講義 感動する生命のはなし

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478108307

感想・レビュー・書評

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  • 生命とは、進化とは、遺伝とは、死とは、多様性とは、生き延びるために必要な生存戦略とは――。本書は、読者に向けて、生命とは何かを平易な言葉で伝える、いままででいちばんわかりやすく、いちばん感動的な生物学の本となる。


    …とのこと
    科学の知識欲を満たしてくれそう!
    ん?よく見たら「若い読者に送る」とある…
    躊躇いながら中をめくると「自分が若いと勝手に思っている読者」なら100歳以上の人にも読んでほしい…
    とある
    よしよし、安心して読める(笑)
    学校以外で生物学なんて学んだことがない
    どんな内容なのかとワクワク

    気になったことのまとめ

    ◎生物の定義(3つの条件)

    ①外界と膜で仕切られている
    ・この膜とは主に「細胞膜」のこと すべての生物は細胞でできており、その細胞は細胞膜で包まれている
    ・以下②代謝を行ったり③複製をつくるには、化学反応が必要 そのため、膜で仕切られた内部なら、化学反応の濃度を高めることができ理想的な環境となる
    ・「細胞膜」には細胞内の環境を一定にたもつためにドアがある
    ・「細胞膜」は何十億年も進化していない、またあらゆる環境のあらゆる生物の細胞膜は同じ「リン脂質二重層」

    ②代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う
    ・エネルギーの流れは、運動してお腹が空いたからご飯を食べて、エネルギーを補充し、熱エネルギーとして散逸
    ・物質の流れは、食事や排泄、また細胞の生まれ変わりにより、死んだ細胞が剥がれ体外へ排出される

    ③自分の複製を作る
    ・大人になる数より多くの複製を作ることで生き続ける
    ・自然選択が働きながら存在し続ける
    自然選択によりさまざまな環境に対応できるようになり、複雑化、多様化し地球に満ちた


    ◎生物は大きく3つのグループに分けられる

    ①真核生物
    ② 細菌(真正細菌・原核生物)
    ③アーキア(古細菌・原核生物)

    ※動物や植物は真核生物

    〜ここでは分類や系統の違いや、分け方の定義やそれぞれの特徴が説明されている
    面白いのは系統からマグロを見た場合、サメよりもヒトのほうが近縁となる(見た目ではない)
    また動物や植物以外の目に見えない生物の種類の多さには驚いた
    例えば腸内細菌はおよそ1000種類もあり個体数は1000兆個!
    さらに目に見えないため、人間が見つけられている種類がなかなか増えないとのこと
    そう大きいからって地球上で偉いわけじゃないんだ!みんな共存しているから存在できるんだ!


    ◎植物

    ・動物の体の材料も、動物が動くためのエネルギーも、元は植物からもらったもの
    ・植物は自分で有機物を作ることができる
    (光合成)、動物は自分で有機物を作ることができないため、他の生物を食べて有機物を手に入れる
    地球で生物が繁栄していられるのは、光合成のおかげ

    〜ありがとう植物さん達!
    植物の電気信号、樹齢の測定法が炭素によりわかること、樹木は実は大部分が死んでいる…などかなり興味深い
    植物は凄い!と改めて実感
    …人間いばりすぎだよなぁ
    植物がいなかったら存在できないのにさ


    ◎動物の前と後ろ

    ・動物の前と後ろは何でわかるか
      動くほうが前
      口がある方が前
    食べ物を食べに動く(後口動物)

    動物の卵が成体になる過程に答えが
    細胞分裂をくりかえす過程で丸かった受精卵が胚となり一箇所が凹んで反対側まで空間が達して出来た筒状の穴が消化管

    〜なるほど
    最初に生きて行く上で大事なところが形成されるんだ
    この消化管の一部が膨らんで復路になっていく これが実質臓器
    肺も同じように作られる 消化に関係していないが消化管につながった袋のため、食べ物を間違えて(肺につながる)気管につまらせる事故が起こるということ
    物事はきちんと、理由があるのだ
    人の身体の仕組みは深くて面白い!

    他にも、
    人類以外に直立歩行する生物はいない
    減少する生物の多様性
    遺伝の仕組み
    がんは進化する

    と、面白いテーマが盛り沢山あった

    途中で挫折したらどうしよう…(文系人間には理系の本でのあるある)
    と読み始めたのだが、そんな心配を忘れて、結構集中して読めた
    わかりやすい例えも多く、丁寧に解説してくださっており、ほぼ理解できた♪
    それぞれの理由付け解説がなかなか読ませて下さる!
    納得させてあげますから説明させてね…という感じで。

    知的好奇心が満足させられる1冊
    帯にある
    「ふるえるくらい美しい生命のしくみ」
    は大袈裟だが、生物は本当に神秘的なんだからまぁいいんじゃないの?
    印象的だったのはことばを変えて繰り返されていた以下の内容
    人間が生物で一番偉いわけではないということ
    生物に下等も上等もないし、進化の最後の種でもない
    ある条件で優れていても別の条件では劣っているのだ

    本当だよなぁ
    生物の共存をもっと意識して感謝しなくては!

    楽しく知識が増えて大満足の1冊。

  • 「若い読者」とありますが、「自分が若いと勝手に思っている読者」のこと。
    だから100歳越えでもOK!
    「少なくとも80歳のおばあさんと中学生の男の子の2人がわかるように書きました」だそうです。

    高校時代の生物の授業では「ミトコンドリア」という単語しか記憶にないパーな私でも8割位理解できました。
    感動したのは〈約700万年前に人類は一夫一妻的な社会を作りつつ、直立二足歩行と小さな犬歯を進化させたのだろう。人類は平和な生物なのだ〉です。
    もちろん、だからといって人間が高等というわけではありませんけど、独断で高等としてしまおう。

    しかし、まさかこの本で酒について書かれているとは思いませんでした。
    勉強になりました。そしてちょっと反省。

    それから、農業をする昆虫「ハキリアリ」のことが書かれていますが、もしこの本を読んで興味をもったかたがいたら。
    多摩動物公園で見ることができますので、ぜひいらしてください。

  • 「若い読者に贈る美しい生物学講座-感動する命のはなし」
    更科功(著)

    2019 11/27 第1刷発行 ダイヤモンド社
    2020 4/7 第6刷発行

    2020 7/18 読了

    生物としての人間の多様性がこの社会を作っていると思うと不思議。

    生物の機能性が正しく発揮出来るための仕組みがこの社会って事なんでしょ?

    何を食べて、何を着て、何をして、誰と生きていくのか?

    幸せってなんなのか?

    その答えは哲学じゃなく生物学にあるんじゃないのかなぁ…

    大変面白かったです。

    若い読者に贈る…若いっていくつくらいの人を想定してるのだろうか?

    著者の更科功さんより2歳ほどぼくは下なので
    若い読者って事で良いかな?

  • ところにより難しいと感じたところがあったけどとても良い本だと思います。

    生物学を知らない初心者に向けて書かれていていました。特に印象に残ったのはダーウィンの件です。
    自分が思っていた史実とは違ったこと。(一般的に多くの人々が誤解していると思いますが)
    話も生物学の講義を聞いているような語りで進められるので読んでて飽きません。

    教養の一環としてオススメです。


  • 星3〜4くらいの本という印象。

    進化の話とか生物学の話が好きでそういう本を何冊か読んでいる人だとそこまで真新しい内容としては物足りないかもしれない。
    したがって、そういう人にとっては星3相当かもしれない。

    ただし、これは基礎的なことや多くの人が興味がある点について簡単に説明しているため。
    例えば、「生物」とは何かという根本的な定義について、本書は①膜に包まれていること(いわゆる細胞膜があること)、②代謝すること、③複製すること(≒繁殖すること)、という性質を挙げている。
    そして定義しっぱなしではなく、何故そのような性質が生物であるかを語る上で重要なのか、それはどのような仕組みなのかといったことについて明快に説明してくれる。
    個人的な経験では、生物学や進化の本はこういう丁寧な話の展開を簡潔にしている本はあまり見かけない。
    説明していても面白いところ(著者が語りたいテーマ)のための前提知識として触れるだけか、逆にめちゃくちゃ詳しく説明していてひたすら細部に凝っていて全体像が見えにくかったりすることが多いような気がする。
    そしてイラストがよい。この手の本で挿入されるイラストは分量の水増し的な役割が多い印象だが、本書はあくまでも説明のためにイラストが使われている(章末のイラストは別として)。
    個人的にはこういう基本的な事柄について整理できたし、学術用語をきっちり定義を示して用いてくれるのは、次の読書体験につながるし、知識をざっくり整理できてスラスラ読めて読んだ甲斐があった。

    逆に読書習慣がない人や最近になって何かのきっかけで生物学とか進化の話に興味を持った人にとっては星4以上の価値があると思う。
    学術的な内容を読み物として読みやすいところまで落としこんでいるし、上述の通り「生物学」と聞いてワクワクする人の好奇心を刺激する内容が含まれている。
    ブルーバックスみたいなガッツリ系の本に気後れしてしまう人とか最初の1冊として読むには充分な内容だし何より読みやすい。
    気張らずに「へぇ〜」と楽しめると思う。

    やはり読書は楽しいのが大事。
    知る楽しさを素直に感じさせてくれるところに著者の人の良さを感じた。

  • 根っからの文系の私でも、楽しく読むことができた。高校の生物よりも時事に絡めたトピックで、イラストも可愛らしくて分かりやすい。ノーベル賞を受賞した人がどのような研究で賞を得たのかが分かりやすく書かれていた。

  • 220519*読了
    生物学とは無縁な生活を送ってきました。
    漠然と理系に憧れる超文系としては、ここらへんで生物学の知識をつけたいと思い、入門にふさわしそうなこの本が気になりました。

    はるか昔、生物の誕生の話から、アルコールを飲むと体で何が起きているか、ES細胞とiPS細胞という現代らしい話まで、分かりやすい言葉とかわいらしいイラストで説明してくれています。
    この本を読んだからと言って、自分が生物学に目覚め、生物学者を目指し出すわけではなかったのだけれど、人間も動物も植物も、単細胞生物も、こんなにも多様な生き物が地球にはいるのだから(こんなに多いけれど、現代は数が減っている!)、時々でもこんな風に生き物に思いを馳せたい。
    海から始まり、40億年前から続く命の上に自分が、周りの人たちがいると思うと、壮大な気持ちと愛おしい気持ちになります。

  • 高校生物の授業をかわいいイラストと分かりやすい言葉で教えてくれます。
    著者の更科さんのスタンスというか、書き方が素敵でした。
    最初に科学とはなんぞやから入り、科学の解き方を説きます。そして宇宙や地球や生物の話から、段々と具体的にしていき、花粉やガンの話にまで落とし込む。
    節々に「分かることもあれば分からないこともある。断定できることもそうでないこともある。」的な中立な伝え方をしてくれる。多様性を説くからこそ、読書をどちらにも偏らせない伝え方だなと思った。
    先生の授業を一度聴いてみたいです。

  • ここで言う若い読者は、年齢の事ではないらしい
    いわば意識の話
    現に小学生の息子から、中年の私まで とても面白く読ませていただいた

  • 難しい話がたくさんあったがおもしろかった。
    聞きなれない単語がたくさんあったので、読むのに時間がかかった。
    が、わかりやすい例など入れており、話を身近に感じることができた。
    化学式などもあり、学生時代を思い出した。

    はじめににも記載されているが、「若い読者に」→「自分が若いと勝手に思っている」読者にぜひ読んで欲しい。

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著者プロフィール

更科功
1961 年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。『化石の分子生物学――生命進化の謎を解く』で、第 29 回講談社科学出版賞を受賞。著書に『若い読者に贈る美しい生物学講義』、『ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか―生物の死 4つの仮説』、『理系の文章術』、『絶滅の人類史―なぜ「わたしたち」が生き延びたのか』など。

「2022年 『人類の進化大百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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