独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法

著者 :
  • ダイヤモンド社
3.93
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  • Amazon.co.jp ・本 (788ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478108536

作品紹介・あらすじ

本の読み方、挫折の乗り越え方、時間の作り方、何を学べばいいのか…? 勉強はこの1冊でOK!独学者のバイブルが誕生

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    独学に関する辞書のような書籍。
    噂に聞いてはいましたが、ネット注文で届いた後にビックリ、凄まじいページ数、凄まじい分厚さの本でした(笑)
    タイトルの通り、独学に関するあらゆる技法をまとめてあり、本書には総じて55の技法が書かれていました。
    凄まじい量で読むのに難儀しましたが、書いてある技法は個人的に新鮮なモノも多く、今後も参考にしていきたいと思います。

    個人的に一番ハっとしたのは、本書の冒頭に書いてある文章で、「"どのように学ぶか"よりも"何を学ぶか"、"何を学ぶか"よりも"学び続けるか否か"が重大」と書いていました。
    僕自身、読書は月に10冊程度しておりますが、それは勉強ではなくあくまで娯楽に留まっている気がしてなりません。
    自分の中で「何を学ぶか」といった事もしっかり確定できていませんし、"学び"についてまだスタートラインに立てていないなと反省しました。

    この本の読者層として、勿論すでに独学を始めて習慣化されている方も多いのでしょうが、僕のように「何を学べばいいかわからない」といった方も多いのではないでしょうか?
    僕を含めそういった方々は、本書を読んで独学の素晴らしさを改めて認識し、まずは何を学ぶのかを選定されることをお勧めします。
    (【技法1】の学びの動機付けマップがオススメです)
    そして、試行錯誤を繰り返し、壁にぶち当たった際にはじめて、本書の【技法】の数々が活きてくるのかと思います。

    読んでみて痛切に思った事として、"独学"とは読んで字の如く、孤独さを伴うモノなのかなと感じました。
    もしかすると、内容や運によっては、その学んだことが発揮される場に巡り会えず仕舞いで、報われず終わってしまう可能性もあるでしょう。
    それほどまでに"独学"というのは自身に対してのシビアさが必要で、ストイックなもので、見方によれば苦しさも伴うものかもしれません。

    ですが、何かのプロフェッショナルになりたい方や、思慮深く博識ある人になりたい方にとっては、独学という"修行"は避けて通れないかもしれません・・・
    僕自身、知識の幅や深さをもっと持ちたいと思っている人間の一人ですので、これからも都度テーマを設け、ストイックに勉強を続けていきたいと思います!!
    まずは"何を何のために学ぶか"といったことをしっかりと制定しなくては。


    余談ですが、、、
    今まで書籍を読んで、レビューを書いて、それで終わり!っていうパターンばかりでした。
    読んで満足して何か知識を得た気にはなってはいますが、その知識が定着しているとは言い難く、このあたりは要改善だな~と書いていて痛切に感じます・・・
    (正直、その本がどんな内容だったかさえ、しっかりと覚えきれていない本ばかりです。恥ずかしい・・・)
    本を読んで終わりにならず、読んだ本から何かを取り入れて日々の生活を改善できるようにしていけたらいいなと思いました。


    【引用】
    1.「どのように学ぶか」よりも「何を学ぶか」、「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」が重大。
    勉強できない最大の理由は、勉強にそれだけの時間を配分してないから、人生の中で勉強の優先順位を高くするのに失敗してきたからだ。
    どれほど効果があるやり方も、持続可能でなければ何の意味もない。

    2.志の強さは、立てた瞬間ではなく、自身の行為や思考を絶えず志に結び直した、その「繰り返し」の中に生じる。
    失敗や挫折に打ちひしがれた時は、志に立ち返って気力を回復し、再挑戦の時を待つ。
    こうした繰り返しが、未熟で自己中心的な夢想に過ぎなかった志を、地に足がついたものとして育てるのである。

    3.「2ミニッツ・スターター」
    ・タイマーを2分にセット
    ・タイマーをスタートさせ、すかさず作業を開始
    ・タイマーが鳴ったと同時に、途中でも作業をストップする。

    ストップしたら、次のいずれかを2秒で決めて行う。
    →そのまま制限時間なしで同じ作業を続ける
    →また2分間で違う作業に取り掛かる
    →作業をやめて休憩に入る

    事を成し遂げるために絶対必要で影響力が高いのは、とにかく手をつけること、着手することである。
    初動が肝心!!

    4.習慣レバレッジ
    ・既に習慣となっている行動を1つ選ぶ
    ・その習慣の直前・直後に新しい習慣を行う
    ・1と2を繰り返し、少しずつ負荷の高い習慣に変えていく
    既に確立している習慣を足がかりに新しい習慣を形成する技法である。

    5.ラーニングログ
    計画する人は多いが、実態を記録する人は少ない。
    我々は、自分の行動を自分が思っているほどよく知っていない。
    記録を取る者は向上する。
    記録を取る者は改善する!!
    記録を取るのは、自分を律するためというより、自分を鼓舞し調子づかせるためのものである。

    6.カルテ クセジュ「脳内知識の棚卸し」
    ・取り組もうとしている分野や課題について、何でも思いつく限り順不同で書き出す。
    ・書き尽くしたら、読み返しながら、まずは知っていることを四角で囲む。
    ・四角で囲んだものの中から、気になるもしくは大事そうなものを選んでネットなどで調べる。調べたものは、さらに四角で囲む。
    ・いくつか調べた後で、再び全体を読み返しながら、項目同士で関係がありそうなものを線で結んでいく。
    ・調査と結びつけを繰り返し、カルテの変化と成長が落ち着いたら、今度はもっと知りたいというものを丸で囲んでいく。

    実際には、既知と未知は明確に二分されるものではない。我々は、完全な知識を持ち合わせていないからだ。
    カルテ・クセジュは自分の既知なるものをサルベージしてかき集めることで、未知へ向かう拠点を作り上げるものである。



    【メモ】
    p5
    誰かが勉強できない最大の理由は、勉強にそれだけの時間を配分してないから、人生の中で勉強の優先順位を高くするのに失敗してきたからだ。

    どれほど効果があるやり方も、持続可能でなければ何の意味もない。
    「どのように学ぶか」よりも「何を学ぶか」が大事だし、「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」の方が重大だ。


    p37
    4部構成
    第1部:まず始めること、そして続けることの重要性、そのための技法
    第2部:何を学ぶのか、またどんな資料・教材を使って学ぶかなど、技法と情報をまとめた。
    第3部:いわゆる「勉強のやり方」をまとめた。
    第4部:第3部までで紹介した技法をどう組み合わせて実践するかを例示した。


    p60
    ・【技法1】学びの動機付けマップ
    学びのきっかけとなった出来事を探す。
    そもそも自分が学ぼうと思ったのはなぜか?
    箇条書きして、それがいつ頃、どこにいて、その時どんな感情を抱いたかも出来れば書き出す。

    “学びの始まり”に立ち戻り、そこから現在につながる影響を繰り返し語り直すことで、学びの意欲と意志を育ててメンテナンスできる!


    p67
    志の強さは、それを立てた瞬間にではなく、自身の行為や思考を絶えず志に結び直した、その繰り返しの中に生じる。
    失敗や挫折に打ちひしがれた時は、志に立ち返って気力を回復し、再挑戦の時を待つ。
    こうした繰り返しが、未熟で自己中心的な夢想に過ぎなかった志を、地に足がついたものとして育てるのである。


    p74
    ・【技法2】可能の階梯
    学びの出発点を見極める。「知っていることと知らないことの境界線」を探せ。
    学びたいものを選び、できることや知っていることを選ぶ。
    なんとかできるもの、できるが怪しいもの、学んだことはあるが忘れてしまったもの、できないものを判別し、その「踊り場」を見極める。


    p100
    ・【技法5】2ミニッツ・スターター
    タイマーを2分にセット
    タイマーをスタートさせ、すかさず作業を開始
    タイマーが鳴ったと同時に、途中でも作業をストップする。

    ストップしたら、次のいずれかを2秒で決めて行う。
    →そのまま制限時間なしで同じ作業を続ける
    →また2分間で違う作業に取り掛かる
    →作業をやめて休憩に入る

    事を成し遂げるために絶対必要で影響力が高いのは、とにかく手をつけること、着手することである。
    初動が肝心!!


    p110
    ・【技法6】行動記録表
    計画する人は多いが、実態を記録する人は少ない。
    我々は、自分の行動を自分が思っているほどよく知っていない。
    記録を取る者は改善する!!
    何にどれだけの時間を費やしているかを知ってこそ、現実的なプランニングとスケジューリングは可能となる。


    p144
    ・習慣レバレッジ
    1.既に習慣となっている行動を1つ選ぶ
    2.その習慣の直前・直後に新しい習慣を行う
    3.1と2を繰り返し、少しずつ負荷の高い習慣に変えていく

    既に確立している習慣を足がかりに新しい習慣を形成する技法である。


    p160
    ・ラーニングログ
    記録を取る者は向上する。
    記録を取るのは、自分を律するためというより、自分を鼓舞し調子づかせるためのものである。


    p204
    自分で何を学ぶか決める、という当たり前の独学を行うためには、汎用の調査技術が必要である。
    軸になるのは、知らないことを探し求めるための技術、調べもののスキルとノウハウだ。
    「自分は一体何を知りたいのか」から「知りたいことを知るためにどんな資料をどうやって探し、また入手すればいいのか」を知るための方法が含まれる。


    p214★
    ・カルテ クセジュ「脳内知識の棚卸し」
    1.取り組もうとしている分野や課題について、何でも思いつく限り順不同で書き出す。
    2.書き尽くしたら、読み返しながら、まずは知っていることを四角で囲む。
    3.四角で囲んだものの中から、気になるもしくは大事そうなものを選んでネットなどで調べる。調べたものは、さらに四角で囲む。
    4.いくつか調べた後で、再び全体を読み返しながら、項目同士で関係がありそうなものを線で結んでいく。
    5.調査と結びつけを繰り返し、カルテの変化と成長が落ち着いたら、今度はもっと知りたいというものを丸で囲んでいく。

    実際には、既知と未知は明確に二分されるものではない。我々は、完全な知識を持ち合わせていないからだ。
    カルテ・クセジュは自分の既知なるものをサルベージしてかき集めることで、未知へ向かう拠点を作り上げるものである。

    • きのPさん
      りまのさん
      コメント有難うございます!
      そう言って頂けると、レビューを書くモチベーションになります(^^)
      りまのさん
      コメント有難うございます!
      そう言って頂けると、レビューを書くモチベーションになります(^^)
      2021/01/27
    • nonoさん
      思わず何回も読んでしまいました。
      2ミニッツ・スターターは今すぐ取り入れようと思います。他にも行動記録表とかラーニングログとか、なるほどと...
      思わず何回も読んでしまいました。
      2ミニッツ・スターターは今すぐ取り入れようと思います。他にも行動記録表とかラーニングログとか、なるほどと思うことがありますね。ありがとうございます。
      2021/01/30
    • きのPさん
      nonoさん
      コメント有難うございます!
      「2ミニッツ・スターター」いいですよね(^^)
      前に試してみたら、やっぱり継続してしまいました。笑...
      nonoさん
      コメント有難うございます!
      「2ミニッツ・スターター」いいですよね(^^)
      前に試してみたら、やっぱり継続してしまいました。笑
      僕みたいに初動がニブい方は、是非取り入れてみて頂きたいです!!
      2021/02/01
  • 750ページという厚みの見掛け倒しの本ではなく良書だと思います。
    しかも、それ程難解ではなく、わかりやすいです。
    そして読んでいて面白かったです。
    でも、この本を読んだだけで勉強した気になってしまわないように気を付けなければと思いました。
    向学心がわきます。
    まだ、そこまで到達していない箇所(まだ、何を勉強したいかもよくわかっていないので)は少々流し読みをしてしまいましたが。
    すごく勉強したくなったし、何を勉強したいか考えています。
    「無知くん」と「親父さん」の会話は興味ある点、大事な点を取り上げてくれていて、わかりやすく面白いです。

    この本は図書館で借りるべきか買うべきか悩みましたが、思い切って買ってよかったです。
    勉強したい方、されている方は、家に1冊置いて置くと便利だと思います。
    私は、まず何を勉強したいか考えます。


    以下、本文より

    「どのように学ぶか」より「何を学ぶか」。
    「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」の方が重要だ。
    本書では「独学」の意味するところを可能な限り広く捉えている。

    独学者は何を学ぶかを自分で決める者である。
    『大全』を名乗る以上、何を目指す独学者にも役立つことを目的としている。

    第1部はなぜ学ぶべきか。
    第2部は何を学ぶべきか。
    第3部はどのように学ぶべきか。
    第4部は国語、英語(外国語)、数学の実践法。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      猫も語学は、、、綺麗なままの参考書が複数眠っております。泣
      まことさん
      猫も語学は、、、綺麗なままの参考書が複数眠っております。泣
      2020/10/03
    • きのPさん
      とても素敵なレビューを有難うございます!!
      まことさんのおっしゃる通り、向学心を湧かせる良書だったと思います。
      僕自身、学びの浅さを痛感させ...
      とても素敵なレビューを有難うございます!!
      まことさんのおっしゃる通り、向学心を湧かせる良書だったと思います。
      僕自身、学びの浅さを痛感させられ、「もっと学びたい!!」と読んでいて痛切に感じました・・・

      まずは、"何を学ぶか"といったところをしっかり見直そうと思います。
      2021/01/26
    • まことさん
      きのPさん。こんにちは!

      コメントありがとうございます。
      きのPさんのレビューはとても丁寧でいつも参考になります!
      きのPさんの自...
      きのPさん。こんにちは!

      コメントありがとうございます。
      きのPさんのレビューはとても丁寧でいつも参考になります!
      きのPさんの自己分析力は凄いと思っています。
      「何を学べばいいのか」みつかるといいですね。
      きのPさんのようないつも素晴らしいレビューを書く力のある方なら、きっと独学後は大きな実りがあると思います。
      私もまだ何を学びたいのかわからないのですが、実務に生かす機会はなくとも自分の生涯の糧になればいいと思っています。

      では、きのPさんの御健闘をお祈りします!!
      2021/01/26
  • 【感想】
    3年近く、『独学大全』を読むのを遠ざけていた。
    なぜなら、読んだら言い訳ができなくなるからだ。「時間が無い」「お金が無い」「やり方が分からない」「学んでもどうせ役に立たない」……。身に着けるべき事柄は目の前にたくさんあるものの、あれこれと出来ない理由を探し、また学びを後回しにしていく。
    しかし、本書を読んだらもはや独学せざるを得ないと感じた。モチベーションを作る様々な技法と、自分一人で資料を集める方法、知識を体系化していくメソッド。『独学大全』は「私にはできない」という人を優しく手招きし、厳しく「学びの道」に送り出す、そんな一冊である。

    本書は、インターネットの知の巨人である『読書猿』さんが使ってきた「独学方法」を紹介する一冊だ。タイトルに「大全」とあるように、全55技法700ページ超からなる百科事典である。歴代の独学者たちが開発してきた「外部足場」の効果を、科学的に裏付けつつ、そこに筆者自身のやり方を交えることで技法にまで昇華させている。

    「大全」といっても、学ぶ事柄は十人十色であるため、全てに共通しているメソッドなんて無いように思える。実際、「資格」や「プログラミング」というような種類別の学びには立ち入っていない。その代わり、学びを始める前の「動機付け」や「目標」、「習慣化」について紙幅を割いており、55の技法のうち33までが「学ぶ前の情報収集・環境づくり」について説明している。

    本書冒頭に書いてあるとおり、どれほど効果があるやり方も、持続可能でなければ何の意味もない。知を深めることには、試験勉強のように「もう学び終えた」という状態は存在しない。独学を続ける限り学びは続いていくし、そこに終わりはない。
    そのため、肝心なのは「どのように学ぶか」よりも「いかに継続して学ぶか」だ。モチベーションの回復、集中できる環境づくり、つい机に向かってしまうような仕掛けなど、「諦めない力」に全てがかかっている。逆に言えば、一日少しずつでも独学を続けていれば、例え目標が遠くともきっと実を結ぶ。
    やることから逃げていた人が「続けられる人」になるための方法を、続けられる人が「より有意義な学び」に到達するためのメソッドを、本書は間違いなく提供してくれるだろう。

    ――「どのように学ぶか」よりも「何を学ぶか」が大事だ。「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」の方が重大だ。
    ――――――――――――――――――――
    まだ本書を読んだばかりの私は、独学の道の入り口に立っている。
    さて、今からどうしようか。最近語学学習の本にハマって、英語を学ぼうかという気持ちが芽生えてきている。また、自分の仕事に関係のある分野について勉強を重ねていくのも悪くない。
    いずれにせよ、学ぶことはたくさんある。そして、独学の凄さも知った。分からないときの調べ方、自身の考えを深める方法、多くの偉人たちが残してきた独学技法も、たった今学んだ。
    まだ扉の前に立ったばかりだが、私には本書と、本書に出てきた偉人たちのメソッドがある。これを相棒に、今から一歩ずつ踏み出していこうと思う。

    ――独学は孤独ではない。孤立してもいない。人間の知的営為も、それが生み出した文化の産物も、孤立しては成り立たない。先行者から何も受け取らないもの、その影響を被らないものは存在しない。我々が「巨人の肩」と呼んでいるものは、こうした影響関係のネットワーク(網目)でできているのだ。

    ――――――――――――――――――――
    以下、全技法のうち特に印象に残ったものをピックアップ。
    【まとめ】
    1 学び続ける環境を作る
    独学の必須スキルは継続力。手法はさしたる問題ではない。やり続けることこそが結果を生む。

    ①学びの動機付けマップ
    そもそも自分が学ぼうと思ったのはなぜか、その理由を考え、そう思うようになったきっかけ、出来事や人や書物との出会いを書き出してみる。複数あるなら、まずはすべてを箇条書きする。書き出したら、一番重要そうなものを選んで、それがいつ頃、どこにいて、誰と一緒で(あるいは独りで)、できるだけ詳しく思い出し書き出す。その時どんな感情を抱いたかも、できれば書き出す。そして名前(タイトル)をつける。
    名前がつけられたら、その出来事の影響範囲をマッピングする。きっかけが変えた自分の行動や習慣や考え方、そうして変わった行動、習慣、考え方、周りの人たちに与えた影響……といった具合に直接的なものから間接的なものへ進む。
    次に影響が自分にとってポジティブかネガティブかを評価し、その評価に理由付けをする。評価を自分の価値観に結びつけることで、動機づけを支える援軍に変えるのだ。

    志の強さは、それを立てた瞬間にではなく、自身の行為や思考を絶えず志に結び直した、その繰り返しの中に生じる。なぜそれをしたのか?しなかったのか?と自問自答し理由付けすることで、出来事と行動と人格をできるだけ一貫したものになるよう、結びつけ直す。こうして人は、自分がどういう人間であるかを説明する自己物語を、半ば無自覚に、繰り返し語り直し、さらに演じ直している。
    この自己物語に照らして行動し、また行動の結果を物語に織り込み改訂することを繰り返すからこそ、人は環境の刺激に翻弄される以上の存在でいることができる。


    2 目標を描く
    ②可能の階梯
    例えば、「数学が学びたい」となったら、数学に関して自分ができること、知っていることを階段状に書き出していく。書き出した項目を簡単なものから並び替える。リストを作っていくと、できるか怪しいもの、知っているか知らないか判断がつかないものが現れる。その「2段下」が、今の学び始める地点となる。

    ③学習ルートマップ
    紙の両端におおまかな現状と目標を書く。その後より細かいステップを書き加えて、現状と目標をつなぐルートを作る。ルートができたら、他のルートも考え、実際に学習するルートを選ぶ。実際の学習を進めながらルートマップに修正を加えていく。


    3 動機づけする
    ④1/100プランニング
    実現したいことを数値目標に変換する。例えば「英語の基礎Ⅰを読む(500ページ)」みたいに。次に、実現したい数値目標の1/100を小目標として立て、今すぐ実行する。これでも大変なら1/1000と、さらに細かくする。
    →とにかく頑張るでは繰り返せない。小さく具体的な量で行動と夢を結びつけることで、一歩ずつ達成可能になる。

    ⑤2ミニッツ・スターター
    タイマーを2分にセットする。タイマーをスタートさせ、すかさず作業を開始する。タイマーが鳴ったと同時に途中でも作業をストップする。ストップしたら、次のいずれかを2秒で決めて行う。
    ・そのまま制限時間なしで同じ作業を続けるか
    ・それともまた2分間で違う作業にとりかかるか
    ・それとも作業をやめて休憩に入るか
    →ちょっとだけでも手を付け始めれば、放り出すのは難しい。それを活用したテクニック。


    4 時間を確保する
    ⑥行動記録表
    手帳を用意し、これからの一週間の行動予定を書く。実際に一週間、行動を記録する。予定と実際の記録を比較し、何にどれだけの時間を費やしているか把握する。
    →自分の行動パターンや時間の使い方を振り返り反省することで、行動改善のきっかけとなる。

    ⑦時間のクレンジング
    行動記録表の中で、完全に自由に使える時間を「ホワイト時間」、完全に行動が拘束された時間を「ブラック時間」と呼ぶ。これに対して、一部の行動は制限されるが自由にできることもある時間が「グレー時間」である。 我々の一日の時間のうち多くはグレー時間である。「シャドーイングや音声教材を聞くことならできる」というように、グレー時間の中でできることを考え時間を拡張していく。
    また、ブラック時間であってもインキュベーション(生み出したいアイデアについて考え抜いた後、アイデアに関することから離れて別の作業をすると、アイデアがひらめくこと)に使うことができる。すぐに理解できない難しい箇所や解けない問題を、事前に考え抜いておけば、その後、仕事中など学習に使う余地のない時間を過ごしている間にも理解は進んでいくのだ。

    ⑧ポモドーロテクニック
    タイマーを25分間にセットし、作業開始する。その後5分間休憩し緊張を解く。4回ポモドーロしたら30分休憩する。


    5 継続する
    ⑩習慣レバレッジ
    ・すでに習慣となっている行動を一つ選ぶ。
    →一日のうちで頻繁に行うもの(例えばスマホを見るなど)が足がかりの習慣として使うのに最善である。食事のように、毎日必ずやるもので行う時間が一定のものも使える。
    ・足がかりの習慣の直前(直後)に新しい習慣を行う。できるだけ短時間で簡単(英単語を暗記するなど)なものがいい。
    これを繰り返し、少しずつ重い習慣に変えていく。

    ⑫ラーニングログ
    ノートやメモアプリなど、記録を取れるものを用意する。
    ラーニングログの最初に「何をどれだけ学ぶつもりか」を記入しておく。例えばあるテキストを学んだことを記録するなら「書名の略号とページ数を記録する」といった記録のルールを最初に決めておく。
    学習したら、すぐに記録する。「後で記録しよう」と思っていると、記録が不正確になったり、記録することを忘れたりする。記録用紙や手帳、記録ツールは常に用意し、学習活動を行ったら、時間を置かずに記録する。
    定期的に「ラーニングログ」を読み返す。時間的に近い最近の記録からも、何月または何年も経った古い記録からも、驚くほど多くの発見と、学習への意欲が得られる。
    →記録を取る者は向上する。「いっぱいやった/大したことをやらなかった」という評価ではなく、行ったことを淡々と記録する。どれだけ進んだかの航海日誌をつけることで、自分の現在地点を把握し続ける。


    6 環境を作る
    ⑬ゲートキーパー
    来週までにやるべき事項を紙に書き出し、家族に手渡す。グダグダになる場合は、誰かにリワードキーパーになってもらう。毎週一回、行動の成果物をリワードキーパーに提示して、目標の90%未満の場合は、一切の例外なくペナルティを与える。
    →人間の意志は弱い。自分の中にではなく外部の人に目標を手渡すだけで、鉄の意志となる。

    ⑭私淑
    師と仰ぎたい人物の候補を選ぶ。問いを投げた時その人物がどう答えるか、また困難に突きあたった場合にその人物ならどう行動するか、具体的にイメージできるように、できるかぎりの情報を集める。折に触れて、師匠ならどうするかを問い、独学の指針とする。

    ⑮会読
    主催者が会読する書物を選ぶ/参加する人を集める(声をかける)。会読する本について参加者は会読の日までに読んでおく。会読に集まり、参加者は自分の読みを持ち寄り、共有する。
    →みんなで読み合うという目標があれば、「自分も読まないと」という気を起こさせるため、挫折を防ぐことにつながる。また、自分ひとりでは理解できないことについても、共有したり議論したりすることで理解と習得を促進する。


    7 知りたいことを発見する
    ⑯カルテ・クセジュ
    取り組もうとしている分野や課題について、何でも思いつく限り順不同で書き出す。書き尽くしたら、読み返しながら、まずは知っていることを四角で囲む。四角で囲んだものの中から気になる/大事そうなものを選んで調べる。調べたものはさらに四角で囲む。
    いくつか調べた後で、再び全体を読み返しながら、項目同士で関係がありそうなものを線で結んでいく。
    これを繰り返し、項目を結びつけたカルテの変化と成長が落ち着いたら、今度はもっと知りたいと思うものを、いくつか○で囲んでいく。○の中のうち、最も知りたいものを一つ選びもう一重、○で囲む。これがあなたの学習のコアになる。

    ⑱NDCトラバース(横断)
    取り上げるテーマやトピックを一つ決める。そのテーマに対して、図書館で採用されている「日本十進分類法」の各項目を掛け合せて、検索を行う。


    8 資料を探し出す
    ⑲検索語みがき
    辞書を引いて検索に使う言葉や表現(検索フレーズ)を収集する。
    初めてのトピックの場合、複数の辞書を横断検索できるコトバンクを使うとよい。ここで表現の揺れやスペルをチェックし、検索に使う検索フレーズを収集する。
    例えば「ストレッチ」についてコトバンクで調べてみると、検索結果として「ストレッチ(とは)」の他にも「ストレッチング(とは)」「ストレッチ体操(とは)」などが出てくる。
    収集した検索フレーズを検索にかけて試し、検索に使ったフレーズと共に登場するフレーズを集めておく。同時に、除外フレーズも決めておく。
    →インターネットの検索は今や汚染されている。検索語をより細く試行錯誤することで、検索の精度を上げていく。

    ⑳シネクドキ探索
    シネクドキ探索で、探したいものの上位概念や下位概念を検索する。
    例:ヘミングウェイ<アメリカの文学者<英米文学者<文学者<人
    下位概念を調べれば詳細が、上位概念を調べれば概要が出てくる。自分の持っている知識レベルに応じて検索範囲を変えていく。

    ㉑文献たぐりよせ
    起点となる文献の参考文献リストを見て、次の文献を見つける。また、google scolarで検索すると被引用文献も見つけられる。他にも、その作者の別の論文を辿ることで更なる関連論文も辿っていける。


    9 書かれたものを使う
    ㉓事典
    まず一般向けの百科事典を引く。百科事典は我々の知識の生産と流通を下支えするインフラにほかならない。既に知っていようとも、前提となる知識を再確認するため必ず引くこと。
    複数の辞典を一度に引けるサービスとしてコトバンクやWeblioなどがある。有料ではジャパンナレッジなど。ジャパンナレッジは図書館へ行けば無料で利用可能なケースが多い。図書館にはレファレンスツールを集めた参考図書コーナーもあるため、活用するのがお得だ。

    ●辞典の調べかた
    ・索引引きで複数の項目をチェックする
    ・全文検索で複数の項目をチェックする
    ・複数辞書を併せ読む:記述の短い順に整理して読めば、抽象→具体の順に理解できる。

    ㉔書誌
    辞典を使って予備調査を行い、足りないぶんを書誌で検索する。
    書誌とは、その道の玄人が徹底的に行った探しものの成果物であり、ある分野やトピックについて探し集めた文献リストや、リストの文献それぞれに解説を付した体裁をとるレファレンスツールだ。
    書誌は知らない分野について「何を読めばいいか」を手助けするコンパスである。
    最初に利用すべき書誌の書誌として、「邦語文献を対象とする参考調査便覧」がある。

    ㉕教科書
    教科書は入門書+辞典+書誌を兼ねたレファレンスツールである。


    10 面の読書
    ㉘目次マトリクス
    独学のテーマごとにExcelで表を作る。
    表の左端の行に、文献のタイトルや著者などを入力する。また表の一番上段の列に、1章、2章、3章のように文献の範囲を記載する。目次から概要を拾い出し、各マス(例:文献A×第二章)に書き込んでいく。
    文献ごとに行が埋められたら、似た内容をマーキングしたり囲んで繋いだりする。こうすることで、複数の文献間を横断でき、全体構成が一望化できる。
    複数の文献の間で共通して登場するトピックが発見できたら、あるいは比較すべき異同に気付いたら、それらを項目化して、1項目につき1列ずつ表に追加し、それぞれの文献ではどうなのかを追記していく。
    →ネットで転がっている色々な本の目次から概要を抽出するだけで、文献を読まずとも書籍の概要と構成をコンパクトにまとめられる。

    ㉙引用マトリクス
    集めた文献のタイトルを表の一番上の行に、文献の中にある「参考文献リスト」を、重複は除いて、表の一番左の列に記載していく。
    入手できた論文を一つひとつ読み、本文及び注釈から他の文献を参照している箇所を見つけ、言及している内容を引用マトリクスの該当箇所へ記入していく。
    作業的には、入手した論文の一つを読みながら、その文献が対応する縦列を埋めていき、一つの文献が終われば、次の文献に進み対応する列を埋めることの繰り返しになる。こうして入手できた文献について、この作業をやり終えると引用マトリクスができあがる。
    完成後、言及が多い順にソートすれば、その文献の評価と基本文献を知れる。


    11 本の読み方
    本を読むとは、結局のところ、様々な読み方でもって繰り返し再読することだ。そして、本は何も頭から読み始める必要はない。

    ㉞転読
    ページに目を落としたまま、できるだけ速くページをめくっていく。その際「見つけようとするものをあらかじめ決めておく」のがキモ。転読は、一度読み終えた本のうち必要な情報を取り出すのにも使える。

    ㉟掬読
    読むべき部分と読まなくていい部分を見分け、読むべき部分だけを読んでいく技術。論文や学術書にオススメ。
    ・序文、第一パラグラフを読む
    ・結論部分、最終パラグラフ、必要なら中間パラグラフの冒頭センテンスを読む。

    ルールのない文書を掬読するには、
    ・著者が繰り返し使っている言葉、凝った言い回しをしている言葉が主張の可能性が高い。
    ・当然〜である、〜にちがいない、などの言葉は、著者の主観/判断が反映されている可能性が高い。

    ㊱問読
    ・文献(書物や論文)の章見出しを拾い出し、問いの形に変換する。例えば目次の中に「マルサスの罠」という見出しがあり、自分がその言葉を知らない場合は「マルサスの罠って何?」という問いに変換する。
    ・2章や見出し以下の文中に、問いの答えを探す。答えを探す時は、関係のない(薄い)部分は飛ばして読んでいく。
    ・「問い」に答えて「要約」を作る

    これから読もうとする文献が、大まかに言ってどういう性質のものか知り、テーマに対してどういう主張をしているのか?ということを予測しておく。こうすることでそれ以降の読みを「再読」に近づけることができる。

    ㊲限読
    ・読む本を決め、費やす時間をあらかじめ設定する。1~30分程度の短い時間がよい。
    ・設定した時間内に読む。読み切れない場合も、設定時間が30分間なら30分間で読むことを中断する。読み残しがあっても、心残りがあっても、(少なくともその日は)決してその書物を開かない。
    →読書時間に限界を設けることで、集中力が増し、要点のつかみ方、探し方が上達する。

    ㊳黙読・音読
    声に出さず、心のなかでも読み上げずに文章を読む。黙読に慣れた大人の場合は、音読よりも読書速度だけでなく理解度・記憶成績に優れる。
    対して音読は、理解力の低い読み手において理解度を改善する効果がある。気が散ったり疲労で読書に集中できないときなど、音読は低下する読書理解力を下支えする。

    ㊵指読
    文字を指でなぞりながら読む。難解な文章を読むのに向いている。

    ㊶刻読
    ・あらかじめざっと読み、全体の構成や概要を掴んでおく。
    ・読みながら、必要なところにマーカーや付箋をしておく。思うところがあればコメントを残しても良い。
    ・読み終わったら最初から読み返し、「しるし」を残したところをたどっていく。付箋を使った場合は、「しるし」を読み返しながら不要と思ったところを外して整理してもよい。
    →ある書物の感想や書評、レポートや論文をまとめる際に有効。

    ㊷段落要約
    本に、段落ごとに番号をふっていく。紙に段落数を書き、一文程度の要約を書いていく。

    ㊺鈴木式6分割ノート(語学学習にオススメ)
    ノートを6分割し、左上から下に1〜3、右上から下に4〜6の文字をふる。1にはテキストを短く分け、コピーを貼る。
    2には単語や語句、構文について調べたことを書く。
    3には理解に役立つ背景知識/言語外事実などを書く。百科事典や参考文献などで調べたことを書く。訳書では、訳者注として取り上げられる内容がこれにあたる。
    4には疑問点と思考過程を書く。自分なりの理解とそこに至る思考過程を自分の言葉でまとめ、解答、解説を確認する。
    5には訳文を書く。
    6には最後にテキストを書き写す。

    ㊻レーニンノート
    ノートに抜き書きをし、マージンにツッコミを入れる。「賛成!」「反対!」「それってこういうことなのでは?」みたいに。折りに触れノートを読み返し、必要なら加筆する。


    12 記憶する
    ㊽PQRST法
    ・Preview(予習)
    覚えようとするテキストについて、はじめにざっと目を通し、全体の概要を捉える。
    ・Question(質問)
    テキストのポイントとなるところについて、質問を作る。5W1Hといった視点から質問を設定していくとよい。
    ・Read(精読)
    質問の答えを探しながら、後で答えられるようにテキストを読み込んでいく。
    ・Self-Recitation(自己暗唱)
    読み終えた情報を自分の中で繰り返し心の中で唱えて記憶する。
    ・Test(テスト)
    テキストを伏せて、作った質問だけを見ながら答えを書き出していく。答え終えたら、テキストを見て、答え合わせをする。

    ㊿35ミニッツ・モジュール
    学習するとき、35分間を1セットとして次のように時間を使う。
    0~20分…新規項目の学習
    20~24分…定着のための小休憩と復習の準備
    24~26分…一日前の学習項目の復習
    26~28分…1週間前の学習項目の復習
    28~30分…1カ月前の学習項目の復習
    30~35分…今日の学習項目の復習
    続ける場合は10分休憩し、繰り返す。
    一度に覚えるのと、分けて覚えるのでは、分けて覚える方が効果が高く、しかも長く続く。そして同じく学習を分散するにしても、その間隔を次第に広げる方が効果がある。例えば、3日おきに復習するよりは、一日後、3日後、一週間後….という間隔で復習するほうが定着度が高い。

    13 わからないを克服する
    54違う解き方
    まずは問題を解く。解けなかった問題は、一度模範解答を読んでおく。解き方を覚えているうちにもう一度(時間制限などをつけ)解き、その後思考を実況中継しながら解く。最後に、他人か自分に説明する。

    55メタノート
    専用のノートを用意し、独学の中で得られた気づきを記録する専用のノートを用意する。学習を振り返った際に思ったこと気づいたことを、記入した日時とともに書き留める。折に触れ読み返し、思いついたことを書き加えていく。


    14 実践編
    ●英語独学の骨法
    外国語学習の第一の骨法は、毎日続けること。「そのやり方が正しくない」「ネイティブはそんなふうに言わない」といった阻害要因は無視し、モチベーションを維持しながら続けていくことが肝要である。

    ①まず、文字とその発音をチェックする。
    ②文法の前に単語を眺める。
    ③テキストの会話や基本文を全部読んでいく。
    ④説明を読まないと例文の意味がわからないときだけ文法をチェックする。
    ⑤一通り理解してから、1章ごとに10回音読し3回筆写する。これを一冊につき3周すれば、このテキストを完了する。

    子供用の辞典と事典を買う。辞典や事典のそれぞれの項目は、どんな短編小説よりも短くすぐに読める。しかもおよそすべての分野を一通り網羅している。事典ならフルカラーの写真と図解が満載であり、楽しい。

    辞書…My First Picture Dictionary
    事典…DK My First Encyclopedia

    Simple English Wikipedia…英語学習者向けに、簡単な記事をボランティアが読み上げた音声ファイルが提供されている。

  • これまで読んだ本の中で一番ボリューミーでした。しかし、それに合う学びがありました。

     私は社会人になった今でも勉強を続けています。しかし、直接収入にもつながらないし仕事でもない勉強を続けるのは思っていおる以上に難しいものです。ゴール無き勉強はマンネリ化しますし、ゴールとして資格合格を設けると合格だけが目的になり、学びを楽しんだりわかるまで考えるということができなくなってしまいました。

     そんな時に本書を読むことができ、しっかり学ぶ方法や学ぶ楽しさを知ることができました。私は本書を精読しましたが、700ページの本がプレッシャーと感じる方であれば、本書を辞書として知りたいときに知りたい部分を見るという使い方もいいと思います。

     私は本書を2か月かけて読み切りましたが、そのおかげで学びの知識はもちろんのこと学びのためにこの量の本を読み切ったこと自体が学びに対する自信につながりました。

  • 手元に届いた時、国語辞典くらいの厚さでとても驚いたが、いざ読んでみると項目が整理されており非常に読みやすかった。

    特に参考になったのが、以下2点。
    ①学びの時間を確保する。
    ・1日の予定を書き出し、実態把握。
    ・やること、やらないことを整理。
    ・やるべき事に時間を割り当てる。
    ・行動記録表
     計画した予定と、実際の行動を記録し、
     比較しながら振り返る。

    ②グレー時間の活用
    ・完全に自由に使える時間
     →ホワイト時間
    ・完全に行動が拘束される時間
     →ブラック時間
    ・一部は制限されるが比較的自由な時間
     →グレー時間

    【感想】
    時間確保は本当に大事。ここ数年、仕事でオンライン会議が増えて、作業時間の確保が難しい事が多々ある。その日の仕事をさばく事だけ気にしていたが、「行動後の振り返り」はあまりしていなかった。当初計画と実行内容にギャップがあったところを分析、改善につなげて時間の有効活用をしたい。

    私の場合、プライベートでの「ホワイト時間」が1日1.5時間なので、「グレー時間」の通勤時間・帰宅後の子どもと遊んでいる時間・家事の時間など、ながら時間を上手く活用しようと思った。意外と「グレー時間」は多く、食器洗いやドライヤーをかけている時間など勉強ができそう。
    本書中の「行動契約の例」を元に、課題/成果物/所要時間/達成時のご褒美/未達の時の罰則を立ててみようかと思った。

  • 「この本はあまり賢くなく、すぐに飽きるしあきらめてしまう人たちのために書かれた。独学の凡人である私には、これが精一杯である。しかし独学の達人が書いた書物よりもきっと、繰り返し挫折し、しかしあきらめきれず、また学ぶことを再開したような、独学の凡人であるあなたの役に立つだろう。」

    本書はだいたい中学生以降(私の読後主観)のすべての独学を志す、普通の人に向けられたものだ。
    学校に通っている人にもいない人にも有効だろう、さまざまな学び方が詰め込まれていた。
    本書にも使い方として書かれていたが、学び方の辞典として家に一冊、あったら便利だと思う(と、図書館で借りて読んだ人間が言う笑)。
    卒論や修論にも役立つかも。
    4部構成になっており、最後の4部で実際こんなふうに活用してみるのもアリだよと例が示されているので分かりやすい。
    独学は孤学ではない。
    様々な方法と媒体を駆使して、独学というレベルに到達しないまでも、気になる!を楽しく探求し、あわよくばそれらを形にできるように、本書を活用させていただきたい。

    以下は本書から、私が参考にしようかなと思ったメモ書き。
    本書で紹介された中の、かなり一部分です。
    メモ書きなので、私以外の人が見るようではないので、意味わからなくても悪しからず笑


    ・会えない者を師と仰ぐ「私淑」
    昔の偉人でも架空の人物でも誰でもいい。
    問いを投げた時その人物がどう答えるか、また困難に突き当たった場合にその人物ならどう行動するか、具体的にイメージできるように、これと見定めた人物について、できるかぎりの情報を集める。
    ・会読
    ・ラミのトポス
    自分がわからないこと、または知りたいことについて、次の問いをぶつけて、自問自答する
    類(〜は何の一種か?)
    種差(〜は同じグループの中で他とどこが違うのか?)
    部分(〜を構成する部分を列挙すると?)
    定義(〜とは何か?)
    語源(〜の語源は?)
    相反(〜の反対は?)
    原因・由来(〜を生じさせるものは?)
    結果・派生(〜から生じるものは?)
    たとえば〜に心理学と入れてみると?
    ・テーマトピックに対して、日本十進分類法の各項目を掛け合わせて検索を行う
    ・コトバンクで検索フレーズを収集→Googleなどで検索にかけて試す→共起フレーズ(目的に合致した検索結果から、こちらが検索に使ったフレーズと共に登場するフレーズ)を集める→除外フレーズを決める
    ・リサーチログ
    既知:すでに知っていることは何か?
    欲知:調査前に自分が知りたいこと/見つけたいものとは?
    調査法:どんな調査で知ろうとしているか(どこを探すつもりか?何を調べるつもりか?)
    得知:調査してわかったこと
    未知:調査したがわからなかったこと
    調査法:実際に用いた調査法と反省
    活用:調査・学習したことは何に役立ちそうか
    ・目次マトリクス、引用マトリクス、要素マトリクス
    ・トゥールミン・モデル:主張を検討するためのもの
    ・なんでこの本は○○について書いてないんだ?と、抜け落ちていると感じるものこそが読み手の中に問いを生み、次の探索へと導く。
    ・問読
    書物の難解かつ肝要な箇所を問いの形にし、その問いに対して著者が何とこたえているかを探る読み方
    何について書かれたものであるか?
    テーマについてどういうことを主張しているのか?
    主張を根拠づけるのにどういったやり方をとっているのか?
    →予読(プレビュー)へ
    ・学ぶことは、つまるところ自分を変えることだ。昨日知らなかったことを一つ知れば、また新しいスキルを身につければ、わずかであれ人が変わる。
    ・国語、外国語、数学の大切さ
    外国語を学ぶにあたって
    ・ロンブ・カトーの分数式
    費やした時間+モチベーション/抑制・阻害(羞恥心)=成果
    ①まず、文字とその発音をチェックする
    ②文法の前に単語を眺める
    ③テキストの会話や基本文を全部読んでいく
    ④文法解説をちゃんと読みながらテキストをもう一度読む
    ⑤一通り覚え理解してからの、ダメ押し。一章ごとに10回音読し3回筆写する。そしてこれを一冊につき3周すれば、このテキストを完了する。
    ・子ども辞典と事典はツールであり教材
    DK Children's Illustrated Dictionary
    Colins First school dictionary
    →中学・高校英語を学んだ人向け
    その次はDK My First Encyclopedia

  • この本を読んだ目的は2つ。
    1つは自分自身の勉強を効果的に続けていくヒントを見つけるため。
    もう1つは著者が独学者たちにどのように図書館の利用を促しているか、一図書館員として知っておきたかったため。

    本書を読んで、続けていくことの大変さを改めて感じました。
    日々仕事や生活の状況が変わる中で、どのように独学のための時間を作っていくか、いつもの習慣や1日の過ごし方を見直すことも大切ですね。
    それに年を重ねるにつれて集中力がもたなくなったなぁ…と身に染みて感じているので、ポモドーロ・テクニックなどを駆使して短時間でも集中して取り組みたいです。
    そして、独学者をサポートしていけるよう、私自身ももっともっと勉強してスキルアップせねば、と背筋が伸びました。

    巻末の「独学困りごと索引」が面白いです。
    こんなときはこのページを読め、という情報を見渡すことができるのですが、「怠け心が生まれたら」や「自分よりできる人を見て心が折れたら」といった項目もあって、これからもお世話になりそうです。

    あと、各章の冒頭に置かれた無知くんと親父さんの対話がよいです。
    この部分を読むだけで本書で扱う内容の概要がわかるので、モチベーションが下がっているときにここだけ読むのもいいかも、と思っています。
    なにより無知くんがけっこうぶっ飛んでるので、個人的に好きなんです。

  • 重い。1.1キロ。
    人気があると聞いたから予約してみたけど、
    実物見て、これは期限内に終わらないかもと…。
    電車では読めないし、家で読むときは百科事典と広辞苑重ねた上に乗せる。

    でも、内容は苦しい物でなく、非常に面白く
    いろいろなことを教えてもらい、
    他の本と並行しながらも無事返却日までに終わりました。

    私は勉強しませんが、「エクササイズ」と「読書」に参考になりました。
    互いに「ターゲット行動」「ライバル行動」の関係です。
    「読書」は返却日があるし楽なので、
    「エクササイズ」が犠牲になってしまう傾向。

    〈外国語学習の第一の骨法は、毎日続けることだ。これ以上に効果的で決定的なものはない。
    多くの場合、我々は日常生活の中で、習得できるほどの濃度で外国語に接する機会を持たない。だからこそ意識して、そうした状況を作り続けなくてはならない〉

    〈数学の証明は、周囲の地形まで示す地図や道順を過不足なく伝えるロードマップのようなものではなく、むしろ〈しおり〉(書物のページにはさむ栞ではなく、語源となった枝折り、山歩きする者がどちらに進んだのかを枝を折って目印にするもの)に近い。実際に歩いてみないと(また実際に歩ける人でないと)、〈枝折り〉だけを見て実際の道程を再現することは難しいのだ〉

    以上、私は英語数学勉強する気はありませんが、
    「エクササイズ」のために参考になりました。
    毎日やること。とにかく実行すること。

    また読書の方法について。
    ここは歴史の話が大変面白かったですね。
    自分に良かったのは掬読Skimmingと問読Q&A Reading。
    全部読まないことに罪悪感があって、この本も完読しました。
    もちろん達成感はあります。

    〈熟練した読み手は、このメタレベルの問読を駆使する。
    不要なものを読まないことは、最も高度で効果が高い速読の方法である〉

    なんか、ほっとしました。
    これでいいのだ。

  • 752頁+索引からなる、その分厚さに圧倒されたが、一つ一つの技法の説明は数頁単位なので、案外読みやすかった。

    独学の具体的方法だけでなく、①なぜ学ぶべきか、②何を学ぶべきか、③どのように学ぶべきか、そして、実践としてそれぞれの技法をどう組み合わせて使っていくかのモデルケースが示されている。

    個々の技法は、知らず知らずにやっていたこともあれば、こういうやり方もあるのかと目から鱗のモノまで様々。
    そして、対象も、初めて独学をやってみようという人に向けた心得から、本格的に論文を書こうとする人向けの論文検索ツールの紹介まで幅広い。
    それらを体系的に解説し、辞書的に使えるようにまとめた著者はすごいと思う。

  • 読書猿 著『独学大全』ダイヤモンド社より9/29刊行します 読書猿Classic: between / beyond readers
    https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-800.html

    独学大全 | 書籍 | ダイヤモンド社
    https://www.diamond.co.jp/book/9784478108536.html

    • まことさん
      猫丸さん。おはようございます。

      私も、この本、夕べ読了しました。
      図書館で借りるか、買うか、凄い悩んだのですが、買ってしまってよかっ...
      猫丸さん。おはようございます。

      私も、この本、夕べ読了しました。
      図書館で借りるか、買うか、凄い悩んだのですが、買ってしまってよかったと思いました。
      一家に一冊あるとよい本ですね。
      ただ、私の場合宝の持ち腐れにならないようにしないと(^^;と思いました。
      2020/10/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      「一家に一冊あるとよい本ですね。」
      独学困りごと索引を眺めていて、面白いな~と思っていました。
      『アイデア大全』『問題解決...
      まことさん
      「一家に一冊あるとよい本ですね。」
      独学困りごと索引を眺めていて、面白いな~と思っていました。
      『アイデア大全』『問題解決大全』どちらも読んでいないので、気になっているところです。。。

      「宝の持ち腐れ」
      また、そんなコトを、頭の隅に残っていれば、必要な時に閃きますよ。きっと!
      2020/10/01
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著者プロフィール

読書家。正体不明。メルマガ「読書猿」で書評活動を開始し、現在はブログでギリシャ哲学から集合論、現代文学からアマチュア科学者教則本、日の当たらない古典から目も当てられない新刊までオールジャンルに書籍を紹介している。著書に『アイデア大全』(フォレスト出版)、『独学大全』(ダイヤモンド社)など。

「2021年 『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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