会社のことよくわからないまま社会人になった人へ

  • ダイヤモンド社 (2022年9月7日発売)
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感想 : 24
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784478115022

作品紹介・あらすじ

シリーズ70万部超えロングセラー、待望の新版。会社の「生態」を知ることで、あなたの会社選びや働き方が変わる!

感想・レビュー・書評

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  • 会社とはなにかをわかりやすく紹介している本。有限会社と株式会社には違いがあったとは!

  •  よくわからないまま社会人になった人へシリーズ読書レビュー第二弾。さすが池上さん、相変わらず非常にわかりやすくまとめてくださっています。経済も、会社も、政治も、なんとなく知っているというレベルで大人になってしまった自分だなと思っていたので、恥ずかしながらもこのシリーズを読み直すことは勇気が必要だったけれど、読んでよかったと思っています。

     個人的コメントとですが社会人になってもう23年目、自分なりの価値観やら判断基準はあるけれど、そもそも会社のことってよくわかってるんでしたっけ?と改めて棚卸すこととなりました。やっぱりこちらのシリーズなので一時間ぐらいで読み切れて、再読も十分できたけれど、「経済」よりもずっと理解できていたかな。次の「政治」についてはどうだろうな、読み切って自分なりの読後感を確認してほっとできたことがよかったです。
     会社入って23年目ですが、やっぱり僕はわが社が好きです。


     以下、抜粋とコメントです。

    P93
     「人はなんのために働くのか?」と聞かれたら、「お金のため」と答える人は意外に少ないはずです。「自分の好きな仕事だから」「仕事が楽しいから」「自分が好きな会社だから」「会社に愛着があるから」。そういう思いがあるから、一生懸命働けるのだと思います。日本の会社というのは、給料だけでその人に報いているわけではないのです。
     一生懸命働いた人は、次の転勤でいいところへ異動させたり、あるいは会社の中で大事な地位に就かせたり、また本人の希望をなるべく汲み入れたりなどの方法は、どこでも行われています。異動で報いたり、大事な仕事を任せることで会社が評価していることを知らせるなど、給料以外で報われる部分がたくさんあるのです。

     この部分、すごく腹落ちでしたね。確かに業績評価がよくてボーナスが多くなったところで、そりゃ少ないより多いほうがうれしいけれど、モチベーションとなる源泉は日々のフィードバックであったり、お客様から感謝されることであったり、やってよかったと思えることだったり、そういうことの積み重ねが大事だと思いますね。


    P111
     リクルートは、江副浩正氏という天才的な経営者が作り上げました。しかし、政治家や中央省庁の官僚にワイロを贈ったというリクルート事件で江副氏が退陣しても、リクルートグループは発展しています。それだけではなく、リクルートからは、さまざまな人材を輩出しています。それは、ちゃんと後を担う人がいたからなのです。 (中略)
     社員が「自分たちがやったんだ」と思える組織作りができている会社。
     優れた指導者がいなくなっても、ちゃんと後を担う人がいる会社。
     会社に寄りかからず、いつでも自立して、いろんな分野で活躍できる人を輩出する会社。とても難しいことですが、そんな組織を作り出せる経営者が本当の意味でもいい経営者ということです。

     こちらの部分でも昔のエピソードが思い出されました。会社に入ってまだ数年のころ、私の所属する会社は、社長に対してもダイレクトにメールを打てるような会社であるため、「もっともっと社長が前面に立ってほしい」「ビジョナリーカンパニーに出てくるような企業であってほしい」ということを生意気に社長にメールをしていたら、いつの日か、「社長がお呼びです」と総務部の方から呼ばれたことがあります。約一時間社長と一対一でこんな若造と話をしてくださる機会を設けていただいた際、当時の社長からこれを読んだほうがいい、と言われた本が「ビジョナリーカンパニー②」でした。(2006年だそうです) ②では3Mほか社長が大きく前面に出ない企業こそGreateな企業だ、というところがメインメッセージでした。


    P171
     人間であれば、体のどこか悪い部分、痛みがある部分があった場合、人間の脳に神経が伝達します。労働組合は、脳という経営陣に対して、体の悪いところ、痛みの部分を伝達する神経のような役目があるのです。
     体のどこかに悪いところを発見したら、まずは末梢神経(組合員)が気づき、神経(労働組合)が脳(経営陣)に伝達する。組合員が早めにアピールしてくれた結果、検診してみたらガンの初期だったことがわかるかもしれません。すぐにその部分に対応すれば、完治できるかもしれませんが、それに気づかないままでいれば、悪化して、死んでしまう、つまり会社がつぶれてしまうようなことになるかも知れません。
     そういうふうに考えると、労働組合は実はとても大事な役割があるんだということがわかるのではないでしょうか。

     なるほどなアナロジーだと思いました。組合活動に関して、こんな風に考えたことはございません。確かに東芝の事例がありましたが、数々の企業の不祥事に対して組合が気付いて経営に伝達していれば、悪いことは悪い、といえる文化があれば、というところですね。


    P186
     あなたの仕事によって、喜んでいる人がいるなんて、とても素敵なことだとは思いませんか。自分が働くことによって、喜ぶ人がいる。社会のために役立っていると実感できる。社会の中に、自分を必要としている人たちがいることを知る。これが、「自己実現」なんだろうと私は思うのです。
     人間は「社会的存在」です。社会の中で、自分の存在価値を確かめることで生きていくことができるのです。あなたが働くことで、社会の中に、あなたの生きていける場所が見つかります。
     あなたの働く場所が会社であれば、会社で働くことで、専門性も身につくでしょう。新しい勉強もできるはずです。勉強ができて自己実現ができて、しかも給料までもらえる。こんなに恵まれたことがあるでしょうか。

     ここのフレーズ、もうこの本の最後のクライマックス部分なので最も素敵なことが書かれている、という気はするのですが、すごく共感しました。働くことは、傍(はた:周りの人)を楽にするということだとも言ったりします。傍を楽にしながら自己実現を果たし、しかも給料までもらえる。こんなに恵まれたことがあるでしょうか。ごもっともだと思います。これからも喜ばれる人になりたいと思います。


    以上

    非常に読みやすい本でして、おすすめの本でした。

  • 以前の版元が倒産したことに伴い、ダイヤモンド社から内容のアップデートを行って出版された新版です。

    終身雇用・年功序列賃金も破綻し、不安定な世の中に合わせて、新しい会社への向き合い方、雇用などについて詳しく解説されています。

    「会社で一番偉いのは誰?」「そもそもの会社の形態」など、普通に働いていると意識しない会社のキホンから、学べる1冊です。
    就活や会社に就職する前に、社会人は必ず読むべき本ですね...。

  • 会社員として真面目に、懸命に働くほど時に視野が狭くなる。

    自分の勤めている会社の数字にしか目が向かない、自分や関連部署の動きにしか頭が回らない、自分の目の前の仕事をこなすことで精一杯。

    本書には常識的に社会人をしていれば知っていることばかりが書かれていますが、改めて働くということ、会社というものを客観視するきっかけを与えてくれます。

    個人的に、テレビで拝見する著者は苦手なのですが、読みやすく分かりやすい文章と、経験豊富な人生の先輩としてのお言葉には感服しました。

    同シリーズの別の本も読んでみたいと思います。

    2014年52冊目。

  • よくわからないまま社会人シリーズ3作目。今度のテーマは『会社』。会社の正体は何なのかという話に始まり,会社の社会的意義,会社の法人とは法律上の人にあたる事,今ある大企業はどのように生まれ,発展してきたのか,会社は常に世の中が求める新しいものに挑戦し,新陳代謝しなくてはならない事,しかし「法人」の中にはNPO法人などお金を儲けなくてもいい法人があるということ,会社の形にはかつて4つの形態があった=一番有名な形態が株式会社,株の上場とは何か,「良い会社」と「悪い会社」を見分けるポイント,SDGsを重視している会社がこれからは優良会社になる,カリスマ社長が必ずしもいいとは限らない,会社で一番偉いのは会長や社長でなく株主だ,株主総会で選ばれた経営の専門家が取締役で,その集まりが取締役会,取締役会が会社を運営する,これが停滞すると世の中のスピードに対応できなくなる,など。経済編と少しかぶるところもあるかもしれないが,経済編が日銀や世の中全体のお金の流れを解説しているのに対し,本作はより身近な「働くということは?」を解説し3部作では一番薄いページ数ながらも大変面白い内容であった。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou35003.html

  • 【配架場所】 図・2F総合教育院おすすめ文庫 
    【請求記号】 335.4||IK
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/472698

  • 池上さんが書かれているだけあって、よく分かる

  • 会社のことを知るための基礎の基礎を、少しだけつまみ食いするような本。これだけではあまりにも物足りないが、知る為のきっかけづくりとして読むには良い。池上彰さんの、働く人全方面を対照としたような語り口は毒にも薬にもならない気がする。

  • 会社についてわかりやすく記述されていた。
    客観性に欠ける意見も所々見受けられたが、それを加味しても良い本だと思う。
    私は特に日本とアメリカを比較した組織体系についての記述が興味深いと感じた。

  • 読んで良かった一冊。
    青色LEDや、オプジーボへの発明対価については聞いていたものの、池上氏の説明を聞いて、本当に不当な扱いだったのだと、認識を新たに出来ました。
    労働組合についての説明もとてもわかりやすかった。
    このシリーズ、他のものも読んでみたいと思います。

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京科学大学特命教授を務め、現在5つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』(ちくまプリマー新書)、『お金で世界が見えてくる』、『日本の大課題 子どもの貧困』編者、『世界を動かした名演説』パトリック・ハーラン氏との共著(以上ちくま新書)、『なぜ僕らは働くのか――君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』(監修、学研プラス)、『経済のことよくわからないまま社会人になった人へ』(ダイヤモンド社)、『20歳の自分に教えたい経済のきほん』(共著、SB新書)ほか、多数。

「2025年 『池上彰の経済学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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