THE ROBOT'S REBELLION ロボットの反逆 ヒトは生存機械(サバイバルマシン)にすぎないのか

  • ダイヤモンド社 (2025年3月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (584ページ) / ISBN・EAN: 9784478116760

作品紹介・あらすじ

読書猿絶賛!伝説の名著が復刊! 私たち人間は本当に、遺伝子の乗り物に過ぎないのか?AIの時代にこそ読みたい一冊。

感想・レビュー・書評

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  • The Robot's Rebellion | Naturalism.org
    https://www.naturalism.org/resources/book-reviews/the-robots-rebellion

    Keith E. Stanovich Professor Emeritus of Applied Psychology and Human Development University of Toronto
    http://www.keithstanovich.com/Site/Home.html

    THE ROBOT'S REBELLION ロボットの反逆 キース・E・スタノヴィッチ(著/文) - ダイヤモンド社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784478116760

  • 読書猿さんのまえがきが、本文に入る前のスムーズなイントロダクションになっている。お手軽に読める本ではなく結構歯応えがあるが、『ファスト&スロー』を読み切れた人なら興味深く読めると思う。人の行動や振る舞いに着目したい人は読むべき。もう古典と呼ばれる書籍だと感じる。

  • 『知性の罠』からこちらに来ました。
    途中、進化心理学者批判があまりに執拗になされてちょっと挫折しかけたのだが、ミームという脅威に対応するための伏線だったんだなと納得。
    またその進化心理学者批判の中で(道具的)合理性の重要性が妙に強調されていて、途中「経済合理主義なのかな?」と勘違いしかけたが、これも最後の市場主義批判で見事に伏線回収。
    TAASとミーム、さらにはミームに絡め取られた他者やシステムが跳梁跋扈する社会において、個はどうすれば良いのか。『なめらかな社会とその敵』等で論じられている「分人」も、あくまでも個の尊重が前提にあったんだなと再認識させられた。
    500ページ超えで長いけど、長い理由がある、年末年始にじっくり取り組む価値のあった良書でした。

  • なんとも啓発された。分厚く、学術用語が多用されるが、訳注が本文見開き内にまとめられており、親切設計。ちゃんと読めば理解できるつくりで、ありがたい。

    人間の心が、遺伝子由来の自律的な反応である、システム1 (TASS:The Autonomous Set of Systems、自律的システム群)と、理性的で分析的なシステム2という2つのタイプの認知に分けられるという、「二重プロセス理論」は、『ファスト&スロー』などの行動経済学や進化心理学の本で知ってはいた。
    この本で新鮮だったのは、そのシステム1には遺伝子だけでなく、ミームも関係するということ。ある種のミームもまた、そのミーム自身が複製され、生き延びることを最優先し、乗り物である人間の利益を無視することがある。それ故、個人が自分の利益を損なうことにも気づかず、ミームの利益にかなう行動をとることがある(例:喫煙、カルト宗教)。
    著者は人間らしさの条件として「メタ合理性」の必要性を主張する。遺伝子やミーム由来の狭い合理性を、価値観や倫理的選好を考慮した別の合理性で批判検証する必要がある。それができて初めて、「人間(個人)の自律」が可能になる。
    言い換えると、狭い合理性は手段に関わる。ある目的を達成するために無駄を省き効率的に機能するシステム。実のところそれは機械やアナバチなどの昆虫にもできる。というか人間よりもよほど合理的といえる。
    広い合理性は、目的に関わる。今ここだけではなく、未来の自分や、周囲の人々、直接関わらない社会の構成員や自然環境、そういったものの利益を考慮した「合理的」な目的こそ、人間が考えるべきこと。
    本書には言及がないが、AIとの付き合い方に思いが至る。AIがどれだけ賢く、早く効率的に答えを出せても、目標設定が邪悪ならどうか?より早く、より広範囲に人を騙し、社会に害を与えることができる。例えばつい最近、chatGPTに相談していた若者が自殺したというニュースを聞いた。
    AI時代に人が目指すべきは、より高い知能ではなく、適切な合理的思考能力ではないか?
    「第8章 謎なき魂」では、認知心理学の成果を踏まえて、哲学の領域に踏み込んでいく。心の神秘が全て明かされたとしても、人間がほかの動物とは異なる価値や尊厳を持てるとしたら、「人間にのみ独自の方法-すなわち、合理的な自己決定-により、自らの生をコントロールする力」こそがそれを可能にするのだろう。

  • 「The ROBOT'S REBELLION:Finding Meaning in the Age of Darwin」(2004)の翻訳。

    「心は遺伝子の論理で決まるのか 二重過程モデルでみるヒトの合理性」(みすず書房、2008/12/18)の新訳。

    タイトルのロボットとは、ヒトのこと。

    [目次]

    解説 -- 読書猿 ダーウィンのアビス(奈落)より

    心の二重プロセス理論
    「進化の支配」は完全か?
    認識することによる自由

    はじめに

    第1章 ダーウィニズムの深淵を覗きこむ

    原理主義者ジェリー・ファルウェルが「正しい」理由
    「自己複製子」と「乗り物」
    ヒトとはどんなロボットか?
    私たちの行動は誰のためのもの?
    乗り物たちよ、反逆せよ!
    私たちと遺伝子のままならぬ関係
    遺伝子の手から逃れるには
    「人間ファースト」という大転換

    第2章 自己自身と対立する脳

    ひとつの脳のふたつの心
    自律的システム群(TASS)-- 主人の言うことを聞かない脳
    「分析的システム」の特徴を理解する
    一度にひとつずつ -- 世界のありようを「言葉」で理解する
    仮説的思考と複雑な表象
    意識外で行われる処理 -- 脳の中の火星人
    2種類の心が衝突するとき -- 分析的システムの「制止」機能
    脳を制御する長い引き綱(ロングリーシュ)と短い引き綱(ショートリーシュ)
    読者への練習問題としての「4枚カード問題」と「リンダ問題」-- あなたはTASSを制止できますか?
    「アナバチ」になるなかれ
    分析的システムを「運転席」に乗せる

    第3章 ロボットの秘密兵器

    道具的合理性と進化的適応の分岐点
    合理的であるとはどういうことか
    道具的合理性の具体的モデル
    合理性を評価するには

    第4章 「自律的な脳」のバイアス -- ショートリーシュ型の心が苦しみをもたらす理由

    「ポジティブシンキング」に潜む危険性 -- TASSは反対事例を思考することができない
    「フレーミング効果」が合理的人間像を損なう理由
    進化心理学は人間の合理性という理想を救出できるか?
    自律的な脳が避けられない「基本的演算バイアス」
    基本的演算バイアスの進化的適応性
    ヒューリスティクスとバイアス課題に対する反応についての、進化心理学的な再解釈
    現代社会における「脱文脈化」の必要性
    現代世界におけるTASSの罠

    第5章 進化心理学はどこで間違ったのか

    現代社会が提示する「新奇な状況(ナトリウムランプ)」
    乗り物より遺伝子が優先されるべき?
    「本能的直感」は人間に優しくない

    第6章 合理性障害 -- たくさんの賢い人が、たくさんの愚かなことをしでかす理由

    脳には2種類の分析レベルがある
    TASSの制止と、情報処理の2階層
    合理性大論争 -- パングロス主義者 vs. 弁明主義者 vs. 改善主義者
    合理性障害 --「賢い人が愚かな行為におよぶ」という逆説を解決する
    欲しいものをじっくり手に入れるか、欲しくないものをすばやく手に入れるか
    「ユダヤ人嫌い」のジャック
    愚かな人間が月に到達できた理由

    第7章 遺伝子の奴隷からミームの奴隷に

    ミームの来襲 -- 第2の自己複製子
    合理性、科学、ミームの評価
    ノイラート的ミーム評価プロセス
    パーソナルレベルの自律とミームの反省的獲得
    どのミームが私たちの役に立つのか?
    ミームは遺伝子以上に「たちが悪い」
    究極のミーム・トリック
    自己観察ツールとしてのミーム
    使えるミームプレックスとしての自己の構築 -- 認識の均衡を保つ装置(イコライザー)としてのミーム学
    進化心理学が「浮動性(フリーフローティング)のミーム」を否定する理由
    「共適応ミーム」のパラドックス

    第8章 謎なき魂 -- ダーウィン時代に生きる意味を見いだす

    巨大分子と謎のエキス
    人の判断を決める「文脈と価値観」
    人生にはお金よりも大事なものがあるが、「幸福」より大事なものもある -- ノージックの経験機械
    ノージックの「象徴的効用」論
    表現的合理性、倫理的選好、コミットメント
    欲求を評価する方法
    2階の欲求と選好
    欲求を合理的に統合する方法
    ネズミ、ハト、チンパンジーが、ヒトより合理的な理由
    「厳しい制約下の合理性」から抜け出る
    合理性を「2段階」で評価する
    サブパーソナルな存在の気味悪さ
    ドルに結びつけられた欲求
    「メタ合理性」はなぜ必要か
    「人間の(パーソナル)自律」の条件を定式化する -- 多種多様なサブパーソナルな存在の脅威に抗して
    私たちの手に負えるのか? -- 心的生活で大切にすべきこと

    謝辞

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著者プロフィール

藤田 美菜子(フジタ ミナコ)
翻訳家
早稲田大学第一文学部卒業。出版社で雑誌・書籍の編集に携わり、その後フリーランスの編集者・翻訳者に。訳書に『ツイン・ピークス ファイナル・ドキュメント』『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』(以上、KADOKAWA)、『北朝鮮
を撮ってきた! 』(原書房)、『炎と怒り』(共訳、早川書房)、『約束の地 大統領回顧録』(共訳、集英社)などがある。

「2021年 『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤田美菜子の作品

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