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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784478119426
作品紹介・あらすじ
「ブルー・オーシャン戦略」チャン・キム&レネ・モボルニュの新境地
創造的破壊は消費者や購買者に大きな魅力をもたらし、メディアから賞賛され、投資家に評価される。だが一方で、敗者の苦しみや発生する社会的コストは非常に大きい。
既存の雇用が失われ、賃金が下がり、地位社会が荒み、知識、スキル、工場や設備が著しい価値低下に見舞われる・・・そして、これらすべてが社会の不安定化要因となっている。
仕事を失った人々は、どこで新しい仕事を見つけるのか?
効果的な経済とは、成長し近代化するだけでなく、誰ひとりとして取り残さず、全員が参加して果実を享受できる経済である。
既存の業界を破壊せず、外側にまったく新しい市場を創造する「非ディスラプティブな創造」がいまこそ必要である。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
新たな市場創造のアプローチを提案する本書は、従来の「破壊的イノベーション」に代わる「非ディスラプティブな創造」の重要性を訴えています。著者は、経済成長の原動力として新しい技術やサービスの創出を挙げ、既...
感想・レビュー・書評
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『ブルーオーシャン戦略』の著者が、「非ディスラプティブな創造」を提唱する意見を述べた本。クリステンセンの言う「破壊的イノベーション」が重要と言われており、それによって生まれた(姿を消した)もの、例えば、大西洋横断飛行(遠洋定期船)、デジタルカメラ(フィルムカメラ)、コンピュータ(計算尺)、iPhone(携帯電話)があるが、そうではなく、従来のシステムに影響しない、すなわち既存のものをディスラプトしない、例えば、マイクロファイナンス、セサミストリート、eスポーツ、ポストイット、衛星通信、男性用化粧品を挙げて、「非ディスラプティブな創造」と名付け提唱している。言っていることは理解できるが、実際に開発、創造する人たちは、それがディスラプティブか非ディスラプティブかに関心はないだろうし、そのようなことを気にしていては、成功すらおぼつかないであろう。最初から「非ディストラプティブな創造」を探して開発を始める人はいないのではないか。ディスラプティブか非ディスラプティブかは、成功した後になって語られるものであって、最初から非ディスラプティブなことを目指すのは、現実的とは思えない。疑問の残る考え方だと感じた。
「シュンペーターが登場するまでほとんどの経済学者は、競争と既存市場の漸進的な改善こそが経済成長の主な原動力であり、完全競争の促進が最大の目的であるという見解を支持していた。しかし、シュンペーターは過去の景気循環の研究において重要な見解を示した。つまり、競争や既存の製品・サービスの改善は好ましいが、買い手のニーズが満たされて利益が減少するにつれて、いずれは収穫逓減が起きると言うのだ。従って、シュンペーターにとっての経済成長の真の原動力とは、新しい種類のテクノロジー、商品、サービスを生み出す市場創造型のイノベーションである。この創造には問題がある。シュンペーターが気づいていたように、破壊に依存しているのだ。つまりシュンペーターの世界観においては、想像と破壊は切っても切れない関係にあり、創造的破壊は絶え間なく古いものを破壊して新しいものを創造するとされた」p36
「アマゾンは米国内におけるオンライン小売売上高の50%を占めている。同様に、ウーバーは特定のタクシー会社の売上に打撃を与えたり、奪ったりしたのではない」p61詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私たちが「非ディスラプティブな創造」と見なすようになった概念には、3つの際立った特徴がある。第1に、生理用パッドのように、科学的な発明やテクノロジー主導のイノベーションをとおして実現する。ただし、マイクロファイナンスのように、科学やテクノロジー主導のイノベーションがなくても、また、テレビという既存テクノロジーを活かして未就学児向けのエデュテインメント業界を創造した『セサミストリート」のように、既存のテクノロジーを新たに組み合わせたり、 応用したりすることによっても、実現できる。M: NIのダニエル・ベルカーが述べているように、 「M: NIは、個々の部分は以前から存在していたが、ハードウェア、ソフトウェア、ウェアラブルといった技術的な要素が新たな方法で組み合わされることにより、生み出された」のである。
第2に、非ディスラプティブな創造は特定の地域や社会経済的階層に限定されない。先進国市場であれ、BOP市場であれ、世界のどの地域にも適用できる。『セサミストリート」、生理用パッド、 M: NIはいずれも、最初は先進国で、先進国のために創造された。片やマイクロファイナンスやインドの生理用パッド製造機は、BOP市場において、当初はBOP向けに創造された。非ディスラプティブな創造の機会は、世界のあらゆる地域に存在する。また、地域の社会経済ピラミッドのあらゆるレベルに存在する。矯正用メガネや生理用パッドが当初は社会経済的地位の高い人々に向けたものであったのに対し、マイクロファイナンスやインドの生理用パッド製造機は低階層向けで (注)あった。このコンセプトは私たちすべてに開かれている。
第3に、非ディスラプティブな創造は、まったく新しいイノベーションと同義ではない。まったく新しいイノベーションは、ディスラプティプと非ディスラプティブ、どちらでもあり得る。既存のプレーヤーや市場に取って代わることなく、まったく新しい市場、雇用、力強い成長を生み出した、ムルガナンダムの機械を考えてみよう。この機械は、対象市場においては新しく、非ディスラプティプだった。ところが同じ機械を、生理用パッドを市場で容易に入手できる先進的な地域で販売したなら、ディスラプティプであり得る。従って、ムルガナンダムによる非ディスラプティブな創造が新しいイノベーションであるのは、特定の地域においてなのだ。これとは対照的に、「セサミストリート』はまったく新しいイノベーションの具体例である。なぜなら、「セサミストリート」が開拓した未就学児向けエデュテインメント産業は、すべての国や地域において非ディスラプティブだったからである。
以上が意味するのは、非ディスラプティブな創造とは、科学的発明や技術的イノベーションそれ自体、まったく新しい製品やサービス、あるいは特定の地理的市場や社会経済特性とは異なるものであり、これらと混同すべきではないということである。この点については、本書の全体をとおして論じていく。非ディスラプティブな創造は、「既存の産業の外側における、あるいはそれを超越した、まったく新しい市場の創造」と普遍的に定義できる。なぜなら他でもない、新規産業は既存産業の垣根の外で創造されるからこそ、ディスラプトされて立ち行かなくなる既存の市場や企業は存在しなかったのだ。
ブロックバスターは隆盛を極めた2004年、6万人を雇用し、9000店舗を展開し、99億ドルを売り上げていた。ネットフリックスは業界の需要と規模を激増させ、2019年には売上が2 00億ドル超に達していた。ところが、その従業員数は8000人に満たない。つまり、ネットフリックスは経済、自社、株主に感銘を与えるほどの経済成長をもたらしたにもかかわらず、テクノロジー主体のビジネスモデルが必要とする人材は従来と比べて約80%も少なく、差し引きすると5 万人超もの雇用が減少した。
とはいえ、非ディスラプティブな創造には組織・ビジネス上の利点があり、それは4つの源泉に由来することが判明している。4つの源泉は、非ディスラプティブな創造の事例すべてに当てはまるとは限らないが、多数に当てはまるだろう。優位性の4つの源泉は以下のとおりである。
・業界参入者が、スタートアップであれ既存企業であれ、多大な経営資源とイノベーション努力をもとに、潤沢なリソースと広大な商圏を持つ大手既存企業をかわす能力。
・既存企業が、全面的なディスラプションの脅威に対して、正面対決を避けながら対応する能力。 ディスラプションの脅威にさらされた際、非ディスラプティブな創造は新たな成長をつかむための対決以外の道を開く。
・イノベーション努力に対する内部のステークホルダーの反応。非ディスラプティブな創造は、 既存企業内部のステークホルダーにとって、感情と政治の両面で支持しやすい。
・イノベーション努力に対する社外のステークホルダーの反応。ディスラプティブな創造は利益団体や政府との対立を助長しがちだが、非ディスラプティブな創造はこうした問題をおおむね回避できる。
ブルーオーシャン戦略=ディスラプティブな成長と非ディスラプティブな成長の融合
非ディスラプティブな創造の実現に必要な視点への転換
従来の視点/非ディスラプティブな視点
既存の市場や環境を、可能性や収益性を決める出発点や舞台と捉える。
行為主体性は構造によって制約される。
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構造より行為主体性を重視してリーダーシップを発揮し、現状の制約を受け入れるのを拒む。個々の企業は既存の市場や環境に囚われずに、まったく新しい機会を思い描いて創造することができる。
技術イノベーションを市場創造への道筋と見なす。
新規技術が焦点になる。
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まずバリュー・イノベーションについて考え、次にそれを実現するための技術等のイネーブラーを探す。
起業家や高い創造性を持つ人々が市場創造型イノベーションの主な推進者である。
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新規市場を創造するうえでは才能溢れる人材や集団の知恵が重要である。
非ディスラプティブな機会を特定する3つの方法
・みずから体験する
・共感しながら観察する
・積極的に探し出す
通威集団がこのような成功を手にしたのは、主として自社のリソースとケイパビリティを工夫を凝らして組み合わせた結果である。ただし、これまでに述べてきたように非ディスラプティブな機会は、新しいリソースやケイパビリティを築き、すでにあるものと組み合わせることによっても実現できる。フォーチュン500社の一角を占める中国平安保険が、中国におけるプライマリー・ヘルスケアという数十億ドル規模の非ディスラプティブな機会をどのように実現したかを考えてみよう。欧米諸国では質の高い医療が十分に確立しているが、中国では事情が異なっていた。公認のかかりつけ医や独立開業医の制度がないため、受診機会の少なさは長らく未解決の問題だった。
中国人は従来、健康上の問題や懸念が何であれ、主要な公立病院とそこで働く十分な資格を持った医師しか信頼していなかった。肝心なのは、大きな公立病院の門をたたく人々の50%近くが、そもそも来院すべきでなかったということだ。なぜなら、ちょっとした不調やよくある慢性的な症状であるのに、高度な専門医療に従事してすでに過重な負担を強いられていた医師のもとを訪れていたからだ。結果的に、公立病院にはキャパシティを大幅に超える負荷がかかり、医師は日に100 人超の患者を診るようになり、患者はわずか数分間しか診察してもらえないという残念な経験をしていた。こうして、特に小さな都市や遠隔地の人々は、しばしば自己診断をしたり、無認可の診療所に駆け込んだりするようになり、結果的に誤診が起きたり、患者の健康状態に深刻な影響が及んだりした。
かねてからのこの未解決・未開拓の問題に対処するために、平安保険は高い評判と潤沢な資金を活かして平安医好生を設立し、ブランド認知度と資金を与えた。ただし、平安医好生が非ディスラプティブな市場を創造するには、人々が信頼して利用しようと思うような、高い資格を持つ医師のネットワークが必要とされた。人々が当時信頼を寄せていた医師たちは、国内屈指の評判を誇る病院ですでに勤務し、過重労働をしていたため、提携や紹介はできそうもなかった。
この難題を乗り越えるために平安医好生はある可能性に着目した。一流病院に勤務していたが公私さまざまな理由で退職した医師たちを集めて、信頼される医師たちに引けを取らない常勤医師チ ―ムを結成すればよいだろうというのだ。一流病院では医師同士の競争が激しいことがわかってきた。出世の階段を上るには、診療面の優れた技術や実績だけでなく、研究実績も求められていた。 研究実績は病院を格付けするうえでの重要な基準のひとつだったのだ。豊富な臨床経験を持つ半面で研究への野心や興味に乏しい医師が、同僚からのプレッシャーや昇進の見込みの薄さゆえに、仕事を辞めて他に機会を求める例もあった。このような意欲的な医師は、レベルの低い医療機関に就職したり、独立開業したりはしないだろう。中国社会では主流の生き方ではないからだ。むしろ、 それまでの臨床訓練への投資を無駄にしてでも、大手製薬会社の営業担当者など、医療関連の別の職業に就くのである。
平安医好生はこのような優秀な医師たちを、自社で活用できる見過ごされたリソースと捉えた。そして彼らに、高給とストックオプションを得て引き続き医療に従事しながらまったく新しい理念の一翼を担うという、有望な機会を与えた。しかも、これらの医師たちは過去に公立の大病院に所属していたため、平安医好生の基礎的医療はたちどころに信頼と信用を得て、一般の人々から広く受け入れられた。
医療の提供コストを下げるには規模を拡大する必要があった。そこで平安医好生は、自社のプライマリーケアを受ける唯一の手段として、全国の人々が容易にアクセスできるインターネット・プラットフォームを構築した。これにより、病院や外来診療施設といった物理的なインフラへの高額投資を避けることができた。低コストのオンライン・プラットフォーム上でサービスを提供できる、 優秀な医師陣を擁する平安医好生は、患者すなわち顧客に卓越した価値を届けた。具体的には、30 秒以内に医師が応答するという確約、24時間サービス、2時間以内の処方薬宅配、テキスト、画像、 音声ないしビデオ通話による相談などである。患者と医師の双方が瞬時に画像や文書をアップロードして交換することも可能だ。このプラットフォームの恩恵により、人々は場所や時間を問わず低料金で平安医好生のサービスを利用でき、想像したこともない価値を得られるようになった。
平安医好生が創出した真新しい非ディスラプティブなプライマリーケア市場は、病院主体の中国の医療システムを駆逐するのではなく補完した。インターネットを基盤とする高品質・低コストのシステムは、長期的な健康管理を支援し、多数の人々の慢性および一般的な健康ニーズに対応する一方、大規模な公立病院の負担を軽減して、重篤な患者へのより生産的な対応を可能にした。
創業から4年後の2018年8月、平安医好生は香港証券取引所に上場した。2億人超の登録ユーザーと3290万人の月間アクティブユーザーを持つハイテク・ユニコーンとして、メディアからの称賛を浴びた。現在、時価総額は200億ドルを超えている。 -
配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01435858 -
東2法経図・6F開架:336.1A/Ki31h//K
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いい本でした。
主にシリコンバレー勢の「破壊(disruption)」を伴う勝者総取りのイノベーションを見慣れてしまいそれが当たり前と思ってしまってる身には、「非ディスラプティブな創造」というコンセプト/視点は目を覚させてくれ視野を広げてくれるものだった。
非ディスラプティブな創造の重要性からそこに至るための考え方や数々のフレームワークが示されているのも素晴らしい。 -
ディスラプティブな市場形成、つまり、既存のプレイヤーにはいテクノロジーを用いて既存市場を奪い去る方法ではない成長があり得る。
それが非ディスラプティブな成長である、と。
それはそうなのだが、ではどうやって
それを見つけるのか。
具体的なアプローチは語られていない。
ディスラプティブな攻撃を受けた際、
同じことをするのではなく、新たな市場を作るアプローチもありうる、という点は面白かった。
例えば、飛行機が登場して下火になった船での移動。
ここで、船に新たな価値を見出してクルーズビジネスを作りだした。
メールにより郵便物が減ったフランスの郵便事業では、配達員が高齢者の見守りを行うようになった。
今の市場がターゲットにしていない人にニーズはないのか。
今のターゲットにずれたニーズはないのか。
レネ・モボルニュの作品
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