暴走する世界―グローバリゼーションは何をどう変えるのか

制作 : Anthony Giddens  佐和 隆光 
  • ダイヤモンド社
3.43
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本棚登録 : 165
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478190432

作品紹介・あらすじ

秩序と安定を失いながら「変化」し続ける世界。このとめどなき「変化」の本質を、グローバリゼーション、リスク、伝統、家族、民主主義という5つのキーワードで読み解く画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 請求記号:304/G42
    図書館の思い出:
    大東文化大学に奉職したころ、私はまず図書館の居心地の良さに幸せを感じたものです。緑に囲まれた東松山の図書館には、個室もあり、蔵書も圧倒的に多く静かな環境です。自分から主体的にでかけて、自分の好きな本や雑誌を選んでみてください。どんな本を読むかはみなさんの自由です。
    以下は、私が最近読んだ本です。最後の一冊は、最近の私の編著書です。読書が好きになると、自然に書くことも好きになります。ぜひ、図書館を活用してみてくださいね。
    (環境創造学部環境創造学科 川村 千鶴子 教授)

  • 『二十一世紀における争点のひとつは、コスモポリタン的な寛容とファンダメンタリズムの対立であろう。

    情報や映像が日常的に地球上をかけめぐるグローバル化した世界では、私たちはだれしも、生活様式を異にし、思考様式をも異にする人々と、ひんぱんに出会うことになる。

    コスモポリタンは、こうした文化のふれあいと融合を好ましいこととして歓迎する。他方、ファンダメンタリストは、それを、秩序破壊的なゆゆしきこととして警戒する。

    宗教、人種的アイデンティティ、あるいはナショナリズムの名のもとに、ファンダメンタリストは、伝統を復興させ、それらを純化しようとする。そして彼らは、伝統を保守するためには、暴力に訴えることすらはばからない。』

    これは1999年の著書。
    21世紀に考えるべきこと、グローバリズムの本質、多様化するリスク、伝統をめぐる戦い、変容をせまられる家族のあり方、民主主義の限界及び民主主義の民主化。

    こんな情勢だからこそ、出発点からきちんと考える必要があり、入り口を間違えると間違った肩入れをしてしまうのではないかと。

  • 「グローバリゼーションは何をどう変えるのか」と、副題にあるように、極めて今日的な課題である世界のグローバル化についての解析を試みるのが、この小冊子の目論見である。ギデンズは、5つの章を立て論点を簡潔に示している。西洋キリスト教社会に生きている訳ではない者にとっては納得できる部分もあるし、そうでない部分もあるが、著者の分析は概ね公平な視点に立っていると思われる。

    第一章では、グローバリゼーションが経済だけに限られた現象でないことに注意を喚起する。通信技術の発展が必然的にもたらした世界のグローバル化は、共産主義社会の崩壊を招き、富の不平等化を引き寄せた。さらにそれは国や宗教が保持していた独自の文化をもゆさぶり、否応もなく我々は「様々な変化の相乗作用の結果として、無目的かつ無原則的にできあがる秩序である」新しい世界、グローバル・コスモポリタン社会に足を踏み入れている。すでに機能停止している旧制度を捨て新しい制度を創造することで、この新秩序に対応せよと、ギデンズは言う。

    次には世界が直面している多様な「リスク」について、予防原則という手だての有効性を論じながらも、環境リスクを重要視するあまり、反科学、反合理主義に陥る愚を説き、リスクへの積極的な挑戦こそが経済を活性化し、社会を改革すると力説する。

    第三章では、「伝統」について検討を加えている。コスモポリタニズムに対するファンダメンタリストの盾となる「伝統」には捏造されたものが多いことを、キルトの作られた歴史から説くところはイギリス人らしいユーモアに溢れている。その一方で、ギデンズは「伝統の存在は社会を存立させるための必要条件である」ともいう。伝統が稀薄化すれば、人はアイデンティティーを自己自身の物語作りに負わなければならなくなる。その意味で、フロイトの業績を「脱伝統文化の初期の段階で求められる、自己同一性を刷新するための処方箋を確立したことにある」とする見解は興味深い。

    家族を扱う第四章の結論を一言で言うなら、従来的な家族観から抜け出し、新しい家族観を認めるべきだということになろう。子どもや女性の人権を守ること、同性愛者に対する差別の撤廃など、耳新しいことは何もないが、イスラム諸国の現実を考えあわせれば、ファンダメンタリストとの闘いは避けて通ることはできないであろう。

    最終章でギデンズが取り上げるのは民主主義の有効性である。健全な民主主義を三本足の腰掛けになぞらえて、政府、市場、市民社会の三つが調和がとれていることの重要性を説く。アフガン支援でNGOの参加に圧力を加える政治家のいる国は三本目の足の長くなるのを恐れて鋸で切ろうとしているものでもあろうか。国民国家の枠を超え、グローバル化された民主主義が必要な所以である。

    一読後感じるのは、概説的な書物の持つ宿命として、論議が抽象的になりがちだということである。一種の信仰表明のようなものであり、著者の立つ位置ははっきり示されているが、読者は何をすればよいかは示されることはない。ただ、試薬のようなものとしては有効で、自分の論を築く上で、確かな足場を提供してくれている。因みに、個人的見解として、1、3章には共感を、4、5章は今更ながらといった感じを、2章には疑問を感じたことを付け加えておきたい。

    著者のギデンズは、トニー・ブレア英国首相のブレーンとして知られる社会学者であり、サッチャリズムでもなく、従来型の左翼の手法でもない所謂『第三の道』を標榜する理論的主導者でもある。紙面の背後に浮かび上がってくるのは、確かな現実認識があり、柔軟な思考のできる、知的に誠実な学者像である。自国の経済状況や他国からどう見られているかという内向きの問題に汲々としている日本の状況を思うとき、世界に対する責任を自覚した意見を発信できる学者を首相のブレーンとして持つことのできる国民がちょっと羨ましくなった。(佐和隆光訳)

  • 非常に読みやすかった。
    ギデンズの考える「近代化」「グローバル化」を土台に議論されているから、主張は明快だし受けいれやすかった。社会学者の記述の論理はときに主観的過ぎると思うことがあったけれど、この本ではそういうことを思わなかった。
    早く「近代とはいかなる時代か」を読みたい!

  • ギデンズのグローバリゼーション本。グローバリゼーションの影響を「リスク」「伝統」「家族」「民主主義」についての社会学的な論考。薄い。短い。読みやすい。
    そういえば、経済学者のクルーグマンは「グローバル経済なんて各国のGDPのほんの一部だしヘノカッパだぜ、グローバリゼーションで騒ぐ奴は馬鹿だ(クルーグマン教授の経済入門/日経文庫)」って言ってるけど(ギデンズのいうところの懐疑論者)、ことこんな感じの社会問題に関してはいかがなもんでしょう。

  • 10年前に書かれたとは思えないほどの鋭さがある。

    日本語の文体もスタイリッシュに翻訳されている良書。

    提示されている問題意識と論点は、社会学を遥かに凌駕しており、10年後になって読んでみる価値は大である。

  • 21世紀初めの10年における、国際化社会の様相を示唆、論考した本書。ギデンズは国際化の流れでおこる社会の変化が及ぼす影響を測定不能とし、リスクを予防することを主張している。また、かれは排除のない世界を理想として掲げる。しかし、2011年、進展した国際化はより暴走し、我々(日本)はそれに適応することができてないと思う。いまだ、新自由主義の流れは強く、格差は拡大し、不平等への無関心が我々を包んでいる。不平等や、社会的定位・排除は社会の構造的に産み出されることは、もはや明確であるにも関わらず。我々に求められることは、国際化に伴う社会の構築変化に対して、どのような理想をもって社会活動に参加するか、という思想と活動様式である。本書は、国際化が及ぼす社会への影響と、その圧倒的かつ不可避な力のなかで、我々市民がどのような社会を築き上げていくのか、という社会ビジョンの構築に視座を与えてくれる。

  • 2010.5.20

    んー微妙。
    グローバリゼーション→リスク、伝統、家族、民主主義について。
    主張の根拠が書かれてないような。

  • 内容は、簡単ではないです。読み込みます。

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プロフィール

アンソニー・ギデンズ(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス元学長)

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