競争戦略論 1

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478200506

作品紹介・あらすじ

"安く作る"戦術から"高く売れる"戦略へ。日本企業に必要な低収益体質からの脱却策がここにある。経営者、ビジネスマン、研究者など経営を論ずる知識人の必読書。

感想・レビュー・書評

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  • 競争戦略論 Ⅰ
    著:ポーター,M.E.
    訳:竹内 弘高

    本書は、ハーバードビジネススクールの「競争戦略論 On Competition」を
    日本で2分冊として出版した最初の1冊です

    そのテーマは、グローバル競争の時代において、どうすれば企業と国が生き残れるのか です

    本書はその中で、競合にまねができない独自の戦略をどう作り上げるのか 産業構造をどう理解するのか
    IT技術をどうコントロールするのか、企業の境界を再定義して、どう多角化を進めるのかを焦点にあてています

    著者は、この地上には、競争に脅かされていない、企業や国はもう残ってはいないこと、そして、競争を理解し、競争に熟達するための努力をしなければ、生き残れないといっています

    気になったのは、以下です。

    一業界における競争の状況は、5つの基本的な要因によって決定される
     (フレームワーク:競争要因)
     ①新規参入の脅威
     ②供給業者の交渉力
     ③買い手の交渉力
     ④代替製品の脅威
     ⑤既存企業間の競争状態

    戦略の策定
     ①ポジションニング
     ②バランスを動かす
     ③業界の変化を利用する

    競争戦略の本質は差別化である

    オペレーションの効率化は必要条件であって十分条件ではない

    情報の取得・処理・送信のためのコストが劇的に下がったために、ビジネスのやり方が変わった

    情報革命が競争に与える影響
     ①業界構造を変え、それに伴い競争のルールが変わる
     ②ライバルの能力を上回る新たな手段を与えることで競争優位をもたらす
     ③企業の既存のオペレーションを母体として、新しいビジネスを生み出す

    企業の価値活動は 5つの主要活動と、4つの支援活動からなるサプライチェーンからなる
    (フレームワーク:価値連鎖)
    <主要活動>
     ①社内向けロジスティクス
     ②オペレーション
     ③社外向けロジスティクス
     ④マーケティングおよび販売
     ⑤サービス
    <支援活動>
     ⑥企業インフラ
     ⑦人的資源管理
     ⑧テクノロジー開発 
     ⑨調達

    競争の範囲
     ・セグメントの範囲
     ・垂直方向の範囲
     ・地理的範囲
     ・業界の範囲

    競争の本質を変える3つの影響
     ①IT技術の進歩が業界の構造を変える場合
     ②ITが競争優位を生み出すための道具としての重要性を増す場合
     ③情報革命によって全く新しいビジネスが生まれる場合

    IT技術の導入は、製品設計に破壊的なコストの低減をもたらす
    ⇒IT技術はサプライチェーンのあらゆる部分でコストが変更する可能性がある

    IT技術を競争戦略に反映させる

    衰退産業の撤退するにも、参入障壁と同様に、撤退障壁が存在する

    衰退産業の4つの戦略
     ①リーダシップ戦略 強いリーダシップをもって衰退産業に踏みとどまる
     ②ニッチ戦略 利益が得られるようなセグメントを発見して、そこのセグメントに特化して生き残る
     ③収穫戦略 節度ある撤退を行いつつ、最大のキャッシュフローを獲得する
     ④早期撤退戦略 衰退がはじまったら、収穫した後で売却して、別の事業へ投資を行う、見切り千両

    企業戦略のコンセプト
     ・ポートフォリオマネジメント 優良だが過小評価されている事業の発見
     ・リストラクチャリング 
     ・スキルトランスファー 事業間の相互関係の強化
     ・活動の共有 サプライチェーンにおける活動を複数の事業部間で共有する

    行動計画
     1 既存の事業部のあいだに存在する関連性を確認する
     2 企業戦略の基礎になる中核事業を選択する
     3 水平的な組織メカニズムを構築して中核事業間の関連を深め、今後の関連性のある多角化の地盤を固める
     4 活動の共有が可能となるような多角化のチャンスを追求する
     5 活動を共有するチャンスが限られたいたり利用し尽くしてしまった場合にはスキルの移転による多角化を追求する
     6 経営陣のスキルという点でふさわしい場合、また社内の相互関連性を生み出すよいチャンスがない場合には、リストラクチャリング戦略を追求する
     7 株主がポートフォリオ・マネジメントを行えるように配当を出す

    目次
    日本語版への序文
    はじめに
    第1章 競争要因が戦略を決める
     有力な競争要因
     戦略の策定
     多面的な競合関係
     (コラム)参入障壁としての経験曲線
    第2章 戦略とは何か
     オペレーションの効率化は戦略ではない
     戦略の基礎は独自の活動
     維持可能な戦略的ポジショニングの確立はトレードオフが必須
     競争優位とその維持可能性を決定するのはフィット
     戦略の再発見
     (コラム1)戦略を持たない日本企業
     (コラム2)新たなポジションの発見:起業家的な優位
     (コラム3)基本戦略との関連性
     (コラム4)戦略への回帰
     (コラム5)新興産業と技術
    第3章 情報をいかに競争優位につなげるか
     情報技術の戦略的意義
     競争の本質を変える3つの影響
     情報化時代の競争
     (コラム1)情報技術と業界構造
     (コラム2)狙いは競争優位
    第4章 衰退産業における終盤戦略
     何が競争を左右するのか
     衰退産業における戦略
     衰退に向けた戦略の選び方
     (コラム)衰退産業における戦略の研究
    第5章 競争優位から企業戦略へ
     苦い現実
     企業戦略の大前提
     満たすべき本質的基準とは
     企業戦略というコンセプト
     企業戦略の選択
     行動計画
     企業としてのテーマを作る
     (コラム1)調査データについて
     (コラム2)英国の鋭敏なリストラクチャリング企業
     (コラム3)もてなしの心で付加価値を生む
     訳者あとがき

    競争戦略論 Ⅱ 目次 (参考)

    第1章 国の競争優位
    第2章 クラスターと競争
    第3章 グローバル企業に学ぶ勝ち方
    第4章 多くの立地にまたがる競争
    第5章 資本の損失

    ISBN:9784478200506
    出版社:ダイヤモンド社
    判型:4-6
    ページ数:272ページ
    定価:2400円(本体)
    発売日:1999年06月03日第1刷
    発売日:2013年05月29日第22刷

  • 構えていたような古典さや特定の価値観に偏った感はなかった。事業戦略の基礎理論として押さえておく。

  • 1、2、5章が面白い。1、2章で戦略とオペレーション改革の違いを説き、5章では多角化戦略について説く。

  • ちょっと事例が古くなってる部分はあるけど、ホネの部分は今でも十分通じるものがあるかな。

  • ポーターのベスト論文集ともいうべき本で、「マイケルポーターの競争戦略」という解説本を読んだ直後だったこともあり非常にすんなりと頭に入った。ポーターの戦略論は何度読んでもシンプルだが鋭い。戦略とはいかに独自性のある価値ポジションを作り、同時に活動システムを特別に調整し結びつけることである(活動間のフィット)。そうすることによって他企業が模倣できない競争優位をつくり、維持し続けることが可能となる。オペレーションの効率追求は戦略ではない、戦略とは何をやらないかの選択、トレードオフである、というメッセージは強烈であり、日本企業への批判もされている。また情報技術の活用に関する論文は1985年発表とのことだが、インターネットどころかパソコンの普及さえままならない時代にこれだけのことが書かれていることに驚くばかりである。

  • 戦略担当者の行動プラン
    ①競争要因から身を守るうえで自社の能力を最大限生かせるポジショニング
    ②競争要因のバランスに影響を与え、それによって自社のポジショニングを改善する
    ③競争要因の根本にある要素への変化の予測と対応

    ⇒企業が成長するうえでカギとなるのは、ポジショニングである

    戦略とオペレーション効率の改善は違う
    ●オペレーション効率の改善だと、企業行動は収斂する。競合する企業が、似たり寄ったりになる。そして消耗戦となる。結果、利益の減少に悩まされる
    ●競争戦略の本質は差別化である。競争上必要なトレードオフを行うことであり、これが戦略である。「何をやらないか」という戦略である。もしトレードオフが存在しないなら、戦略も必要なく模倣され、業績は全面的にオペレーション効率によってのみ決定されることになる

    競争優位とその維持可能性を決定するのはフィット
    ●サウスウエスト航空の成功のカギは、「すべてが関係していること」であり、ここの戦略は活動システム全体を包含するものであり、部分的活動の寄せ集めではないことにある
    ●フィットが重要である理由は、別々の活動間でも互いに影響を与え合う場合が多いため。一貫性、相互強化性、最適化に特徴がある。ここからわかることは、部分よりも全体が重要であるという点
    ●戦略とは、企業としての活動のあいだにフィットを生み出すことである。活動が互いにフィットしていなければ、明確な戦略もないし、優位もまず維持できない。

    戦略をもたない日本企業
    ●厚い文化障壁を克服。日本はコンセンサス志向が強い、個人の違いよりも中和、しかし戦略には厳しい選択が必要となる。そして顧客のニーズをすべて満足させようという気質が根付いている。明確なポジショニングにならず「すべてのモノをすべての顧客へ」という体制になる

    情報をいかに競争優位につなげるか
    ●製品の情報部分が拡大していく。情報技術が担う戦略的役割が増大している様子を裏付けている

    競争優位から企業戦略へ
    ●多角化において「魅力」「参入コスト」「補強関係」を考慮shないといけない
    ●企業戦略における事業間の相互関係がどのような役割を果たしているかを理解するには「関係性」に新たな意味を付加する。出発点として優れているのが「価値連鎖」である。あらゆる事業部は、その競争を支える販売から経理に至る別々の活動の集合体である。競争優位を得るには、こうした個々の活動レベルにある。
    ●スキルの移転によっては、①事業の活動が似通っており、専門能力を共有する意味がある、②移転が競争優位の点で重要な活動に関係している、③受け取る側の事業部にとって大きな競争優位の源泉となる
    ●多角化に成功する特徴は、関連性のない買収が少ない、新会社や合弁事業を積極的に活用、新会社を立ち上げる余裕があるなら買収による統合に伴う問題に煩わされるよりも会社を作った方が早い、業界構造が劣悪であれば無理


    これが20年近く前?に書かれている、ことからもわかるように、普遍性があると思われる。企業の戦略、事業部ごとの戦略、と二段階で考えられているが、企業の上に「資本主義」の構造の影響、みたいなことを追加していけば面白そう。

  • 書いてある内容は理解できるが、そもそも論文集なので、なかなかスッとはいってこない方もいると思う。そのため、本書を噛み砕いた別の本と併用をすすめる。また、役立つか役立たないかというと、書いてる内容は、過去の事例紹介などを含め体系だっており、間違いなく役立つ必読の一冊。

  • 「オペレーション効率の継続的改善は、卓越した収益性を実現するための必要条件である。だがそれは十分条件にはならない。」「オペレー新効率の相対的な優位は誰も成功を手にしない結果に終わる。」長所を伸ばし、短所も同時に強調することで個性を際立たせる
    =戦略。合理性を追求すると結果を誤る。

  • 競争優位の厳選 5forceによる市場環境分析、提供価値最大化のためのバリューチェーン

    衰退産業における戦略

  • TGLP

  • 以前読んだ「ストーリーとしての競争戦略」は、この本を噛み砕いて、事例を色々と追加して書かれたのだなと分かった。
    ポジショニング、トレードオフ、フィットなどが紹介されてたが、とりわけポジショニングが大事。日本の電機メーカーは技術過信が大き過ぎて、ポジショニングができてなかったのだろう。ポジショニングあった上で、それを実行するための技術開発があるはずなのに。

  • 「競争戦略論Ⅰ」読了。
    マイケル・ポーターの論文集。

    2章の「戦略とは何か」は一度読んだ気がしていたが、全く覚えていませんでした。
    うーむ。^^;
    2章で印象に残ったのはやはり戦略の定義。
    「戦略とは企業としての活動の間にフィットを生み出すことである」
    フィットは整合性・一貫性とほぼイコールと思うが、
    「戦略にはフィットが必要」ではなく、「戦略=フィット」ですか。
    なるほど。

    あと、印象に残ったのは「成長という罠」
    「戦略に影響を与えるさまざまな要素のなかで、最も危険なのが成長願望であろう。」
    成長しようとして、セグメント広げたり、別の製品群に手を出したりして、フィットがなくなって失敗する。
    あー、あるある。よく自分が抵抗しているやつだ。。(結構押し切られてしまうが、、、)(^^)

  • 企業経営における「孫子」みたいな本です。

    孫子に『彼を知り己を知らば、百戦して殆うからず』という言葉がありますが、現代の企業経営において、彼とは何か?己とは何か?ということが、かなり細かく分析されています。

    抽象的な表現が延々と続くことがあるので、眠たくなる箇所があるのは事実。
    私も二回ほど寝てしまいました。
    私にとっては、第三章と第四章が退屈でしたね。

    第二章「戦略とは何か?」は企業経営者は必読。
    内容を箇条書きにすると

    1.オペレーションの効率化は戦略ではない
    2.戦略の基礎は独自の活動
    3.戦略的ポジショニングの確立にはトレードオフが必須
    4.戦略とは、企業としての活動のあいだにフィットを生み出すこと

    こんな感じ。

    難しいと思った人も第二章は読めると思います。
    第二章は★5です。

  • 企業の競争に関わる戦略をフェーズごと業種ごと等に分け様々な切り口から分類分析している本。
    企業、産業ベースに様々な事象を分析しているのだが、現在の状況をやはり若干古いため見ると当てはまるところと当てはまらないところとを自分で判断しなければいけないかと考えられる。

  • 収益を競合より得るには競合より高い価格か低いコストを実現すればよい。ぜんしゃは 戦略的ポジショニングの差(競争戦略)、後者はベストプラクティスの実現。6
    戦略策定の本質は「競争への対応」。市場シェアを巡る争いにおいては競争は競合企業というカタチでハッキリと現れるとは限らない。個々の業界における既存の競合企業を超えたところに存在する。買い手、供給業者、新規参入、代替製品を既存競合企業に加えなければいけない(33)
    ハイパーコンペティション(大競争)68
    オペレーションの効率化は必要条件であって十分条件ではない。オペレーション効率をたよりに長期にわたって競争に勝ち残り治づけた企業はほとんど存在しない。(73)
    競争戦略の本質は差別化である。つまり意図的にライバルとは異なる一連の活動を選び、独自の価値を提供すること。76
    維持可能な戦略的ポジションの構築にはトレードオフが必須。(93)

  • ポーターの戦略論に関する論文を集めた本。

    ポーターに関する基本的な知識(5 forcesやvalue chainなど)を持っていると
    さくさく読めて面白い。
    去年挑戦して挫折したけど、いろいろと本を読んできたため、
    やっと面白いと思えるようになった。

    最近、ポーターのCSR関連の論文を読んだが、
    これまでの考え方と一貫してCSR論まで展開できるものか、と感動を覚えた。
    一貫した考え方とは、
     ・戦略 = 差別化
    とし、そのためには、
     ?業界の構造を理解(=5 forces)
     ?自社の強み(=value chain)
     ?地域や国の強み

    その基本となる考え方のうちの??を学べるのが本書。
    後編が?の話になる。

  • 産業クラスター論

  • ポーターがHBRに寄稿した論文を集めた戦略論の論文集。
    第1巻は企業の競争戦略に関する論文をまとめたもの。本書で展開される議論は,5フォースのフレームワークを,現代的トピック,あるいは動態的に展開したものが多い.分析自体は必ずしも知見豊かなものではないけれども,1つの枠組みを用いて様々な現象についての考え方を提供するという試みには,さすが経済学ベースの経営学者という印象を抱かせる.
    また,本書で展開されている議論は,RBVやゲーム理論など,近年の戦略論の考え方に近い内容も含まれており,ポーターの戦略論に対する見識の深さを感じさせる.
    簡潔な内容でいて,考えるきっかけを与えてくれるような意外といい本.

  • 2005年 3年卒論向け課題図書

  • こっちのポーターはやっぱ5つの要因が山です。競争優位分析にも使ったし、三田論でも読みました。その後の競争戦略論の戦略策定のチームでも使ったかな。

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