日本の競争戦略

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478200599

作品紹介・あらすじ

戦略を構築する際に唯一信頼できる指標は、収益性である。この目標を達成するためには、日本企業は経営に対する価値観を根本的に転換する必要がある。企業の成功、すなわち経済的価値、顧客への価値、さらには社会的価値を生み出しているかどうかを測る際には、投資に対する収益性を確保しているかどうかが最終的な判断材料とならねばならない。資本は貴重な資源であり、効率的に運用しなければならない対象として考えるべきである。そして、企業やマネジャーの名声や評判は、事業規模ではなく、戦略の独自性に基づくべきである。日本企業は、1960年代から80年代にかけて編み出してきたQCや統計管理手法の"現代版"を積極導入する必要がある。その取り組みにおいては製品の品質改善や生産性向上に傾けたのと同程度の情熱を注ぎ込まなければならない。経営学界の第一人者が10年の調査・研究を基に初めて著す日本企業のための戦略論。

感想・レビュー・書評

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  • 経営戦略の巨人、ポーター博士が日本企業の競争戦略とそれ支えるべき政府の役割を論じた1冊。現在大学院で受講している、日本的経営を考えるクラスの参考図書という扱いもあり読了。

    経営学というのは得てして再現性の立証が極めて困難(もっともこれは人文社会学全般に言えることではあるけど)であることから、「何でも言ったもん勝ち」になりやすいというのが僕個人の私見だけれども、そこは流石、アカデミックな経営学のトップに位置するポーター博士だけあり、「成功企業だけではなく失敗企業も分析対象に据えて、双方の相違点に着目する」、「企業内部での固有の戦略だけではなく、外部環境である政府やサプライヤーとの関係性なども含めて分析する」というアプローチにより、理論的な構築度の高い分析がまとめられており、納得度は高い。

    総論的には、やはりポジショニング派の巨人として、「何をやらずに何を選択するか」というポジショニングの徹底度が日本では弱いことを挙げつつ、1980年代までは成功していたかに見えた政府の規制による競争抑制アプローチが現在では全く機能しておらず、むしろ競争を促進するよう、最低限のアシストをする点に政府が留まる必要があることを主張する。

    今後の日本の経営を考える上で、一度は世界を席巻したかに思える日本的経営モデルの強みと弱みは何で、何を変えるべきなのかを知ることは重要なことだと思う。加えて、個人的にはこういう第一人者が実際に著述した本は、その主張する内容の根拠の精密さが高いが故に実際に読むことによって、主張だけを知るのとは、その理解に雲泥の差が付くことを理解できた気が。これも1つの気づき。

  • 共同研究開発は産業内の各個別企業の競争力を損なう危険性を孕んでいる。

    日本企業は、品質とコストを同時に改善するというオペレーション効率の視点からのみ競争を捉えているため、競争において持続的な成功を収めることを自ら極めて難しいものにした。

    何をしないかという選択が、戦略の核心である。

    最近よく考えます。仕事で何を切るか。

    幸か不幸か、定時時間内では終わらないくらいの仕事を頂いています。自分にとって重要と考えていることに時間をかけるためにも、別の仕事が巻んで来た時にも即対応できるためにも、何とかして基本は定時時間内に仕事を捌きたい。そこで大事なのが、何を選択するかよりも、何を捨てるか。

    選択はあまり難しくないと思っています。自分の目標にも掲げていますし、周りの多くの人たちも大抵同じ想いでいてくれます。

    問題は選択したもの以外のその他雑多な仕事。仕事は誰かにとって意味があるはずなので、その誰かは必ず重要と言います。それを全部聞いていたら身が持ちません。

    とりあえず、目星をつけたものは切ることにしました。これから仕事が減ることはあまり考えづらいので、少しずつ切る練習をしたいと思います。

  • 2000年に書かれたにもかかわらず、色あせていない示唆に富んだ一冊。ポーター教授らしく戦略とはトレードオフであるとしたうえで、日本企業が捨て切れない悪しき習慣について改革すべしと鋭く指摘している。全般的に外からみた日本についてこれほどまで客観的かつ冷静に分析された著書があったものかと今更ながら非常にためになる内容だった。日本の競争力を弱めた真因と、教授が提言する日本のイノベーションをこの10年間の変化とともに今後に向けての足がかりにしたい。

  • MBA必携の書。10年ぶり再読
    キーワードだけではなく、根拠となる分析を一冊の本を読むことで把握することが非常に大事。
    2000年著であるが、今もまったく色褪せていない。

  • 日本型経営を学ぶために必須の一冊。通産省主導の産業政策が実際には全く役立っていなかった、という論点を証拠とともに提示。

  • 初版から10年以上が経過し、概ねその通りになりつつあるのだろう。
    経済と政府の関わりとその功罪がよくわかる。
    現在の政府と企業の戦略を、ポーターはどう評価するのか興味深い。

  • 適当に買った本

  • 日本企業のおかれている現状、
    仕組みがよく分かる一冊。

  • 1980年代後半までは日本の製造業は高い競争力
    を持つと信じられていたのではないか、しかし、本書
    によると競争力を持っていたのは自動車や家電、精密機械
    などの一部の業種である事。
    1980年代からはそれらの業種でも競争力の低下が起こっている
    事が説得的の書かれている。

    本書で書かれている日本の企業や政府にとっての問題点は
    今でも解決さていない。

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