イノベーターの条件―社会の絆をいかに創造するか (はじめて読むドラッカー (社会編))
- ダイヤモンド社 (2000年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478300626
作品紹介・あらすじ
社会の革新はいかにして可能か。そのための条件は何か。あるべき社会のかたちと人間の存在を考えつづけるドラッカー社会論のエッセンス。
感想・レビュー・書評
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ドラッカーの書から、戦前の重苦しいヨーロッパの空気が感じられます。
グローバルで、歴史を見据えたドラッカーの視野の広さには感動を覚えます。
表題にあるイノベータとは、企業のビジネスリーダではなく、経済的利害集団から、知識労働者へ、知識社会へと変容していく21世紀への社会に対する変革者をいっています。
戦後のポスト資本主義と大国家の出現によって、生じる、「機会の平等」と、「結果の平等」との不平等の是正と、年金制度の導入で、発言力が増している高齢者がもたらす政治勢力の再編をいっています。
加えて、知識社会、学校を卒業をしても尚、続く継続学習、ITがもたらす社会への影響
大都市の衰退がはじまり、規模が適正化されていく。
まとめである、「もう一人のキルケゴール」は、死に至る病とは絶望であるとの彼の言葉にかけて、キルケゴールの言葉は、人に死ぬ勇気を与えるが、同時に、生きる覚悟を与える。
との言葉で本書を締めくくっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「星野リゾートの教科書」にて紹介されていた書籍。
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あまりもの慧眼。現在までの政治・経済の状況がすでに本書に予言されている。
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「はじめて読むドラッカー」シリーズの一つ。個人的には2冊め。
1冊めの「プロフェッショナルの条件」にはまだいくらか読んで面白い部分があったけれど、この本は内容が難しいせいかほとんど興味を持てなかった。 -
「ニューエコノミー」の前提となる「ニューソサエティ」がどのように生まれ何を形作るか、その中でどう個人が機会を得ていくかのヒントになる。
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ドラッカーの名著。
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社会
自己啓発
ビジネス -
本書は社会全般、とりわけ、政治・教育の分野を扱う。本書の原出典は、古いものは第二次大戦中、新しいものでも1995年ごろの著書である。しかし、現在読んでもほとんど古さを感じさせない。というのは、現在の日本の政治の低迷、教育の低迷についての、原因・結果そして処方箋が、ずばり言い当てられているからである。実に40年も50年も前に、ドラッカーに予言されたとおりになっている。ドラッカーの社会に対する洞察の深さに感服させられる。
全ての政治家・官僚・教育者に本書を読んでいただきい。もし読んでいただいていたのであれば、今日の日本の低迷を招かなかったのではないかとさえ感じる。
しかし、本書についての課題もある。これで本書を含めて「はじめて読むドラッカー」シリーズ4冊を読み終えたが、本書が一番難解であった。ほかの3冊は、マネジメント・プロフェッショナル・技術という特定テーマを扱う。しかし本書は、社会という最も抽象的な概念を扱う。難解で理解しがたいのは、そのためではないだろうか?思いのほか、読み切るのに時間を費やしてしまった。★5つつけるべきところを1点減点した。
願わくば、本書を平易に解説した啓発書が必要ではないだろうか?ドラッカーの遺志を継ぐ者が現れるのを期待したい。
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目次
本書のために書き下ろしたのではなく既出書からの抜粋である。既出書の年号を付記する。
日本の読者へールネッサンスへの期待
はじめに
Part1 激動の転換期にある社会
1章 社会の存在を当然としてはならない(1942-産業人の未来)
2章 経済至上主義は人を幸せにするか(1939-経済人の終わり)
3章 二十世紀の変化の本質は何か(1995-未来への決断)
4章 多元社会における組織の原理(1969-断絶の時代)
5章 起業家社会の到来は何を意味するか(1985-イノベーションと起業家精神)
6章 NPOはなぜ成功したのか(1993-ポスト資本主義社会)
Part2 断絶後の経済
1章 「継続の時代」は終わった(1969)
2章 世界経済の変貌が持つ意味(1986-論文「マネジメント・フロンティア」)
Part3 模索する政治
1章 理性崇拝は何をもたらすか(1942)
2章 改革の原理としての正統保守主義(1942)
3章 社会の問題に唯一の正解はない(1989-新しい現実)
4章 「利害による連合」の終わり(1989)
5章 国民国家から大国家(メガテイスト)へ(1993)
6章 高齢者が政治を動かす(1976)
Par4 問われる知識と教育
1章 知識の政治学(1969)
2章 学校が劇的に変る(1993)
3章 分析から知覚へー二十一世紀の社会と世界観(1989)
付章 もう一人のキルケゴールー人間の実在はいかにして可能か(1992-すでに起こった未来)