逆転戦略 ウィルコム-「弱み」を「強み」に変える意志の経営

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 68
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478312131

作品紹介・あらすじ

ガースナーは、稲盛和夫は、何を狙ったのか。日本の通信業界に風雲急を告げる地殻変動シナリオ。

感想・レビュー・書評

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  • なんかウィルコムからお金をもらっているのか?というほどの礼賛本の印象。
    この後のウィルコムの末路を知る今となってはフクザツな思いで読んでしまうのですが、ウィルコムのほんの割に半分くらい日本の携帯電話ビジネスの歴史に紙面が割かれていて、まぁそれはそれで貴重な資料なんだけど個人的にはよく知っている話なので別に、って感じ。
    残念ながら得るものはあまりなかったですな。

  • 1990年代から2000年代初めにかけての携帯電話を中心とする通信業界の状況を知ることができる本。

    当初の目的は、ウィルコムを買った投資ファンドのカーライルに興味があり読んでみようと思った。投資ファンドという視点では、なぜウィルコムなのかは記載があるがExitに向けて買った後にどのような取り組みがあったのか不明。まあ、発売されたのがカーライルに買収された半年後なので仕方ないか。。。

    自分としては通信業界に疎かったので、読んでてためになったと思うし、高校生時代にdocomoがmovaからfoamに変わったときの記憶や、そういえば昔はメールが250文字までしか打てなかったっけ、、、と何か懐かしいさを感じたので読んでて楽しかった。

  • 確か会社が部で携帯電話を購入したのが1994年で、当時は持っている人も少なく、電車の中で持っていて珍しがられたと記憶しています。

    公衆電話を使わずに相手と話ができる便利さから携帯電話を使いたいのですが、契約料が高く、そのためにポケベルやPHS等のサービスが多くあったと記憶しています。

    この本は、KDIの子会社であるDDIポケットを購入してできた「ウィルコム」が新しい戦略(弱みを強みに変える経営)のもとに成長する可能性について述べた解説本です。

    今から5年以上に書かれた本で、紹介されているサービスは、今ではもう当たり前になっているものもありますが、今でもウィルコムは活躍していることを思うと、ウィルコム経営陣の戦略は上手く機能しているのかも知れません。

    以下は気になったポイントです。

    ・カーライル・グループのバイアウトファンドの買収劇の特徴は従来のものと比較して、1)ウィルコム(DDIポケット)がKDDIにとっては黒字転換した会社、2)雇用調整を行わないと宣言している点、が異なる(p21)

    ・ADSLを普及させていくためには、NTTの保有する通信インフラの開放が不可欠であったが、当時は、NTTにはそのインセンティブも行政側に開放させる大義名分もない時代(p35)

    ・2001年春からイー・アクセスが切り開いた新しいルールには、1)NTTの敷いた電話回線を安価に借りれる、2)敷設済のファイバー網の使われてないダークファイバーを企業に貸し出すこと(定額料金がポイント)という特徴があった(p37)

    ・iモードが画期的だったのは、1)メールなどのプラットフォーム仕様をインターネット標準にしながら携帯電話向けにミニマイズ、2)携帯電話による小額決済サービスを用意した点(p52)

    ・NTTドコモは、カメラ付き電話で2003年春(Jフォンは2001年11月)、着うたは2004年春(AUは2002年10月)であり遅れが目立ち、iモードの強さが失われていった(p61)

    ・日本では欧州と異なり、新機能に対応した最新機種を一気に普及させるインセンティブモデルの存在(サービス継続利用により端末価格補填分を回収)がある(p71)

    ・ユーザーのパケット料金の値下げニーズに対して、単なる値下げだけをしたドコモと、値下げと同時に魅力的な大容量コンテンツ(着うた)を導入したAUで差が出た(p80)

    ・PHSの場合はハンドオーバー(基地局の境目を通過するごとに新しい基地局を見つける)が不得意であった、2秒間くらい「ピッピ」という音がなってその間は話せない状態(p123)

    ・携帯電話の端末が小型化していくのは、世界に冠たる日本の設計技術、生産技術のたまものであり、本当はもの凄く難しいことで日本企業の底力(p133)

    ・PHSの基地局リプレース費用は500万円程度で、5000~1億円かかる携帯電話とは大きな違い(p134)

    ・中国での携帯電話の加入者は、2004年5月で3億台を突破、2001年にアメリカを抜いて世界一(p150)

    ・中国のPHS会社は固定通信会社が直接運営しているので、自前の固定電話ネットワークを利用でき、長期的な投資判断も主体的にできる点が強み(p158)

    ・NTTに就職したエンジニアは、伝送・交換・無線・データ処理部門に配属させるが、伝送・交換部門が花形、無線部門(後のNTTのドコモ)は山岳や離島等での代替え通信手段とされていた(p178)

    ・マザーズ、ヘラクレスといった株式の新興市場が充実したことで、ベンチャーキャピタルにとっても早期にリスクマネーを回収できるようになった(p212)

    ・キリンがアサヒに抜かれたのは、ディスカウンターの存在を「敵」と認識した(既存の酒販店のルートに対して)キリンと、「機会」と認識したアサヒの間にギャップがあったから(p221)

    ・知識によるイノベーションの特徴は、リードタイムが極めて長いこと、知識から技術として応用可能になるまで、さらに市場において製品にするまで、これは25~35年でありそれほど変わっていない(p223)

    ・PHSがデータ通信として生まれ変わろうとしているが、そのリードタイムは1996年から考えると相当時間が必要かも(p227)

    ・大企業だからイノベーションが生まれないのではなく、大企業を運営するためのシステムが起業家精神とは相容れないところに障壁がある、大企業とは別の場所、人事体系、経営システムで発展させるべき(p228)

    2010/08/16作成

  • ウイルコムの経営本。
    携帯の歴史も分かる本。

  •  最近なにかとPHSのウィルコムが調子が良い、らしい。なぜ、いまどきPHSが?という疑問から本書を読んでみた。

     初版が 05年01月 ということで、若干内容が古くなってしまっているが(というか正確には、実際のウィルコムの経営の方がドンドン先に進んでいってしまっているのだが)、なかなか興味深い内容であった。

     技術的にも経営的にも、今後は携帯電話とはうまく住み分けができて大化けするのでは、という予感が、本書を読むとヒシヒシと感じられる。

     ただ、ある程度携帯電話事業の内情や歴史に詳しい人にとっては前半は少々物足りないかもしれないので、その辺は飛ばして第6章「日本発技術は生き残れるか」以降を掻い摘んで読んでみるだけでも良いかと思う。

    ※まずは「W−ZERO3」を買ってみようかしら?(笑)

  • 急成長しているPHS会社、ウィルコムの戦略について書かれた本。用語でつまづく箇所が多々ありましたが、勉強になりました。

  • これを読んでPHSを馬鹿にするやつはいないだろう。
    これを読んでPHSにしてない俺はただのめんどくさがり。
    PHSは絶対に来るね。

  • 面白い!!そしてケータイを解約してPHSにしたくなるという衝動に駆られるこの一冊。無線通信を勉強しているものとしては、ケータイの無線周波数枯渇問題は非常に深刻なため、今後PHSがシェアを取り戻すのも時間の問題か?!と思わせてくれた。コンサルタントの人が書いている本だけあって、実に読みやすく理解しやすい内容でした。

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著者プロフィール

経営戦略コンサルタント

「2022年 『日本経済 復活の書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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