真実の瞬間: SASのサ-ビス戦略はなぜ成功したか

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478330241

作品紹介・あらすじ

顧客と市場が経済活動を主導する時代が到来しつつある。航空運輸、自動車、半導体、金融サービスといった分野で、賢い消費者と新たな競走相手が、旧態依然とした企業に圧力を加えている。市場が先導するこの転換期に対処するには、組織・機構の変革が、つまり「顧客本位の企業」につくり替えることが必要だ。現場から隔絶した、統制的な上意下達のリーダーシップでは、企業は生き残れない。

感想・レビュー・書評

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  • サービスマネジメントの名著。満を持して読書。

    メモ
    ・最前線に裁量権付与とリーダーシップ
    ・一回15秒✖️5000万回の一つ一つが顧客に与える印象の重要な場面。真実の瞬間。
    15秒を大事にできるように最前線に責任を委ねることが重要
    ・徹底した顧客軸での合理化。現場に権限委譲し、市場調査部の役割がなくなり、接客や航空管理に。文書業務も最低限に
    ・顧客本位の企業になればその会社はハードウェアの製造販売だけでなく、サービス事業にも手を伸ばすようになるだろう

    ・製品主導でなく顧客主導であること
    ・戦略の一貫性。SASの場合ビジネス旅行客への貢献

  • 1.以前読んだ本で「接客業では、ヤン・カールソンの唱えた真実の瞬間が重要だ」と唱えた人がいたのを思い出して、ふと読みたくなりました。

    2.著者のヤン・カールソンがSASの最高責任者になってからの自叙伝となってます。著者は真実の瞬間について「顧客に会ってから最初の15秒が印象を決める」と述べ、この瞬間が、企業が最も大切にしなくてはならないと述べています。SASは、トップダウンの企業体質を崩し、上層部は総合戦略のみを決め、現場の従業員が主体的に動けるよう、中間管理職がサポートに回るというスタイルを確立しました。
    これに加え、上層部として、どのように部下と向き合っていくかと言うことが述べられています。

    3.自分はまだ、従業員という下の立場なため、少し想像がしづらかったです。SASようにトップダウンという古い企業体質の改善は、日本でも見直されています。企業体質の改善ができる企業は成績が伸びていくのかと思わせる本でした。

    4.接客業が主流の現代においては、真実の瞬間が最も気を遣わなくてはならないことが理解できました。そのため、営業をするにあたって、最初の15秒に全てを賭けるくらいの営業をしていきたいです。

  • 「顧客重視」「最良のCX体験を提供する」ことを目指す人の間では度々紹介される本。手に入れることが難しかったが、最近また増刷されたようでうれしい。

    1990年に初判が発行された本ではあるものの、記載されている内容のコンセプトは今でも十分通用するものと考えている。

    もちろん、この30年でテクノロジーは進化し、方法論についてはさすがに今の情勢に合わせる必要はあるが「真実の瞬間の積み重ね」「現場への権限委譲」「中間管理職の役割」は方向性として正しいもののように思う。

    今でも顧客体験は「製品本位」から決められてしまうことが多く、だからこそこの本が埋もれずに読み続けられるといった現象を引き起こしているのだろう。

    「顧客本位」とは何かを知りたい人、広めたい人に読んでほしい一冊。

  • 航空会社(スカンジナビア航空)で1986年1000万人の顧客がそれぞれほぼ5人の従業員に接した。一回の応接時間は平均15秒。つまり年5000万回あるその15秒の瞬間が顧客の会社へのイメージを決める。それを著者は「真実の瞬間」と呼び、それを好転させる事を主眼とした。着目点でなるほどと思ったのは以下。

    ・「子供クラブなどのサービスは別に悪いものではないよ。だが肝心なのは、私たちが、自社の商品は成人を対象とするバケーション向けのパッケージツアーだと決めている事だ。ヤン、いいかい、損失を招くような仕事に手を出さないでいることが、事業を成功させる上で最も努力を要するという事を覚えておきたまえ。特定の客層を選んで誘致する方針を決めた以上、私は子供同伴家族が何百組目の前を素通りしても気にしないんだ。」スカンジナビア航空は毎月何十という事業提案を受ける。かなり有望なものが多い。しかし、ビジネス旅行者に最高のサービスを提供するという経営目標に適う提案は、ほんの一握りに過ぎない。その他の物は、せっかく苦労して目標達成のために結集したエネルギーを分散しなければ実施できない。

    ・接客業務では無いが、顧客サービスに影響を与える業務に従事する従業員には正しい業績評価が殊に必要。チケット販売係りは客から自分の仕事に対する反応を受けるが、荷物を扱う作業員などはそのような有利なFBを得る事ができない。

    ・私たちはサービス業につきものの最も基本的な誤りを犯していた。顧客にある事を約束しておきながら、それとは違う事を考えていたのだ。つまり、迅速正確な貨物配送を保証しておきながら、書類上の荷物量と実際量が一致しているかどうかばかりを気にし、配送日は無視していた。荷物が予定より4日おくれて到着しても書類には遅延と記録されていなかった。

    ・従業員に権限を与え、独創的な顧客対応をさせるのに適応が一番遅いのはアメリカ支社だった。雇用の保証は従業員の独創性を損なうように言う向きもあるが、私は逆だと思う。

  • ⚪︎情報を持たない者は責任を負うことはできないが、情報を与えられれば、責任を負わざるを得ない(39p)

    ⚪︎模範を示すことが、最も有効なコミュニケーションの手段であり、悪例は破綻を招く(133p)

    ⚪︎顧客の要望を最もよく熟知しているのはだれか。もちろん、顧客にじかに接している最前線の従業員だ。そこで当然、商品計画に関する最大限の影響力と、最も多くの責任と権限をもつ必要があるのは現場従業員ということになる。(186p)

  • 正直あまり大きな感動はなかったです。少し昔の話だからでしょうか。この本を読む前に変化を嫌う人、という本を読んで新しいアイディアを阻む四つの抵抗について学びました。四つの抵抗とその克服法を意識しながら読みましたがあまり書かれてなかったように思います。本当はここには書かれていない抵抗を下げる方策が色々あったと想像します。

  • 購入した本。BtoCにおいての経営哲学が学べる本。

    BtoCでは、「真実の瞬間」というものがある。客と対面して、最初の15秒間で企業イメージが醸成されてしまう。良い対応ができれば、良いイメージ。反面、悪い対応をすれば悪いイメージになってしまう。

    分権化。コストカットではなく、逆に必要な場所にはコストをかける。


    経営には論理や数字だけでなく、「斬新で興味をそそる企画が市場に与える心理的インパクトをいかに把握するか」が大切。

    あえて、無料ではなく有料にすることも時には有効。

    ヘリコプターセンスが経営者には必要。俯瞰する力。新しいビジネスリーダーは「他人の意見の聞き役、人材教育者、意思伝達者であって、自らすべての判断をしていくのではなく、むしろ適正な企業環境を作ること」が必要。

    まず市場環境と顧客ニーズを捉えて、目標をたてる。

    ビジネスリーダーは単純明快な言葉を使うべき。




    現代にも通じる内容が多かった。経営者になる前にもう一度読んでおきたい。

  • 顧客視点がどれだけ大切か改めて考えさせられた。経営的には他にも色々気を付けないといけないが、大事にしないといけない哲学、守らないといけない信念や覚悟が参考になった。

  • この本を読んだ直後にスカンジナビア航空の破産。過程を学ぶとこの本とつながる部分があると思え、違う視点でも勉強になる。真実の瞬間に顧客が何を感じ取るか、自身の考えを見つめ直せる一冊。

  • 分析的な人間はリーダーに向かない、みたいな言葉が刺さった。

    わかりやすすぎる言葉はない、みたいな言葉には心底同意。会社の偉い人たちに聞かせてあげてほしい。

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