ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス

制作 : 三本木 亮 
  • ダイヤモンド社
3.73
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本棚登録 : 2891
レビュー : 231
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478420416

作品紹介・あらすじ

前著『ザ・ゴール』で、工場閉鎖の危機を見事に救ったアレックス。それから10年が経ち、ユニコ社多角事業グループ担当副社長として手腕を振るっていた。そんな彼をグループ会社の売却問題、家庭の問題など次々と難題が襲う…。ジョナに授けられた問題解決手法で、再び危機を乗り越えることはできるのか。

感想・レビュー・書評

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  • # 書評☆4 ザ・ゴール 2 | トヨタ式「5回のなぜ」よりも強力な「現状問題構造ツリー」

    ## 概要
    - 書名: ザ・ゴール 2
    - 副題: 思考プロセス
    - 著者: エリヤフ・ゴールドラット
    - 出版日: 2002-02-21
    - 読了日: 2019-10-04 Fri
    - 評価: ☆4
    - パーマリンク: https://senooken.jp/blog/2019/11/22/

    ## 評価
    前作の「[ザ・ゴール](https://senooken.jp/blog/2019/10/21/)」が面白かったので,そのままの流れで続編の本著を読んだ。

    本作は前作の10年後を舞台にしている。主人公のアレックス・ロゴは工場長から多角化事業グループ担当の副社長にに昇進しており,本作はこの多角化事業グループ所属の子会社売却3か月前という状況から話が始まる。
    以前の部下だったボブとステーシー,新しく登場したピートが運営する3社の利益を劇的に改善し,売却の防止,または売却後もうまく主導権をもって運営できるようにすることを目標に,話が始まる。

    前作で工場長から昇進して,他の工場のマネジメントなどに取り組むという途中で話が終わっていた。個人的には,この後をどううまくやるのかが気になっていたのだが,そこはすっとばされてしまっていて,残念だった。

    本作では前作でTOCの手ほどきをしていたジョナは一切登場せず,彼の理論を学んだアレックスがあれこれ思考を張り巡らせて,問題の根本原因と解決策の特定・実行を繰り返すことがメインの話となっている。

    書籍冒頭で,娘のシャロンとの深夜までのパーティー参加可否の交渉の時点で,既に面白かった。具体的な思考ツールである対立解消図の事例で,うまくお互いの問題を描画し,お互いがうまくやれるための方法を探していた。

    その他,本書中盤で何回か登場する「現状問題構造ツリー」により,売却対象3社の問題分析,その他アレックスが所属するユニコ社全体の問題を洗い出して全ての根本原因を特定する仮定が描かれていた。

    具体的にはUDE (UnDesirable Effect: 望ましくない結果) を列挙し,それらを論理的に結びつけながら全体の根本原因を特定していた。

    頭をかなり使う作業で,実際にはこんなにうまくいくことばかりではないとは思いながら,問題解決の手法として悪くないと思った。

    この方法はトヨタ生産方式で使われる「なぜを5回繰り返す」に似ているが,本書の方法のほうが効果的に感じた。元々,5回のなぜにはその効果に疑問を持っていた。本書の解説で書かれている通り,5回のなぜでは直線的な因果関係しか解明できない。2以上の複数の要因が複雑に絡み合った問題の場合,その性質上特定することができない。それどころか,数ある要因のたった一つにしかたどり着けない。

    その点,本書の方法では考えられるUDE全てを上から下に平面的に下っていくため,全体の根本原因が明らかになる。その点,「5回のなぜ」に比べて強力な方法だと感じた。

    ## 引用
    > ### p. 14-21: 娘の深夜パーティーと対立解消図

    本書の冒頭で,本書で繰り返し登場する対立解消図を使った問題解決が展開されていた。ここで書かれているような,娘が深夜までパーティーに参加したいが,親は認めたくないという構図は日常でもよくあるだろう。こうした問題に対して,お互いの要求とその理由を書き出し,それを見比べながら,お互いの問題を解消するための方法を議論してお互いの誤解・誤認を解消して問題の解決に取り組んでいた。

    今回のように,お互いの問題点を描き出してそれを元に議論するというのはいい方法だと感じた。

    > ### p. 144-147: UDEと現状問題構造ツリー

    ここではピートが運営する会社がうまく成功したので,残りの2社も同じ思考プロセスで成功するということをアレックスがその他の副社長に説明するために,「現状問題構造ツリー」による問題解決の思考プロセスをデモンストレーションしている。15個もの好ましくない結果を列挙し,それらを新しい主張を導き出しながら論理的につなげて,最終的な根本原因を特定していた。

    本書中でも完成まで数時間以上はかかっており,かなり頭を使う作業になる。しかし,抱えている問題の根本原因や現状の問題の因果関係を整理する上で強力な手法のように感じた。

    > ### p. 178-181: マーケットのセグメント化

    費用を書けずに短期的に売上を上げる方法論として,市場のセグメント化の話が展開されていた。同じ製品であっても,マーケットによって違う価値観が存在しており,それを踏まえると製品本体だけでなく周辺サービスも含めると価格をいろいろ変えることが可能になる。

    しかし,この視点を逃すと,「新しい販売チャネル・製品は、既存の販売チャネル・製品の売上げ減につながる。」が発生する。ここから,「マーケティングとは、新しい策を打ち出すことではなく、マーケット・セグメンテーションのメリットを活かすことにある」という考えが導き出されていた。

    同じ製品に対して,違う価値観があるというのが面白かった。

    > ### p. 260-263: 顧客への提案

    ここまであれこれ問題を考えてₖ長柄出したソリューションを顧客に提案するところで,うまくいかない問題に遭遇した。この解決方法を秘書のドンが説明していた。これも対立解消図を使って説明していた。営業側が製品の利点をそのまま述べても,受けては疑いかかって聞くだけであまり効果はない。ポイントは,製品の説明から始めるのではなく,買い手側が抱える問題を指摘し,それを客の立場になって説明して客の信用を取り付けることだ。

    営業の心得的な内容だった。

    > ### p. 367: 解説

    本書で展開された問題解決の手法を一つ一つ取り出して,それぞれのポイントを解説していた。本書は小説仕立てで話が進んでおり,個別の手法についてはそこまできちんと説明があるわけではない。あとで振り返る際に,この解説がとても役に立つ。

    また,ここでトヨタの「5回のなぜ」と本書の「現状問題構造ツリー」の比較もあり,興味深かった。

    ## 結論
    前作の続きが気になって読んだ。10年後ということで,直後のマネジメントの話が読めなくて残念だった。

    ただし,今回は副題の「思考プロセス」にある通り,頭を使った具体的な方法論が展開されている。

    「対立解消図」のように,日常生活ですぐに取り入れられそうなものから,「現状問題構造ツリー」のように,時間はかかるがクリティカルな問題の特定に結びつくまで解説されていた。

    主人公のように,組織のマネジメント担当者にとっては重要な手法であり,一般人でも使える部分はあると思った。

    方法論として知っておいて損はない知識の得られる本だった。

  • 相変わらずこのシリーズは面白い。

  • ロジカルシンキングがベースになっている各種手法を用いて、困難な問題を解決するストーリー

  • 過去、あまりビジネス本と言うものを読まなかった私にとって衝撃的な一冊だった。
    難しい表現もなく、素人にもすんなり受け入れられ、腹落ち感も十分。
    1を先に読んだら、そっちが5つ星だったと思いますが、こちらから読んだため、こちらが星5つ。

  • 制約理論(TOC)の続編として期待して読み始めたけど、現状問題構造ツリーや雲や前提条件ツリーなどの<思考プロセス>というのがTOCとどう関係があるのかわからず、別物というつもりで読んでいた。長かった。ところが最後の最後に、不況になった場合に従業員をクビにするか何もさせないでぶらぶらさせるか、という話が出て、やっと生産量が増減する工場生産管理とつながった。なるほど。さらに巻末解説を読んで、生産の優位性を生かして市場のボトルネックを解消するという狙いがわかって納得できた。この辺を前半で述べておいて欲しかった。 
    製品を新たに開発せずに競争優位性を得るという例も参考になった。

  • ザ・ゴールでは、生産管理における効率の良い生産を目標に掲げ、改善を図ったが、ザ・ゴール2では、思考プロセスを問いただしている。 雲のUDE(問題点)を書き足し、それを潰していくというやり方である。 確かに、現場と学問をミックスしたような思考パターンである。 残念ながら、このエリヤフ・ゴールドラット博士はお亡くなりになったとか。 はたして、この思考方法が日本の企業で通用するのか?疑問である。

  • 前作から10年、工場長にすぎなかった主人公のアレックスは、グループ会社の副社長へと出世していた。
    ところが世界的な不況のあおりを受けて業績不振に陥った会社は、アレックスが担当する多角事業部門を切り離し、売却するという。
    今のままでは売却に伴って大量の人員整理を余儀なくされてしまう。

    「企業の目的は、現在から将来にわたって、お金を儲けることだ」
    その必要条件の一つは「現在から将来にわたって、従業員に対して安心で満足できる環境を与える」ことであり(高い生産性を保つのに必要)、「現在から将来にわたって、市場を満足させる」こと。
    そのためにはどうしたらいいのか。

    結局、状況はそれぞれ違うわけだし、刻々と変化もするしで、正解というのはないのだと思う。
    常にこれが最適であるのかを検証し続けるしかない。
    ただし、検証するためにはこれが最適であると導き出せるような思考のプロセスがあるのだという話。

    私は経営者ではないので、理解しようというよりも小説として面白いかどうかで判断します。
    というわけで、前作の方が面白かったなあ。
    アレックスの処遇については、割と簡単に想像がつきました。
    家族の問題というのも、前作のように家庭崩壊の危機というわけではなかったし、全体にスケールが小さくなったような気がしました。

  • 前作の「ザ・ゴール」が面白かったので続けて読んだ。


    前作で大成功を収めたアレックスは、ユニコ社の副社長となり手腕を握っていた。
    かつての彼の部下たちも、グループ会社の社長となり活躍していたが、
    なかなか利益が出せず、売却される危機に。


    短期間で眼を見張る利益を出すのは難しい。

    それなら、いかに今後利益に繋がるビジネスをしているのかを示す必要がある。


    こちらは前作と違って、物流ロジックの話ではなく、
    どちらかというと、問題と見通しを明らかにして説得する話だった。




    問題のコンフリクトを明らかにする「雲」や、「現状問題構造ツリー」といった手法を用い、
    アレックスのかつての部下であった、ピート、ボブ、ステーシーは、それぞれの会社でおこっている問題を分析し、画期的なビジネス手法を編み出した。

    解決手法の中では、問題とは大抵の場合「結果(UDE)」であり、それ自体は原因では無い。根本原因はもっと深いところにあり、それを潰さなければいけない。
    という観点が新しかった。


    ステーシーの会社は、最後まで苦戦をしており、「会社は何も投資してくれなかったのに、必要なくなったら切り離そうとする」と悲観的になるステーシーのシーンに少し共感をした。
    しかし実は、追加投資をせずとも利益を出すことは可能であることがわかり、最後には、ステーシーたちもポジティブな方向へ舵をきることとなる。



    今回も、アレックスの仕事仲間だけでなく、家族が登場する。

    妻のジュリーは、結婚コンサルタントとして、日々ジョナの手法を活用し、アレックスの良き相談相手として、アレックスに的確なアドバイスをするようになる。

    娘シャロンのボーイフレンドとの問題や、息子デイブの友人との自動車共同購入についての潜在的な問題など、子供達の問題とアレックスが真摯に向き合うシーンも印象的だった。


    前作の「ザ・ゴール」よりは、「説得」という、汎用性と抽象度があがる手法で、衝撃は少なかったが、前作と変わらず読みやすいストーリーだった。

  • 続編が出たので予約してまで買ってしまった。面白く一晩で読める。でも2だけあって次が読めてしまうので、小説じゃない方が良かった。

  • 『ザ・ゴール』で工場の再建に成功したアレックスが、10年後、ユニコ社多角事業グループ担当副社長として、グループ会社の売却阻止に挑むストーリー。読者はストーリーを通して〈思考プロセス〉を学ぶことができるようになっている。

    〈思考プロセス〉を支える〈現状問題構造ツリー〉、〈未来問題構造ツリー〉、〈対立解消図〉などのツールが頻繁に登場するため、わかったような気にさせられる。ただ、見て理解することはできても、実際に作成するのは難しいのだろうなぁ。

    ストーリー展開はすぐに読めてしまうが、小説としても十分面白く、本のボリュームの割にさらっと読めてしまう。ただ、小説として読むと〈思考プロセス〉の理解が進まないかも。

    ちなみに、本書は図書館で借りたのだが、ビジネス書の棚ではなく、英米文学の書棚に置かれていて、見つけるのに手間取ってしまった。

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