入門ベンチャーファイナンス: 会社設立・公開・売却の実践知識

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478470817

作品紹介・あらすじ

本当のプロが教える起業のコツ、成長の罠、株式市場・金融機関とのつきあい方。

感想・レビュー・書評

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  • メモ

    "1. 黒字倒産について キャッシュ・フローの重要性
    2. 略
    5.

    ・増資をすると資本金は増えるが持株比率が変わる
    ダイリューション対策をするには資本政策のなかでバリューを付けなければならない。
    その方法は新株発行時に株価を高く設定すること。
    株価を上げつつ株主構成・割合を資本政策の中で検討していかなければならない。
    ・株主割当増資→持株比率変化無し(既存株主のみ) 
    第三者割当増資→持株比率変化アリ(既存/新規株主)
    マネックスは会社のオーナーシップを確保するために上場前に1株1円で株主割当増資をして株主数を増やし、上場後に第三者に対して高い価格で発行して経営権を確保した。
    ・ストックオプション…将来株を買う権利 日本では新株予約権を呼ばれる
    (行使価格・行使期間・数量(購入株)は決まっている)
    買収防衛策(ポイズンピル)としても使われる→ストックオプションを現在の株主に発行
    例)経営者の株式比率が50%を切ったら強制的に新株予約権で1円で山のように発行し
    乗っ取りを防ぐ。
    ・種類株式(優先株/議決権制限株式/トラッキング・ストック)
    アメリカでは優先株にseriesA(A種優先株式),seriesB(B種優先株式)seriesC…と
    残余財産分配請求権について債権者の次に普通株主よりも優先する権利が付いている。

    資本コスト=負債コスト+株主資本コスト
    株主資本がどの程度のリターンを生み出したのか表す指標
    ROE=純利益/株主資本 

    会社の価値を求める方法
    ① 解散価値=株式の価値-負債の価値
    ② 継続価値=企業の将来CFの現在価値






    継続価値の求め方

    ① 加重平均資本コスト(WACC):1円の資金調達をするのにいくら掛かっているかを示す。
    負債コストと株主資本コストを加重平均したもの。

    ② 株主資本コスト(CAPM):リスクと期待利回りを定式化したモデル
    CAPMとAPTを合わせてMPTと呼ばれる。
    β*(リターン-国債金利)

    モジリアーニ・ミラー(MM)の定理
    →完全市場においては資本構成は企業価値に影響を与えない

    現実の世界では完全市場の仮定はどれも満たされないが、特定の単純な状況下ではデットとエクイティが企業にとって等価であることを証明している。

    6資本政策
    企業が長期的・安定的に成長していくために株主構成や資本規模をどのようにするかということ。そこで重要となるのが必要資金と経営権の確保である。

    株主総会の決議事項
    ① 普通決議事項(過半数の賛成)
    ② 特別決議事項(2/3以上の賛成)cf)有利発行による第三者割当増資など

    公開時のオーナーシェアは2/3~1/2程度にしておき、成長にあわせてダイリューションしていけば良い。



    子会社設立の意味
    ・新分野・関連分野に進出する際にそこで必要とされる人材・設備・組織形態が違うから。
    ・不採算部門を子会社化し不採算人材を送り込み赤字でクビにするため。

    2社による株式持ち合いはパックマンディフェンスの有効な手段になる。
    →会社法で議決権の25%以上を取得すれば双方が議決権を行使できなくなる。
    AがBを買収→BがAの株式25%取得→双方議決権行使不可

    7ベンチャーキャピタルとは
    ・資金だけでなく人・情報・コネも提供する。
    ・アメリカで一番最初に設立されたベンチャーキャピタルはアメリカン・リサーチ・ディベロップメントであると言われており1946年に米国政府が設立したものである。その後、中小企業庁や中小企業投資会社の設立が相次ぎ1974年にはプルーデントマン・ルールが改定されたことから年金基金のハイリスク投資に関する規制が緩和されベンチャーキャピタルへ資金が大量に流入されるなど業界は活発化していた。
    日本では1970年代から10年周期でこれまで3回のベンチャーブームがあったとされている(ベンチャーキャピタルハンドブック401-403頁)。日本初のベンチャーキャピタルは、1963年に中小企業投資育成株式会社法に基づいて政府の出資で設立された「中小企業投資育成株式会社」である。

    第一次ベンチャーブームで民間最古である日本合同ファイナンス(JAFCO)、旧長期信用銀行系などのベンチャーキャピタルなどが相次いで設立された。

    第二次

    第三次

    ハンズオン投資:主にアーリーステージで投資をしてベンチャーに経営参画する
    ハンズオフ投資:主にレイターステージに投資をするものが多く、その場合VCは分散投資を多くすることから口出しはあまり出来ない。
    従来はレイターステージにハンズオフ投資をすることが多かったが、2000年のITバブル以降アーリーステージへの投資が多くなりハンズオン型が増えた(投資ステージ別の図を掲載)。



    7.2
    証券系VC
    JAFCO,NIFSMBC
    証券会社系は投資先のIPO引受幹事を親会社が取得させる狙いがある。

    銀行系VC
    地銀も持つようになった。ハンズオフが主体で資金調達は親会社からの借り入れが多い

    政府系VC
    中小企業投資育成株式会社が東京・名古屋・大阪に設立されている。
    ハンズオン型でアーリーステージに投資することもある。
    中小基盤整備機構

    事業会社・独立系VC
    大手商社やSBIなど
    ハンズオン投資 シード、アーリーにも積極的
    ベンチャー企業への経営関与については提供サービスが豊富で銀行系とは対照的

    7.3
    ファンド設立
    ・プロパー投資
    資本金・内部留保・借入等の自己資金によって投資を行う。
    自己資金であるため比較的自由に投資を行える
    ・ファンドからの投資
    複数の出資者から出資金を募ってファンドを組成しファンドの管理責任者として投資する
    多くの出資金を集めて大型案件に投資できる

    ファンドレイズ(資金を集める)
    ベンチャーキャピタル(GP)と出資者である組合員(LP)は投資事業組合契約を結びファンドからの投資や組合自体の組成機関をはじめとする運用方法、報酬などを決定する。

    出資の形態
    ① 各組合員が出資総額を初めに全額払い込む方式
    ② ベンチャー企業の投資進行に応じて分割して払い込む方法
    2の場合はあとから分割の資金を振り込むように連絡することをキャピタルコールと言う

    ゲートキーパー(投資のアドバイザー)
    投資に必要な情報、分析、アドバイスを与える。

    リードインベスター
    投資先企業の主導権を握るVC
    リードインベスターがハンズオンになり、その他の投資家はハンズオフになる。

    共同売却権
    経営者の中には自分の都合で勝手に株を他者に売ることがあるので、それを防ぐために共同売却権を設定することがある。もし経営者が株を売却したくなったらそれと同じ比率でVCも株を売ることができる。

    投資の回収
    ロックアップ条項
    IPO後の株価売却でVC、会社役員、大株主などの公開前の株主が公開後に市場で一定期間売却出来ないよう契約をかわすこと。公開直後にインサイダーが大量の株を売却して株価の極端な変動を防止することが目的。米国では通常180日間。

    セカンダリーマーケット
    既に発行された株を証券会社や証取所を通じて投資家間で売買する市場のこと。
    そしてセカンダリーマーケットでも取引が困難になっている株式のことをリビングデッドと呼ぶ。



    株式交換
    メリット:キャッシュが不要
    デメリット:相手の株主に自社の株を渡せば渡すほど自分の持株比率がダイリュートしてしまう。相手の旧株式1株に対して自らの株を何株渡すのか(交換比率)"

  • 10年以上前の本であり、今とはだいぶ環境や前提が異なる部分はあるが、ひととおりの要点がまとまっており参考になる一冊

    ファイナンスと言うよりは上記のとおり、ベンチャーに関する手引書

  • 基本的な考え方をざっくりと学べる良書だった。

  • ・起業の教科書。立ち上げ、成長、MAなど。一般的な考え方とテクニック

  • ベンチャーファイナンスに特化した書籍と思って読むと肩透かしを喰らうかもしれない。とはいえ良著であることには変わりはない。会社経営に関することが体系的にまとまっており、かつ水永氏の説明が噛み砕かれていてとても分かりやすい。筆者自身の経験や実務を踏まえた実例も理解を助ける。

    各章で思い出したようにベンチャーに触れているが、ベンチャー主体に書かれているのは第5、6、7、9章。特に7章のベンチャーキャピタルについてはなかなか良く纏まっている。

    経営全般に関することを包括的に知りたい場合にはおすすめの一冊。

  • 内容はいいと思うが、なんか目的がパッとしない。磯崎氏の起業のファイナンスのほうがそういう意味では優れてるんだよなぁ。

  • 会社を設立する目的、その後の資本政策について書かれた本。比較的わかりやすい言葉で書かれているけれどこれ1冊だと理解が不十分な部分が多い。

  • ベンチャーファイナンスの入門書。具体的で分かりやすかった。入門書というと、導入だけで終わるとか、後はこの書物をというような消化不良で終わるものが多いなか、これ一冊読んで、具体的にその場で遭遇すること、なぜ日本の場合はそうなのか(本に書いていない背景)等、リアルにイメージさせてくれるところがよい。
    ただ、どうしてもイグジット(出口)前提で考えるところに違和感があった。自分で具体的に起業しようと思っていないからかもしれないが。

  • 図書館より借りて読了。難しいことをやさしく書くことは難しい。読みながら著者の「かみ砕く技術」に感心した。副題の「実践知識」という表現は少々無理があると思うが、本題の「入門」は看板に偽りなし。大学生への講義が元になっているとのことなので、まったくの初心者にも(初心者にとってこの本が易しいかどうかはわからないが)どうにかついていけるように書かれている。中途でわからない部分が出ても気にせず最後まで読み進めてみて欲しい。

  • 実際に会社を運営していくなら、知っておくべきことが網羅されている。

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