シニアビジネス: 「多様性市場」で成功する10の鉄則

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478502310

感想・レビュー・書評

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  • 仕事関係で読んだ本。

    しかし非常に面白い本で、もう一度読んでみようと思う。

    日本は急速に高齢化したせいで、この分野に関するビジネスが需要に追いついていないのに対し、アメリカでは高齢化がなだらかに進み、しかも起業家精神が旺盛なこともあって、シニアビジネスの成功例・失敗例が山ほどある、という指摘は、ナルホドと思わされる。

    そしてさまざまな事例が取り上げられているが、団塊の世代をターゲットにした商品開発を考える際、いずれも非常に参考になると思われる。

    読んでいるうちに、自分もなにかやれないかなあという気にさせてくれる本である。

  • シニアビジネスについて、10年以上前に先見の明を活かしてしるされた書。着眼点など明確にされており、非常にわかりやすく、今にも生かせそうなヒントがいっぱい。
    <学んだこと>
    ・アメリカは時間的に先行してサービス開発が進んでいる部分も多く、参考になる。
    ・シニアにおける多様性①加齢による肉体の変化②本人のライフステージ変化③家族のライフステージ変化④嗜好性の変化⑤時代性の変化
    ・カーブスの例 禁欲的な運動を同じ悩みを抱えたものどうし大勢で楽しくやるスタイルを商品化したもの
    ・不の発見者まとめ①多様な価値観をもった高齢者は限られた商品サービスではカバーしきれない多様なニーズをもっている。②提供者が気付いていない不を見つけ出す発見者になることが重要。そのためには生の声を直接聴き、事業責任者を動かせること、クレームを事業機会ととらえられること、不の解消をサービスに落とし込めることが重要
    ・高度な専門サービス提供と商品販売。目利き役。睡眠、腰痛
    ・商品シーズ編集者まとめ①物の選択肢が多すぎて、自分にふさわしい解決策をどう選んでいいかわからない。商品シーズから顧客シーズを意識し、顧客に合わせて商品シーズ編集者にならねばならない。そのためには潜在需要に共感するテーマ選定力をもつこと、高度な顧客相談対応力をもつこと、商品の豊富な選択肢と品ぞろえを徹底すること
    ・機能だけのものは売れない、気分的に癒されるなどのスタイルをもっていることが必要。上品なスタイルで解決するエイジングスタイリストが必要。
    ・出張かけみ寺。サービス提供者が気軽に相談される立場になれると信頼を得られると、本来のサービス以外のさまざまな相談を真っ先に寄せられる。そのためには、話し上手で気がきくスタッフ充実、小さな仕事でも対応できるフットワークの軽さ、エリアマーケティングによる効率性などが必要。
    ・介護以外の在宅サービス拡大の条件、日本は繁華街と住宅地の距離が近い。外出の手間を省くだけではなく、個人のやりにくい作業を代行するなどプラスアルファのサービスが必要。
    ・日本では介護保険充実により、サービスが割高にみえてしまう。この意識開発も必要。
    ・プライベートコンシェルジュが必要に。ITシステムの活用、人間にしかできないことを人間がやる意識、人間の感性を高め、能力が最大限発揮できるようにITシステムを工夫する。
    ・退職後など第三の場所がより大事に。退職すると人的ネットワークの提供がなくなってしまうので。高齢者向けのイメージが強いところにはいきたくない、なので、スタバのようにおしゃれでかつ、いきやすい場所が必要。
    その条件
    ①何度も利用しやすいコアサービスがある②新たな友人を創るきっかけが多い③生活に役立つ情報が得られる④健康維持、教養、スキル向上のための機会が多い
    ・エルダーホステル 世界最大のシニア向け生涯学習サービス機関
    ・生涯学習サービスの参加理由①知的好奇心が似通った人と新たに知りあう機会が得られる②机上の講義だけでなく実際の体験を通じて活きた学びができる③扱うトピックスが本格的で本物感がある④高い専門性を持ちつつ、雰囲気づくりが上手な世話役が多い⑤参加者が主体的に関与しやすい仕組みがあり、当事者としての意識が高まる⑥活動内容が参加者の体力にちょうどよく無理がない⑦価格がそれほど高価でなく、繰り返し参加しやすい⑧大学生の気分が味わえ、新鮮な気持ちになれる
    ・知的合宿体験これができるサービスが必要
    ・定年後も働き続ける場所ナノコーポ ここではそれぞれが専門知識をいかす小規模集団であるため、ネットワーカーが必要
    ①利用者の背景知識をもっている②卓抜な目利き力、信用力、調整力を持っている③運営ルールが緻密に構造化されており、利用者メリットが明確④利用者の人脈を相互に活用する仕組みとなっている
    ・カレッジリンク型シニア住宅を実現するためには、
    ①大学OBなど有力者あるいは大学内起業家によるイニシアチブ
    ②高いコミュニケーション力をもつ運営スタッフ
    ・知縁の場に求められること
    ①大学との提携、若い学生との共同クラス②大学施設を学生職員同様に利用できるようにすること③若い学生との交流機会を多数設けること
    ・同居ではないが、親、子、孫さん世代が近くで住むゆるやかな大家族が形成される可能性がある。

  • ■シニア市場に適応するための「10 の鉄則」

    A. 顧客の「不(不安・不満・不便)」の解消を商品・サービスに転換せよB. 顧客の「声なき声」に深く共感してサービステーマを決めよ

    C. 自分の「祖父母・両親」を喜ばせるつもりで品揃えを決めよ

    D. 困った時はあの人に聞け、と最初に声がかかる「出張駆込み寺」になれ

    E. 能力が発揮されるように「ハイテク」を使え

    F. 職場に代わる「第3 の場所」を提供せよ

    G.知的合宿体験”により問題意識が近い人同士の「化学反応」を促せ(楽しみながら学べる機会を求める人々に向けて、知的合宿体験をレジャーサービスに組み込む)

    H. 互いの「背景知識」が「自然に深まる仕組み」を作れ

    I. 人間の最高の楽しみ「学び」を住まい方の中心に持ち込め(大学キャンパス内にあるシニア住宅「ラッセル・ビレッジ」では、入居者が大学の施設を学生と同様に利用でき、知的刺激を求める人々の人気を博している)

    J.「個」と「集団」とをブレンドする「世話役」になれ(1 人暮らしが寂しくて集団生活を選んでも、集団生活には煩しさがある。個人としての自立を尊重しつつ、必要な場合はお互いに支え合う住まい方を実現する

  • シニア市場はマスマーケットではなく「多様なミクロ市場の集合体」であるという方針通りに一貫してシニア市場の様々な形を示してくれる本。
    非常によく書かれていて参考になった。

    ・シニアはシニアというくくりで自分たちを考えていない
    ・結構アクティブ
    ・自分の知識や経験を活かし続けたい
    ・社会の中で必要とされ続けたい
    ・画一的ではなく個別の丁寧で細かなサービスを欲しがっている
    ・知的好奇心が共通している人と会えるコミュニティを探している


    今までシニアに対してもっていたイメージと異なる視点が多々あり良い意味で覆された。

  • シニア向けのプロジェクトを検討するために購入。
    10章に分かれて事例を紹介してある。
    役に立つ人もいるかも知れないが、私にはあまりしっくり来る内容・事例はなかった。

  • シニア・団塊世代市場を「多様なミクロ市場」の集合体として捉え、個々のミクロ市場の実体を解明するとともに、アクセス可能性について書かている。
    消費の仕方、時間の過ごし方、住まい・・・の切り口から10の鉄則を教えてくれる。
    論理的でひとりよがりでないところがよい。

    シニア・団塊市場について考えるとき、妄想とか偏見がつきまとう。シニア相手の商売を考えている皆さん大丈夫ですか?それって妄想じゃないですか?

    女性を口説くときに妄想だけで挑んで打ちのめされた経験ありませんか?シニアだって同じです。この本を読んで勉強してください。

  • 団塊世代が定年を迎え、この年齢層をターゲットとするビジネスが増えつつあるが、シニア層の嗜好の多様化により顧客のニーズを上手く捉えていない例が多い。 本書は日米でシニアビジネスに携わった著者が提起するシニアビジネスへのアプローチ方法。

    著者は、シニアビジネス成功の要諦を「多様性市場への適応力」と結論付けている。 団塊世代やシニア層がひとくくりとなる市場は存在せず、シニア層を取り巻く外的環境の変化を原因とした"多様なミクロ市場"が形成されているという。 その潜在的なニーズを捉えるには、まずは米国のシニアビジネスモデルを見てみると良いという。 国民の高年齢化、生活水準の向上、生活習慣病の万円、労働スタイルの多様化、など、今の日本は良しにつけ悪しきにつけ米国に似た社会環境を形成しつつある。 その中で、シニアビジネスの成功例も、失敗例もある米国はまさしく日本におけるシニアビジネスの良い手本となるとのこと。

    ・不安・不満・不便を見出して解消するサービスの構築、
    ・シニアのニーズを発掘し商品に展開
    ・シニア層は機能重視よりも、若者と同様スタイル重視へと変遷しつつあることへの認識
    ・商品の提供場所が店頭から在宅へと移動
    ・退職者が気軽に集まることができる第三の場所を提供し、事業機会を作る。
    ・退職者が自分の身の丈に応じた稼ぎを得るための個人事業「ナノコーポ」の支援

    などなど。

    本書はシニア層の捕らえ方を分析し成功要因を取りまとめているが、実はそれ以外のビジネスへも大きな示唆を与えてくれている。 それは、兎角フレームワークによる現状分析のみに終始するマーケティング本が多い中で、本書は市場(シニア層)の動きを動的に捉えて先回り戦略を発想することを基盤として論理展開しているからだと思う。 高齢化、医療費負担の増大、年金財政の破綻など、これらの外部要因によりシニア市場の将来像は比較的仮説が立てやすく、またこの領域では先駆者である米国のビジネスモデルの分析も出来ることから、シニアビジネスはマーケティング&ビジネスモデルの良い練習対象になるのではないかと感じた。

  • 「シニア・団塊世代市場は、多様なミクロ市場の集合体」という表現がわかりやすかった。
    また「第3の場所」の条件について、?何度も利用しやすいコア・サービスがある、?新たな友人をつくるきっかけが多い、?生活に役立つ情報が多く得られる、?健康維持・教養・スキル向上のための機会が多い と整理されておりわかりやすかった。すべて現役のときは職場で自動的に供給・提供されていた機能であり、退職後に感じる喪失感の要因の一つとなっている。
    今さらながら、職場ってありがたいって思う。

  • 勉強になります!
    ホームページも充実。いろんな情報満載。

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著者プロフィール

村田アソシエイツ代表。東北大学特任教授。エイジング社会研究センター代表理事。新潟県生まれ。1987年東北大学大学院工学研究科修了。民間企業勤務後、仏国立ポンゼショセ工科大学院国際経営学部修了。仏最大の国営石油会社エルフ・アキテーヌ(現トタール)勤務を経て91年株式会社日本総合研究所入社。以降、10年間に民間企業494社とともに13の異業種コンソーシアムを設立・運営し、新事業開発を推進。在職中に、ベスト・プラクティスで2度社長表彰。同社創発戦略センター主任研究員等を経て、2000年7月シンクタンク・ソフィアバンクの設立に参加、同社ディレクターを歴任。2002年3月村田アソシエイツ設立、同社代表に就任。2006年2月東北大学特任教授、2007年4月関西大学客員教授、2008年11月東北大学加齢医学研究所特任教授、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センター特任教授、2011年4月エイジング社会研究センター代表に就任。

「2019年 『スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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