ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!

制作 : Stephen Brown  ルディー 和子 
  • ダイヤモンド社 (2005年1月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478502464

ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!の感想・レビュー・書評

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  • 【読書に要した時間】
    11時間6分

    【概要】
    3C,STP,4Pなどの科学的手法や、顧客第一主義からなる「モダンマーケティング」を批判し、それに代わるポストモダンマーケティングを提唱する書。
    書き方が冗長で、非常に理解しにくく、時間もかかる。その意味で推薦出来ないが、内容はMBAで教えられるフィリップ・コトラー的マーケティングの考え方を否定し示唆に富む。
    マーケティングが重要な業界(消費財など)の営業・マーケティング職の方や、MBAでマーケティングを習得した方に特にお勧めしたい。慣れ親しんだものとは異なる考え方を知ることが出来る。

    グロービス経営大学院の「顧客インサイトとブランディング」という科目の参考図書。

    【内容と考察】
    ●モダンマーケティングとは
    以下2点の要素から構成される。

    ①3CやSTP4Pに代表される科学的、分析的手法(フィリップ・コトラーらによって理論化された)
    ②顧客第一主義、顧客志向

    だが近年、顧客、競合面の理由から、効果的ではなくなりつつある。

    (1)顧客:(a)近代的マーケティング手法を顧客も学び、賢くなっている。結果、従来は顧客に「買いたい」と思わせることに成功していた手法も、見抜かれるようになった (b)顧客第一主義で扱われることに慣れ、企業への要求水準が高まり続け、満足させることが困難になっている
    (2)競合:多くの企業が実践するようになり差別化困難となった

    (考察)
    「顧客の要求水準が高まり、満足させることが困難になっている」ことは本当か?
    『イノベーションのジレンマ』によれば、顧客の要求水準の高まり以上に、技術革新により企業の価値提供力は高まっているとの考えもある。
    →私の実感としては、「以前と比較しある程度の満足を提供することは容易になったが、顧客を熱狂・感動させることが困難になった」のではと感じている。
    →であるならば、今後の企業のとるべき戦略は、差別化ではなく、コストリーダーシップに傾く可能性が高いだろう。(様々な商品がコモディティ化していく)
    →規模拡大に加え、技術革新をコスト削減に繋げられる企業が生き残るのでは?
    現在は差別化に成功しているiphoneも、将来はコモディティ化し、安価スマートフォンにシェアを奪われていくのではと予測させた。

    ●ポストモダンマーケティングの概要
    ①科学的側面が弱まり、芸術的・創造的側面が強まる
    ②顧客志向ではない、誘惑する、欲求不満にさせるなど新たな顧客との付き合い方

    これらを実現する手法として、TEASE(後述)が存在する。

    ※マーケティングとは
    「モノを売ることであり、それ以上でもそれ以下でもない」と主張されている。
    顧客が本来必要とする以上に、消費させることがマーケティングの本質であるとする考えは性悪的だが、営業現場にいる立場として、共感出来る部分は大いにある。

    (考察)
    顧客志向を否定する考え方は、大いに納得した。
    営業現場において、企業が顧客志向を実現することは困難ではと感じていた。マーケティングの目的の1つに「自社利益の向上」があることは明らかであり、そのために顧客に不利益が生じる場合も存在する(win-winではなく、win-loseを狙うべき局面も存在する)。にも関わらず顧客志向を謳うことは、偽善的側面があり、賢い顧客に見抜かれるのは当然と言える。また、顧客志向により甘やかされ、傲慢になった顧客を愛し続けることは、企業で働く人々にとって苦痛だろう。

    ●ポストモダンマーケティングの具体的手法
    TEASEという5つの手法に分類される。

    ・Trick(トリック):真実を誇張した仕掛けで売る
    例:「残り1点」などと嘘をつき、商品の魅力を高める小売店

    ・Exclusivity(限定):束の間と欠乏で狂乱させて売る
    例:商品の供給量を意図的に制限し、高価格を実現するエルメスのバーキン
    限定には、供給量の限定と、供給可能時間の限定という2つの手法が存在する。

    ・Amplification(増幅):噂になっていることを噂にして売る
    例:アパレルメーカーベネトンの、黒馬と白馬の交配を掲載した広告が炎上した
    商品やサービスではなく、その広告が話題を呼び更なる広告効果を実現させるために、広告を広告する発想が必要となる。その背景には、あらゆる商品と広告に溢れており、商品を広告するだけでは十分ではない現代の状況がある。

    ・Secret(秘密):誘惑し追いかけさせて売る
    例:ケンタッキーの秘密のスパイスは、ただの塩、コショウ、グルタミン酸から構成されている

    ・Entertainment(エンターテインメント):想像を超えた驚きと変化の早さで売る
    例:象を感電死させるショーで群衆を興奮させたテーマパーク「ルナ」

    ●モダンマーケティングとポストモダンマーケティングの有効性
    どちらの手法も成功例はあり、どちらかの手法が絶対的に優れていることはなく、使い分けることが重要。

    (考察)
    両手法をどのように使い分ければいいのか?

    ・顧客志向が有効と考えられる場面
    ①顧客が、要求が高水準でなく、満足させることが簡単な場合
    →先進国では難しく、途上国では機能する可能性大だろう

    ②競合が、自社と同水準の価値提供を実現出来ない場合
    →技術革新などにより、自社の差別化優位性が生じた場合、その優位性を利用し顧客満足を追求すればいい。

    ・ポストモダンマーケティングが有効と考えられる場面
    ①顧客が、要求水準が高く、モダンマーケティングを見抜く賢さを持つ場合
    →現代の先進国では有効と考えられる。だが、ポストモダンマーケティングが普及すると、顧客はTEASEを見抜き、反応しないようになるとも考えられる。その意味で、ポストモダンマーケティングも、現代の先進国への決定的な解とは言えない。

    ②競合が、自社と同水準以上の価値提供を実現出来る場合
    →正攻法では勝てないので、実際の実力差をごまかせるTEASEが有効となる。
    だが競合もTEASEに習熟した場合、この手法も陳腐化すると予想され、やはりポストモダンマーケティングは1手法の域を出ないだろう。

  • 従来のモダン・マーケティングは「顧客志向を突き詰めるが故に、賢い顧客の要求はエスカレートし続け、企業は永遠に顧客に翻弄されざるを得ない」ーそうした現状を打破するために、「顧客への製品の供給を制限し、大風呂敷を広げ、限定や秘密のオーラで包み込み、圧倒的なエンターテイメントを供給する」という必要性を説いた異色のマーケティング本。

    内容の面白さもありながら、本書の特徴はビジネス書とは思えないくらいのブラックユーモアに溢れたその語り口と、上述の新たな手法-本書ではトリック・限定・増幅・秘密・エンターテイメントの5項目から成り、総称してマーケティーズと呼称される-の題材は、普通の企業だけではなく、アーティスト(マドンナ)、小説(ハリーポッター)、現代美術(デミアン・ハースト)まで幅広い点で、圧倒的な異色度を誇っている。

    マーケティング論で言えば、かなりの応用編なので、ベースとなるモダン・マーケティングの理論をある程度押さえて上で読むと、マーケティングの視野は広がると思う。本当にこの手法を利用する企業がどれだけいるかは別として。

  • ハリーポッターの事例が興味深かった。でもこの方法論は長期的な企業の存続より、短期的な売り上げ効果や、ブランディングには役に立ちそうです。

  • 楽しいマーケティングの本です。コトラーを理解してから読むのがお薦めです!

  • p41
    1.顧客は多くの場合、自分たちが何を欲しているのかしらない。2. 顧客が常に正しいわけではない。
    p220
    TEASE : Trickery, Exclusivity, Amplification, Secrecy, Entertainiment

  • 【分類番号】12-17
    【保管場所】本社工場

  • 行き過ぎた顧客主義はいかがな物かと言う本。まとまっていないので他のマーケティングの本に比べ、わかりずらい印象を受ける。筆者の言い分も一理あるのではないのでかと思った。

  • 顧客志向に背を向ける考え方もひとつありですね。

    最初のほうで、

    「誰もが例外なく顧客第一主義を主張し顧客を甘やかすことでは
     一致団結している世界で、競合優位をどうやって達成すること
     ができるでしょうか。そしてもっと重要なことは、それをどう
     やって維持することができるのでしょうか?」

    とぶちあげ、

    「今のマーケティングは顧客志向になりすぎていて、あまりに
     消費者に近づきすぎて、まるで監視しているかのようです。」
    と問題提起。そして、従来の顧客志向型のマーケティングと
    一線を画す手法について、さまざまな事例を用いて解説。

    ベネトンやリーバイスの広告手法、ハリーポッターシリーズの
    販促展開、マドンナをCEOに見立てたマーケティング戦略など、
    分厚くて眠たくなるときがあってもいろいろと参考になる一冊。

    うちの業界では使いづらいとも思いつつ、今の顧客志向を
    考えるには十分。
    ほかの業界の方には、かなり役に立つんじゃないかな。

  • 【読む目的】

    顧客志向を捨てるマーケティングとは何か?

    【読んだ感想】

    ひたすら顧客に合わせるだけの顧客第一主義ではダメだということを学びました。

    見出しを読んでいるだけでは概要を把握することが出来ず分かりにくい本です。マーケティングを学ぶ場合の最初の本としては向きません。

  • 新しいマーケティングの本。
    自分の幅も広げないと

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