小説ザ・ゼネコン

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 74
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478930441

作品紹介・あらすじ

1987年、バブル前夜-。大洋銀行企画本部調査役の山本泰世は、準大手ゼネコン東和建設への出向を命ぜられる。有力政治家・竹山正登と緊密な関係にあり、成長著しい同社は、社長・和田征一郎のワンマン企業として知られていた。出向後、社長室に所属した山本は、和田のブレーンとして厚い信頼を得る。しかし、その一方で彼が目にしたのは、ゼネコンならではのダーティな面であった…。政官との癒着、消えぬ談合体質、闇社会との関わり-日本の総労働人口の10%を抱える建設産業。その暗部に迫った問題作。

感想・レビュー・書評

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  • うーむ、勉強にはなるが、たんたんと会話が中心で話が進む。可もなく不可もなくって感じかな。

  • 舞台は1987年バブル前夜、中堅都市銀行から準大手ゼネコンへの出向命ぜられた銀行員が主人公。主人公は出向という立場でありながらワンマン社長(後の会長)に見込まれ建設業界の暗部が見れる中枢へと引き込まれていく。政官財との癒着、そして談合・闇社会とのつながり・・・この物語の最終的な結末としては出来の悪い息子のことになると経営者としての正常な判断すら出来なくなってしまうという同族企業のやり手経営者にありがちな状態になったワンマン会長に主人公が正論を提言して、会長の逆鱗にふれ、ゼネコンを追放(出向解除、銀行へ戻される)されるという流れである。この小説は単に建設業界の暗部や銀行絡みの企業における人事模様が楽しめるほかに、同族企業の限界・親心と経営的判断が両立しないことにふれているのが感慨深いが著者の高杉氏の人間観察力のすごさに感嘆した一冊でした。

  • 前回「鉄の骨」を読んで,ゼネコン業界に興味が出てきたので本書を手に取ってみた。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file5/naiyou6402.html

  • 竹下元首相関係が良く出てくる、いかにこの内閣がゼネコン
    と密着してたか。

  • 普段、ニュースをあまりチェックしないし、政治のこともよくわからないので、この小説のモデル企業や当時の政権について調べながらの読書でした。
    外から見るとスマートに生きてるように見える、所謂エリートって、本音と建前が渦巻き、お金とか立場とか、なんとも生きにくそうな世界。私が身を置く世界は、なんと呑気なんだろう、と思ってしまいました。(私が何も見えていないだけか。)それでも、あぁ毎日大変だ、イライラする、と思っていたけど…。

    実際の出来事をフィクションとして描いていることと、それを内部の人間の目線で書いてくれることから、からくりが理解できて面白い。小説をきっかけに、現実の政治経済に興味を持つことができますね。

  • 大洋銀行から東和建設に出向した山本は,社長の和田に気に入られる。

    やっぱりこの手の経済小説は,どうも登場人物の企業幹部たちが
    まったく仕事していないように見えてしまって,好きになれない。
    ただ偉い人同士でおしゃべりしてるだけ?
    現実もそうなのか?

  • 【小説 ザ・ゼネコン】 高杉良さん

    1987年、バブル前夜。大洋銀行企画本部調査役の山本泰世は、
    準大手ゼネコン東和建設への出向を命ぜられる。有力政治家・
    竹山正登と緊密な関係にあり、成長著しい同社は、社長・和田
    征一郎のワンマン企業として知られていた。出向後、社長室に
    所属した山本は、和田のブレーンとして厚い信頼を得る。しかし、
    その一方で彼が目にしたのは、ゼネコンならではのダーティーな
    面であった。。(表紙案内)



    大洋銀行は東和建設のメインバンクだ。

    大手ゼネコンに取り仕切られている国内の建築事業では準大手以下
    のゼネコンの入り込む余地がない。東和建設社長・和田は会社の
    基軸を海外のホテル事業へとシフトさせようと考えていた。

    海外のホテル事業を推し進めるには多大な費用がかかる。
    和田はその費用を産銀から借り入れようと考えていた。

    そして、自らは会長職へと代わり産銀からは宮本常務を社長として
    大洋銀行からは新井専務を副社長として迎え入れた。

    新井は企画部の山本を同じ出向役員として推薦した。
    物事を率直に言う山本を新井は高く評価していたのだ。

    その山本の率直さを和田も気に入り、山本は社長室で和田に
    尽力をすることになる。

    バンカーとしての立場と東和建設役員としての二つの立場から
    物事を計る山本の助言を得て、和田は事業を推し進めていくが、
    だんだんと他者を思いやらない専横ぶりを見せるようになってきた。

    そして、山本の助言を疎ましく感じるようにもなってきた。



    この本も実際の人物がモチーフになっている。
    竹下や中曽根など少し名前を変えて登場しています。
    実際こういう風にゼネコンを利用して彼らは資金を集めていた
    のかなぁと思いました。

    この方たちが第一線にいた時代。景気のよかった時代は
    経済には全く興味が無かったです。
    あの頃のままの景気続いていれば今でも経済には関心を
    示さずにいるのかな。。。

     

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。専門誌記者や編集長を務める傍ら小説を書き、75年『虚構の城』でデビュー。83年、退職し作家に専念。緻密な取材に基づく企業・経済小説の問題作を次々に発表する。代表作は『小説日本興業銀行』『小説ザ・外資』の他『金融腐蝕列島』シリーズ全5部作など。

「2023年 『転職』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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