海のはてまで連れてって

  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 519
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478930526

感想・レビュー・書評

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  • 豪華客船で働く父さんと一緒にいたいため、ぼくとふたごの弟のクライヴは父さんの乗る船に密航することにしたのだった。

    シアラーの書くおバカな(誉め言葉)少年たちは実に愛おしいのです。お調子者でちゃらんぽらんで短絡的。でも明るく前向きで機転が利いてめげないのです。
    ぼくとクライヴのふたりも、しょっちゅう相手をけなして言い合いしてけんかするけれど、コンビプレーで困難を乗り越えるのです。まあ大抵は行き当たりばったりなのですけれど。
    5分早く生まれたため兄としての重責を負わされていると思っているぼくは、弟のクライヴのことをけちょんけちょんに語ります。しかしふたりの行動を見るに、結局は似た者同士のふたごなんですよね。クライヴの方がのびのびと行動しているだけで。それこそがぼく曰く「弟の特権」なのかも知れませんが。しかしそんなぼくも何か起こるたびに「クライヴのせい」と責任を押し付けているので、結局どっちもどっちなのですが。

    豪華客船での旅の楽しさ。密航が見付かるのかもしれないという緊張感と、それを切り抜ける大胆なアイデアの爽快感。そして起こる事件。げらげらと笑いながら読み進めていると、不意に現れる父子の情愛描写。あー面白かった!と満足満腹な一冊です。

    蛇足として。主人公で語り手の「ぼく」の名前が一切出て来ないので、もしや何か仕掛けがあるのでは!?と思ってしまうのはミステリ好きの悪いクセですかね。
    そしてクライヴはぼくのことを「そっち」と言うのですね。これがふたりの距離感を巧く表わしているなと思うのです。名前を出さないとしても「兄ちゃん」でも「お前」でもなく「そっち」。これは原文では「you」なのでしょうか。これは日本語ならではの表現なのかも。だとすると翻訳の妙というやつですね。

  • ふたごの小さな密航者。父さんとただ一緒に居たい!それだけのつもりで船に乗り込んだら、ドキドキワクワクするとんでもない冒険が始まった。どんな事態であっても、互いの目を見て思わずフッと笑いがこぼれてしまう、大丈夫...ちゃんとわかってる...そんなホッとする瞬間が好き。どんなダイヤも真珠も、ただのモノだってこと、それよりも もっととても大事なことがあるんだ。それを、ちゃんと言葉で伝えなければならない。そして何も持たずとも、大切な人と眺めた夕焼けが何よりも美しいと感じたこと、それだけは忘れてはならない。

  • アレックス・シアラーの本が好きなので読んでみました
    とても読みやすかったです☆
    夏に読みたくなるさわやかな一冊♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「チョコレート・アンダーグラウンド」しか読んだコトがありませんが、気になる作家です。次は「スノードーム」を読もうかな?と思ってます。。。
      「チョコレート・アンダーグラウンド」しか読んだコトがありませんが、気になる作家です。次は「スノードーム」を読もうかな?と思ってます。。。
      2012/04/13
  • 私私はこの本を初めて読んだのは小学5年生の時でした。たまたまみつけた学校の図書室であまり読まれてないきれいな状態で置いてあったこの本を、私は当時何度か借りて読んでた記憶があります。何度か借りたときに日付の判を本の貸出記録に記載されるのがすこし嬉しくて私だけがこの面白い本を独り占めしてる優越感に浸ってたりした懐かしい記憶を思い出しました。


    この作品にでてくる兄弟と近い年齢だったからでしょうか、彼らの冒険物語を読んでとてもワクワクしました。
    もしかしたら、私にもできるんじゃないかって思えるような作戦で父と過ごしたい純粋な気持ちで船に乗ったこの兄弟のことを応援しながら読んでました。この本はとくに他の登場人物も個性的で、ユーモアに溢れいて思わず笑ってしまうシーンもあり、子どもながら声を出して笑いながら読んでいたのを覚えています。弟の行動が本当に面白くて、兄を困らせて馬鹿なことしてる彼が私は好きでした。やはり最後の兄弟のわかった事実も、彼らはきっと今はこうして生きているのかな?って想像しちゃうくらい、アレックスシアラーさんの本の中で特に好きな兄弟です。

    今はこの本は我が家の本棚にいつでも読めるように保存してあります。大人になってから読むこの本は昔、初めて読んだときのことを思い出させてくれる私の大切な一冊です。
    あれから十五年経ってもあのとき、この本を何度も読んだ自分に戻れる気がして忘れた頃また読んでます。
    いつか子どもができたときに読ませたい一冊です。

  • 兎にも角にも
    シアラーでした
    荒唐無稽さも
    YAさも

  • 嘘をついてお父さんの船に乗り込んだきょうだい。冒険の物語。

  • ■書名

    書名:海のはてまで連れてって
    著者:アレックス・シアラー

    ■概要

    豪華客船で働いている父さんが、これを最後に船の仕事をやめるかも。
    ぼくと双子の弟クライヴは、父さんの船に忍び込んで、内緒で航海
    についていくことにした。思いきり笑えて、思いきり感動できる冒
    険の物語。
    (From amazon)

    ■感想

    原文が悪いのか、役が悪いのか分からないけど、とにかく文章が
    読みにくい。
    一つ一つの説明がくどすぎて、読んでいてイライラします。

    恐らく、弟の知能の遅れを強調するため、わざとやっているのだと
    思うのですが、加減というものがあると思います。

    ということで、文章がくどすぎて、船に乗り込んで少しで読むのを
    ギブアップしました。

    この方の他の作品では、こういう事は無かったので、この作品だけ
    わざとやっているのでしょう。

  • ネタバレもあるので、これから本書を読もうと思っている方は、よろしければまた後で感想記事を読んでくださいませ。



    アレックス・シアラーさんは一風変わった児童文学の作家さんだと私は認識しています。

    どこかうすら寒い怖いお話もあれば、華やかでキラキラしたお話もあるので、幅の広いお話を読むことができます。



    今回読んだ『海のはてまで連れてって』は、お母さんのいない双子の男の子がシチュワードをしているお父さんの船に密航して冒険をするお話です。

    3分の2までは、物語は単調なので、読むのに努力が必要だと思います。海外文学の特徴のひとつである例えの説明がとても多く、単調に感じる場面も多いです。



    しかし、その例えも文化の違いを感じたり、ユーモアを含ませたものであることがほとんどです。日本語になるとこの説明はいるのかな? と疑問に思う箇所もありますが、子供が主人公なので妄想も含んだ説明に冒険心が掻き立てられるのではと思います。



    どんな手段を使って豪華客船に子供だけでじょうせんするのでしょうか?

    毎日の歯磨きや身支度はどうするのでしょうか?

    寝るところはどうするのでしょうか?

    ごはんはどうやって食べるのか?

    おやつは?

    喉が乾いたらどうするの?

    毎日どうやって遊ぶの?

    お父さんに見つかったらどうするの?



    疑問点がいっぱいですが、心配ご無用。

    二人で知恵を使って全てクリアしていきます。

    また、どうして密航しようと思ったのかの理由も実に微笑ましく、本気で怒ることができません。



    豪華客船という現実離れした娯楽施設の中の生活描写や、そこで働くお父さんたちの姿、飲み物や食べ物が食べ放題のシステムなど、普段触れられない世界も楽しいしポイントだと思います。



    そしてなんと、後半には驚きの展開が待ち受けているのです。双子の男の子の大活躍にはらはらドキドキの展開に最後は本を読む手を止めることは不可能でしょう。



    子供が読めば、めくるめく冒険が楽しくて仕方ない一冊ですが、大人が読めばこんなに危ないことをしてと心配で仕方なくなったり、小さい頃夢に見た冒険だと心躍らせることでしょう。



    驚きの程度は普通で、アレックス・シアラーさんの著書にしては真っ当な冒険小説だと感じました。

    とても面白いものがたくさんあるので、機会がありましたら、アレックス・シアラーさんの著書をぜひ読んでみてくださいね。

  • 双子の兄弟の冒険話。お父さんと離れたくない…その一心で豪華客船へ。双子の勇気と兄が弟を貶す文章が最高に面白い!!

  • 本棚さぐってたら出てきたからまたいずれ

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著者プロフィール

英国スコットランド北部のウィックに生まれ、現在はサマセット州に住んでいる。テレビやラジオ、映画、舞台のシナリオライターとして活躍したあと、数多くのヤングアダルト小説を執筆、ガーディアン賞にノミネートされた『スノードーム』(求龍堂)などを生みだした。映画やテレビシリーズになった作品もあり、日本では『チョコレート・アンダーグラウンド』(求龍堂)を原作としたコミックやアニメ映画が制作された。他に、『青空のむこう』、『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』『This is the Life』(いずれも求龍堂)、『スキ・スキ・スキ!』(あかね書房)、『世界でたったひとりの子』『あの雲を追いかけて』『骨董通りの幽霊省』(いずれも竹書房)などがある。

「2017年 『ガラスの封筒と海と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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