文庫本雑学ノート: 文庫がボクをつかんで放さない

  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 37
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478950302

作品紹介・あらすじ

安い。気軽。多彩。文庫は文化の源。歴史、守備範囲も、意外に長く、広く、深い。熾烈な文庫戦争の陰に、消えていった文庫、刊行たちまち絶版の文庫本も多い。自他ともに許す「文庫フリーク」の著者が、文庫うんちくを傾けつくす。

感想・レビュー・書評

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  • 98年刊行の、岡崎武志さんのデビュー作。
    後書きによれば、書き進むほどに自信を失い弱音を吐く著者に、編集の方がいつも「大丈夫、面白いです」と励ましてくれたらしい。
    岡崎さんにしても最初からベテランだったわけじゃない。
    当たり前のことだが、それだけでも感慨深い。
    意外に知らない文庫本のことを、様々な切り口で軽快に語ってくれる。
    文庫本のことだけで一冊の本になるのかと、新鮮な思いで読むことになった。

    1.文庫とは何か
    2.文庫の森に分け入って
    3.品切れ、絶版、消え去るからこそ美しい
    4.個人別作家の消長
    5.解説、解説目録の解体新書
    6.衣装の意匠学 カバーについて
    7.文庫のかたち・姿 
    8.見つけたら買え!
    9.渉猟の日々
    10.この愛らしい小品たち スピンとしおり
    11.文庫本整理術

    歴史の部分から相当面白くて、各文庫から出ている「坊ちゃん」のカバーデザイン比較で目を奪われる。8種類もあったなんてね。
    限定した主人公のイメージを提出することで、読者の作品鑑賞の妨げになってはいけないと、人物の絵や写真を載せるのはタブーだったらしい。
    それを破ったのは角川で、「わたせせいぞうさん」のポップな人物画が描かれている。
    91年の集英社版は「吉野朔美さん」。ああ、知らなかった・・
    ちなみに日本における最初の文庫本は大正3年9月創刊の新潮文庫。岩波は昭和2年。
    新潮文庫の創刊年にはちょっと驚きでしょ?

    「戦争に行った文庫たち」のところも面白い。
    「戦地の図書館」で欺瞞のにおいを嗅いだ私だが、あれは正しかったと確信できた。
    同じことをしても国内のそれは殆ど顧みられない。
    そして戦勝国のすることは礼賛される。そして事実は・・まぁ読んでみてね。

    5の解説目録と10のしおりの話が特に興味深い。
    北村薫さんの「水に眠る」の解説は総勢11人が書いているというのに、解説を頑として拒む作家さんもいるらしい。解説が自分の作品の良さを損なうと思うのだとか。私のように解説を楽しみに読む読者もいるのに、何だか残念だ。
    でも挙げられた名前を見たら殆どご縁のない作家さんたちだったから、まぁいいか。
    各社の解説目録は担当の編集者が苦労して書いているというから、今度注目してみよう。

    圧巻は「しおり」だ。
    私もちょっとしたコレクターのつもりでいたが、これは完敗。
    岡崎さん所有のしおりが、次々にギャラリーで公開される。
    アイドル系、アート系、地味系、和田誠さんデザインのマザーグースのがすごくいい。
    そして究極のしおりとして紹介されるのが、昭和53年の角川文庫のもの。
    驚くことに、「渡哲也さん」が首にバスタオルを巻いてトマトジュースを飲んでいる写真が使われている。ちょっと言葉を失ってしまう。なんということだ。
    もしも手持ちにあったら、また古書店で見かけたら、皆さん大事にしてね。

    本文中のイラストも著者本人によるもの。
    各ページ下の余白部分が索引になっていて、記事でとり上げた本の表示画像も掲載されている親切なつくりだ。
    山ほどの蘊蓄を明るく語るとても楽しい本なので、ぜひどうぞ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      は〜い(乗っちゃう猫でした)
      nejidonさん
      は〜い(乗っちゃう猫でした)
      2020/08/24
    • goya626さん
      菊池寛といえば「恩讐の彼方」「父帰る」(だったかな)ぐらいしか読んでいませんが。
      岡崎武志、要チェックかな。
      菊池寛といえば「恩讐の彼方」「父帰る」(だったかな)ぐらいしか読んでいませんが。
      岡崎武志、要チェックかな。
      2020/08/31
    • nejidonさん
      goya626さん、こんばんは(^^♪
      はい、私もその2冊くらいしか思い浮かびません。
      それもはるか昔に読んだ記憶しかないのです。内容な...
      goya626さん、こんばんは(^^♪
      はい、私もその2冊くらいしか思い浮かびません。
      それもはるか昔に読んだ記憶しかないのです。内容なんてもう・・笑
      岡崎武志さんがgoya626さんのお好みにあうと嬉しいです。
      ところで、「書を読んで羊を失う」をようやく入手しました。
      少しずつ読んでいきますね。
      「プルーストとイカ」もあと一回は読みたいし、ああ忙しいです。
      2020/08/31
  • 2012/6/4購入
    2020/11/6読了

  • 100.初、並、カバスレ、帯付
    2011.3.15.伊勢BF

  • 文庫は十分コレクションとなり得る。文庫本の何たるか、貴重さ、解説目録の読み方まで教えてくれる。

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著者プロフィール

岡崎 武志(おかざき・たけし):1957年大阪府生まれ。書評家、ライター。『古本大全』『ここが私の東京』、編書に『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』(以上、ちくま文庫)など、古本や出版に関する著作は多数。

「2024年 『駄目も目である 木山捷平小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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