先日,話をする機会のあった人が TOEIC 930点だという.私も今年は少し英語をレベルアップしようと思っていたので多いに刺激を受けた.というわけで,図書館で見つけたのがこの本.
著者は人気のある作家らしいが私は知らなかった.この本は著者が有名人であると知っている人向けに書かれている.普通の人がこの横柄な調子で書いたら見向きもされないにちがいない.
内容は英会話重視をやめるとか,リスニングを重視するとか,語彙を増やすのにPCを使うとか,納得できることも多い.ただ驚いたのが著者の英語を勉強する目的.「英語的な論理構造によって日本語でものを考え,英語的な論理構造によって日本語をしゃべるようになったら,もっと物事をクリアに解決でき,自分の気持ちもはっきり表現できて,非常に気持ちのよい人生が送れるのではないか」(p.14).そこには日本語は非論理性を許容する非論理的言語であるという考えがある.本当だろうか.私が思うに,これは言語の問題ではなくてそれを使う人間あるいはもっとひろげていえば日本人,日本社会の問題だと思う.私は論理的に考え,論理的に話をし,文章を書くことが仕事だが,それを日本語でするのに困難を覚えたことはない.冠詞,定冠詞の区別や,単数,複数の区別などは日本語でも実現可能だし,曖昧な言い方をさければいいだけの話し.英語を勉強する必要はなくて,論理的思考力をなんらかの方法で研けばよいわけだ.