日本語の絶対語感 (だいわ文庫)

  • 大和書房 (2015年9月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784479305545

みんなの感想まとめ

言葉の理解とその重要性について深く考察する本書は、言葉が思考や心の形成にどのように寄与するかを探求しています。著者は「絶対語感」という概念を提唱し、母国語を通じた共通認識の重要性を強調しています。特に...

感想・レビュー・書評

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  • 筆者はその言葉を使用する人々が無意識的に
    有する言葉の規範、つまり、共通認識を絶対語感と
    表現している。
    たとえば、日本で生まれ育ち、日常的に日本語を
    介している人の思考回路は、日本語が主体的になっているはずであるが、母国語(日本の場合は、母語と
    同義に近い。)としての基盤である絶対語感を築く
    ことが、日本語の衰退を抑止するためには必要
    不可欠であると説く。

    本書は、上記絶対語感の概念に基づき、素読(ベータ読みに相当)の重要性を述べている。
    古から読み語り継がれている古典の圧倒的な
    存在感を茲に感じた。

    複数のエッセイも盛り込まれていて、音響的に
    言葉を認識する方をはじめ、言葉に興味のある
    方にも一読することを薦めたい。

  • 人間はまず、具体的な言葉から入り、次に抽象的な言葉を習得する。子供においてウソがつけるということは抽象的思考の端緒である。幼少期におとぎ話を聞かせることは大切であり、自分の経験の外にあるものを子供はおとぎ話から受容する。自分の経験の外にあるものを体験し、それがすんなり頭に入ることは、知的学習に効果的である。
    この本で最も印象に残ったのが、ベータ読みというものである。既知情報を読むことをアルファ読みと呼ぶと、未知情報を読むことをベータ読みという。かつての漢文の素読がそれにあたり、ヨーロッパでも聖書のラテン語訳を幼少期から読むことで、ベータ読みを確立していた。未知の無意味に見える文字列から意味を判断し、理解することは、上記のとおり、抽象的思考のひとつであり、言葉にとどまらずすべての学びに通ずるものであるように思える。スポーツにおいて、プロも基本動作を繰り返し行うことで上達したのであろう。
    このほか、日本語は縦読みのことば、敬遠するという言語文化、などなど時事的な問題が書かれている。この本でもそうであるが、言語学に惹かれるのは、言語学とは対象が言語であるだけで、人間の最も深い部分の学問ではないかと感じるからである。言語は秩序であり、秩序は社会を構成する最も重要な要素である。そして、ことばは人間にとって最初にして最大の学びであり、学びのメカニズムに迫るものでもある。はじめにことばありき。言語は面白い。

  • 空港で衝動買い。
    1頁あたりの字の大きさからして、大衆受けするために再編した感じ。
    なので、他の外山の著書に比べると物足りない。
    母乳語から離乳語への移行が小学校で上手くいっていない、という件の論拠が全くなくて、残念。

  •  絶対音感に模して著者が作った言葉は絶対語感。幼児時期から母親の言葉を聴くことを通して身に着けてくるものであるが、それが母親の言葉の濫れ、テレビ用語の跋扈などで危機に瀕している!離乳期の言葉を身に着ける対策としておとぎ話を繰り返し聴かせること、また過去の教育がそうであったように意味は分からなくとも、漢文の素読、聖書の暗唱など縦書きから横書きへの移行が語感へ影響を与えているということは非常に分かる。
    「おいしい」という言葉は、元々女性の「いしい」に「お」をつけた言葉だったので女性的言葉!男は「うまい」と言っていたらしい。これは少しショック!

  • 想像するとき、使うのは言葉であるとするなら、
    こころは言葉でできているといっても過言ではない。

    子供たちの言葉の教育環境が変化して、
    こころが育たないまま大人になる人もいるのだろう。
    そう思うと家庭の教育環境を見直す必要がある。

    うちはテレビを見ない家なので、
    子供といるときは話していることが多い。
    間違いでなかったことが証明されたような、
    ホッとした気持ちにさせてくれた。

    三つ子の魂、まで時間が多少あるので、
    語りかけることを続けていきたい。
    大切なことがギュッと詰まった一冊。

  • 「本来、日本語は、立っていたのです。寝るようになったのは、戦後のことです。昭和二十七年、内閣の通達のようなものが出て、公文書は横書きとすべし、と命じました。(中略)公的文書がなぜ、突然横書きにされたのかといえば、じつは、タイプライターの都合でした。」

    今まで、気にしたことなかったが、縦書きと横書きのルーツを知ることができた。
    そして意外と単純な理由だった。
    今まで、縦書き、横書きかなんて意識したことなかったが、意外と重要な違いなんだと気づかされた・・・

  •  “はじめにことばありき”そして“絶対語感”あり、と91歳「知の巨人」である著者は述べている。
     “絶対語感”とは、ひとりの人のなかに存在することばの体系、システム、原理のこと。すべての人間が持つ言語的な万能能力で、生後わずか数十ヶ月のうちにその基礎を形成する。
     その絶対語感を深化させれば知性を育てることができると説き、絶対語感の育て方が中心に書かれているので、子どもが生まれる前にまた読み返したい内容だ。

     特に印象深かったのが、「ベータ読み」についてである。「ベータ読み」とは、よく知らない、未知のことがらの文章を読むこと。逆にアルファ読みは、ざっと読めばわかるものを読むこと。このベータ読みこそが、絶対語感を育むというのである。新聞を読めない、小説ばかり読んでいるわたしには耳の痛い内容だが、これを子どもに納得感を与えて実践させるにはかなり大きな工夫が必要だと思う。
     3章4章は昔からあるうつくしい日本語、形式などが書かれているが、わたしも現代人なんでしょうね。あんまり実用的ではない内容が眠気を誘ってきました。でも、子どもを持ったとき、きちんとしたことばを知った上で、現代に合ったことばづかいをすることが必要だなと思う。

     内容には関係ないが、ひらがなの割合が多い紙面がひじょうに心地よかった。

  • 元々英文専攻の著者だが、日本語についての本が多い著者。
    日本語の語感、聞き言葉として話し言葉として日本語として違和感のある言葉使いも多い。そんな内容の本。

    メモ
    そもそも、漢文や日本語は縦書きの言葉、文字は横に横断した線での区切りが多い。対して横書きの言語は縦線が主体の文字。

    名前や主語、文にあまり入れると失礼に感じる日本語。

    早口になると、子供が学び取れず、語感あやふやになる。
    (そもそも早口になると、語感適当に乗り切れるし、、、)


    目次 日本語の絶対語感

    はじめに

    第1章 誰にでもある「絶対語感」
    生まれた直後から始まる、ことばの習得
    こころを育てる「母乳語」
    離乳語
    「ウソ」がつけるということ
    「耳のことば」で頭は良くなる
    おとぎ話の効用
    絶対語感とは何か
    きちんとした母国語

    第2章 耳のことば、目のことば
    ゆっくり、かみくだいて、くりかえす
    知的世界を開く「目のことば」
    頭を鍛える「べータ読み」
    わからない文章を読む
    絶対語感は「アルファ読み」では育たない
    日本語-立つか寝るか
    横組みの文字

    第3章 はじめに、美しいことばありき
    ことばは人なり
    「お」ことば
    敬遠のこころ
    新しく生まれる絶対語感
    「カタカナ」を考える
    室内のことば
    「命名」に表れる語感

    第4章 絶対語感で伝える親のこころ
    形式を軽んじる愚かさ
    男ことば・女ことば
    体を動かして身につけたことば
    母のことば

    おわりに

  • 言葉って大事ですよね。日本語には言霊もあるので、魂が宿ってると思って使わないと。

  • 人の聴覚は生まれる前から十分に発達している点から、聞く言語教育の重要性が説かれており、耳を傾けるところもあるものの、絶対語感を形成するための環境が整備されていない、あるいは失われているのは、核家族化をはじめとした生活スタイルの変化が大きいと思われること、絶対語感そのものも個々人や生活する地域、年代により異なることからすると、こうした警鐘の必要性はあるものの、なりゆきに任せるしかない問題のようにも感じられた。
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  • 普通の言葉が珍しくなってきた昨今、このような当たり前の話で矯正される。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923-2020年。愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論やエッセイを多数執筆した。40年以上にわたり学生、ビジネスマンなどを中心に圧倒的な支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『新版 「読み」の整理学』『忘却の整理学』(ちくま文庫)他、『日本語の論理 増補新版』(中公文庫)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社文庫)など著作は多数。

「2026年 『新版 空気の教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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