知れば知るほど面白い 不思議な元素の世界 (ビジュアルだいわ文庫) (ビジュアルだいわ文庫 J 14)

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  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479305842

感想・レビュー・書評

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  • 暗記科目としての元素や周期表ではなく、身の回りに落とし込んで知ることを楽しめる一冊です。カラー写真が多く添えられているため、普段目にすることが難しい元素の姿を見ることもできます。

    周期表を上からなぞるのではなく、トピックごとにまとめて紹介しているのもいいポイント。
    個人的には、国際的な発見競争のなかで人為的に作られた重たく儚い元素たちが、ときに紆余曲折を経ながら名付けられていく様子が面白かったです。

    出版から多少時間が経っているため、もちろん最新の情報とは異なる部分もありますが、導入には十分ではないでしょうか。

  • 他の本をさし置き一気に読んでしまった。
    地球で1番存在する元素、宇宙で一番存在する元素、
    ルビーやサファイアがアルミニウムに分類されるなど、
    初耳の事ばかり。

  • 1章 宇宙空間で生まれた元素
     H 水素 この世で1番最初に生まれた
     Li リチウム 宇宙生まれが、今や電池に
     B ホウ素 ガラスの材料は宇宙に漂っていた
    2章 誰とも反応しない孤高の希ガス元素
     He ヘリウム 地中からも見つかる”太陽のかけら”
     Ne ネオン ネオンサインには、ほぼ使われていない?
     Rn ラドン 地球誕生時からのものは存在しない
     Xe キセノン 常識をひっくり返した、希ガス界の化合物
     Kr クリプトン 液体の沸点の差から取り出された
    3章 息を呑むほど美しい結晶を作る元素
     C 炭素 宝石から先端技術まで、八面六臂の働きもの
     Bi ビスマス 自宅でも作れる、神秘の虹色
    4章 人体・生物に必須の元素
     O 酸素 生命に欠かせない”毒ガス”
     N 窒素 これがなければ、ヒトは創れない
     P リン 見た目と裏腹な「最低」の発見方法
     Mg マグネシウム 光合成を支える緑の元素
     Ca カルシウム 体内で鉱物が作られる
     Mn マンガン 海底に眠る生物由来の結晶
     K カリウム 細胞内外を行き来するイオン
     Zn 亜鉛 体内で鉄に次いで多い元素
     Se セレン 不足すると心不全に
     I ヨウ素 甲状腺に貯えられる
    5章 夜空をいろどる花火の元素
     Na ナトリウム 水中で燃えるアルカリ金属
     Cs セシウム 美しい青の炎色反応
     Sr ストロンチウム 夏の夜空に”花”を咲かせる
     Rb ルビジウム ルビー色の輝きを放つ
    6章 想像もしなかった新しい用途の元素
     Si ケイ素 特殊な電気的性質を持つ
     Ba バリウム 人間ドックの嫌われ者
     Nd ネオジム ハイブリッドカーにも使われる強力磁石に
     Mo モリブデン 鉄鋼の強度を高める
     Ho ホルミウム レーザーやメスに活用される
     Ta タンタル 実は陰ながら活躍
     W タングステン 大地をも削る超硬度の元素
     Ge ゲルマニウム 放射線測定に威力を発揮
     Nb ニオブ MRI検査で金属探知機がある理由
     Gd ガドリニウム 似たものばかりの中で個性を放つ
     Dy ジスプロシウム 放射線検出にも使われる有能元素
    7章 古代人も知っていた由緒ある元素
     Fe 鉄 地球は鉄でできている
     S 硫黄 ときに死をもたらす地獄の元素
     Cu 銅 人類の文明発展に欠かせなかった金属
     Sn スズ ハンダの材料として活用
     Sb アンチモン 錬金術師が見いだいした「金ならざるもの」
    8章 宝石や貴金属になる貴重な元素
     Au 金 美しさと希少性で世界経済を動かしてきた
     Ag 銀 富の象徴たる銀食器
     Pt 白金 貴金属だが、実用性も高い
     Al アルミニウム 価値を忘れられた貴金属
     Zr ジルコニウム 模造ダイヤモンドと呼ばれる悲しさ
     Ni ニッケル 五百円硬貨は現代の錬金術?
     Ir イリジウム 恐竜を絶滅させた隕石から飛来した?
     Ru ルテニウム 白金族を代表する元素
     Rh ロジウム 星の最期の瞬きから生まれた
     Re レニウム 最後に見つかった天然の非放射性元素
     Os オスミウム 密度の最高記録を誇る
    9章 扱いを誤ると危険な毒元素
     Pb 鉛 甘い味だが騙されてはいけない
     As ヒ素 今も昔も毒薬の代名詞
     Hg 水銀 権力者が求めた、中毒必至の「賢者の石」
     Tl タリウム 蠱惑的魅力で犯罪者の心をつかむ
     Br 臭素 命名者に愛情はなかったのか?
     Cd カドミウム 腎臓を冒す公害の悲劇
     Te テルル 口臭という地味な嫌がらせをする
     Cl 塩素 毒ガスとして死を振りまいた
     Cr クロム ステンレスの原料も一歩間違えれば
    10章 ノーベル賞をもたらした元素
     Ar アルゴン 周期表の新境地を示した
     Tc テクネチウム 人類初の人工元素
     Ra ラジウム マリー・キュリーに2度目の栄冠をもたらした
     No ノーベリウム ノーベルの名にちなむ
     Np ネプツニウム 最初の超ウラン元素
    11章 見る見る減っていく放射性元素
     U ウラン 放射能を人類に教えた
     Pu プルトニウム 天然に存在できない不安定さ
     Po ポロニウム 放射線を放つ恐怖のおもちゃ
     Pm プロメチウム 2番目の放射性元素
     Ac アクチニウム 寿命の短い天然の放射性元素
     Pa プロトアクチニウム 情緒ゼロの無個性な名前
     Fr フランシウム 「22分の寿命」のあいだに発見された
     Th トリウム 希土類採掘についてくる迷惑モノ
    12章 意外なところで使われている有用な元素
     Be ベリリウム 美しい緑色は実は不純物
     F フッ素 最も「貪欲」な元素
     Ti チタン チタンはサイボーグの夢を見るか
     La ランタン 周期表から仲間はずれにされた
     Ce セリウム お隣のランタンと良く似ている
     Pr プラセオジム 似た者同士の希土類の一つ
     Sm サマリウム 磁石の原料として活躍する
     Eu ユウロピウム 赤色の画素で利用されてきた
     Pd パラジウム 化学反応を促進する”仲人”
     In インジウム 太陽光発電に欠かせない
     Hf ハフニウム 苦労の末に見つけた「平凡な元素」の使い道
    13章 超々希少な人工元素
     Uut ウンウントリウム ジャポニウムになる日も近い?
     Fl フレロビウム 2~3秒で崩壊していく
     Lv リバモリウム 名前の由来はまさかの牧場主
     At アスタチン 発見は一時、秘密にされた
     Cf カリホルニウム カリフォルニアで誕生
     Lr ローレンシウム サイクロトロンの父の名を冠した元素
     Cm キュリウム キュリー夫妻への敬意
     Bk バークリウム 「新元素の産地」バークレイ市より
     Es アインスタイニウム 水爆の「死の灰」から見つかった
     Fm フェルミウム 中性子とウラン原子核からの誕生
     Md メンデレビウム 莫大な作業の果ての17個の奇跡
     Rf ラザホージウム 米ソ、2つの研究機関の元素合成競争
     Db ドブニウム 米ソ対立に振り回された元素
     Sg シーボーギウム ローレンス放射線研、ふたたび
     Bh ボーリウム 西独・重イオン研究所を信頼するものの……
     Hs ハッシウム ボーリウム命名権との”交換条件”
     Mt マイトネリウム ノーベル賞に無視された男の名残
     Ds ダームスタチウム 1万分の1秒で崩壊していく儚さ
     Rg レントゲニウム 合成元素の 分析の限界か?
     Cn コペルニシウム たった1ミリ秒の存在でも「長寿」
     Unp ウンウンペンチウム 原子2つ分しか合成できていない最新元素の1つ
     Uns ウンウンセプチウム 最後から二番目の元素
     Uuo ウンウンオクチウム かつては捏造された、現在最後の元素
    14章 まだある!個性豊かな元素
     Sc スカンジウム 世界を驚嘆させたメンデレーエフの予想
     V バナジウム なぜかミネラル水に使われる
     Co コバルト 鉄鋼、合金、磁石……多様な顔を見せる
     Ga ガリウム 手のひらで融けていく金属
     Tm ツリウム 希少過ぎて研究が進んでいない
     Am アメリシウム 意外に身近な放射性元素
     Y イットリウム 「へんぴな村」から現れた元素たち
     Tb テルビウム 分離困難なものから取り出された元素
     Yb イッテルビウム エルビウムの化合物から生まれた
     Er エルビウム 分離に困難さがともなう
     Lu ルテチウム ランタノイド系最高の金食い虫

  • スイ・ヘー・リー・ベ・・・と覚えた元素が懐かしくて購入。胃カメラ検査で飲まされるバリウムが、れっきとした元素Ba(バリウム)で、でもバリウム自体は毒性があるので硫酸バリウムBaSO3の形で飲む、など大人になったからこそ理解できる文章が面白い。また、直近で読んだ「植物はなぜ動かないのか」に記載されていた二酸化ケイ素(SiO2, シリカ)を利用する希少な植物、稲に関する記載が改めて読めた。そして、2016年11月30日、113番目の元素として正式名称が決定されたニホニウム(Nh)も、Uut(ウンウントリウム:113番目という意味)として紹介されているのがタイムリーで、記憶に残る一冊となった。

  • 2016年6月9日、日本で発見された新元素が正式に発表されました。
    元素記号は113番。正式名称ニホニウム(Nh)。
    この本の刊行は2016年3月だったので、巻頭の元素周期表にも本文にも「ウンウントリウム(Uut)」というちょっと奇妙な仮称で掲載されています。また、日本にちなんだ名前になるでしょう、とも。
    ここではジャポニウムになるのではということでした。

    この世界の物体は、原子という極微の粒子の集合。それが、複雑で美しい小宇宙を作っている。
    わかりやすい解説文に添えられた写真がとても美しい。学生時代、中学生の頃に出会えたら良かったと思う一冊。

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著者プロフィール

1967年、東京都生まれ。
東京大学理学部物理学科卒業。博士(理学)。
専門は宇宙物理学と観測装置開発。
理化学研究所、NASAゴダード宇宙飛行センター、東京工業大学、早稲田大学などの研究員を経て国際基督教大学ほかで教鞭を執るかたわら、科学のおもしろさを一般に広く伝える著作活動を展開している。
著書:『宇宙はどこまでわかっているのか』 『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』(幻冬舎新書)、『身のまわりの科学の法則』 (中経の文庫)、『科学者はなぜウソをつくのか ―捏造と撤回の科学史』(dZERO)、『知れば知るほど面白い宇宙の謎』(三笠書房)、『物理学、まだこんなに謎がある』『科学者たちはなにを考えてきたか』『科学の世界のスケール感をつかむ』(ベレ出版)など多数。

「2020年 『宇宙の謎に迫れ!探査機・観測機器61』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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