古書カフェすみれ屋と本のソムリエ (だいわ文庫) (だいわ文庫 I 317-1)

著者 :
  • 大和書房
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本棚登録 : 854
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479305903

感想・レビュー・書評

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  • 古書カフェをめぐるハートフルストーリーと日常の謎ですね

    古書とカフェなんという素敵な組み合わせでしょう!
    我が町にはありませんから、帯に記載されている三浦しをんさんの「すみれ屋が本のなかにしか存在しないなんて、口惜しくてなりません。私も常連さんになりたいなー♪」共感します。

    古書カフェすみれ屋、オーナーは玉川すみれ(36才)自分の店を開きたい夢をかなえてオープン。
    読者好きなのと、縁があって古書店も併設。
    古書店の店主は紙野頁、すみれよりも若い。
    すみれ屋は昼の11時から夜の10時まで営業。
    そんな、すみれ屋で起きる五話の短編連作の人間模様に少しばかりの日常の謎のミステリー。
    作家さんが実に丹念な書き込みをされる方で、すみれ屋のメニューレシピには魅力が満載。グルメ小説としても堪能できます。
    出てくる本がまた魅力的で、二冊ほど私もブクログに「読みたい」でお買い上げしてしまいました。
    二人の関係が、微妙で、恋愛小説にも兼ね備えそうかな?
    ともあれ、心温まるハートフルストーリーにはホロリです。

    古書カフェすみれ屋はシリーズになっていますから、続きが楽しみですね。

  • またまたフォローしている方々のレビューで知った本。
    面白かった。

    古書、ミステリー、探偵ということで三上延さんの<ビブリア古書堂シリーズ>のような感じかと思っていたら、青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」のような感じだった。だがこちらはもっと直球。

    舞台は古書カフェ<すみれ屋>。オーナー店主・玉川すみれはカフェの料理人でもあり、古本屋スペースは店長の紙野頁(よう)が経営している、それぞれ独立採算制の店舗だが、カフェの客は古本屋スペースの本を無料で読むことが出来るというサービス付き。

    話の流れとしてはカフェに来た客がすみれに相談を持ち掛ける或いは客同士話をしている → 話を聞いていた紙野が事の真相またはからくりに気付く → その内容に沿った本を客に薦め読んでもらうことで客自身に真相に気付かせる というもの。

    人によっては名探偵よろしく関係者一同を集めて推理を披露するよりも嫌味に感じてしまうような回りくどいやり方なのだが、それがそうならないのは紙野のキャラクターとその悩みの内容だろうか。

    『エンターテイナー的料理人』である彼女がカフェで出すメニューはアメリカ料理を中心とした多国籍料理で、こってりしていそうなのだけれど美味しそう。
    だからか、この作品は意外にもミステリー要素や本の要素と同じくらいカフェメニューの描写が多い。
    彼女の魅力は紙野に言わせると料理だけでなく『人の心をほどかせるなにかを持っている』ことだそうで、常連客からはかなりプライベートなことまで相談されたり、初めての客でも客同士けっこう突っ込んだ会話を平然としている。

    一方の紙野の方は『お客様のわずかな言葉を手がかりに”お探しの本”をぴたりと的中することができ』、『探していたタイトルとは別の本もすすめることがあり、それが客の求める本にぴったりなことが多い』というスーパー書店員。

    なので『それはこういうことだと思います』と人前で一席ぶるのは憚られる内容に対し、『よかったら読んでみてください』と本を差し出す(買ってもらうけど)のは良い方法かも知れない。

    それにしてもこれだけ客の悩みとその解決にピッタリの本を即座に差し出せるとは、<ビブリア古書堂>の栞子とも張り合えるくらいの知識量ではないだろうか。
    国内外の小説や児童書だけではなく、写真集や料理本までそのジャンルは幅広い。そのうえ荒木経惟氏と篠山紀信氏の一時不仲だったことまで知ってるって年齢詐称してないか?というほど。

    事件のなぞ解きはそれほど面倒なものではないのだが、紙野はどんな本を薦めるのかとそれが気になって読んでいた。

    紙野の『僕は信じてるんです。たった一冊の本が、ときには人の一生を変えてしまうこともあるって』という言葉はちょっと大げさのようにも感じるが、個人的な話をすれば小学生の時に学校の図書室で出会った少年探偵団シリーズに取りつかれて以来、ウン十年経った今でもミステリー小説を楽しんでいるのだからそう言えなくもない。

    読んでいくうちに紙野がすみれに好意を持っていることは分かるのだが、何しろ『恋愛偏差値が低い』と言われているすみれなので気付かない。むしろ常連客の方が気になって仕方ない様相だ。だが周りが囃し立てればせっかくのパートナー関係までおかしくなりそうで、黙って見守ってあげたい。
    作品の冒頭では36歳のすみれと31歳の紙野が終盤では一年経って37歳と32歳。私から見れば十分すぎるくらい若いのだけれど、勢いだけで何とかなるような年齢でもないし二人には二人のペースがあるだろう。

    続編もあるようなので読んでみたい。

  • ミステリーだけど日常の謎系。
    こんなカフェが近くにあったらなぁ、、、
    紙野くんに本を薦められたい。

    ご飯も美味しそうでゆったりほっこり読めるお話。

  • 古書カフェすみれ屋の古書スペース担当の紙野君は、店に来る客の悩みに応じた1冊を勧めて、悩みを解決したり、人間関係を改善したりしていくストーリー。

    本のソムリエ、紙野君の的確な1冊を見抜く力がスゴい!
    カフェメニューの描写も食欲をそそる。(笑)

    すみれ屋のオーナー、すみれと紙野君の関係性がどう発展するのかも気になる。

  • 本好き&食べるの大好き人間にはたまらないですね。
    いや、とりあ【美味しい小説】なのも間違いなく!
    ランチのフィリーズチーズサンドイッチもロブスターサンドもカレーもめちゃくちゃ美味しそうだし!!
    夜メニューで出てくるイカのカルボナーラ風とかパテドカンパーニュとかキッシュも食べたい!
    すみれさんが賄いに夜作るゴハンも朝ごはんのきゅうりサンドも全部美味しそう(о´∀`о)
    あー、こんな美味しいゴハンとワインが出てきて、しかもお隣の古書読んでいいとか堪らないですよね!!
    、、とお店の雰囲気もゴハン描写も最高ですが、各話のお話もとても面白いです。
    すみれ屋のゴハンを食べに来るお客さんの中に、悩みとか謎を抱えてる人がいて、それを紙野くんがオススメの本を読んでもらうことで解決に導きます。
    でも、お店の人から買ってくださいって断定的に言われるって結構びっくりするでしょうね(笑)
    1番ギュッと泣きそうになるのは、子供の虐待かな。これ、「にんじん」が出たあたりで正直もしやと思ったり。。
    あと、「料理歳時記」は欲しくなりました!
    神保町で探してみようかなって思います( ^∀^)
    料理は食べたくなるし、紙野くんが勧める本は全部読んでみたくなるし、本好きが好きなグルメ&本屋小説です。

  • 読み進めるうちにだんだんとハマっていく。。

    なにしろ古書店カフェのオーナーすみれさんが作るランチとビストロ、バルは、凄く凝ってるうえにおしゃれで美味しそうで、近くにあれば通うの間違いないと思わせる。

    それだけでなく聞き上手というか、人の心をほどかせる何かをもっている。

    それを上回るのは、古書店主の紙野君。
    一見、クールに見えてなかなか人の気持ちを汲み取るのが上手い人だとわかる。
    悩める人に勧める一冊の本は、まるで魔法か…と思うくらい完全に心を動かす本、その人のベストな一冊なのだから…

    5話あるが、お勧めの本はすべて名著である。

    「にんじん」と「料理歳時記」をもう一度読みたいと思った。

  •  古書店とカフェ、二つが合体した「すみれ屋」。オーナーシェフのすみれが作る美味しい料理と元伝説の書店員、紙野君の最強タッグによる店が流行らないワケがない。
     何といっても、料理がとても美味しそうで堪りません。尤も、田舎料理に慣れきった私にはこんなハイカラな(笑)料理は食べつけないかも知れないが…
     そして取り上げられている本のセレクトも有名どころだけでなく、マイナーな本や有名な作者であってもあまり知られていない作品などもあり、ちょっと捻った感を出したところも良かったですね。
     まぁ一番の感想は、「すみれ屋」はどうして実在しないんだー!!って事です。

  • 手のこんだランチに、丁寧に淹れたコーヒー。
    夜はこだわりのワインやクラフトビールに、これまた美味しそうな肴の数々。
    そのうえ、併設された古書店の本は読み放題···

    これが近所にあったら絶対通うよなー
    と思わせてくれるお店が舞台のお話。


    読んでいて食べたくなったのは、

    ・第2話に登場する自家製のコンビーフ
    ・第3話 ピーナッツバターサンデー
    ・第4話 パテ・ド・カンパーニュ
    ・第5話 ロブスター&アボカドロール

    ロブスターは普通の海老で代用するとして···
    自分でも作ってみようかしら。
    舌なめずりしながら読んでました。
    本当に美味しそうで!


    また、本文で紹介されていた書籍、
    歌集『パン屋のパンセ』
    お料理本『料理歳時記』
    はぜひ読んでみたい作品。

    随所にあらわれる、パン屋のパンセの歌には、心つかまれる言葉が並び、ハッとさせられました。こんな歌集があったとは。

    料理歳時記は、丁寧なお料理が人を幸せにするんだな、としみじみ。


    そしてこの物語、
    続きが気になる〜!
    ってところで終わっていて、
    それもまたよし(⁠^⁠^⁠)

  • この手のカフェものの作品でアメリカンなメニューを出すお店が舞台なのは珍しい気がする。食べ物の描写が毎回美味しそう。
    お客さんの悩みを本で解決する紙野くんの観察眼と的確な選書力、フィクションでしか許されないよなーと思いつつも実際いたら私も本を薦めてもらいたいなーって気持ちになっちゃう。
    まさにふらっと適当に入ったカフェが大当たりで足繁く通いたくなるお店だったときみたいな、穏やかで幸せな読後感の一冊でした。

  • 今一番気に入っているシリーズ。料理が美味しそうでたまらないですね。フィクションだから仕方ないけど、閉店後の夜中にこんなに高カロリーなものを飲み食いして太らないなんてやりきれない。あと、古本屋さんなのに同じ本が何冊も置いてあるのも珍しいです。

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著者プロフィール

1969年、東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、編集プロダクションに所属し、ライターとして映画、テレビドラマのノベライズを数多く執筆。2004年『獣のごとくひそやかに』で小説家デビュー。『彼女の知らない彼女』(新潮社)で第20回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。

「2017年 『小説L DK 柊聖’S ROOM』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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