- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479308737
感想・レビュー・書評
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ランチと月に二回の料理教室を下河辺靖子先生一人でこなしていた〈菜の花食堂〉は、館林優希(営業・サポート)と和泉香奈(料理人)という二人の助手を得て予約制ディナーに瓶詰販売と商売も順調に拡大中。
合わせて今回も靖子先生の謎解きで事件もサクッと解決。
「春菊は調和する」
夫の減量のため料理で努力する妻だがなぜが夫の体重は減らず…。
個人的には劣等感いっぱいの妻の追いつめられた気持ちが分かるが、傍から見ると痛々しい。一方で自信満々な夫の物の見方も何だかなという気持ち。
靖子先生の解決策、上手く行って良かったけど私は嫌だな。
「セロリは変わっていく」
飼い主により菜の花食堂に捨てられていた犬。新たな飼い主が見つかるまで預かることになったが、居合わせた親子客の少女が犬を気に入って…。
この話の靖子先生はなかなか辛辣。関係者が道理の分かる人で良かったが、感情的になってしまう人だったらどうなっていたかと心配になった。
「裏切りのジャム」
売り上げを順調に伸ばし『地元の逸品』にも選ばれ、商品を置いてくれるお店も増えてきた瓶詰商品に何とカビが生えていたというクレームが。
どれほど誠実に堅実に商売をしてもこういうことは起こるのだろう。だが優希が来るまで一人で商売をやってきた靖子先生、このくらいでは狼狽えなかった。謎解きよりもどうことを収めるのかに注目した。
「玉ねぎは二つの顔を持つ」
新婚夫婦は納得の上で同居を決めたのに、大らかで親しみやすい姑は何故拒否するのか。
誰もが出来た母、妻、姑ではない。だがここまで見通した靖子先生はさすが。このまま良い関係になれれば良いが。
「タケノコは成長する」
個人的に頼まれた料理のアルバイト先、川島氏宅に自分ではない、料理をする人の存在を見つけてしまった優希。その上川島氏からそのアルバイトのことで話があるとまで言われ動揺、思わぬ怪我までしてしまう。
靖子先生でなくとも誰が見ても…という状況なのだが渦中にいる本人には見えない。真面目過ぎる優希らしいと言えばそうなのだが、可愛らしい。
※シリーズ作品一覧
全てレビュー登録あり
①「菜の花食堂のささやかな事件簿」
②「菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日」
③「菜の花食堂のささやかな事件簿 金柑はひそやかに香る」
④「菜の花食堂のささやかな事件簿 裏切りのジャム」本作詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日常の謎のお仕事ミステリーですね。
『菜の花食堂事件簿』の四巻目です。
下河辺靖子先生は六十台。
館林優希は、二十八才。
和泉香奈は二十七才。
三人の『菜の花食堂』『料理教室』の営みの中で起きる事件を通しての謎解きと人情あり、恋愛あり何より人間模様の楽しさ辛さを、優しさと慈愛に満ちて物語ります。
シリーズもここまで進むと、『菜の花食堂』『料理教室』もかなり忙しくなってきます。
そこで、様々な事件が発生。
優希の恋の行方も進展をみせてきます。
香奈の押し掛け弟子も板についてきて、靖子先生の代わりを勤める程に成長します。香奈の恋はマイペース。
『菜の花食堂』『料理教室』に出入りのメンバーの協力と地域との連帯の広がりは増すばかり。
短篇連作の五話なのですが、全編を通して物語は進みます。
ここまでくると、ワクワク感は高まるばかりですね。
次回作が楽しみです。 -
日常の小さな謎解き
短編集
地元の逸品
味音痴
骨折
安定して美味しそうなお料理満載です
お腹もすきます
作者の碧野圭さん東京学芸大卒だったんですね
この本を手にしたタイミングに
一人勝手に縁を感じてます
さぁ恋が始まるよー
続編も楽しみです -
菜の花食堂シリーズ第4弾。
料理教室には、新たに入ってくる人もいてその人の悩みも靖子先生の洞察力でするっと解決。
迷い犬の件も厳しい口調で大人にもわからせるというのは流石だなと思った。
裏切りのジャムの件もあわや販売の危機⁇かと思ったが、これもすんなりとおさめるんだから靖子先生って名探偵プラス商売上手というか敵なしなんやね、と。
ちょっと違う新たな一面を見ることができた。
すべてが上手く回りだしたところで、優希が自転車で転び骨折し、しばらく料理もできないし…と最低最悪な気分で落ち込んでいたが、ここでやっとなのか、まったくと言っていいほど恋愛というものが感じられなかったのになんかふんわりと良い予感が…。
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大和書房HP連載の春菊は調和する、セロリは変わっていく、玉ねぎは二つの顔を持つに加筆修正し、書き下ろし裏切りのジャム、たけのこは成長する、の5つの連作短編を2021年7月だいわ文庫から刊行。シリーズ4作目。裏切りのジャムというのは不穏なタイトルだが、ストーリーにそこまでのものは無く安心して読めた。セロリは変わっていくに登場した小学生たちを巻き込んだ事件の謎解きはやや辛辣。もう少しやさしい展開がなかったものかと考えてしまいました。
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シリーズ第四弾。
<菜の花食堂>のオーナー・靖子先生が“日常の謎”を解いていく、連作5話が収録されています。
食堂と料理教室に加えて、ジャムやピクルスなどの瓶詰の販売も始めている<菜の花食堂>。
“地元の逸品”に瓶詰が選ばれたりと、軌道に乗ってきた矢先に思わぬクレームが・・・。
第三話「裏切りのジャム」では、妬みによる嫌がらせを受けてしまう<菜の花食堂>ですが、そこは安定の靖子先生。いつもより本気モードできちっと解決してくれます。
そして靖子先生の助手で、主人公である優希の恋模様も気になるところです・・・っていうか、ほぼ両想いだよね?という感じなのですが、二人の仲がどのように発展していくのか、今後の展開が楽しみです。 -
大好きなシリーズの第4弾!
おっと、最後には優希に春が!?
裏切りのジャムは悲しいお話だった。選定されるために、同じことを続けることも大切だが、日々頑張っている人も多いはず。 -
シリーズ第4弾!
このシリーズ、軽い読み心地で謎解きも料理もちょこっと楽しめて、そっと背中を押してくれる。温もりを感じられるのも良い。
「菜の花食堂」のオーナー で、料理教室の靖子先生の言葉が深い。大切なことをさりげなく伝えてくれるから、言葉がスッと入ってくる。
そして相変わらず洞察力がすごい。
読後、ちょっと幸せな気分になりました♪
今回の料理教室のテーマ食材は、「春菊」「タマネギ」。
このシリーズは凝った料理はないけど、手軽に試せそうな旬の食材を使った「づくし料理」がいっぱいあって毎回読んでいて楽しくなります。