言葉の園のお菓子番 復活祭の卵 (だいわ文庫)

  • 大和書房
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本棚登録 : 387
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479320685

作品紹介・あらすじ

『活版印刷三日月堂』著者が心を込めて描く、
癒しと再生の予感に満ちた感動の人気シリーズ、第4弾!

『活版印刷三日月堂』などのヒットシリーズを手掛ける著者が、出会い、言葉、繋がること、喪失と再生、成熟をテーマに描く、「言葉の園のお菓子番」シリーズ4巻。

亡き祖母が通っていた連句会・ひとつばたごに出合い、その縁から再び書店員としてブックカフェで働きはじめて一年弱。本と人を繋げるイベントの企画や連句大会への参加を通して、主人公・一葉は初めてのことや不安なことに向き合い、ゆっくりと、確実に、ひとつひとつを乗り越えていく。
そんななか、連句会のメンバーから、主宰・航人の過去と関わるある人物の情報がもたらされ──。

人と人が深くつながることが難しくなりつつある昨今、穏やかで深いつながりをもたらす「連句」という場を舞台に、職を失ったもと書店員の20代後半の女性主人公が、自分に何ができるのか、何がやりたいのかを問いながら、さまざまな人と出会い、その縁に導かれながら未来へ進んでいく姿が共感を呼び、勇気をもらえるストーリー。
温かな読み味にほろりとさせる描写が溶け込んだ、優しく穏やで前向きな物語6話で構成された連作集。

変化しながら前へ進み、後ろには戻らない連句のルールとシンクロするように、迷いながら進む道の先は新しい出来事や出会いへと繋がり、過去の痛みはいつしか豊かな可能性へと変わっていく。
温かな共感と勇気が胸に満ちる感動の人気シリーズ、待望の最新巻!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第4弾。

    亡くなった祖母が書き残したお菓子のメモをもとに、祖母の代わりにお菓子を届けるつもりでひとつばたごにやってきて、なぜか連句を巻くことになり、気づけばそれからもう二年通い続けている一葉。

    連句とは…から始まり、読むたびに少しはわかり始めてきて、だけどシリーズ化するたびに一から学ぶことも多く、新たな発見もあり毎回違った感覚になる。

    短歌すらまともに作れないのに連句だともっと敷居が高くて、だれかの句に付けるというのも、雰囲気を壊さないだろうか、とか不自然にならないだろうか、とか考えてしまう。
    だが、さすがにこの物語を読んでいると楽しさも響き合ってるという感覚もあって、同じように参加者の一人となっているのが不思議である。
    言葉が連れ立ってやってくる…ということ。
    それこそが連句の醍醐味なんだろうなぁと感じた。

    今回は、「おもいで糸巻き堂」で、航人さんの別れた奥さんが小説を書いていたことに触れていたが、自分もこの小説の中に惹き込まれていくようで…これがとても印象深く残った。

    そこから続く「抜けない棘」も連句の大会のピリッとしたなかにもワクワク感やドキドキ感などが伝わってきて、そして静かに佇む2人…航人さんと森原さん(鹿島千草)の前へ進むであろう未来が見えたようでほっとした。


    毎回のお菓子も楽しめるひとつだが、今回はちょっと変わった「棗バター」に興味を感じた。
    ぜひ食べてみたいと思う。




  • シリーズ第四弾。

    連句会「ひとつばたご」での交流を通して、主人公・一葉の気付き、成長を描く連作六編が収録されております。

    一葉が働くブックカフェ〈あずきブックス〉で、イベント第二弾として、連句会メンバーでもある歌人の久子さんを招いて短歌のトークイベントを開催することに。
    その準備を進める一葉に、連句会で知り合った小説家・柚子さんから、「ひとつばたご」主宰の航人さんの過去に関わる人物についての相談が持ち掛けられて・・・。

    前巻の少女マンガのイベントに続いて、今回の短歌イベント企画も大好評!ということで、これってほしおさんの著作あるあるだと思うのですが、こういったイベント系の集客が上手くいきすぎる気が・・ま、どれも楽しそうなイベントなのでいいんですけどね~。

    さて、今回は航人さんの過去の話が出てきて、その中で航人さんの元妻で今は小説家となっている森原さんとのデリケートな事情が絡んだ展開に。
    これは、複数の連句会が集まって開催される、“連句大会”に「ひとつばたご」も参加することになったのは良いのですが、その大会に前述の航人さんの別れた妻・森原さんの属する座も参加することが判った為、事情を知る人達がザワついてしまったわけなのですが、結果的に二人が再会して言葉を交わすことができて良かったと思います。
    因みに、その話の中で出てきた、森原さんの著者「おもいで糸巻き堂」の内容が、作中作にしておくには惜しい程面白そうだったので、私も読んでみたくなりました。

    そんな訳で、トークイベントで短歌作りに悩んだり(連句をやっているのだから短歌もいけるのでは?と思いきや一葉的には“それとこれとは別”だったようです)、航人さんと森原さんの件に関わったり、連句大会で新たな出会いがあったりと、世界(ご縁)が広がっていくと共に一葉自身も前進していく様が良いですね。

    複雑な連句のルールも、毎回丁寧にさらってくれるので、何となくですが解ってきたかも?と思えるようになりました。
    それにしても、本書に出てくる連句や短歌を見て、日本語の多様さや美しさを歌に込める感性にいつも感心します。
    次巻ではどのような“ご縁”があるのか、読むのが楽しみですね~。

  • シリーズ第4作。毎年この時期に新作が読めるのが嬉しい。1年離れていても、すっとその世界観に浸ることができる。大手書店の職を失い実家に戻ったのち、祖母の遺したメモがきっかけで連句会に参加することになった一葉。当初は初心者だったが、本作でもうすっかり慣れ、連句会の中でも確固たる居場所も出来上がっていた。上野桜木のブックカフェで働きつつ、関連イベントや、月次の連句会への参加、お菓子の調達など、連句を中心に充実した毎日を過ごしている様子がよく伝わってきた。本作では主人公一葉というより、連句会のとあるメンバーの過去についてが取り上げられていた。連句を通じたメンバーたちのゆるく心地よいつながり、お互いを思いやる雰囲気にも癒された。他の連句会も登場し、まだまだ話が続く終わり方だった。

  • 少しずつ連句についてわかってきたような気がする
    連句の会に参加するのも楽しいかもしれない
    新しい人との出会いも

    そして、持っていくお菓子も気になる
    今度買ってきてみよう

    装丁が可愛くて惹かれて買った本
    でも楽しくて4冊目まで読了してしまった

    次は3月からかな
    発句は春だよね

  • 心はいつでも生まれ変わることができる。本当だったら、嬉しい。大切な人との別れ、死別でない別れに、明確な理由がある場合は少ないと思う。大小様々な理由が綯交ぜになったときに、別れる。ほぐすことが難しくなった糸をもとに戻すにはどうすれば良いか。断ち切る?見ないふりをする?
    ほぐれた箇所を見つめ直して、着実に辿っていくか?正解はない。

  • 【収録作品】耳を動かす/母の形の影/ひとすじの道/おもいで糸巻き堂/抜けない棘/復活祭の卵

    一葉の勤めるブックカフェ「あずきブックス」で、久子を招いた短歌のイベントが行われる。
    一方、「ひとつばたご」のメンバーは、連句の大会に参加することになる。
    そんななか、航人の別れた妻が登場。

    彼女が書いたという「おもいで糸巻き堂」のシリーズを読んでみたくなった。

  • シリーズ4作目は、主人公が周囲の人たちの内面に触れることで紡がれるストーリー。故にぐっと連句の世界と繋がり、今まで以上に「皆で句を詠む」ことの良さが描かれていて、とてもとても良かった。

  • 趣味っていいな。
    同じことを好きな、色んな世代の人が集まって、お菓子を食べながら談笑したり…
    私も何か、そんなものを見つけれたらいいな。

  • 書店員が無職になり本棚整理。ふと祖母の本を開くと手紙が。祖母の通っていた連歌の集まりに、月ごとに指定されたお菓子を持って参加していく。書店で書いていたポップが評価され、人づてに依頼が入ってくる。連歌を紡ぐ中で、今はなき祖母と対話する物語。

    うーん連歌ルール難しかった
    みんなで集まってワイワイするのいいなと思った。

  • シリーズ第4巻。
    ひとりでは作れない、誰かと巻くからこそのおもしろさや気づきがある連句というものを通して、いろいろな事に出会う様子が描かれています。
    毎回登場するお菓子が楽しみで、描写の美味しそうなこと!
    あぁ、亥の子餠食べたい。

    サブタイトルの「復活祭の卵」はどういうことだろう?と思っていたのですが…
    読んでみると、あのひとが痛みや悲しみ、後悔はありつつも、前向きに進む、そんな未来を感じる巻でした。


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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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