言葉の園のお菓子番 未来への手紙 (だいわ文庫)

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  • 大和書房 (2024年5月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784479320920

作品紹介・あらすじ

『活版印刷三日月堂』著者が心を込めて描く、
共感の声が届き続ける感動の人気シリーズ、第5弾!

『活版印刷三日月堂』などのヒットシリーズを手掛ける著者が、出会い、言葉、繋がること、喪失と再生、成熟をテーマに描く、「言葉の園のお菓子番」シリーズ5巻。

書店員の職を失ったあと、亡き祖母が所属していた連句会「ひとつばたご」に通うようになった一葉は、連句をはじめて三回目の春を迎え、新しい仕事にも積極的に取り組むようになっていた。そんななか、自分と同世代が集う「きりん座」のメンバーとの交流をきっかけに、大学時代に抱いていた想いが再び浮かびあがり……。
封印していた気持ちに向き合い、一葉は自分の心を見つめ直していく。あのとき踏み出せなかった一歩を、自分の力で踏み出すために──。

人と人が深くつながることも、ゆっくりと自分自身を見つめ直すことも難しくなりつつある昨今、深いつながりをもたらす「連句」の場と、出会った人との「言葉」を通してのやり取りのなかで、20代後半の一葉が自分の心を見つめ、人との縁に助けられながら前を向いていく、切実で、やさしい物語6話で構成された連作集。
「変化しながら前へ進み、後ろには戻らない」という連句のルールとシンクロするように、迷いながら進む道の先は新しい出来事や出会いに繋がり、過去の痛みはいつしか豊かな可能性へと変わっていきます。
過去と向き合い未来へと進む勇気がしずかに胸に満ちてくる感動の人気シリーズ、待望の最新巻!

みんなの感想まとめ

人とのつながりや自己探求をテーマにした物語が描かれています。主人公の一葉は、連句会「ひとつばたご」と同世代の「きりん座」のメンバーとの交流を通じて、自身の過去や感情に向き合い、新たな一歩を踏み出す姿が...

感想・レビュー・書評

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  • 「言葉の園のお菓子番」の5冊目。

    前巻で知り合った「きりん座」のメンバーを「ひとつばたご」に招いたり逆に「きりん座」の定例会に参加したりで、一葉を取り巻く世界はまた広がりを見せる。新たな人とのつながり、そこから思い起こされる過去の記憶、触発される歌心…。
    様々な年代が集まる「ひとつばたご」と若い世代が中心の「きりん座」の対比が面白く、「きりん座」で出している同人誌からつながった文芸マーケット(文学フリマみたいなイベント)にも惹かれる。
    学生の頃に写真をやっていたという一葉の父の応募した写真が入選した時のエピソードにもほのぼのとする。


    すぐ前の句とは異なる情景を詠みながら、前の句に込められた思いを際立たせるとともに続く句への飛躍をも感じさせる、そうした連句の面白味を感じさせられた二例。

     夕暮れの花の舞い散る階段に
       あたたかな日の父の思い出


     はじめての線を一本引いて夏
       まぶしき空に立ち上がる虹

  • 連句会の仲間の話で、実はシリーズ物でした(これはNo.5)。連句とは複数人で句を繋いで行くもののようですが、難しいルールが色々あり、言葉も独特で、前の句を受けているはずなのに唐突に感じる物もあり、かなりハードル高いなあと思いました。

  • 言葉の園のシリーズ第五弾。

    定期的に連句会「ひとつばたご」に通う一葉は、自分と同世代が集う「きりん座」のメンバーとも交流を持つ。
    「きりん座」で連句を経験した一葉は、軽やかでシャープな印象だと感じ、短歌から来た創設メンバーのせいか表現者を志しているように思い、自分とは違うと。
    どちらかといえば、「ひとつばたご」は、年齢もバラバラで家庭を持っている人もいて、見てきたものが多いので言葉の幅も広がっているようで、その場でほかの人の句に触れることで、ことばが生まれてくる…というのが一葉なんだろう。

    「きりん座」でエッセイを書いた一葉は、文芸マーケットにも行ったことで、「あずきブックス」のカフェスペースで同人誌フェアを行う。

    エッセイも父の写真がきっかけになり書いたことで大輔とも写真を通して交流が深まる。

    基本は、やはり「ひとつばたご」だと感じるのは、やはりお菓子番としての和菓子と次々と繋がる連句だろう。

    光の痕跡のなかでの、一葉の句が好きだ。

    はじめての線を一本引いて夏


    連句の神さまでの

    喫茶店のいつもの席は空席で


    今後の一葉をもっと見てみたい。






  • シリーズ5作目
    登場人物たちの日常がよく描かれていて
    連句そのものよりも、連句を巻くために己に向き合い心の中から紡ぎ出す言葉たちに焦点が当てられていたと思う。

    前作の最後に登場した「大輔」さんと主人公「一葉」の父親との交流も始まり、ますます物語も言葉も広がりを持っていくのだろうと予想できる。

    最後に掲載された連句の「ぽこるぽこると話すはまぐり」という言葉の響きが、可愛く心に残った。はまぐりが何を話しているのか、妄想してしまう。

    1つの言葉から連想し、想いを馳せてみる
    そんな優しい時間をいくつもくれる作品です。

  • シリーズ第5弾。根津に両親と暮らす一葉を主人公に、元は一葉の祖母が参加していた連句会、一葉の現職場である上野桜木のブックカフェでの様子を中心に日常が描かれている。このシリーズは、読むと心が落ち着き、何と言うか禅のような効能があるのではないかと思ってしまう。月次で週末に区の施設を利用して開催される連句会に一葉が参加して早2年。連句でも、連句会の運営面でもすっかり馴染んでいる。徐々につながりも増え、本作では他の連句会の人たちとの交流があったり、同人誌イベントに参加したり、一葉の大学時代の恋心も描かれていた。様々な年代や職業の人たちが参加する連句会はきっと楽しいだろうし、連句に集中する時間も充実しているだろう。休憩に出す和菓子にも癒されるし、連句会の人たちとの連句以外での緩やかなつながりもまた素敵だ。輪を乱すような非常識な人も出てこず、落ち着いた連句好きな大人たちの集まりというのが落ち着く要素のひとつかもしれない。連句に限らず、趣味があると一葉のように徐々につながりも増え、生活にハリが出て人生豊かになるのだろうなと思った。続編が楽しみ。

  • シリーズ5作目。
    一葉がひとつばごに参加して、早3年目。
    その間にポップの仕事を始め、ブックカフェでも働き始め、人と人の縁が導く運命を上手く描いている印象。
    世の中、そんなに上手く行かないよ・・・
    と少しやきもちやきたくなるくらい一葉の人生はひとつばごに参加してから順調だ。
    そんな中、早春に行われた連句の大会で知り合った他の連句会の人たちとの交流も始まり、その流れで今作では文芸誌の話にも。
    同じように定期的に連句を巻いているだけかと思いきや、少しずつ新しいことに挑戦していく姿に、自分も同じ場所に立ち止まっているだけでなく、少しでも歩みださなければ、と思わせてくれる作品。
    3年目に入り、定番のお菓子のアレンジも目立って来た。
    一葉のおばあちゃんのお菓子のセレクトが秀逸だっただけに、お菓子の代替わりは少し寂しいが、いつまでも同じ話では繋げないから、しようがないか。
    新しく出て来るお菓子も、相変わらず美味しそうだし、そこは目を瞑ろう。
    次作ではひとつばごでもいよいよ冊子を作ると思われる。
    ここで、終わってしまった藤崎産業が出てきたら、ファンとしては嬉しいなぁ。

  • シリーズ第五弾。

    連句会「ひとつばたご」での交流を通して、主人公・一葉の成長を描く連作六編が収録されております。

    今回は、前作で参加した“連句大会”で出会った「きりん座」のメンバーとの交流を機に、さらなる新しいご縁が繋がっていく展開です。

    個人的に興味を引かれたのは、「文芸マーケット」なる文芸同人誌の即売イベントですね。
    確か先日のブクログ通信で「文学フリマ東京40」のイベントレポートの記事がありましたが、それと似たような感じなのかな~。
    “文芸版コミケ”みたいな印象ですが、これは楽しそうですよね!
    「文学フリマ」のHPをみると、大阪でも開催予定があるようなので、是非行ってみたくなりました。

    で、この「文芸マーケット」きっかけで、一葉が働くブックカフェ〈あずきブックス〉でも“同人誌フェア”をすることになったり(勿論好評←お約束)、「きりん座」の大輔さんと一葉のお父さんとの合同写真同人誌作りのお手伝いをすることになったり、「ひとつばたご」でも作品集を創作しようという流れになったり・・と、例によってどんどん世界が広がっております。

    それにしても、一葉はイラストも描けるし(これをPOP制作の副業につなげている)、今回も「きりん座」の同人誌に頼まれて書いたエッセイも好評で文才を褒められていたし、何気になんでもこなせる器用さを持っているんですよね~。

    そんな、一見流れに乗るのが上手い一葉も「きりん座」の連句定例会で、大学時代に想いを寄せていた先輩に似ている男性に出会ったことで、自身の封印していた気持ちに向き合うことに・・。
    「歩き出さないと見えない。遠くの安全な場所からながめるんじゃなくて、自分の足で歩いて、手で触ってみないとわからないことがある。それで痛い思いをしたとしても。それが生きていくということなんだ・・」
    今までどこか受け身だった一葉の、この前向きな気付きが印象に残りました。

    と、いうことで次巻では同人誌作りの話がメインになるのですかね?
    そして、一葉と大輔さんとの仲が進展していくのかも気になるところですので、今後の展開が楽しみでございます~。

  • 「いまや連句会は私の生活の一部」
    3回目の春を迎えた一葉は、連句の大会で知り合った「きりん座」のメンバーと交流を始める。
    城崎大輔に誘われ連句会を訪れた一葉。そこには大学時代憧れていた今井先輩に似た岸本久輝がいた。 恋の訪れを思わせるシリーズ(五)

    父親の夕焼けだんだんの話にじんわりさせられた。文芸同人誌を出すマーケットは知らなかったが、行ったらとても楽しそう!

    就活の悩みを抱えていた蛍さんの内定が決まり、個人の歌集を出したい、ひとつばたごの同人誌を作りたいと、連句の仲間たちにも新しい風が吹き始める。

    父親のモノクロ写真と大輔さんの写真を合わせた雑誌を出すことになるが、令和のJK、海月さんの言葉がストレートすぎて思わず笑ってしまった。
    「きりん座の大輔さんと雑誌を作るって、大輔さんとお付き合いすることになった、っていうことですか?」
    一葉の文とイラストが二人の写真をどのように繋げるのか、雑誌が出来るシリーズ(六)も楽しみに読みたい。

    「自分の中から言葉が湧き上がってくる表現者と、互いの気持ちを通わせて言葉が生まれてくるのを楽しみたい人の双方がいるから連句が巻ける。」
    なるほどと思える言葉にまた出会えた。

  • 一葉さんの世界がひろがる。
    きりん座メンバーと交流に新しい風が。

    でもちょっとマンネリを感じた5作目。

  • このシリーズを読んでいると楽しくなってくる。
    ひとつばたごの定例会もみんなの新しい挑戦も。
    少しずつ連句のルールがわかってきたので、読みながら次は自か自他半や打ち越しだから…と考えている自分がいるのも面白い。

    前向きになる作品。
    新しいお菓子が出てくるのも楽しみ。

    次はひとつばたごの同人誌が出来上がるのかな。

  • 出会うときに出会えた本と感じている。今までは連句の面白さや新しいコミュニティに属すことで世界が広がっていく主人公を眩しく見つめていた。しかし、最近、自分も趣味から繋がった出会いがあり、その仲間と何か作らないかという話も出てきて、気がつくとリンクしていた。物語の中の人たちの心模様を眺めながら、ふと周りを見渡すと、現実も広がっていた、そんな感覚。

  • 穏やかな時間が流れるストーリーは健在。
    ゆったりとした気持ちになれる。

  • 連句のシリーズ第5弾。まだまだ続きそうでわくわく。
    連句を巻いてみたい、文芸フリマにも行ってみたい。

  • 祖母の通っていた連句の会に通うようになって3年目の一葉。恋の予感(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)

    カキモリ!
    あすこは本当に楽しくて永遠に居られるけれど、土日はとても混んでいる。行った時はまだガラスペンを書いたことが無かったから、インクを調合しているところには気付かなかったな…行かなくちゃ!

    色んな事が起こる人生の、渦中のあとの凪の時間のような、ふうっと息をすることの出来るこのシリーズ。
    今回は大輔さんの「才能とはズレ」が名言だったと思います。ズレてるから孤独、だけど繋がりたい、その切実な想いの魅力。言い得ているなぁ。こんな安定している人、憧れます。大人の魅力♡坂マニアだけど(笑)
    自己満で終わらない同人誌がどんなものになるのか楽しみ。

    お菓子は一周し終わっているので初出は少ないのだけど「イナムラショウゾウ」気になっちゃう!

  • 【収録作品】あたらしい風/未来への手紙/自分史上最高の夕焼け/光の痕跡/「いま」と「いつか」と/連句の神さま

    シリーズ第5巻。
    静かな筆致で、少しずつ前進していく様子が描かれていて好もしい。今回は、新たな出会いが運んできた大きな動きもあり、この先が楽しみである。

  • 「連句」の場とが人との繋がりをもたらし「言葉」を通してやり取りしながら自分の心を見つめ、人との縁に助けられながら前を向いていく過程が素敵だった。作中で披露される連句のひとつひとつからは“言葉”の凄さや温かみが感じられて良い。

  • 連句会の広がり、一葉の父と大輔とが写真をきっかけに一緒に雑誌をつくることになること、一葉の世界の広がりを感じました。
    過去の恋に思いを馳せるところが、興味深いです。

  • あっという間にシリーズ5作目。1冊読み終わるのが勿体ないと思えるほど、本当に毎作心に染み渡る名言が多い!
    一葉が連句を始めて2年。ひとつばたごからきりん座メンバーとの新たな交流、迷走していた蛍が遂に就職と、連句を巻きながら季節が巡り、少しずついろんなことが変化している。毎日が過ぎ季節は移ろいでも、くりかえしではない。同じような日々に思えても、人は少しずつ進んでいることを伝えてくれたのが何だか凄く響いた。
    本編に出てきた「自由丁」のお店が凄く気になる!お菓子だけじゃなく実在するお店も色々描かれていて、興味があちこちに湧いちゃう¨̮♡
    言葉の園のお菓子番シリーズは心がざわざわするような不穏な空気がなくて、穏やかな気持ちで読めるからとっても癒されます❁︎
    次はもう最終巻!(T_T)読みたいけど読むのが勿体ない…読むの終わりたくない…笑

  • シリーズ5作目。ひとつばたごに通う一葉が別の連句会きりん座へ参加したりかつての恋心を思い返す話。父親の夕焼けだんだんの話良かった〜!あとどんどん繋がりが広がっていく様ほんと良くて自分で動き出す大切さを学ぶ。

  • Audibleで読了。
    5巻までを半年くらいでゆっくりと読み進めた。
    落ち着いた一葉とともに時間を重ねていくと、日々の小さなことや日常の変化を捉え直すことができるように思える。
    連句、まだまだ分からないと思う部分もあるけれど、
    言葉遊びの面白さ、広がりを感じて、どんどん深みにはまっている気がする。
    言葉だけでどこまでもいける、その自由さがすごい。

    今回は新しい出会いと、表現することについて。
    各巻、もちろん新しいキャラクターは登場するけれど、
    ひとつばたごが、一葉自身が外に開いてゆく感じがとてもよかった。
    そして、同人誌や蛍の就職を機に、現代で表現する人、その立ち姿をとてもリアルに見せてもらった気がする。
    少し前までは、"物書き"とはそれを書いて食べていく、孤高の芸術家のみを指すような、そういう時代だった気がするけれど、今は違う。
    表現することは、それを求める人に開かれていて、
    その形はさまざまにある。
    それは生業とする者だけでなくてもよい、と。
    何か背中を押されるようだった。
    また、才能というのは世間とのズレ、孤独を伴うのだというのも、しんと心に残っている。
    その孤独さがゆえ、その表現が真に迫るのだと。
    そういう危うい才能ももちろんある。
    けれど、安定してみえる大輔のその拘りと熱量とか。
    地道に生きる人にもその片鱗はあって。
    バランスをとりながら、多くの人が生きている。
    それに勇気付けられた。

    自分の心の中にある言葉や自身の思考を
    大事にいしてもいいのだと。
    日常を重ねる中にも光るものはあるのだと。
    それを劇的でない形で、ただただ丁寧に紡いでくれる、
    この物語のことを好きだなぁと思った。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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