孤独と不安のレッスン

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479391401

作品紹介・あらすじ

あなたが「本物の孤独」と「前向きの不安」を友として、どうか、生きていけますように。「ひとり」を生きるための練習帳。

感想・レビュー・書評

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  • Twitter上で人生相談をされている鴻上さん。
    そんな鴻上さんの「孤独」と「不安」に関するエッセイ本。

    「本物の孤独」と「前向きの不安」を見つけ、それを楽しみ、共に生きられるようになるための練習帳、とある。
    人は残念ながら、孤独と不安から一生逃れることなどできない。
    ならばそれら負の二大要素とどのように付き合っていけば良いのか。
    鴻上さんが優しく一つ一つ丁寧に導いてくれる。

    特に印象的なものの記録として。

    ●「友達ができればラッキーだけど、あわない人と無理に友達にならなくてもいい。一人でいてもそれは普通のこと」学生時代にこんな風に優しく言ってくれる大人が身近にいたら、肩の荷が下りてどんなにか救われたことだろう。

    ●「他者」と「他人」の違いについても、目から鱗。「他人」:ただ周りにいるだけの人、に対し「他者」:喜びと同時に孤独や不安をくれる人。そしてこの「他者」とどう付き合えるかが、その人が成熟しているかどうかのバロメーター。自分の「孤独と不安」とどううまく付き合えるか、に繋がる。

    ●「何も言わなくても分かってくれるもう一人の自分」なんてどこにもいないことに気付き、「孤独と不安」と共に生きていく決心をする。「人間は分かりあえなくて当り前」

    ●「今ある自分」と「ありたい自分」のズレ。両者の位置関係が大事で、「ありたい自分」を「今ある自分」の少し上に置くといい。「ありたい自分」にたどり着いたら、またほんの少し上にまた置く、を繰り返すことが理想。これが「前向きの不安」に繋がる。たどり着いたという「小さな勝ち味」を積み重ね自信を取り戻す。「今ある自分」を肯定してもいいと思える勝ち味が不安な自分を支えることになる。

    ●人生のどこかで「何をしていいか分からない」状態は必ず来る。そんな時は自分の体と向き合い自分の体の声を聞き、自分の限界を知ることが大事。そして「孤独と不安」の練習を繰り返し慣れることも大事。

    心のメモが沢山増えた。自分なりに消化してしきたい。

  • 鴻上尚史さんと言えば、ネット上の人生相談の名回答者としてよく話題になる。気になる人物ではあった。そんな折りに、ブクログで見かけたレビューがキッカケとなり本書を購入。

    少し事前の期待値が大きすぎたかも知れない。あるいは、自分はターゲット読者ではないのかも知れない。

    孤独に思い悩み、すっかり「一人上手」の道に身をおいた自分にとっては、知っていることが多かった。とは言え、若い方や、孤独と不安に慣れていない方には有用な本なのかなとも思った。語り口はプレーンで、内容も分かりやすい。おそらく本書に救われる読者は少なくないと思われる。それでも、自分はその限りではなかった。いくつか学ぶ点はあったにせよ。

    (続きは書評ブログでどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%8C%E5%AF%82%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%A8%E6%84%9F%E3%81%98%E3%81%9F%E3%82%89_%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%A8%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B9%E3%83%B3_

  • 単行本を手にしたのが、10年以上前だった気がします。
    単行本が出て、文庫化され、そして、電子書籍版もあるということは、
    この本に優れた価値がある証明になっています。

    孤独には2種類あって、「本当の孤独」と「嘘の孤独」があると著者は言います。
    一人でいるけど、ネットばかりやっているのは、「本当の孤独」ではないという記述がありました。
    そして、著者が、ネットの何が問題かといえば、「簡単に慰められる」ものだから、
    この一文に当時、大学生だった私は衝撃を受けた記憶があります。

    そうか、人って、簡単に慰められるものが、近くにあると、それに依存して、
    バランスが悪くなってしまうんだなと、当時の自分は思いました。
    今、日本の社会には、「簡単に慰められるもの」が溢れています。
    10年前とは、比較にならないと思います。そういう危ないものを、
    国や政府や企業は、「良い」と宣伝してきます。
    全ては、ビジネスの範疇で物事を考え、金儲けの手段として、人を見ています。
    最近は、それが、本当に巧妙になったと感じます。

    「本当の孤独」を経験して、自分を強くする。
    著者の語りは、非常にやわらかいですが、込められたメッセージ性は非常に強いです。
    是非、手にとってみることを、すすめます。

  • 何度めか解らないけど、再読。
    勧めてもらって読んで、大切にしている本。

    内容の良さもそうだけど、きちんと伝えたいという
    丁寧な文章がすごく好き。

    「人生は、26点とか46点とか67点とかで生きていくものなのです。
    いえ、生きていくしかないものなのです。」

  • 鴻上尚史さんの手がけるお芝居が大好きで、
    こんなのも書くんだー、と興味を持ったので読んでみた。

    読んでみたら、そうかそうだよねそれでいいんだよね、と
    少し心強くなれた。
    (タイミング的にも、まさにこの本が必要な状態だったのもあり。。)

    孤独と不安は悪いことじゃないよ、
    「本物の孤独」と「前向きの不安」を知れば、
    今までよりずっと人に優しく、豊かに生きていけますよ、
    だから間違えなければ大丈夫だよ、
    っていうメッセージの本。

  • ひとりでいることは恥ずかしいことでも惨めなことでもないと教えてくれた。ちょっぴり楽になった。 周りの目に敏感になりすぎたときに読むといいかもしれません。

  • こうゆうことを、こうゆうふうに書くと、必ず賛否両論でるのだか、本文記載の通り、それでも良いのだ、と鴻上さんがおもっているのだから、それで良いのではないだろうか
    われわれが、他者なのだから

    どんな温度で書くかむつかしいところだと思いますが、絶妙な温度で具体におちていると思いました

  • 作者の人生と経験に共感と尊敬とをし、勇気付けられもしたけど、本としては僕は間違ってると思うところもある。たとえば孤独を「偽モノ」と「本モノ」とに分けたこと。僕は孤独はそれ以上分類できない根源的なものだと思う。対比してあれはよい、あれはよくない、という形に置き換えたいからそういうう風にしたんだろうけど、誰にも人の孤独を否定する権利はないと思う。
    そもそも強引にレッスンにする必要はなかったんじゃないだろうか。
    自己啓発っぽくしないでエッセイにしてくれていたらもっと素直に読めたと思う。せっかくすばらしいことをたくさん知っている人なのだから。

  • ■私は常々「ほんとうにつらいことは、いったんひとりで受け止めたいし考えたい」と思っていて、でもそれでいいのか?と時々不安になっていたので、この本を読んで安心する面がありました。
    ■自分をゆっくり癒して、また進むためのレッスン…ってところでしょうか。場当たりななぐさめや他人への攻撃を用いずに、ひとりで自分を癒すこと。そうやって「ひとり」でありつつも、「ありたい自分」からの「今の自分」への非難をときに無視し、周囲と対話すること。うーん、これができたら相当しなやかに生きられそうですね。
    ■私は「ひとりになりたい」のがマズいのではなくて、「ありたい自分」に対して従順で弱者すぎるのが問題なのかなと、思いました。だからといって自分の何を変えるのかなんて思い浮かびませんが。

  • 自分はあまり友だちがいない。幼稚園に通わせている娘も友だちと遊ぶのが得意ではなさそうなので心配してだったが「友達ができればラッキーだけど、あわない人と無理に友達にならなくていい。一人でいてもそれは普通のこと」という文章を読んですごく楽になった。

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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