センス・オブ・ワンダーを探して ~生命のささやきに耳を澄ます~

  • 大和書房
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479392163

感想・レビュー・書評

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  • 阿川佐和子って、アタマがいいなぁと思う。
    福岡伸一の問題意識を うまく引き出している。
    生命を扱う研究をしながら、
    生命を殺さざるをえない矛盾。
    生の生物学ではなく 『死』の生物学であること。
    生命は機械論ではなく、動的平衡でとらえること。
    なぜか、イメージは クオリアに近づく。

    『センスオブワンダー』は、子供の時につくられる。
    知的好奇心をどう養うのか?

    1953年に 二重螺旋が概念化され、
    分子生物学の 源流となり、
    DNAを切り取ることができるようになった
    1980年前後に 遺伝子ハンターが始まる。
    新種を探す生物学の終焉を決定づけた。
    結局 世界を細かく分け始めた。

    ドリトル先生の 助手スタビンズくんに憧れる。
    私も僕も 〈英語〉では同じ。
    『私』は、現在形であり、『僕』は、過去形に。

    遺伝子で すべてが決まる訳ではない。
    『動的平衡』が、なぜ 受け入れられないか?

    率直に話して、率直に 応える。
    すぐれた ラリーである。

  • 生物学者福岡伸一ハカセとインタビューの名手阿川佐和子の対談。「センス・オブ・ワンダー」、「動的平衡」をキーワードに展開されます。
    ある分野に精通しているひとの話を聞くことは面白いです。しかも専門分野の専門的なことを一般の人々にもわかる言葉で語ってくれることの素敵さ。ここでもハカセの言葉は綺羅星の如く輝きながら我々の元に届きます。しかしその言葉はキラキラしているだけではなく、血肉をもった言葉として沁み入ってくるのです。それはもちろん阿川佐和子という聞き上手の人のフィルタを通すからより一層言葉すさの浸透率が高まるのでしょう。
    動的平衡の元では個々を分割して見ず、全体の流れを見る。しかしそのことは個々を軽んじることではなく、個々をしっかりと重んじることによってこそ全体が豊かになる。これは生物学に留まらず社会にも何にも全てに関わることなのでしょう。そう、それこそが動的平衡による世界なのでしょう。
    子どもの時に出逢った驚きや喜びは、その人の人格形成に大きく関わる。それを示すエピソードも素敵です。そのためには子どもの心を受け止める大人の存在が不可欠である。さて自分はそんな大人になっているのだろうか。そして自分はそんな経験を経たのだろうか。しかしいつでもセンス・オブ・ワンダーの恩恵は受けることができるでしょう。ちょうどこの本を読んで生まれた心の煌めきも、センス・オブ・ワンダーなのでしょう。

  • 人の生活もウィルスから見たら養鶏の環境と似ていると言ったり、生物の歴史から見たら人間の生きている期間は僅かでいつか終わるだろうといった考え、他にも優勢な理論は人間の欲望に深く関係しているといった考察など、なるほどなぁーと考えさせられるものでした。面白いです。考え方で人生豊かになるなと思いました。

  • センス・オブ・ワンダーを探して
    2022年9月11日読了

    生物学者の福岡伸一と作家の阿川佐和子の対談。
    何度か共演されたことがあるようで、お二人のゆるくて自然な対談が心地よい。

    話の主題は生物学のこと、お二人の子供時代のこと、現代社会が抱える矛盾…と多岐に渡る。
    これらのトピックはそれぞれが独立しているわけではなく、対談の中でゆるく繋がっている。

    特に、医療や研究がより専門化し、身体というものが部分の集合とみなされている点が気になった。本書でも提示されていたが、それで本当によいのだろうか。「死」を考える上でも大切な定義であり、私たちがもっと話し合わなくてはならない問題と感じた。

    本書を通して、生物学に限らず(広く研究に限らず)全体を俯瞰しバランスを取ること、分断していたものを繋げること、この2つの重要性が主張されていた。

  • お二人の知のレベルの高さに感服。いろんな引き出しが有って人間の奥深さを感じた。

  • それがマイノリティーとして社会に迎合されなくても感動するものを大切にしよう。子供時代に触れた自然や事象に対する感覚は健忘を迎えても忘れることはない。少し曇ってきたかもしれぬが時折磨いてみてはどうだろうか、と対談の二人の言葉から学ぶ。そうだよ、あの時何を考えていたのか、思い起こすだけでも元気が出る。

  • 子どもたちよ。子ども時代をしっかりとたのしんでください。おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは子ども時代の『あなた』です。

    相手が誰であろうとも、それが自分よりはるかに若い子どもでも、王さまでも大臣でも、あるいは犬でも虫でも花でもマウスでも、椅子でもボールでも、敬意を払って同等に、会話できる大人でありたい。




    息子を育てるうえでの教育理念をしっかりと持とうと思って、レイチェル・カーソンの『センスオブワンダー』と一緒に読んだ。
    遺伝子の話や、生き物の進化の話。おやおや、期待していた内容からどんどん話が離れていくような?と途中まで感じたが、辿り着いたのは求めていた答えだった。
    私はセンスオブワンダーを失ってしまった大人だ。私は息子に、生涯消えることのないセンスオブワンダーを与える魔法をかけられるだろうか。

    普段読まないジャンルなので、今回読んでよかった。読みたい本もどっさり増えた。
    とりあえずドリトル先生と『せいめいのれきし』『ちいさいおうち』は読む。

  • 生命のささやき・・・それを生物学的に学者の先生が解説しています。とても分かりやすかったし、阿川さんとの掛け合いが面白かったです。

  • 動的平衡の心地よさをしっかり味わった。

  • 460

著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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