同調圧力にだまされない変わり者が社会を変える。

著者 :
  • 大和書房
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本棚登録 : 51
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479392675

作品紹介・あらすじ

マジョリティーは本当に安全か?不思議な生物の宿命。自由に生きるためには自分の頭で考える。ちょっとぐらい「変」なほうが生きやすい!

感想・レビュー・書評

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  • 「日本で最もラディカル(根源的)なリバタリアン」と自認する池田先生が、様々な話題について語り、同調圧力なんかに屈するなと呼びかける本。社会政治思想としてのリバタリアニズムについて私はどうも賛同しかねるが(「強者の論理」と思えてならない)、この本はそれについて述べることを主眼としたものではないので、それは措く。書かれていることに全面的に賛成というわけでなくても、世の中で幅をきかす大きな声に惑わされず、違う角度から物事を見ることの大切さをあらためて教えられる。

    本書の最初の方で、リバタリアニズムの原理についてこう書かれている。

    「単純に言えば、人は誰であれ、アホなことをする権利、他人を愛する権利、他人をバカにする権利などを持つが、他人に愛される権利とか、他人に褒めてもらう権利とか、他人に理解してもらう権利などはないのだ」「逆に、あなたがどんなに不快であっても、理解不能であっても、他人の恣意性の権利を阻止する理由はないのだ」「誰であれ、他人の生き方を統制する権利などはないのだ。こういうリバタリアニズムの基本原則が分からないと、民主主義は簡単にマジョリティがマイノリティを抑圧する制度に転落してしまう」

    これについては異議なしだ。この後で、タバコバッシングについて触れられているが、私もあれは実にイヤな感じだと思う。そりゃあ傍若無人に煙草を吸うヤツは嫌いだが、いくら少数派だからといって今の仕打ちはあんまりだろう。池田先生が言う「このままいけば酒も飲めなくなる」というのがあながち大袈裟でもないような気さえする。「正しいこと」を言っていると思うとき、そしてそれが多勢であるとき、人は簡単に居丈高になるんだなあとそら恐ろしい。

    「小谷野敦氏の秀逸な表現を借りれば、インターネット時代の最大の特徴は、『バカが意見を言うようになった』ことである。もちろんバカにも意見を言う自由はある。同じように私にもバカを軽蔑する自由がある」

    今やネット上にとどまらず、政治家の発言やヘイトスピーチデモなど日常の空間でも、無知に基づいた憎悪を露骨にむき出した物言いが頻繁にされている。「良心的」な人というのは、そういうヤカラと同じ土俵に立って罵倒の語を返したりしないものだが、こうしてあえて不謹慎な言い方がされていると、ある種の爽快感を感じてしまう。
    (私は大阪府民なので、テレビニュースでしばしば橋下市長や松井知事の下品な妄言を聞かされていて、これは実にストレスフルだ。松井は橋下ほどあれこれ言われないが、本当にバカで品性下劣な発言が多い)

    「人間は同調圧力に従って生きながら、人と違うことをやりたいという特性も併せ持っている。この相反する特徴が交じり合って、文化は徐々に変容していくのだ」

    これも同感だ。一面的には語れないのが人間のありようで、個人も社会も、相反する面がせめぎ合いつつ次の局面に向かってゆくのだろう。

  • 学者は論文を書くのが大切な仕事だが、最近では論文に名前を連ねることも重要な仕事になっているようだ。
    業績を評価するということは、つまりその研究の重要性を研究の当事者以外の他人が判断するということだ。

  • 良書

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著者プロフィール

1947年生。生物学者。早稲田大学国際教養学部教授。構造主義生物学の立場から科学論、社会評論等の執筆も行う。カミキリムシの収集家としても知られる。『ほんとうの環境白書』『不思議な生き物』『オスは生きてるムダなのか』『生物にとって時間とは何か』『初歩から学ぶ生物学』『やがて消えゆく我が身なら』など著書多数。

「2018年 『いい加減くらいが丁度いい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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