- Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479393405
作品紹介・あらすじ
あなたがあのころに感じた傷は、いまどうなっていますか?
今最も注目される稀代の詩人・最果タヒによる、大人気WEB連載がついに書籍化! 10代のときの劣等感に光を当てて映る世界を紡ぐエッセイ集。書籍だけの原稿も収録!
感想・レビュー・書評
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この文章が好き。
話すのがへただ、面白いことも言えないし、ちょうどよさも演出できない、そんな自分は他人に迷惑をかけるし、嫌われる、場を盛り下げるし、最悪だ。でも、そこまでが自分だ。自分のまま愛されたいと願うから、おかしくなるんだ。愛されない自分を、そのままで、愛せよ。わたしぐらい。
嫌われます。盛り下げます。わたしがわたしであることを、わたし一人は必ず、肯定することができるという、そのことを幸福に思います。そうして、みんながみんな、自分のままでいられたらいいよなあと思っている、本当は、うまく話す人になりたいのではなくて、うまく聞ける人になりたいんだろう。だから、詩を書いている。
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繊細さ、感情や出来事を見つめる視界の解像度の高さ、それを言語化する能力などに苦しくなる。生きづらくなることを目の前にただ置かれた気分だ。でもそれを無視することを生きやすさと呼びたくはないな、と心のどこかで思う。
がちがちに束縛された方のように思った。著者が生きやすい世界の形とはと思う。
でもこういう個性を認知行動療法とかが「治す」のは価値の一面でしかないよなと思うよね。この方のこのままの感性にも同様に価値がある。し、意味さえ見出だせてしまうのが人間というもの。 -
最果タヒさんの劣等感、コンプレックスがまばゆく乱反射する一冊。エッセイのような書き出しから詩のように移り変わっていく言葉のあわいが好き。
私は彼女を彗星のようにあらわれた天才型の詩人だと思っていたのだが、こんなにコンプレックスを抱えて生きていたとは。劣等感、高慢と根拠のない自信。
安直で申し訳ないのだけれど、わかる、と思ってしまった。
おこがましくて申し訳ないのだけれど、似てる、と思ってしまった。
このはげしい共感は、でもだからこそ三次元の世界では相反するものになってしまうのだろうな。どれほど共感しても、ここに共感し合う者は決して友人にはなれないのだ。だから今日も私たちは生きづらい。
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「天才」、私には、突き進むためにどうしても必要な言葉だった。ばかみたいだけど、でもばかみたいにそう信じた自分を今は褒めたい。ばかでありつづけたその勇気みたいなの、抱きしめてあげたかった。
私は、あのころナンバーガールが大好きで、ライブに行ってみたかった。これは絶対。そして今は、私が、今の私として、ナンバーガールを聴いている。今の私にしかきっとわからない感覚で、ナンバーガールを好きになる。
どんな言葉にも救われなかった人物が、主人公の何気ない一言に救われる。そんな奇跡が起きるたび、わたしも救わなければと思った。誰かを救わなければ、誰にも信用されることはない、愛されることはない。だから、かならず苦しんでいるその人が、求める言葉を見つけなければと。
ヘッドフォンで両耳の間に好きな音楽を垂れ流し、好きなチョコレートを口の中に入れれば、どの街も世界も、わたしの内側に起こっていることに比べれば大したことじゃないように思えた。
ものすごく好きなものを見つけたとき、私はぜんぜん満たされなかった。好きなものは一方的に私の思いを吸い込んでいくばかりで、自分が豊かになるということはなく、むしろ世界が豊かであることを見せつけられ続けているような心地がしていた。
けど人が「親しく」なることが、決して「心をさらけ出す」こととイコールでないということは、確かであろうと今は思う。
でも、はは、世界がただそうさせているだけじゃないのか。世界がいつも先に選択をする、ぼくは余った方を選んだ。
彼女の優しさには、「好き」はなかった。「肯定」ではなかったんだ。それなら私は、何をもらっていたのかな。
ずっと、私は優しさを諦めている。彼らの優しさをすなおにそのままで受け取って、喜ぶことを諦めている。ごめんね、勝手に期待している。でもちゃんと、一人であとで傷つきますから。優しくしてくれて、ありがとう。 -
なるほどね。
がんばってください。 -
言葉にできなかったこんなの私だけの欠陥なんだと思っていた「コンプレックス」が、ごりごりに言語化されて、目から脳に突き抜けていく。
最果先生の文章は、いつも苦しくてまぶしくて、大好きです。 -
★好きとか嫌いではないのだ、ずっと蓋をして、私と音楽とのあいだに壁を作っていた頭蓋骨がぱかっとあいて、やっと脳みそが音楽に触れた感覚だった★
最果タヒさんの文章は、今まで自分が無意識の領域に追いやっていた言葉を、意識下に移してくれた感じがする。
対人関係の中で感じた違和感というか孤独感を、適切に言葉にしてくれて、救われる。 -
心に残ったフレーズが幾つもあった。ノートに書き起こしたので割愛するけど、わたしには表しづらいものが的確に言葉になっていてあぁこれが言いたかったしこの感情だったんだなと気づくことが多かった、わたしに必要なことばが沢山散りばめられていて大切な一冊になった。
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繊細な気持ちが瑞々しかった
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最果タヒさんのエッセイは初めて読んだ。
とても頭がいい方だなぁと思った。
自分の芯がしっかりあるから、詩を書けるのかなぁ。
著者プロフィール
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