私たちの戦争社会学入門

  • 大和書房 (2025年3月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784479394471

作品紹介・あらすじ

戦争を知ると、歴史と社会への解像度が激変する!
古今の戦争を振り返りながら、「誰が戦ってきたのか」「それによって何が失われ、何が作り出されてきたのか」を深堀していく。
そのほか、最先端の戦争は従来と何が違うのか、自衛隊と9条の関係をどう考えればいいのか、戦争体験者がいなくなって以降どう伝承していくのか・・・といった点を、社会学の知見を用いて、客観的・俯瞰的に解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争や軍事が日常生活の延長にあるんだと言う。私もそのように思うし、また、その通りの主張が展開される。
    ただ、本の後半については、問題点の提示に終わるように思い、少々迫力に欠ける。

  •  無関心、思考放棄としての「わからない」(DK)から、前提知識を知った上で/問い自体の難しさを理解した上での「わからない」に向けて、軍事・戦争・暴力にかかる歴史的・社会的なリテラシーを高めていくことを目指した一冊。入門書とはいえ、社会システムの中の/社会システムを作った戦争と軍事を考える視野の広さはほんとうに勉強になった。とくに、総志願制をとった日本の自衛隊が、現代軍隊の特質を先取的に制度化・内面化しているという指摘には成る程、と思わされた。
     
     古代から中世のヨーロッパを出発点に戦争の歴史をたどり直し、テクノロジ-の変革が戦争のあり方をどのように変え、よってもって社会をどう再編成してきたのかを解きほぐしていく著者の記述を追いかけながら、改めて自分自身、国家や軍隊といった暴力装置に対する基本的な知識と内在的な理解が欠けていたことを痛感させられた。戦争を「よそごと」として後景化させながら社会を作ってきた結果が、「無知」という名の別種の暴力を生み出していたのかもしれないと思う。

  • なるほどとこういう視点があるのかと読み進め、途中から様々な引用が出ててくると、予備知識のなさもあいまって、ついていけなくなり挫折しそうになるもP270~の最後の章まで読んだところで、大きな気づきを得ることができた。
    特にP278~講義の最後のパートの議論の方法は、汎用性があり、私が担当しているタスクののファシリテーションスキルとして使えそう!
    「わからない」からはじまる議論、それが大切だと実感。

  • 実況中継風の文体で、とても読みやすい。

    軍事・戦争について客観的に考えるための入門書。

    著者は1971年生まれの早稲田大学教授。

    戦争や軍隊へのアンチを前提としない内容。

    一方的な唯一の見方を示すのではなく、多面的な情報を提示する論の進め方は、非常に好印象。

    結論も、理想主義的な平和万歳を叫ぶのではなく、次の学びのステップにつながるような、オープンエンドになっている。

    バランスのとれた本でした。

    末尾のブックガイドから、次に読む本を探してみます。

  • こんなに複雑なことが、こんなに読みやすく一冊にまとまっている。戦争の解像度がぐっと上がる本でした。
    戦争になったら誰が戦うのか、それはその時の社会のあり方で決まる。
    戦争はいつでも起こりうるということと、歴史の見方、戦争と消費の関係、国対国の戦争から対テロ戦争など戦う相手が変わってきたこと、核のこと、女性と戦争、軍隊や自衛隊のこと、…など幅広い内容。あまりに自分が何も見えておらず、「戦争反対、世界平和を!」無知のまま望むだけだったことに気づいて唖然としました。

    戦争がなくなればいいと皆んなが思っているはずなのに、戦争が無くならないのには複雑な背景がある。

    まず一つは歴史を学び直そうと思った。とくに、第一次大戦と第二次大戦の間の1930年代に、日本にどんな考え方と選択肢があったのか。
    いまの私たちには、1945年の終戦間際の状況ばかりが強調されていて、被害者意識の強さと総力戦の記憶が結びついている一方で、1930年代の記憶が抜け落ちているのだと。

    もし日本が戦争することになったら、私は「お国のため」に戦うのだろうか?
    どうしたら少しでも戦争を遠ざけていられるのだろうか。戦争が始まったら自分はどう振る舞うのか。まだ戦争になっていない今のうちに、考えておかなければと思いました。

  • 戦争はもちろん反対である。起こらないほうがいいし起こるべきではない
    それでも今なお戦争は起こる。その原因も形も歴史ごとに変わっている。そもそも戦争というものには宣戦布告をするという決まりがあり、それを守らずに開始したものもある。日本もやったことだ
    また諸外国と日本の事情を比べながら、日本独特の国民の思想やその原因となる社会背景などを紐解いていく
    戦争は起こらないほうがいい。じゃあ戦争ではなく平和なときの軍事はどうしていけばよいか。ただイデオロギーに引っ張られるだけではなく、今まで日本が戦前から戦後、現在までどのように戦争に向かい、戦争をし、戦争を終えて今に至るかを知り、いかに"わからない"ままで自分と違う他者の意見を尊重し、そう至った背景を想像するか
    戦争や軍事を社会学的に学び、そのうえで自分なりに考えるための材料を増やしていく
    ちょうど戦後80年、朝ドラではやなせたかしとその妻である小松暢をモデルにした『あんぱん』をやっている。Netflixでは7月に『火垂るの墓』が全世界で配信されることが決定した
    反戦を訴えながらも、それでも無くならない戦争や戦争の可能性を考えていくための"戦争社会学"の1冊

  • 391-ノ

  • ふむ

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/731582

  • 東2法経図・6F開架:391A/N93w//K

  • 【請求記号:391 ノ】

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著者プロフィール

【編者】野上 元(のがみ・げん)
1971年東京都生。早稲田大学教育学部教授。博士(社会情報学)。『戦争体験の社会学』(弘文堂)、『自殺の歴史社会学』(共著、青弓社)、『歴史と向き合う社会学』(共著、ミネルヴァ書房)など。

「2023年 『吉見俊哉論 社会学とメディア論の可能性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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