メルカトル

著者 :
  • 大和書房
3.59
  • (60)
  • (94)
  • (146)
  • (19)
  • (3)
本棚登録 : 698
感想 : 109
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479650096

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 表紙は著者が描いたもの。船員が風の方向を記すために書いた図。
    表紙を開いた所が艶のあるツルツルした群青色。マットな質感が多い印象だから、珍しい。
    読むのに疲れた。精神的にも。
    好きな人は好きなんだろう。

    地図収集館の新米受付リュスのメルカトル家族との関わりなんだけど何かすっきりしない。

    登場人物は家族か関係者。
    リュスの実母エルヴィラ・モンドの変装か、娘のダナエでルゥルゥの変装か、マネージャーか、
    警察位は赤の他人。
    本当にリュスが可哀想で不憫で泣いてしまいそう。
    どんな状況で捨てられたのかは不明なままだけど、船首の女神像に入れられてたのを拾われたって聞いて、棺桶イメージとか、
    夢や希望どころか何かあったら疑われる立場に居て今もその頃のまま。
    学費を稼ぐ為に働いてるのに、アパートの女主人と仲のいいクリーニング屋に服を出さなきゃならないし、そのお金もないからと断ろうとしたら立て替えとくって、どんだけ搾り取るわけ?
    本当は血縁者なのが分かって、良いように運ぶんだろうけど、無かったら搾り取られるまま?
    リュスにも、その母親にも、苛立つばかり。
    少年が年上の女に振り回される話多いけど、駄目だった。今までは大丈夫だったけど、読み返したら駄目になってたりするのかも。

    冒頭のメルカトルはロシア人の実父か、祖父のメルカトルか。

  • 何だか理不尽でイラっとしながら読み進めましたが最後はホッとしました。

  • いつもはどこか不思議の国的なのに、
    これはすぐ隣の外国みたいな。なんとなく現実的。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-176.html

  •  救済院育ちのリュスは大学進学の学費の為に、地図図書館の事務員の仕事を始める。
     安月給で、服は2着しかない。住居は古いアパートの最上階にある狭い屋根裏部屋。
     そこに何故か、有名女優のエルヴィラ・モンドが訪れ、自分に宛てられた手紙を受け取って欲しいと頼まれる……


     なんと言うか、相変わらずこの作者は「社会的弱者」を主人公にするのが好きらしい。

     姿は美しく、朴訥で質素で堅実な主人公。社会的弱者なので相手のどんな理不尽な対応にも耐えなければならない。

     この手の話を読むとフラストレーションが溜まるのだけど。色の表現の多彩さや、不可思議な性格の登場人物達は、やはり魅力的。

  • 地図収集館で働く青年リュスの周囲で次々と起こる不可思議な出来事―。
    長野まゆみの新しい魅力が煌めく、極上のロマンティック・ストーリー。

著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長野まゆみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×