メルカトル

著者 :
  • 大和書房
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本棚登録 : 698
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479650096

感想・レビュー・書評

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  • こういうお話好き。地図の埃っぽい匂いとか、屋根裏部屋の寂しいような夕暮れとか想像する。

  • 図書館で本棚を眺めていたら聞き覚えのあるタイトルが目に入って、手に取って表紙を見た瞬間に「これ読んだことある!」ってなった本笑
    外国文学ばかり読んでいた中学時代、表紙に惹かれて珍しく借りてみた日本人作家の本がこれでした

    地図収集館や、主人公が住む家や、公園や街並み、どれも絵に描いたように浮かんでくる筆致で素敵だった
    全体にお洒落な感じ、且つほっこりする

    それから、装画が作者によるものだったと知って驚き

  • 文章が美しい。どこかで観たことのあるような欧州の街並みを想像しながら読みました。
    長野まゆみ作品は、不思議と謎が入り混じって、結局は伏線は回収されず、謎が残りまくるほうが、らしくて私は好きなんだけども。
    この話は、めずらしく、伏線が回収され、なんだか可哀想なリュスが、最後は幸せになれそうなのが良かった。

  • 表紙は著者が描いたもの。船員が風の方向を記すために書いた図。
    表紙を開いた所が艶のあるツルツルした群青色。マットな質感が多い印象だから、珍しい。
    読むのに疲れた。精神的にも。
    好きな人は好きなんだろう。

    地図収集館の新米受付リュスのメルカトル家族との関わりなんだけど何かすっきりしない。

    登場人物は家族か関係者。
    リュスの実母エルヴィラ・モンドの変装か、娘のダナエでルゥルゥの変装か、マネージャーか、
    警察位は赤の他人。
    本当にリュスが可哀想で不憫で泣いてしまいそう。
    どんな状況で捨てられたのかは不明なままだけど、船首の女神像に入れられてたのを拾われたって聞いて、棺桶イメージとか、
    夢や希望どころか何かあったら疑われる立場に居て今もその頃のまま。
    学費を稼ぐ為に働いてるのに、アパートの女主人と仲のいいクリーニング屋に服を出さなきゃならないし、そのお金もないからと断ろうとしたら立て替えとくって、どんだけ搾り取るわけ?
    本当は血縁者なのが分かって、良いように運ぶんだろうけど、無かったら搾り取られるまま?
    リュスにも、その母親にも、苛立つばかり。
    少年が年上の女に振り回される話多いけど、駄目だった。今までは大丈夫だったけど、読み返したら駄目になってたりするのかも。

    冒頭のメルカトルはロシア人の実父か、祖父のメルカトルか。

  • リュスが振り回され過ぎ。凄く淡々と生きているリュスには好感が持てるのですがそのせいで上手に騙されていて、不思議な物語になってます。

  • リュスの涙がとても綺麗だった。

  • 答え合わせをするように進んでいく構成、そして血縁モノと、長野さんらしい作品。
    ハッとさせられるような言葉がさらっと書かれてるところとかも。

  • 地図収集館で働くリュスの周囲で、次々と起こる不可思議なできごと。何ともお洒落なおとぎ話。
    傍若無人な人がやって来ては無理難題を押し付ける。リュスは断ることもせず、流されるがごとく巻き込まれていく。しかしその無理難題には裏があり…
    そんなバカなという展開を、さもありなんと見せるのが長野まゆみの世界なのでしょう。道具立てから登場人物なにもかもが作られた世界ならではの艶やかさに包まれています。きらびやかなんだけれどシックなビジュアルが浮かび上がってきました。この世界にどっぷりとひたれるかどうかが、この作品を楽しめる鍵となるのでしょう。舞台劇のような感覚をたっぷりと楽しみました。

  • 孤児院で育った子が母親&親族と巡り合い、家&ガールフレンドまでゲットする・・・メルヘンだわ。
    女優の母親と知らずにベッドインなんてことにならなくて、良かったよね。

  • 変な路線に行ってしまっていた作者でしたが、これは久々に読み応えありました。昔のものとも違うよさがあり、わたしは好きですね。小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」を思い出しました。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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